別居中に不貞行為をされたら?慰謝料の交渉を有利に進める方法

2025年12月17日

別居中に不貞行為をされたら?慰謝料の交渉を有利に進める方法

別居中に配偶者が不貞行為に及んだ場合、その行動は慰謝料請求にどのような影響を与えるのでしょうか。

この問題は、法的な判断基準が単純ではないため、多くの方が「どうすれば良いのか分からない」と悩みを抱えています。別居中の不貞行為における慰謝料請求の可否は、主に「婚姻関係が破綻していたか」という点に左右されます。

この記事では、別居中の不貞行為が法的にどのように評価されるのか、慰謝料請求が認められるケースとそうでないケースの判断の分かれ目を詳しく解説します。

また、慰謝料の交渉を有利に進めるための具体的な方法、例えば、有効な証拠の集め方や慰謝料の相場の把握、そして冷静な請求手順についてもご紹介します。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
宅地建物取引士

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目次

別居中の不貞行為(不倫)で慰謝料は請求できる?判断の分かれ目

配偶者との別居中に、相手が他の異性と関係を持った場合、「不貞行為」として慰謝料を請求できるのかどうかは、多くの人にとって非常に大きな関心事ではないでしょうか。しかし、別居中という状況における不貞行為は、その後の慰謝料請求や親権の判断に複雑な影響を及ぼします。

慰謝料請求が認められるかどうかの最も重要な判断基準は「婚姻関係が既に破綻していたかどうか」です。この「婚姻関係の破綻」という概念は、別居中の不貞行為を法的に評価する上で中心的な役割を果たします。つまり、単に別居しているという事実だけでなく、その別居がどのような状況で行われ、夫婦関係が実質的にどのような状態であったかが厳しく問われることになります。

このセクションでは、まず不貞行為が法的にどのように定義されるのか、そして「婚姻関係の破綻」が具体的にどのような状況を指すのかについて詳しく解説していきます。これらの法的定義や判断基準を理解することが、ご自身の状況を正確に把握し、その後の交渉を有利に進めるための第一歩となるでしょう。

不貞行為が認められる法的な定義

法的な文脈における「不貞行為」とは、単に配偶者以外の異性と仲良くすることや、食事に行くことだけを指すわけではありません。不貞行為は原則として「配偶者以外の者と自由な意思に基づいて肉体関係(性交渉)を持つこと」と解釈されています。

不貞行為の定義は統一されておらず、肉体関係に限定しないという考え方もありますが、キスやデート、頻繁なメールのやり取りといった行為だけでは、慰謝料請求の対象となる「不貞行為」とは評価されないのが一般的です。しかし、これらの行動が繰り返され、肉体関係を強く推認させるような状況証拠として提示された場合は、その限りではありません。慰謝料請求を検討する際には、この「肉体関係」の有無が極めて重要なポイントとなります。この点を正確に理解し、ご自身のケースに当てはめて考えることが、次のステップに進む上で不可欠です。

慰謝料請求の鍵は「婚姻関係が破綻しているか」

不貞行為による慰謝料請求は、民法上の不法行為に基づくものであり、その法的根拠は「平穏な婚姻共同生活を送る権利」が侵害されたことに対する精神的苦痛の賠償にあります。つまり、法律は夫婦が共同生活を営み、互いに貞操義務を守りながら平穏に暮らす権利を保護しているのです。

しかし、不貞行為が行われた時点で、既に夫婦間の婚姻関係が実質的に破綻していたと裁判所に判断された場合、守られるべき「平穏な婚姻共同生活」はもはや存在しないとみなされます。この状況では、不貞行為によって侵害された権利がない、あるいは極めて小さいと評価されるため、原則として慰謝料請求は認められないことになります。これは、不貞行為自体は事実であったとしても、既に夫婦としての実態が失われていたのであれば、その行為が新たな精神的苦痛を生じさせたとは言えないという考え方に基づいています。

裁判所が「婚姻関係の破綻」を判断する際には、別居の期間やその経緯、夫婦間の経済的な交流や精神的な交流の有無、同居を再開する意思の有無、さらには離婚に関する話し合いの進捗状況など、さまざまな客観的な事情を総合的に考慮します。単に別居しているという事実だけでなく、夫婦関係が修復不可能な状態に陥っていたかどうかが厳しく見極められるため、この概念を理解することが、慰謝料請求の成否を分ける極めて重要な要素となります。

