単身赴任の不倫に潜むリスクとは?された側がすべき対応も解説
最終更新日: 2023年10月31日
- 単身赴任中の夫が不倫していないか心配です。そもそも単身赴任中に不倫する原因やきっかけはどのようなことがあるのでしょうか?
- 自分の単身赴任が決まったので、多少はハメを外したいが、もし不倫をした場合はどのようなリスクがありますか?
- 単身赴任中の夫に不倫相手がいるみたいなので離婚したいと思いますが、どのような対応をとるべきでしょうか?
仕事の都合で夫婦の一方が単身赴任するのは、やむを得ないことです。
ただし、単身赴任をする側にとっては自宅と違う環境で生活する反面、配偶者や家族の目が届かなくなるので、解放感を得られるのは事実です。
単身赴任の状況を利用し、不倫に走るケースも想定されます。
そこで今回は、多くの民事事件に携わってきた専門弁護士が、単身赴任で不倫する心理、単身赴任で不倫が発覚した場合のリスク等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 単身赴任により自由な時間が増える、孤独を埋めたい等が理由で不倫に走る可能性もある
- 単身赴任中の不倫が発覚した場合、家庭崩壊や離婚のリスクが高まる
- 単身赴任が原因で不倫された側は、証拠を収集し離婚請求や慰謝料請求が可能
単身赴任で不倫する心理
夫婦の一方が単身赴任をする場合、家族と離れて暮らす状態となり、次のような状況や心境の変化が原因で不倫をする可能性もあります。
自由な時間が増える
単身赴任では配偶者や子どもがそばにいないので心細い反面、自由な時間が増えるのも事実です。就寝時間や食生活は自分のペース、お酒やタバコも遠慮なく楽しめます。
独身生活に戻ったようで解放的となり、自堕落な生活を送ったり、単身赴任先で知り合った相手と不倫に走ったりするかもしれません。
性交渉したい
単身赴任をすれば、夫婦の性交渉の機会が大幅に減ってしまいます。
高まる性欲を性風俗店で発散する人は多いかもしれませんが、単身赴任先で親しくなった相手と不倫関係になる可能性もあるでしょう。
自由な時間が増え、独身時代に恋人とデートをしたり、セックスをしたりする感覚で付き合い、不倫にのめり込むケースも想定されます。
孤独を埋めたい
単身赴任となれば一人暮らし。仕事から住居に戻っても、出迎える家族の声はありません。
住居周辺には面識のある友人・知人もおらず、孤独感は高まるでしょう。
そのようなときに親しくなった相手に、精神的にも肉体的にも依存してしまうケースが考えられます。
飲み会が増える
単身赴任先の人との親睦を深めるため、飲み会に参加する機会が増えるかもしれません。
一人暮らしなので、家族が帰りを待っているわけでもなく、時間を気にせずお酒が楽しめます。飲み会の場はお酒が入り、自分や参加者も気分が高揚する状態になるでしょう。
そのような飲み会で、親しくなった人とプライベートな話で盛り上がり、不倫関係になってしまうというケースもありえます。
単身赴任の不倫に潜むリスク
単身赴任先ですっかり気が緩んでしまい、不倫に走り、その事実が家族や周囲に発覚した場合、取り返しのつかない事態に発展するおそれがあります。
こちらでは、想定される4つのリスクについて解説しましょう。
周りにバレる
単身赴任先の同じ職場の人と不倫関係になった場合、その事実が発覚すれば職場内で噂になるおそれがあります。
また、不倫をしていた事実が会社側に発覚すれば、就労上の深刻な問題行為とみなされ、不倫当事者に不定期の人事異動や配置転換、降格人事等のペナルティが課される可能性があります。
不倫をしたからといって即解雇されるケースはあまり考えられませんが、会社側から自主的に退職を求められるリスクもあります。
単身赴任先で不倫していた事実が公然となれば、個の信用が低下し、自分が業務を行ううえで大きなマイナスとなってしまいます。
子どもの精神崩壊
単身赴任先で親が不倫をしていたと子どもに伝われば、親子の信頼関係を損なう事態となりかねません。
自分の不倫が原因で離婚をする場合、子どもの親権者となるのはかなり難しくなります。
一方、子どもは両親の離婚により喪失感を抱き、精神的に大きな影響を受けるかもしれません。さらには、親が不倫で離婚した噂が学校内に広がり、いじめを受ける可能性もあります。
このようにして次第に子どもが追いつめられ、引きこもりになったり、自殺を図ったりするリスクが想定されます。
金銭負担
自分の不倫が原因で離婚を進めていく場合、様々な費用負担について取り決めなければなりません。
離婚前または離婚後に、次のような費用の負担や財産の分配が必要となります。
- 婚姻費用:不倫された配偶者が、家を出て別居した場合に必要な生活費用等
- 慰謝料:単身赴任先での不倫が原因で離婚した場合に不倫された配偶者に支払うべき慰謝料金額
- 養育費:親権者とならなかった親が支払うべき子どもの養育費用
- 財産分与:婚姻中に夫婦で協力して形成した財産の分配
- その他:夫婦の事情に応じ金銭的な取決め(例:年金分割、夫婦間の金銭貸借の清算等)
特に慰謝料の場合、不倫の期間や回数、不倫相手との間に子どもができた(または堕胎させた)等の状況によっては、高額な支払いを請求されるリスクがあります。
離婚
