不倫相手に慰謝料は請求できる?相場と手順・逆に請求された場合の対処法まで解説
2024年12月27日
- パートナーの不倫が発覚した。不倫相手に慰謝料を請求するのは可能だろうか?
- 不倫相手に慰謝料を請求予定だが、慰謝料の相場はある程度決まっているのだろうか?
- 不倫相手へスムーズに慰謝料請求できるよう、手順について聞いておきたい。
パートナーの不倫が発覚したら、パートナー本人だけではなく、不倫相手にも慰謝料請求が可能です。
ただし、ケースによっては不倫相手への請求が認められない可能性もあります。また、慰謝料請求は法律に則り、冷静に進めていく必要があります。
そこで今回は、不倫問題の解決に携わってきた専門弁護士が、不倫相手に慰謝料を請求できるケース、不倫相手への慰謝料相場等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 基本的に不倫が発覚して、夫婦関係が悪化すれば、不倫相手に慰謝料請求ができる
- パートナーに騙されて不倫の関係となった場合、相手に慰謝料の請求は困難
- 慰謝料請求前に専門弁護士と相談し、慎重に対応方法を検討しよう
不倫相手に慰謝料を請求できるケース
パートナーと不倫をしていた相手には、基本的に慰謝料の請求ができます。
ただし、単にパートナーと映画を観た、食事をしたというだけでは、不倫にあたらない可能性が高いです。
不貞行為がある
パートナーと不倫相手との不貞行為が認められれば、慰謝料の請求ができます。
不貞行為に該当するのは、パートナーが既婚者であると知りながら性行為をしたケースです。
また、性行為にまで至らなくとも「性交類似行為」を行った場合、不倫相手に慰謝料請求ができる場合もあります。
性交類似行為とは、挿入を伴う性行為以外の前戯、口淫・手淫(口や手で性器を弄ぶ行為)、裸で抱き合う行為が該当します。
夫婦関係の悪化
パートナーの不倫により夫婦関係が悪化した場合、不倫相手に慰謝料の請求が可能です。
不倫が原因となり、家庭内で夫婦の言い争いが継続している、どちらかが家を出ていった(別居中)というケースが該当します。
夫婦関係悪化の原因をつくったのが、不倫相手との性行為・性交類似行為であった以上、不倫された側は不倫相手にも責任を追及する権利があります(不法行為責任:民法第709条)。
不倫相手に慰謝料を請求できないケース
不貞行為が認められなければ、相手に慰謝料の請求はできません。
また、相手が不倫になると知らず性行為・性交類似行為を行ったときや、夫婦関係の状況によっても、慰謝料請求は認められない場合があります。
不倫の事実がない
不倫されたと思い込んでいた側の「勘違い」が該当します。次のようなケースに注意しましょう。
- パートナーと仲良く繁華街を歩き回っていた異性がいた→パートナーと同じ職場の営業職の部下だった
- パートナーと仲良くホテルに入って行った異性がいた→パートナーが性風俗サービスを利用していた
性風俗サービスの中には店舗を持たず、ビジネスホテルやラブホテルで性サービスを行うところもあります。サービスを提供するだけの風俗嬢に慰謝料は請求できません。
ただし、パートナーが性風俗サービスを利用したために、精神的な苦痛を受けるケースもあるでしょう。その場合は、パートナーに対する慰謝料請求を行える可能性があります。
不倫の自覚がない
パートナーと性行為・性交類似行為をした相手に不倫の自覚がない場合、慰謝料の請求は難しくなります。次のようなケースが該当します。
- パートナーが相手に「自分は独身で彼女もいない。」といって交際を申し込んだ
- パートナーは独身かどうかの有無を積極的に話さなかったが、相手と会うときに婚約指輪を外していた
相手はパートナーに騙されたり、独身であると誤信したりして、不倫している自覚がありません。上記のようなケースでは、パートナーとの離婚やパートナー本人への慰謝料請求を検討した方がよいです。
なお、パートナーが既婚者であると気付けたのに、不注意で気付かなかった場合(例:パートナーが不貞行為中も婚姻指輪していた等)は、相手に慰謝料請求が可能です。
婚姻関係が破綻している
不倫相手が不倫しているという自覚をもってパートナーと交際していても、不倫当時、すでに夫婦関係(婚姻関係)が破綻していた場合、慰謝料請求はできません。
慰謝料請求ができないのは、主に次のような理由があげられます。
- 不倫が原因で夫婦関係が悪化したのではなく、当時からもともと関係が破綻していた
- 夫婦関係が破綻していたからパートナーは不倫を行うようになったのであり、不倫相手に責任はない
不倫相手へ慰謝料請求をする前に、パートナーの不倫当時まで、夫婦関係が円満だったか否かを冷静に検討しましょう。