【ケース別】別居中の不貞行為で慰謝料請求が認められるか

別居中の配偶者の不貞行為に対して慰謝料を請求できるかどうかは、個々の状況によって判断が大きく分かれます。ここでは、慰謝料請求が認められやすいケースと、逆に認められにくい、あるいは否定されるケースを具体的な状況ごとに詳しく解説します。ご自身の状況と照らし合わせながら、どのように法的判断が下されるのかを理解する一助としてください。

慰謝料請求が認められやすいケース

以下の状況では、裁判所は「不貞行為の時点ではまだ婚姻関係は破綻していなかった」と判断する可能性が高く、慰謝料請求が認められやすい傾向にあります。これは、別居中であっても、夫婦としての実態や関係修復の可能性が残っていると評価されるためです。

1 別居期間が短い

婚姻期間にもよりますが、別居期間が数週間から数ヶ月程度と比較的短い場合、婚姻関係はまだ完全に破綻しているとはみなされにくく平穏な婚姻共同生活はまだ存在していたと評価される可能性が高いです。

2 関係修復のための冷却期間としての別居

夫婦喧嘩が原因でお互い冷静になるために一時的に実家に帰った、夫婦双方で話し合い、「関係を見直すために一時的に距離を置こう」と合意して別居を開始した場合も慰謝料請求が認められやすい典型例です。この場合、夫婦は関係修復に向けて努力する義務が互いにあると解釈されます。

もし、その関係を見直す期間中に一方の配偶者が不貞行為に及んだとすれば、それは関係修復への誠実な努力を裏切る行為であり、関係が修復可能であったはずの婚姻関係に対する侵害行為とみなされます。関係修復に向けて連絡を取り合っていた記録や、定期的に顔を合わせていた事実などがあれば、慰謝料請求はさらに有利に進むでしょう。

3 相手が一方的に家を出て別居に至った

配偶者の一方が、もう一方の明確な同意を得ずに突然家を出て別居に至った場合、残された側は「別居に同意しておらず、関係を修復したいと考えていた」と主張できる可能性が高いです。

このようなケースでは、残された配偶者の側には婚姻関係を維持しようとする意思があったと評価され、婚姻関係が破綻していたとは判断されにくい傾向があります。

家を出て行った側の配偶者がその後に不貞行為を働いたのであれば、その行為は夫婦関係を一方的に破壊しようとするものとみなされ、有責性がより高く評価されることになります。

4 別居前から不貞関係が続いていた

不貞行為が別居を開始する以前から既に始まっており、それが原因で夫婦関係が悪化し、別居に至ったというケースは、慰謝料請求がほぼ確実に認められる状況と言えます。

この場合、不貞行為は別居の原因そのものであり、婚姻共同生活を侵害した明白な行為であると判断されるためです。

別居前から不貞関係があったことを証明する証拠、例えば日付が分かるメッセージのやり取りやホテルの利用履歴などがあれば、慰謝料請求の交渉や裁判を極めて有利に進めることができます。時系列を明確にすることが非常に重要です。

慰謝料請求が認められにくい・否定されるケース

一方で、以下の状況では、裁判所は「不貞行為の時点ですでに婚姻関係は破綻していた」と判断する可能性が高く、慰謝料請求が認められないか、大幅に減額されることが多いです。これは、既に夫婦としての実態が失われていたと評価されるためです。

1 長期間別居している

別居期間が長期にわたる場合、夫婦としての実態が失われていると判断され、婚姻関係が破綻していると推認される傾向にあります。

長期間にわたり生活の本拠が別々で、夫婦としての交流がほとんどない状態では、もはや法的に保護すべき「平穏な婚姻共同生活」が存在しないと考えられるためです。

明確に何年以上という法律上の規定はありませんが、離婚原因である「婚姻を継続し難い重大な事由」の判断要素として重視される3年から5年程度の別居期間があれば、破綻が認められる可能性が高いです。裁判例では1年や1年3月程度の別居期間では破綻を認めなかった事例がある一方で、2年程度の別居期間で破綻を認めた事例もあります。