不倫された配偶者から離婚を請求されるリスクがあります。
離婚の話し合いに応じるつもりがあるときは、まず協議や調停で夫婦間での合意を目指しましょう。
ただし、自分が有責配偶者(離婚の原因をつくった配偶者)の場合、話し合いは不利になるかもしれません。
協議や調停で話し合いがつかなければ、裁判で解決を図れます。裁判は公開の法廷で夫婦が原告と被告に分かれ、互いの主張や証拠を提出して進められていきます。
公開の法廷である以上、不倫相手との性交渉の期間や回数、子どもを妊娠させた等、プライベートな事実も開示されてしまうので注意が必要です。
単身赴任で不倫された側がすべき対応
単身赴任中の夫を妻が訪問したときに、夫が若者受けする衣服や下着を購入していた場合や、使用済みの避妊具を発見した等、不倫が疑われる証拠物を発見するケースもあるでしょう。
そのようなときには、次のような対応を検討しましょう。
証拠収集
夫婦の一方の不倫が原因で離婚を決意する場合は、まず確実な証拠を掴む必要があります。
確実な証拠としてあげられるのは、次のような画像や動画、書類等です。
- 不倫相手と共にラブホテルや単身赴任先の住居へ出入りする画像や動画
- 不倫相手との性行為の画像や動画
- 不貞行為を自白した録音テープ
- 不倫相手の妊娠や堕胎に関する証明書
単身赴任中の場合、普段は家族がいないので油断し、不倫相手の妊娠・堕胎に関する証明書等を無造作に保管している可能性もあります。
これらの証拠物を収集すれば、離婚の手続きを有利に進められます。
なお、不倫された配偶者が、単身赴任先を往復するのにかなりの時間を要する場合は、探偵社等に調査を依頼し、調査対象者の行動を逐一、記録・報告してもらう方法も有効です。
協議
不倫の動かしがたい証拠を掴んだときに、協議離婚を進めるのも、不倫した本人を叱責するだけにとどめるのも、不倫された配偶者の自由です。
離婚をする場合は、夫婦で離婚条件を取り決め次のような方法で書面化しましょう。
- 離婚契約書(合意書):夫婦間で書類を2通作成、1通ずつそれぞれが保管する
- 離婚公正証書:公証人に文書を作成してもらう、原本は公証役場に保管される
夫婦だけで離婚契約書を作成することもできますが、相手方が書類の破棄や改ざんをしてしまうリスクがあります。
離婚契約書の作成だけでは不安な場合、離婚公正証書を作成しましょう。原本は公証役場に保管されるので破棄や改ざんを防止できます。
また、公正証書には「強制執行認諾文言」を付与できます。
公正証書を作成するときに、「離婚条件に違反したら、給与や預金を差し押さえ、強制的に金銭を回収できる」という文言を付与すれば、強制執行が可能になります。
そのため、相手方は強制執行をおそれ、誠実に離婚条件を履行するでしょう。
一方、婚姻を継続するときは、「不倫誓約書」を作成します。
こちらの書面には不倫を書面で謝罪させる他、
- 不倫相手との関係を解消する
- 今後の夫婦関係の継続を誓う
- 記載した内容に違反した場合は慰謝料を支払う
等の内容を明記します。
もちろん、不倫誓約書も公正証書で作成が可能です。
慰謝料請求
不倫した配偶者や不倫相手に対しては、慰謝料請求が可能です。
ただし、慰謝料はいくらでも請求できるわけではなく、離婚する場合は100万円〜300万円、婚姻関係を継続する場合は数十万円〜100万円が目安となります。
不倫した配偶者や不倫相手と慰謝料の話し合いがこじれたときは、次のような方法で慰謝料を請求できます。
- 不倫した配偶者に請求する場合:家庭裁判所で離婚調停→裁判離婚、慰謝料のみの場合は慰謝料請求調停・審判
- 不倫相手に請求する場合:慰謝料の金額が140万円以下のときは簡易裁判所、140万円を超えるときは地方裁判所に訴訟提起
離婚するかの判断
離婚を決めた場合は、協議離婚→調停離婚→裁判離婚、という手順で進めることができます。
一方、夫婦関係を修復したい場合や、離婚をした方がよいか判断に悩むときは、家庭裁判所に「夫婦関係調整調停(円満)」の申立てを行えます。
本調停は、夫婦関係修復の話し合いの他、離婚した方がよいかどうか迷っている状態でも利用可能です。
調停手続では、調停委員が夫婦双方の意見をヒアリングしたのち、どのように努力すれば関係改善ができるかを助言し、関係修復の可能性等について話し合っていきます。
弁護士への相談
不倫を確信したものの今後どうすればよいか悩むときは、まず弁護士に相談しましょう。
弁護士は相談者から状況を聴き、ケースに応じた対応策や離婚手続きの方法等をわかりやすく助言します。
弁護士を代理人にすれば、相手との離婚交渉も任せられます。夫婦が対面して話し合う必要もないので、交渉のときに口論やトラブルになるおそれもなく安心です。
まとめ
今回は多くの民事事件に携わってきた専門弁護士が、単身赴任中の配偶者が不倫をしていた場合の対応方法等について詳しく解説しました。
不倫された方は、離婚を進めるべきか、それとも婚姻を継続すべきか、慎重に判断しつつ最善と思える方法を選びましょう。
単身赴任中に配偶者の不倫がわかったら、まずは弁護士と相談し、今後の対応の仕方を話し合ってみましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。