会社内での不倫・浮気で気を付けるべきこと

最終更新日: 2021年07月08日

はじめに

職場では長い時間をともにしますので、同僚間で社内恋愛に発展する事例は多くみられます。

このような場合、不貞配偶者としては浮気相手に不貞慰謝料請求をするのが通常ですが、加えて、浮気相手と職場で接触することを嫌い、不倫をされた配偶者が会社に相談するケースもあります。

また、浮気相手を退職に追い込む、社会的制裁を与えるために敢えて不倫の事実を会社に広めようとするケースもあるようです。

今回は、同僚間の不倫において、特に不倫をされた配偶者の方が気を付けるべきことについてご説明します。

不倫・浮気を会社に相談すると名誉毀損になるのか

不貞行為は社会的評価を低下させる事実ですから、このような事実を会社に電話をしたり書面を送るなど不特定又は多数の人間が知り得る方法で適示すれば、名誉毀損として違法行為になる可能性があります。

また、不貞行為は私生活上の事実で他人に開示されたくない情報ですから、このような事実を会社に伝えれば、プライバシー侵害にもなりえます。

名誉毀損やプライバシー侵害に該当する場合、不法行為に基づく損害賠償請求として10万円~30万円ほどの慰謝料請求が認められます。また、会社に不貞の事実が広まった結果、退職を余儀なくされた場合には逸失利益として6か月分ほどの給料相当額も損害賠償の対象となる可能性があります。

もっとも、不貞配偶者の直属の上司や人事部長など、特定かつ少数の者に不貞の事実を伝えただけであれば、名誉毀損にならない可能性があります。

また、会社に不貞の事実を伝える正当な理由があり、かつその伝え方も相当な方法、態様であれば、プライバシー侵害としても違法性は認められない可能性もあります。

不倫・浮気について会社の使用者責任を問えるか

会社の同僚同士が不貞関係になることはよくあります。そのような場合、会社の監督責任を問いたいと考える不貞をされた配偶者もいますし、現に会社を提訴した事例もあります。

民法715条1項は、「ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。」と規定しています。これを使用者責任といいます。

会社内で不倫をした場合、被用者である不貞配偶者と不貞相手が、不貞行為という不法行為によって、第三者に対して精神的苦痛という損害を加えたことになります。

もっとも、会社に対して使用者責任を問うためには、不法行為が会社の「事業の執行について」なされたものでなければなりません。「事業の執行について」なされたものとは、職務行為及びそれを密接に関連する行為といいます。

不貞行為は、仮に就業時間内に行われていたとしても、それは不貞配偶者と不貞相手との個人的な行動であって、業務内容に含まれる行為やそれと密接に関連するとはいえません。

したがって、よほど特殊な事例でない限り、会社の同僚間での不貞行為であっても、会社に対して不貞慰謝料請求をして認められることはないでしょう。

不倫・浮気を理由に解雇されることはあるのか

会社の就業規則には、就業時間内の社員の職務専念義務が定められていることが通常です。そのため、就業時間内に社員が不貞行為に及んだり、メールやLINEで私的なやり取りをしている場合には就業規則に違反することになります。

そして、就業規則に違反した場合には懲戒処分の対象となりえます。もっとも、解雇は懲戒処分の中でも最も重い処分ですから、違反の程度が重大なものであったり、何度も注意しされたにもかかわらず改善が見られない場合でなければ、適法な解雇とはなりません。

最後に

以上、配偶者が会社の同僚と不倫をした場合に気を付けたいことについてご説明しました。

不倫をされたにもかかわらず、かえって浮気相手から損害賠償請求を受ける事態は避けたいところです。

配偶者の不倫が発覚したときは熱くなって、後先考えずに行動しがちですが、冷静になって、不倫案件の経験豊富な弁護士に相談して、不貞慰謝料請求などその後の対応を考えることにしましょう。

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