2 離婚前提の別居で、離婚協議や調停を進めている

夫婦双方が離婚に合意した上で別居を開始し、実際に弁護士を介した離婚協議や家庭裁判所での離婚調停が進められている状況では、客観的に見て婚姻関係を継続する意思がないことが明らかです。

この段階に至っている夫婦の関係は、もはや修復不可能であり、法的には「婚姻関係が破綻している」と判断されます。裁判例においては、客観的事実として、特に離婚届の作成や離婚調停の申立てが重視されている傾向にあります。

慰謝料請求を有利に進める3つの交渉術

別居中の不貞行為という複雑な問題に直面した際、慰謝料請求を有利に進めるためには、単に権利があるというだけでなく、戦略的なアプローチが不可欠です。感情的になりがちな状況だからこそ、冷静に、かつ計画的に進めることが、ご自身の尊厳を守り、最善の解決へと繋がります。

このセクションでは、交渉を有利に進めるための重要な柱として、大きく分けて3つのポイントをご紹介します。それぞれを詳しく解説していきますので、ご自身の状況に当てはめて具体的な行動計画を立てる際にお役立てください。

交渉術1:不貞行為の証拠を確実に押さえる

不貞行為の慰謝料請求において、最も重要かつ交渉の成否を分けるのが「証拠の有無」です。請求する側には、配偶者が不貞行為、つまり肉体関係を持ったという事実を法的に証明する責任(立証責任)があります。

もし客観的な証拠がなければ、相手が事実を否定した瞬間に、あなたの主張は行き詰まってしまいます。交渉の場で相手に支払いを促すためにも、そしてもし裁判になったとしても、あなたの主張を裏付ける有力な証拠を確保することが何よりも先決です。次の項目では、具体的にどのような証拠が有効で、どのように収集すればよいのかを詳しく見ていきましょう。

別居中でも集められる有効な証拠とは?

別居中であっても、不貞行為の証拠を収集することは可能です。特に有効とされる証拠には、以下のようなものがあります。

例えば、ラブホテルや不貞相手の自宅に配偶者と相手が二人で出入りし、長時間滞在している状況を捉えた写真や動画は、肉体関係の存在を強く推認させる直接的な証拠となります。また、ホテルなどの利用履歴が分かるクレジットカードの明細や、配偶者と不貞相手の間で肉体関係を認めるような内容のメール、LINEのやり取り、あるいは肉体関係があったことを認める音声データなども有力な証拠となります。ただし、別居中にこれらの証拠を収集するのは容易ではありません。

ご自身での収集が難しい場合や、より強力な証拠を求める場合は、探偵事務所に依頼して作成してもらう調査報告書が非常に有効です。探偵による報告書は、専門的な手法で合法的に収集された客観的な証拠として、裁判でも高く評価される傾向にあります。

証拠収集における注意点とNG行動

証拠を集めることは重要ですが、その過程で法に触れる行為や不適切な行動に及ばないよう、十分な注意が必要です。例えば、配偶者のスマートフォンに無断でスパイアプリを仕込む行為や、不貞相手の自宅に不法に侵入する行為は、プライバシー侵害や住居侵入罪といった犯罪に該当し、逆にあなたが訴えられるリスクを負うことになります。

また、暴力や脅迫によって自白を強要することも、違法行為であり、精神的な苦痛を与えたとして損害賠償を請求される可能性があります。

これらのように違法な方法で収集された証拠は、たとえ事実を裏付けるものであったとしても、裁判では証拠として認められない可能性が高いです。証拠収集に不安がある場合や、安全かつ合法的に進めたい場合は、必ず弁護士や合法的な調査を行う探偵事務所に相談し、適切なアドバイスを受けるようにしてください。

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交渉術2:慰謝料の相場を把握し、妥当な金額を請求する

不貞行為の慰謝料を請求する際、感情的に法外な金額を要求することは、得策ではありません。あまりに高額な請求は、相手を頑なにさせ、交渉の決裂を招くだけでなく、もし裁判に発展した場合にも、あなたの主張の正当性が疑われかねないためです。

