内縁関係と同棲の違い、内縁関係と慰謝料請求について

内縁関係と同棲の違い、内縁関係と慰謝料請求について

2019年09月04日

1 はじめに

最近は、婚姻届を出して夫婦となる法律婚を敢えて選ばず、より自由な関係性である「事実婚」、「内縁関係」を積極的に選ぶカップルも増えてきています。

このような内縁関係は、法的に保護されますので、内縁関係を解消する際には、夫婦が離婚する際と同様に、財産分与が認められますし、慰謝料も請求できます。

他方で、同棲している彼が浮気をしたので、浮気相手に慰謝料を請求したいというご相談をよく受けますが、浮気をされたとしても、「内縁関係」と認められなければ、浮気相手やパートナーに慰謝料を請求することはできません。

そこで、今回は「内縁関係」の慰謝料請求についてご説明いたします。

2 そもそも内縁関係とは?

内縁関係とは、婚姻届を出していないものの、夫婦としての生活実態のある関係をいいます。最近よく聞く「事実婚」とほぼ同義と考えて良いでしょう。

そして、内縁関係の場合は、婚姻届を出していませんが、法的に保護される関係のため、パートナーが浮気をして内縁関係を解消した場合には、浮気相手に対して慰謝料を請求することができます。

単に交際しているだけのカップルが浮気相手に慰謝料を請求することができないというのはお分かりいただけると思います。

他方、結婚している場合に不倫をすれば、不倫相手に慰謝料を請求することができるというのもお分かりいただけると思います。

内縁関係とは、法律上の夫婦関係ではないものの、単に付き合っている交際関係とは異なります。
端的に言えば、婚姻届を出していない夫婦が内縁関係です。

3 内縁関係であるかは、どのように判断されるのか?

パートナーが浮気をして交際関係を解消することになった場合、浮気相手に慰謝料請求をするためには、まずは、ご自身たちの関係が法的に保護される内縁関係に該当するのかどうかをチェックする必要があります。

内縁関係に該当するかどうかは、同居期間が3年以上など長期か、結婚式をしているか、二人の間に子はいるか、相互の親族の行事に参加しているか、住民票に未届の妻として記載されているか等、様々な事情を考慮して判断されます。

そのため、単に長年同棲しているというだけで内縁関係と認められるものではありません。

4 内縁関係の場合、慰謝料はいくら請求できるのか?

内縁関係も婚姻関係と同じく法的に保護される関係ですから、浮気をして内縁関係を解消することになった場合には、浮気をされたパートナーは、自身のパートナーと浮気相手の両方に慰謝料を請求することができます。

もっとも、内縁関係が解消された場合であっても慰謝料として100万円以上を認めた裁判例もありますが、法律婚の場合に比べて慰謝料の金額は低くなる傾向があります。

5 浮気相手は、内縁関係について知らなかった場合

結婚しているかどうかは婚姻届を出しているかどうかによって決まるため、一義的に明らかです。

他方、内縁関係は、同棲している期間や、生活の実態などから判断されるため、必ずしも明確ではありません。

そのため、内縁関係における不貞行為の場合、最も問題になるのは、内縁関係にあることについて浮気相手に故意・過失があったかどうかです。

つまり、浮気相手が内縁関係とは知らなかった、知っていて然るべきだとまでは言えないという場合には、内縁関係を解消することになったとしても、慰謝料の支払いは受けられません。

内縁関係とは、同居期間が長期か、二人の間に子はいるか、相互の親族の行事に参加しているか、住民票に未届の妻として記載されているか等の様々な事情を考慮して判断される概念ですから、「内縁関係であることを知っていた」というのは、これらの内縁関係を基礎づける事実の認識があったということです。

ですから、「内縁関係と聞いていた」というだけで、直ちに、内縁関係であることの認識があったとはなりません。

単に長年同居していることは知っていただけでも内縁関係であることの認識があったとはいえず、法律上の夫婦と変わらない関係であることの認識があった場合に初めて、不貞行為の故意があるといえるのです。

6 いわゆる重婚的内縁関係について

法律上の婚姻をしている者が、他の者と事実婚関係にある場合、かかる事実婚関係を重婚的内縁関係といいます。

法律上の配偶者とは長らく別居しており、他の者と事実上、夫婦関係を築いているというケースは偶にあります。

かかる重婚的内縁関係ですが、法律は重婚を認めていないことから、そのような内縁関係を法的に保護すべきなのかという問題があります。

裁判例や学説でも争いがあるところですが、法律婚の方が形骸化しているかどうかや、請求を認めることが重婚的内縁関係を助長することになり法律婚配偶者の利益を侵害することにならないかといった諸々の事情を考慮して、当該関係を保護するか判断されることになります。

7 最後に

以上、内縁関係の慰謝料請求についてご説明しました。

内縁関係の慰謝料請求の場合、

①そもそも法的に保護される内縁関係に該当するのか、
②浮気相手は、内縁関係にあることについて故意、過失はあるのか

という二段階をクリアーする必要があります。

交際関係を解消することになり慰謝料請求をする場合、まずはこれらの点をクリアーできているのかどうか判断する必要があります。これらの判断には専門的な知識が必要ですから、弁護士に相談することをお勧めします

この記事を書いたのは

代表弁護士春田 藤麿
愛知県弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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