不倫の子を妊娠をした時の慰謝料

不倫の子を妊娠をした時の慰謝料

2019年09月21日

1 はじめに

夫が不倫相手の女性を妊娠させてしまったと告白してきて不倫が発覚したというケースや、妻が不倫相手の子を妊娠してしまったと告白してきて不倫が発覚したというケースはいずれもよくご相談を受けるものです。

この場合、①夫婦間では不倫を理由とする離婚の問題が発生するかもしれませんし、②不倫をされた配偶者は不倫相手に慰謝料を請求することができます。さらに、③不倫をした配偶者と不倫相手の間でも慰謝料問題や、子の養育に関する問題が発生することがあります。

このように、不倫によって妊娠した場合、各当事者間で様々な法律問題が発生します。今回は、これらの法律問題についてご説明いたします。

2 夫の不倫相手が妊娠した場合の慰謝料

配偶者以外の人との性行為は、婚姻生活の平穏を害する行為として民法上の不法行為に該当しますので、妻は、精神的苦痛を被ったと主張して、不倫相手に対して慰謝料を請求することができます。

性行為があったから不倫相手は妊娠したのですから、原則として妊娠という事実だけで不貞行為を立証することができるでしょう。

過去の裁判例を見ますと、不倫相手が妊娠した場合、慰謝料の金額は他のケースよりも高くなる傾向が見られ、特に出産した場合には、200万円から300万円ほどの高額な慰謝料を認定されているケースが散見されます。

不倫相手が出産した場合、戸籍に不倫相手の子どもが載ることになり、またその子どもには養育費や夫の財産を相続する権利が認められることとなり、将来にわたって婚姻関係に影響が生じることから、妻の精神的苦痛も大きくなるからでしょう。

他方、不貞行為は離婚原因と法律に定められていますので、妻は、不倫をした夫に対して離婚を請求することができます。
この場合、離婚自体は認められるでしょうが、慰謝料や養育費の金額、財産分与について協議でまとまらなければ調停や訴訟をすることになります。

3 妻が不倫の子を妊娠した場合の慰謝料

妻が妊娠をした場合にも、慰謝料の金額が比較的高額になるケースが多いことや、離婚の問題が発生することは夫の浮気相手が妊娠した場合と同じです。

もっとも、妻が妊娠した場合には、妻が不倫相手の子どもであることを秘していたことから、夫は自分の子どもと疑いを持たずに養育してきたのに、数年後、妻の不倫が発覚し、DNA鑑定の結果、自身の子どもではないことが判明するというケースがあります。

このようなケースでは、自身の子どもと疑いもせずに養育してきた夫が受ける精神的衝撃が大きいことは想像に難くなく、離婚に至る場合も多いでしょう。このようなケースでは、200万円以上の高額な慰謝料が認定される可能性が高いといえます。

4 妊娠した不倫相手と男性との関係

妻のいる男性が浮気をして、浮気相手の女性が妊娠をした場合、浮気の事実を知った妻は浮気相手の女性に対して慰謝料を請求することができますが、不倫の当事者である男性と不倫相手の女性との間でも以下のような問題が生じます。

⑴ 不倫相手の女性が中絶を選択する場合

妻のいる男性が、浮気相手の女性に中絶を求めることがあります。当然、中絶をしてもらう権利はありませんので、中絶をするかどうかは当事者間の話し合いによって決めなければなりません。

そして、浮気相手の女性が中絶することを決めたときには、男性が中絶費用を負担することに加え、手術などによる身体的負担をかけることになるため、幾ばくかの金銭を支払うケースもよくあります。

⑵ 不倫相手の女性から男性に対しての慰謝料請求

妊娠をした女性が男性に対して慰謝料を請求することはできるのでしょうか。

性行為を強いられたという事実や避妊しない性行為を強いられたという事実があれば別ですが、二人の同意のもとに性行為をしている以上、そこに不法行為はなく、妊娠をしたこと自体について慰謝料を請求することはできません。

また、中絶することになったとしても原則として慰謝料請求をすることはできませんが、中絶せざるを得ない状況に追い込まれたなど男性に不法行為と評価できるような態度があれば、慰謝料の請求が認められることもあります。

このように妊娠をした浮気相手の女性の慰謝料請求が法的に認められる場合は少ないのですが、実際には、自身の妻に浮気が露見することを懸念して、また妊娠による様々な負担を女性に課してしまうことに配慮して、男性が慰謝料の支払いに応じるケースもよくあります。

⑶ 不倫の子を出産した場合

浮気相手の女性が出産することを選択した場合、出産費用の負担と出産後の養育費の問題が発生します。

出産費用については、男性が浮気相手の女性を扶養する法的義務はありませんし、妊娠に至った性行為自体も浮気相手の女性との関係では不法行為ではありませんので、男性が出産費用を負担する法的義務はないということになります。
そのため、男性が出産費用の負担を拒んだ場合には、その負担を法的に強制することはできません。

他方、出産した子については男性に扶養義務がありますので、男性には養育費を支払う法的義務があります。
その前提として、男性がその子どもを認知する必要がありますが、自分の子どもではない可能性があると主張して、認知を拒否するケースもあります。
このような場合には、子を代理して女性から男性に対して認知の調停・訴訟する必要があります。

5 最後に

以上のとおり、不倫によって妊娠した場合には、各当事者間での慰謝料問題や離婚問題など様々な法律問題が発生します。
また、子供という新しい生命が関わることから、それ以外のケースと比べて、解決の難易度は上がります。

これらの問題を可能な限り良い解決に導くためには、妊娠発覚後の早い段階で弁護士に相談をすることをお勧めします。

この記事を書いたのは

代表弁護士春田 藤麿
愛知県弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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