不倫の示談の相場は?示談を拒否されたら?専門弁護士が解説

最終更新日: 2024年01月24日

不倫の示談の相場は?示談を拒否されたら?専門弁護士が解説

不倫問題において示談に触れる機会がない、という方も多いのではないでしょうか。どのような時にすべきか、示談の内容や方法についてそもそも把握していない方もいらっしゃると思います。 

今回は不倫問題を数百件解決してきた専門弁護士が、示談のメリットや流れ、注意点などについて解説いたします。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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不倫で示談解決するメリット

示談で解決をするメリットとして以下の3点をあげることができます。では、各々について解説します。

早期に解決ができる

不倫問題を裁判で決着をつけようとすると、判決までに半年から1年かかることになります。その間、不倫のゴタゴタをずっと抱えて生活することになります。それは精神的にきついですよね。

一方、示談の場合には、2か月以内に解決できることが多く、裁判に比べ格段に早く解決することができます。

弁護士費用を削減できる

示談交渉について弁護士に依頼をしている場合、裁判にしますと、弁護士の着手金が追加でかかることとなります。そして、慰謝料を獲得できたとしても弁護士費用もそれなりにかかるので手元にあまり残らないことが多々あります。

一方、示談の場合には、このように追加の弁護士費用がかかりませんので、裁判に比べ弁護士費用を安く済ませることができます。

相場以上の解決の可能性

裁判になると相場通りの慰謝料が判決として下りますが、示談では、弁護士の交渉の腕次第で相場よりも高い慰謝料を支払わせることも、逆に相場より慰謝料を低く抑えるようにすることもできます。

以上3点が示談を選ぶ大きなメリットです。しかし、不倫問題のなかには示談に適さないものもありますので、そのようなケースについて次にご説明します。

不倫で示談ではなく裁判にすべきケース

ここでは、示談に適さない不倫問題のケースをご紹介していきます。

相手方の提示額が相場と離れているケース

不倫問題は時として相手方が法外な額や相場と釣り合わない額の慰謝料を請求してくることがあります。

相手方がその額を譲らないという姿勢を見せてきた場合には裁判で決着をつけることをお勧めします。裁判では相場通りの判決が下ることになるからです。

無理難題を求められているケース

不倫問題では示談の条件として慰謝料の請求だけでなく、その他の条件を求められる場合があります。

具体例として、会社の退職を求められる場合や、ダブル不倫のケースで配偶者への不倫の告白を求められる場合などです。

このような受けいれ難い要求をされた場合には、示談ではなく裁判で解決することをお勧めします。裁判では争点となるのは慰謝料の問題だけですから、相手方の無理難題な要求をのむ必要が無くなります。

不倫の責任を否定しているケース

不倫の責任を追及したところ、「不倫をしていない」、「既婚者と知らなかった」、「夫婦関係は破綻していた」といった反論に合うことも考えられます。

このように自身の責任を否定して慰謝料の支払いを拒否している以上、それ以上示談交渉を進めるのは時間の無駄となってしまいます。

そこで、このような場合は、証拠をしっかり揃えたうえで、裁判で決着をつけることをお勧めします。

相手が逃げ回っているケース

不倫問題で示談交渉をしようにも、相手が電話に出ない、内容証明を送っても返信がないなど相手が交渉のテーブルにつかないこともあります。この場合も示談での決着は難しいです。

しかし、裁判になって裁判所から訴状が届いても相手方が無視をし続けることは稀です。また、たとえ相手方が裁判を無視したとしても、判決が出れば相手の給与や財産を差し押さえることができます。

以上のとおり、示談の方が早期に解決できるのですが、示談よりも裁判の方が解決に適したケースもあります。示談にすべきか、裁判にすべきか、弁護士に相談のうえ方針を決めましょう。

不倫で示談すべき慰謝料の相場はどれくらい?

不倫による慰謝料を請求する根拠は、「婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益」を侵害されたことで受けた精神的苦痛に対する損害賠償請求にあります(民法第709条、710条)。

そのため、慰謝料の相場は、どの程度婚姻共同生活に平和を侵害したのかが重要となります。不倫の結果離婚に至った場合はかなりの程度の侵害ですから慰謝料はおおよそ200万円が相場になります。離婚に至らない場合には100万円が相場です。

もっとも、離婚の有無だけなく、婚姻期間や不倫期間の長さ、子の有無、従前の夫婦関係の良し悪しなどの諸々の事情を考慮して、慰謝料の金額は上記の金額から増減します。

具体的な金額やおおよその見通しは事例ごとに個別具体的な判断も必要となりますので、弁護士に相談してみることがお勧めです。

不倫の示談までの流れ

次に、不倫問題で示談を選択した場合、決着までにどのような過程をたどるのか、流れを解説していきます。

慰謝料請求の連絡

まず、不倫相手に対し、慰謝料請求の連絡をします。これは、直接口頭で言っても構いませんが、内容証明郵便で通知書を送ることをお勧めします。そちらの方が相手に事態の重大性が伝わり、また慰謝料を請求した旨の証拠として残るからです。