不倫相手への慰謝料相場
不倫された側と不倫相手とが慰謝料を話し合う場合は、双方の合意で自由に金額を決められます。
一方、裁判で不倫(不貞行為)の慰謝料を決める場合、ある程度慰謝料の相場は決まっています。
- パートナーと離婚する場合:200〜300万円
パートナーと離婚しない場合:50〜100万円
様々な事情を踏まえて慰謝料が算定され、主に考慮する要素は次の5つです。
- 不倫期間:パートナーとの不倫期間が10年以上ならば、慰謝料は高額化する傾向がある。ただし、不倫期間が非常に短期間で1回性行為をしただけの場合、慰謝料が認められても低額にとどまる可能性は高い。
- 婚姻期間:夫婦の婚姻期間が5年以上継続していたならば、慰謝料は高額化する傾向がある。5年未満では、慰謝料が認められても数十万円にとどまる可能性は高い。
- 悪質性:不倫相手がパートナーと一緒になって不倫の証拠隠滅を図る、不倫を何度も繰り返す等の常習性が認められたとき高額となる。
- 不倫当時の婚姻関係:不倫当時、婚姻関係が円満であれば、慰謝料は高額化する傾向がある。
- 不倫による妊娠:パートナーまたは不倫相手が妊娠し、不倫された側が深刻な精神的苦痛を受けた(うつ病を発症した等)ならば、慰謝料が高額化する可能性もある。
不倫相手へ慰謝料請求する手順
パートナーの不倫が発覚し、不倫相手に慰謝料を請求したいならば、まず夫婦関係の状態をよく確認し、慰謝料の相場を参考に金額を決めましょう。
不倫の証拠が十分そろったら、いよいよ不倫相手に慰謝料請求を開始します。
条件の確認
まず、不倫相手に慰謝料請求ができる条件を満たしているか、慎重に確認しましょう。
- 不倫相手が誰かを特定できている
- パートナーを既婚者と知りつつ不倫している
- 性行為、性交類似行為を行ってい交
- 不倫が原因で夫婦関係は悪化、破綻した
- 慰謝料請求が時効となっていない
不倫相手がパートナーを既婚者と知っているかどうかは、正当な手段で取得したパートナーとのチャットメッセージ、メールや音声のやり取り等を確認することで判断できる場合があります。
たとえばチャットメッセージ機能やメールを利用し、次のような会話が記録されていれば、既婚者と知って不倫しているとわかります。
- 「いつもの通り明日、〇〇〇ホテルで会いましょう。奥さんからバレないようにね。」
- 「うちの旦那は明日出張だから、自宅で会いましょうよ。」
なお、これらの情報を確認する際には、相手のプライバシーを侵害しないことが重要です。また、本人の同意なくデバイスやアカウントにアクセスする行為は、不正アクセス禁止法やその他の法律に違反する可能性があります。
したがって、こうした行為は絶対に行わないようにしてください。証拠を収集する際には、弁護士などの専門家に相談し、適法な手段を用いることを強くお勧めします。
また、慰謝料請求権には時効がある点も注意しておきましょう。
不倫相手に慰謝料請求をしないまま一定期間が経過してしまうと、もはや請求権の行使は不可能です。
パートナーと不倫相手の不倫を知った日から3年以内(時効期間)、不倫を知らないままでも不倫した日から20年(除斥期間)が経過する前に、権利を行使しなければいけません(民法第724条)。
弁護士への相談
不倫相手へ慰謝料請求をする前に、弁護士と相談しアドバイスを得ておいた方がよいでしょう。
弁護士は相談者の知り得た不倫の情報をもとに、次のアドバイスを提供します。
- 不倫相手に慰謝料請求できるか否か
- 請求可能な慰謝料の目安を提示
- 不倫の証拠が足りない場合、収集するためのコツ
- 慰謝料請求の流れ
- 不倫相手に責任を追及する場合の措置
相談したうえで「不倫相手への慰謝料請求は、弁護士に任せた方がよい。」と判断したら、弁護士に代理人を依頼しましょう。
弁護士は法律に則り、不倫相手に対する慰謝料請求の手続きを進めていきます。
証拠収集
パートナーと不倫相手との不倫の証拠も、収集しておかなければいけません。
十分な証拠がなければ、請求しても不倫相手に無視されるか、支払いを拒否される可能性が高いです。
有力な証拠となり得るのは、次のような画像や動画等が該当します。
- パートナーと不倫相手との性行為の画像や動画
- パートナーと不倫相手との性行為が推認できる画像や動画
性行為の画像や動画の撮影は大変困難ですが、仮にパートナーのスマートフォン等に、不倫相手との性行為が記録されている場合があるかもしれません。
性行為が推認できる画像や動画としては、たとえばパートナーと不倫相手の2人がラブホテルを出入りする画像・動画などが挙げられます。