不貞行為の慰謝料には、過去の多くの裁判例から形成された「相場」というものが存在します。まずはこの相場を理解した上で、ご自身の個別の事情を考慮し、現実的で妥当な金額を設定することが、円滑な交渉を進める上で非常に重要です。相場から大きく外れる金額を主張すると、解決が長引く原因にもなりかねません。次の項目では、離婚の有無に応じた慰謝料の相場と、金額が変動する要因について詳しく解説していきます。

離婚する場合の慰謝料相場

不貞行為が原因で夫婦関係が完全に破綻し、離婚に至る場合の慰謝料相場は、一般的に「150万円から200万円程度」が一つの目安とされています。離婚に至るケースでは、単に精神的な苦痛だけでなく、婚姻関係そのものが破壊されたことによる精神的損害が補償の対象となります。

これは、夫婦としての共同生活が失われることによる生活の変化や、将来設計への影響なども含めて評価されるため、離婚しないケースと比較して慰謝料額が高額になる傾向にあります。

離婚しない場合の慰謝料相場

不貞行為があったものの、最終的に離婚はせずに夫婦関係を継続する場合の慰謝料相場は、一般的に「100万円程度」が目安とされています。このケースでは、不貞行為によって夫婦間の信頼関係は損なわれたものの、婚姻関係が完全に破綻するまでには至らなかったと評価されます。

したがって、離婚に至る場合と比較すると、慰謝料額は低くなる傾向にあります。ただし、不貞行為の悪質性や精神的苦痛の度合いによっては、この相場を超える金額が認められることもあります。

慰謝料が増額・減額される要因

慰謝料の最終的な金額は、上記の相場を基準としつつも、個別の事情によって増額されたり、減額されたりすることがあります。

増額される要因としては、夫婦の婚姻期間が長い場合、不貞行為の期間が非常に長かったり、回数が多かったりする場合、不貞行為の当事者間で妊娠、中絶に至った場合が挙げられます。また、不貞行為をした側の態度が悪質で反省が見られない場合や、夫婦間に未成年の子どもがいる状況での不貞行為、そして請求者が不貞行為によりうつ病になるなど、非常に大きな精神的苦痛を被った場合なども増額の対象となります。

一方で、慰謝料が減額される要因としては、不貞行為が一度きりの出来事であった場合や、不貞行為をした側が真摯に謝罪し反省の態度を示している場合が考えられます。さらに、不貞行為が発覚する以前から夫婦関係がすでに悪化しており、破綻には至っていないものの、婚姻関係が形骸化していたと判断される場合も、減額の対象となることがあります。

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交渉術3:段階を踏んだ冷静な請求手順

別居中の不貞行為を巡る慰謝料請求は、感情的な対立が生じやすいデリケートな問題です。しかし、感情的に相手を問い詰めたり、突然裁判を起こしたりするような行動は、問題をさらに複雑にし、解決を遠ざけてしまう可能性があります。大切なのは、冷静かつ段階的に請求を進めることです。

まずは書面(内容証明郵便など)での請求により交渉から始め、それでも解決に至らない場合は、最終的に法的手続き(調停・訴訟)へと移行するというステップを踏むのが一般的です。この手順を踏むことで、本気度を相手に伝えつつ、相手にも冷静に対応する機会を与えることができ、結果として早期かつ円滑な解決につながる可能性が高まります。次の項目では、具体的な請求手順について解説します。

内容証明郵便で請求する

交渉を始めるにあたって、内容証明郵便を利用して慰謝料請求を行うのが有効な手段です。内容証明郵便自体に法的な強制力はありませんが、「いつ、誰が、どのような内容の文書を、誰に送ったか」という事実を郵便局が公的に証明してくれます。

これにより、相手方に心理的なプレッシャーを与え、交渉のテーブルに着かせる効果が期待できます。また、内容証明郵便を送ることで、慰謝料請求権の消滅時効の進行を一時的に止める(催告)効果もありますので、時効が迫っている場合にも有効な手段となります。

離婚調停や裁判で請求する

内容証明郵便を送っても相手が応じない、あるいは交渉が決裂してしまった場合、最終的な解決手段として法的手続きがあります。

もし配偶者との離婚を考えており、その中で慰謝料も請求したい場合は、家庭裁判所に「離婚調停」を申し立てることができます。調停は、調停委員という第三者を交え、話し合いによる解決を目指す手続きです。

一方、不倫相手に対して慰謝料請求をしたい場合や、調停でも合意に至らなかった場合は、「訴訟」を提起することになります。

訴訟では、提出された証拠に基づいて裁判官が判断を下し、判決というかたちで結論が出されます。どちらの手続きも専門的な知識が必要となるため、弁護士に相談し、適切なアドバイスを受けることをおすすめします。

よくある質問(FAQ)

別居中の不貞行為に関して、特に多くの人が疑問に感じる点に焦点を当てて、簡潔に回答をまとめました。ご自身の状況と照らし合わせながら、解決への糸口を見つける一助としていただければ幸いです。

Q:別居期間が何年だと「婚姻関係の破綻」とみなされますか?

