暴行罪で示談しないとどうなる?初犯なら前科はつかない?示談が成立しない場合の対処法を解説
2026年02月05日

「被害者が感情的で、示談に応じてもらえない」
「示談金を提示されたが、金額が高くて支払えそうにない」
暴行事件に関して、このような状況で不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
示談がまとまらないと、「起訴されてしまうのではないか」「前科がついてしまうのではないか」と心配になるのも無理はありません。
結論からお伝えすると、示談が成立しない場合、起訴や前科につながる可能性は高まりますが、示談ができなかったからといって直ちに重い処分が下されるわけではありません。
実務上は、初犯で事件の内容が比較的軽い場合、示談が成立していなくても、供託や贖罪寄付などの対応を行うことで、不起訴(起訴猶予)となるケースもあります。
この記事では、暴行事件で示談ができなかった場合に想定される処分の流れと、示談以外で反省の意思を示す具体的な方法について解説します。
暴行事件で「示談しない」とどうなる?初犯の処分の考え方
暴行罪(刑法208条)の法定刑は、「2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金、もしくは拘留または科料」とされています。
では、示談をしないまま捜査が進んだ場合、実際にはどのような処分が選択されるのでしょうか。
原則として「起訴」の可能性は高くなる
検察官が起訴・不起訴を判断する際、重視される要素の一つが被害者の処罰感情と、被害がどの程度回復しているかです。
示談が成立していない場合、被害者が犯人の処罰を求めている状態と評価されやすく、その結果、起訴に傾く可能性は高くなります。
特に、暴行の内容が悪質と評価される場合や、反省の態度が十分に示されていない場合には、初犯であっても正式裁判(公判請求)となることがあります。
罰金刑であっても「前科」が残る点に注意
初犯の暴行事件で示談が成立していない場合、実務上よく見られるのが、略式起訴による罰金刑です。
罰金額の目安は、事案にもよりますが10万円〜30万円程度となるケースが多いです。
略式起訴は、公開の裁判を行わず書面審理で手続きが進むため、負担が軽いように感じられるかもしれません。しかし、罰金刑も刑事罰であり、前科として記録が残ります。
前科があることで、将来的に資格取得や海外渡航の際に影響が出る可能性がある点には注意が必要です。
初犯で「示談なし」でも不起訴となる可能性はある
示談が成立していない場合でも、次のような事情があると、不起訴(起訴猶予)となる余地はあります。
- 行為が軽微で、被害結果が小さい
- 被害者側にも一定の落ち度がある
- 本人が深く反省しており、家族と同居する等再犯防止の環境が整っている
もっとも、これらの事情は自動的に考慮されるわけではありません。
適切な資料の提出や説明を行うことが重要になります。
【ケース別】示談ができない場合の具体的な対応策
示談が成立しない理由によって、取るべき対応は異なります。
状況に応じた方法で、反省の意思と誠実な対応を示すことが重要です。
被害者が示談を拒否している場合
被害者が強い感情を抱いており、示談の話し合い自体を拒否しているケースです。
この場合、無理に連絡を取ろうとすると、かえって問題が拡大するおそれがあります。
このようなときに検討されるのが供託です。
供託とは、法務局に賠償金相当額を預け、「お金を支払う意思があること」を客観的に示す制度です。
被害者が受け取らなくても、誠意ある対応として評価され、処分判断において考慮されることがあります。
示談金が相場より高く、支払いが難しい場合
示談金として、一般的な相場を大きく超える金額を求められることもあります。
この場合、「支払えない」と一方的に拒否するのではなく、適正な金額であれば応じる意思があることを示す姿勢が重要です。
交渉の経緯を整理し、誠実に対応していたことを検察官に伝えることで、処分の軽減につながる可能性があります。
被害者と連絡が取れない場合
被害者の氏名や連絡先が分からず、示談や謝罪ができないケースもあります。
このような場合には、贖罪寄付という方法があります。
弁護士会などの公的団体へ寄付を行い、その証明書を提出することで、反省の意思を示します。