交渉

次に、相手方との交渉に入ります。ここでの交渉では金額の交渉がメインとなりますが、職場不倫などの場合には、退職の要求などその点を含めての交渉も可能です。

示談書の取り交わし

交渉の結果、慰謝料の金額やその他の条件について合意すると、示談書を作成し、お互いに署名捺印をすることとなります。

ここで1つ注意が必要です。示談を有利にまとめたく、「サインしないと、~するぞ」のように脅しをかけてしまうと、脅迫にあたり、示談書の効力を否定する反論がなされ、長い裁判に突入する可能性がありますので気をつけましょう。

公正証書の作成

示談金として100万円単位の金額となると相手方はすぐにその金額を用意できるとは限りません。そのため、1年以上などの長期の分割払いになることもあります。

このような場合には、公証役場で公正証書を作成しましょう。

公正証書を作成すると、相手方が支払いを怠ると裁判をせずにすぐに相手の財産や給与を差し押さえることが可能となります。

以上が不倫問題で示談するまでの大まかな流れです。まとめると、相手方に慰謝料請求の連絡をし、示談金などについて交渉を行います。そして交渉の結果、示談書を締結し、慰謝料等を受け取ることとなりますが、分割払いの場合には公正証書を作成しましょう。

不倫の示談についてよくある質問

ここからは不倫について、みなさんからよく寄せられる質問について答えていきたいと思います。

相手と会わないといけない?

基本的に決まりはありません。もちろん直接会って交渉してもよいですし、書面や電話でのやり取り、示談書も郵送で取り交わしてもよいです。

弁護士に依頼すれば、自ら相手と連絡する必要はなくなりますので、精神的負担も軽減されるでしょう。

裁判に出向かないといけない?

弁護士に依頼しない場合、自ら裁判所に出向かないといけません。裁判はおおむね月1回のペースで平日の日中に行われるため、仕事をしている人は毎月仕事を休まないといけなくなります。

弁護士に依頼すれば、弁護士が代わりに出廷するため、本人が出廷する必要はありません。ただし、本人尋問になったときには1度だけ出廷する必要はあります。

示談した後に離婚したら再度慰謝料をとられる?

既に示談はしたけれども、その後に相手が離婚したから追加で慰謝料を請求されるのではなかと不安をもつ方もおられます。

しかし、示談したことによってそれまでの不倫問題はすべて解決済みとなるため、示談後に再び不倫をしないかぎりは再度慰謝料をとられることはありません。

怒りがおさまらない場合示談を取り消せる?

示談はしたけれども、やっぱり納得がいかないから示談を取り消したいという方もおられます。

しかし、一度した示談は取り消せません。たとえ受け取った慰謝料を返還したとしても、取り消すことはできないのです。

示談をするときに最終的な決定として本当に後悔しないかしっかり考える必要があります。

不倫の示談を弁護士に依頼するメリット

最後に、弁護士に依頼して交渉、締結をすることのメリットについてご説明します。

相場以上の解決を目指せる

当事者本人自らの交渉では厳しいことが多々あります。単に金額だけでのぶつかり合いとなり、相場での解決すら難しいこともあります。

弁護士に依頼することで、様々な証拠、情報から交渉材料を見つけて相手を揺さぶり、相場以上の慰謝料の獲得、または相場以下の慰謝料に抑える交渉が可能となります。

無駄なくベストな解決ができる

当事者本人でもインターネットや弁護士事務所の無料相談で何となくの知識を得ることはできます。

しかし、そのような知識を踏まえての初めて交渉と、数百件の不倫問題に携わってきた弁護士の交渉は自ずと大きく違いがあります。

プロとして多くの不倫問題解決に従事している弁護士に依頼するほうが、弁護士費用以上の結果を期待できます。

直接相手とやり取りしなくてよい

弁護士に依頼すると、弁護士が当事者本人の代理人として不倫問題解決にあたります。そのため、当事者本人は相手方と直接対峙することを避けることができます。

誰しも、不倫相手または不倫された配偶者と直接対峙することはストレスでしょう。また、当事者本人が不倫問題の加害者である場合、加害意識から本来主張できるはずのことも主張しにくく、結果として不利な示談を結んでしまうといったこともよくあります。

弁護士に依頼することで、当事者本人の代理として主張すべきところはしっかりと主張し、示談交渉を適切に進めることができます。

以上のとおり、弁護士に依頼すると、百戦錬磨のプロが味方となり、無駄なく有利に毅然とした態度で示談にのぞむことが可能です。

まとめ

以上より、示談にするか、裁判にするかの判断基準を冒頭で述べ、慰謝料の相場、示談の流れ、弁護士に依頼するメリット等を順に解説しました。

ここで、最後におさらいをします。

まず、示談にするか裁判にするかの判断基準ですが、示談のメリットは3つです。「早期解決」、「弁護士費用削減」、「相場以上の解決」が可能なのが示談のメリットです。しかし、示談が適さないケースもあるため注意が必要です。

そして、慰謝料の相場ですが、離婚する場合はおおよそ200万、離婚しない場合はおおよそ100万円が相場です。

不倫問題の解決方法に迷ったら、不倫問題分野を専門にする弁護士に相談することをお勧めします。

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