「婚姻関係の破綻」とみなされる別居期間について、法律で明確に「何年」と定められているわけではありません。しかし、離婚原因である「婚姻を継続し難い重大な事由」の判断要素として重視される3年から5年程度の別居期間があれば、破綻が認められる可能性が高いです。ただし、期間だけで婚姻関係の破綻が判断されるわけではありません。別居の理由、夫婦間の交流の有無、生活費の分担状況、復縁の可能性など、具体的な事情が総合的に考慮されます。たとえば、短い期間の別居であっても、夫婦関係が完全に断絶し、修復の見込みが全くないと判断されれば、婚姻関係が破綻しているとみなされるケースもあります。逆に、長期間の別居であっても、夫婦間に一定の交流があり、関係修復の努力が続けられていた場合は、破綻が認められないこともあります。

裁判例では1年や1年3月程度の別居期間では破綻を認めなかった事例がある一方で、2年程度の別居期間で破綻を認めた事例もあります。

Q:不倫相手にも慰謝料を請求できますか?

はい、不倫相手にも慰謝料を請求できます。不貞行為は、配偶者と不倫相手が共同で行った「共同不法行為」とみなされるため、両者に対して慰謝料を請求する権利があります。

ただし、不倫相手に慰謝料請求が認められるためには、いくつかの条件があります。最も重要なのは、不倫相手が「配偶者が既婚者であることを知っていた、または注意すれば知り得た状況だった」ことです。もし不倫相手が、あなたの配偶者が独身であると信じていたのであれば、慰謝料請求は認められない可能性があります。

また、不倫の慰謝料は連帯債務なので、配偶者と不倫相手の両方から二重に慰謝料を受け取ることはできません。慰謝料として認められた合計額の範囲内で、どちらか一方、あるいは両方に請求することになります。

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Q:慰謝料を請求された側はどう対応すればよいですか?

もし慰謝料を請求された場合、まず最も重要なのは「請求を無視しないこと」です。無視を続けると、相手が訴訟などの法的手続きに移行する可能性が高まり、さらに不利な状況に陥ることがあります。

具体的な対応としては、まず以下の点を冷静に確認することが大切です。

  1. 請求内容(不貞行為の事実)は本当に正しいのか
  2. 請求されている金額は過去の事例や相場からかけ離れていないか
  3. 不貞行為の時点ですでに婚姻関係が破綻していなかったか(そう主張できる余地はないか)

これらの確認は、今後の交渉や法的手続きにおいて非常に重要です。安易に相手の主張を認めて合意するのではなく、必ず弁護士に相談し、ご自身の状況に合わせた適切な対応策を協議することをおすすめします。弁護士は法的な観点から冷静な判断を助け、あなたの権利を守るためのサポートをしてくれます。

まとめ:別居中の不貞問題は一人で悩まず専門家へ相談を

別居中の配偶者の不貞行為は、慰謝料請求を複雑にしますが、冷静に対処すれば適切な解決策を見出すことが可能です。

慰謝料請求の可否は、不貞行為の時点で「婚姻関係が破綻していたか」が重要な鍵となります。また、交渉を有利に進めるためには、肉体関係を証明できる客観的な「証拠」を確実に収集し、過去の事例に基づいた「相場」を把握した上で、段階を踏んだ「戦略的な手順」で交渉を進めることが不可欠です。

これらの問題は、法的な判断が専門的であり、感情的な対立も避けられないため、一人で抱え込まずに弁護士などの専門家に早期に相談することが、最善の解決への近道となります。信頼できる専門家のサポートを得て、ご自身と子どもにとってより良い未来を築いていきましょう。

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