不倫・浮気の慰謝料請求をする際に有利になる証拠

最終更新日: 2022年11月02日

はじめに

配偶者に不倫されたら、不倫をした配偶者本人や不倫相手に「慰謝料請求」ができます。

ただし、必ずしも不倫をした当事者が不倫行為を認めるとは限らないため、不倫行為を否定した場合に備えて「不倫の証拠」があれば、慰謝料請求の交渉を有利に進めることができます。

では、どういったものが不倫の証拠として有効なのでしょうか。
以下では不倫問題で慰謝料請求をするときに有利になる証拠についてご説明します。

不倫・浮気は「肉体関係」を証明する必要があります。

「不貞行為」とは、広く婚姻生活の平穏を害する行為といいます。典型的には、配偶者のいる者が、自身の配偶者以外の者と肉体関係を持つことです。

そのため、不貞の慰謝料を請求するためには「肉体関係」を証明する必要があります。ここでいう肉体関係には、性行為はもちろん、それに至らないキスも該当します(なお、性行為まであった事案と、キスしかなかった事案とでは慰謝料額に大きく差がつくので、注意が必要です。)。

性行為それ自体が証拠によって証明できれば望ましいのですが、性行為それ自体を録画などしているケースは少ないです。

むしろ多くの場合は、「ラブホテルに泊まっていた」などの間接事実(状況証拠)によって性行為を認定しています。

しばしば、ラブホテルに入ったが性行為はしなかったという反論が散見されますが、男女がラブホテルに入ったとすれば中で行われることは一つしかないという経験則がはたらくので、不貞当事者が性行為などなかったことを証明しない限り、性行為の事実を認定できます。

そのため、ラブホテルに泊まっていたという事実だけで必要かつ十分で、実際に中で何が行われていたのかまで証明する必要はありません。

なお、ラブホテルに泊まっていたという事実が、肉体関係を伺わせる事実の代表例ですが、ここまでわかりやすい証拠が存在しないケースもあります。そのような場合でも、LINEやメールのやり取りなどの状況証拠を組み合わせて不貞行為を証明できることは多々あります。

とはいえ、決定的な証拠がない場合、どの程度の証拠が揃えば不貞行為を証明できるのかは、法律の専門家の知見がなければ正確に判断できない難しい問題です。

証明不十分な証拠だけで交渉を始めてしまったがために、不倫をした配偶者や不倫相手が不貞行為を否定して、取り返しがつかなくなるというケースも少なくありません。

すぐに相手を問い詰めるのではなく、ご自身の置かれた状況を理解するためにも一度冷静になり、弁護士と相談するのが大切です。

不倫・浮気の慰謝料請求の裁判で有効な証拠

具体的に、不倫慰謝料請求するときに有効となる証拠には、以下のようなものがあります。

不倫・浮気の自白書

配偶者や不倫相手が「不貞行為をしました」と自白した書面は、肉体関係の事実を証明できる有力な証拠になります。

ただし、「不貞行為」の意味を誤解して書いたが、実際は性行為はなかったといった反論や、自白書は無理やり書かされたものだなどという反論もしばしば見受けられます。

このような反論を防ぐためには、単に「不貞行為をしました」といったシンプルな内容ではなく、出会った経緯、いつ、どこで肉体関係を持ったかなど細かに書いてもらうことが必要ですし、できれば自白書を書いてもらう一部始終を録画や録音しておくのが良いでしょう。

探偵の調査報告書

不貞行為の証拠としては、探偵の調査報告書も有効です。探偵に配偶者や不倫相手の後をつけてもらい、ラブホテルや不倫相手宅への出入りを写真や動画などで押さえてもらいます。

調査報告書によって記録化できたら、裁判でも有効な証拠となります。

ただし失敗すると費用だけがかさむので、依頼の際にはしっかり計画を立てて少ない調査回数で成功させることが大切です。

また、そもそも時効や夫婦関係が破綻していたなど慰謝料請求ができない事案で調査を依頼すると調査費用が無駄になってしまいますので、気を付ける必要があります。

LINE(ライン)やその他SNS、ブログの記録

最近では、不倫相手とLINEでやりとりをしている方が非常に多くなっています。LINEのメッセージのやりとりの記録も不貞行為の証拠になります。「愛してる」「好きだよ」「会いたい」「〇〇で待ち合わせ」などと連絡し合っているものでも男女関係を伺わせる証拠となります。

LINE以外のSNSやブログなどについても同じ事が言えます。たとえばブログなどから一緒に旅行に行っていることなどがわかれば有効な証拠となるでしょう。

メール

メールについてもLINEなどのメッセージと同じことが言えます。肉体関係を伺わせる内容があれば有効な証拠となりますが、それ以外が無意味だということでもないので、参考になりそうなものは集めましょう。

写真、画像、動画

不倫相手と撮影した写真、画像、動画などを保存しているケースもよくあります。こうしたものも不貞行為の証拠になりますので、データを削除されないうちにパソコンや携帯電話からデータを抜き取っておくことが大切です。

不倫相手の裸や上半身裸の写真、二人で性行為をしているときに撮影した写真や動画などは有効な不貞行為の証拠となりますし、デートした時に2人で観光地に行って撮影した写真なども不貞行為を伺わせる証拠になります。

クレジットカード明細書、領収証

クレジットカードの明細書に知らないレストランや観光地での支払い、高額な交通機関の支払いなどがあれば、不倫相手とのデート代に使われた可能性があります。またホテルなどの領収証が不貞行為の証拠となるケースもあります。

もっとも、これらの証拠だけでは誰と行ったのかについては明らかではありませんので、その点について他の証拠で補う必要があります。

スケジュール帳、スケジュールデータ

夫や妻のスケジュール帳やスケジュールのデータを見ると、不倫相手と会う日に特別なマークなどが入っているケースがあります。

その場合、スケジュール帳やデータも不倫を示す証拠の1つとなり得ます。もっとも、これだけでは肉体関係を証明することはできませんので、このような証拠は、不貞行為をした配偶者が自白している場合に、その自白を裏付ける証拠として使用することになるでしょう。

多くの証拠を集めることで不倫・浮気を証明できるケースもあります。

上記のように、不貞行為の証拠になり得るものはいくつかありますが、努力しても「性関係を示す決定的な証拠」を入手できないケースはあるでしょう。

その場合でも、間接的な証拠を数多く集めることで、肉体関係の証明につなげられる可能性があります。つまり、一つ一つの証拠は明確に肉体関係を示すものでなくても、全部合わせることによって不貞行為を認定できることがあります。

ですから、不倫されたときに、「証拠がない」と思って諦める必要はありません。状況に応じて弁護士が有効な証拠の集め方をアドバイスいたしますので、一人で抱え込まずにご相談下さい。

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