ただし、これらの情報を確認するためにパートナーのスマートフォンやその他の個人情報に無断でアクセスする行為は、プライバシーの侵害や不正アクセス禁止法などの法律に違反する可能性があります。
そのため、本人の同意がない限り、これらのデバイスや情報にアクセスすることは絶対に避けてください。
有力な証拠を得るためには、弁護士に相談し、適切なアドバイスを受けることをお勧めします。
また、弁護士を通じて提携する探偵社を紹介してもらうことで、合法的かつ適切な方法で証拠収集を行うことができます。
交渉
不倫相手が誰であるのかわかり、不倫の証拠もそろえたら、不倫相手に慰謝料を請求します。
不倫相手にいきなり訴訟を起こしても構いませんが、交渉からはじめるのが一般的です。まずは不倫相手に、内容証明郵便で慰謝料請求の話し合いを申し込みましょう。
内容証明郵便を利用して通知すれば、相手に心理的なプレッシャーを加えられる他、話し合いを申し込んだ証明ともなります。
不倫相手との示談交渉では次のような取り決めを行います。
- 不倫相手が不倫を謝罪する
- パートナーと離婚しない場合は、接見禁止を約束させる
- 示談金額(慰謝料の金額)、支払方法、支払期日の決定
- 示談成立後は、問題を蒸し返さないこと
- 取り決めた約束に反したら、法的措置をとる旨
交渉が成立したら「示談書(合意書)」を2通作成し、お互いが1通ずつ大切に保管しましょう。
なお、弁護士に代理人を依頼しているならば、弁護士が交渉役となるので、依頼者が不倫相手と会う必要はありません。
調停
示談交渉が不成立となったときは、裁判所に「慰謝料請求調停」を申し立てても構いません。
ただし、申し立てる裁判所は慰謝料等の金額によって、それぞれ異なります。
- 慰謝料等の金額が140万円以上の場合:地方裁判所
- 慰謝料等の金額が140万円以下の場合:簡易裁判所
弁護士に代理人を依頼していれば、依頼者(申立人)と共に同席し、依頼者の立場にたった主張や証拠の提出を行います。
裁判
調停不成立の場合は、裁判所に「損害賠償(慰謝料)請求訴訟」の提起が可能です。
訴訟の場合も、慰謝料等の金額が140万円を超えるなら地方裁判所に、140万円以内なら簡易裁判所に訴えを提起します。
訴訟を提起した人(原告)が勝訴すれば、被告である不倫相手に、損害賠償(慰謝料)の支払いを命じる判決が言い渡されます。
弁護士を代理人に立てていれば、原告の代わりに説得力のある主張・立証が可能です。
不倫相手から慰謝料請求された場合の対処法
パートナーと交際していた相手が、不倫していた事実に気付かない状況ならば注意が必要です。
不倫をされたと主張する側から、責任を追及されると、相手は精神的に追い詰められてしまう可能性があります。
逆に相手側から慰謝料を請求されてしまうおそれもあるでしょう。
請求内容の確認
相手方からの通知内容をよく確認しましょう。
- 不倫に気付かなかったにも関わらず、激しい責任追及を受けたのが原因で、精神疾患を発症した。
- 勤務先や近所の方々に不倫の噂が広まり、孤立してしまった。
- 不法行為責任により慰謝料を請求したいので話し合いたい。
上記のような内容であった場合は、なるべく早く交渉の準備にとりかかります。
減額交渉
数百万円にも上る高額な慰謝料を請求されても、冷静に対応しましょう。
パートナーと交際していた相手への責任追及に理由があれば、慰謝料を減額できる可能性もあります。
- パートナーと相手が交際している証拠をつかんでいた
- パートナーが相手を騙して付き合っていた事実に気付かなかった
- 不倫をされたと主張する側も、精神的な苦痛を受けていた 等
弁護士を代理人に立てていれば、代わりに相手と粘り強く交渉し、慰謝料の減額ができるよう全力を尽くします。
弁護士への相談
パートナーと交際していた相手から、逆に慰謝料請求を受けた場合、動揺してしまうかもしれません。そのようなときは弁護士に相談し、対応を協議しましょう。
弁護士は事情を聞いたうえで、次のアドバイスを行います。
- パートナーと交際するとき、相手に過失(不注意)がなかったかの確認
- パートナーが既婚者と知りつつ交際した証拠を集めるコツ
- 示談交渉の必要性
- 調停や裁判に進んだ場合の対応
弁護士と慎重に協議し、サポートも受けながら問題の解決を図りましょう。
不倫相手に慰謝料請求したい・されたなら早い段階で弁護士に相談を
今回は不倫問題の解決に尽力してきた専門弁護士が、不倫相手へ慰謝料請求を行うポイント等について詳しく解説しました。
法律事務所の中には、無料の初回相談サービスを提供しているところもあります。まずは相談サービスを利用し、弁護士と不倫に関する対応策を話し合いましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。