示談と同等の効果があるわけではありませんが、何も対応しないよりは前向きに評価されることが多いです。
示談以外で「反省」を示し、処分を軽くする方法
示談交渉以外の方法でも、検察官に「今回は起訴を見送ってもいいのではないか(起訴猶予)」と思わせるための材料を積み上げることが重要です。
嘆願書・上申書の提出
家族や職場の上司などに「身元引受人」になってもらい、「今後は私が責任を持って監督し、二度と事件を起こさせません」という内容の嘆願書(上申書)を作成・提出します。 検察官が起訴を迷っている場合、しっかりとした監督者がいることは大きなプラス要素になります。
謝罪文の作成(受取拒否でも意味はある)
たとえ被害者が受け取りを拒否していても、謝罪文を作成することは無駄ではありません。 「被害者に謝罪文を送ろうとしたが、叶わなかった」という事実と、その謝罪文の写しを検察官に提出することで、反省の深さをアピールできます。
刑事事件が終わっても民事上の請求が残る可能性
一点、注意しなければならないのは、「刑事事件の終わり」が「すべての終わり」ではないということです。
仮に示談なしで罰金刑(刑事処分)が決まったとしても、被害者の怒りが収まっていなければ、別途、治療費や慰謝料を請求する「民事訴訟」を起こされる可能性があります。 民事裁判になると、平日に仕事を休んで出廷したり、改めて弁護士費用がかかったりと、経済的・時間的な負担が長引くことになります。
このリスクを避けるためには、やはり初期段階で弁護士を入れ、適正な金額で「清算条項(これ以上請求しないという約束)」付きの示談を成立させることが、トータルで見れば最も負担が少ない解決策と言えます。
まとめ:示談ができなくても取れる対応はあります
暴行事件で示談が成立しない場合、状況は厳しくなることは確かですが、示談ができなかった時点で結果が決まるわけではありません。
- 供託や贖罪寄付で誠意を示す
- 反省状況や生活環境を資料として整える
- 適切な主張を検察官に伝える
こうした対応を積み重ねることで、初犯であれば不起訴や処分軽減につながる可能性は十分にあります。
対応を何もしないまま時間が経過してしまうことが、最も不利になりやすい点には注意が必要です。
示談が難航している場合は、早めに専門家へ相談し、状況に応じた対応を検討することが重要です。
よくある質問(FAQ)
Q:初犯で示談しないと、刑務所に入ることになりますか?
初犯の暴行罪であれば、いきなり刑務所(実刑)になる可能性は低いです。 暴行罪(怪我をしていない場合)で初犯であれば、示談が成立していなくても「罰金刑(10〜30万円程度)」または「執行猶予付きの判決」となるケースが一般的です。 ただし、刑務所に入らないとはいえ、「前科」はついてしまいます。
Q:示談が成立しないと、絶対に前科がつきますか?
「絶対」ではありませんが、前科がつく可能性は極めて高くなります。 被害者が許していない(示談なし)場合、検察官は原則として起訴(略式起訴を含む)する方向で考えます。略式起訴で罰金を払った場合でも、それは「前科」として記録に残ります。 前科を回避(不起訴)するためには、記事内で紹介した「供託」や「贖罪寄付」を行ったり、「弁護士による意見書」などで、検察官を説得する必要があります。
Q:相手から高額な示談金を請求されています。払えない場合はどうすれば?
無理して言い値で支払う必要はありません。 暴行罪の慰謝料・示談金の相場は10万〜30万円程度(怪我がない場合)です。相手が100万円などを請求してきている場合、支払いを拒否しても、それが原因で直ちに処分が重くなるわけではありません。 「相場の範囲内なら支払う意思がある」と伝え、弁護士を通じて適正額で交渉を続け、交渉の経過を伝えるのが正解です。
Q:示談をしないまま、後日逮捕されることはありますか?
事件の内容によっては、後日逮捕の可能性もあります。「在宅事件(家に帰されている状態)」であっても、被害者が後から被害届を出し、警察が「証拠隠滅や逃亡の恐れがある」と判断すれば、後日逮捕に切り替わるリスクはゼロではありません。 特に、被害者への接触禁止命令を破って無理やり示談を迫ったりすると、逮捕のリスクが高まりますのでご注意ください。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。










