暴行で逮捕されるまでの期間は?早期釈放のポイントと弁護士の活用法を徹底解説

最終更新日: 2025年03月13日

暴行事件で逮捕される可能性がある期間はどれくらい?早期釈放のポイントと弁護士の活用法を徹底解説

  • 暴行事件を起こしてしまった。まだ逮捕されていないが、後日逮捕される可能性はあるのだろうか?
  • 暴行罪で逮捕されるのを何とか避けたい。後日逮捕されるまでの期間はどのくらいあるのだろう?
  • 暴行罪で後日逮捕されるケースについて教えてほしい。

公共の場で肩がぶつかりカッとなって相手を殴った、電車内のトラブルで相手を蹴ったという場合、被害者が負傷しなくとも、「暴行罪」で逮捕される可能性があります。

最悪の場合は、懲役刑(拘禁刑)に処されるかもしれません。ただし、現行犯で逮捕されなかった場合は、一定期間を経過すれば「公訴時効」となります。その場合、逮捕されずに捜査が打ち切られるでしょう。

そこで今回は、数多くの刑事事件に携わってきた刑事事件の弁護士が、暴行で逮捕されるまでの期間、勾留される期間を短くするポイント等について詳しく解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • 暴行罪の公訴時効は3年で、その間は後日逮捕される可能性がある
  • 暴行事件で現行犯逮捕されなくとも、防犯カメラや被害者の証言等が決め手になり後日逮捕される可能性はある
  • 弁護士に示談交渉を依頼すれば、暴行事件を穏便に解決できる場合がある

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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暴行で逮捕されるまでの期間

暴行事件を起こした場合、現行犯逮捕であればその場ですぐに逮捕されます。

現行犯逮捕されなかった場合は、後日逮捕される可能性のある期間が気になるでしょう。

現行犯逮捕

現行犯逮捕とは、暴行事件が起きた時点や直後に暴行犯を逮捕することです。

現行犯逮捕は、警察官だけでなく暴行を受けた被害者、周囲の第三者でも可能です(私人逮捕)。私人逮捕の場合は、暴行犯の身柄を速やかに警察官へ引き渡す必要があります。

現行犯逮捕は暴行犯を間違える可能性がほとんどなく、暴行の嫌疑も明白なため、逮捕状がなくとも逮捕が可能とされています。

後日逮捕

後日逮捕(通常逮捕)とは、警察官が裁判官の発付した逮捕状を持参し、暴行犯を逮捕する方法です。

暴行を受けた被害者や目撃者の通報に基づき警察が捜査し、暴行犯の逮捕を目指します。被害者と顔見知りの犯行の場合、暴行の疑いですぐに逮捕される可能性が高いでしょう。

ただし、暴行犯を特定する有力な情報や証拠が収集できず、捜査が難航する可能性もあります。

暴行事件で後日逮捕されるまでの期間は、公訴時効の3年が目途になります。3年が経過すれば起訴できなくなるため、捜査は打ち切りとなるでしょう。

暴行の後日逮捕に必要な証拠

暴行罪で後日逮捕されるのは、被害者・目撃者の供述や防犯カメラの映像、遺留品等、様々な証言や証拠が揃った場合です。

供述や証拠が揃えば、暴行犯の特定は容易となり後日逮捕につながるでしょう。

被害者・目撃者の供述

被害者や目撃者が暴行事件を警察に通報し、供述する可能性があります。

暴行事件後、短期間で警察官に供述する場合、事件の内容を正確に覚えているケースが多いでしょう。

  • 暴行被害者:暴行を受けた経緯、犯人の特徴、暴行後どの方面に逃走したか等を供述する
  • 目撃者:暴行事件に遭遇したありのままの状況等を供述

更に被害者や目撃者の供述から暴行事件の現場がわかれば、防犯カメラ等から事件の模様や、犯人の特徴を確認できます。

自白

たとえば、捜査中、警察官が逃走した暴行犯に似た人物を発見し、事情を聴いたところ、本人が暴行を自白した場合、それが証拠になる可能性があります。

被害者や目撃者が暴行事件を警察に通報すると、警察官が暴行事件の現場付近を捜査します。

暴行犯が特徴のある髪型や服装をしていた場合、警察は対象となる人物を探しやすくなるでしょう。

本人が自白すれば警察署で取り調べを受け、暴行の動機や経緯等が事情聴取されます。

防犯カメラやスマホなどの映像

ショッピングモールや公園、駅の構内、電車内等の防犯カメラの映像、また被害者や目撃者がスマートフォンで撮影した動画も有力な証拠となります。

暴行犯が以前も同様の事件を起こしていた場合、顔や特徴からすぐに氏名・住所が判明し、逮捕状が請求されるでしょう。

初犯でも、防犯カメラの映像や現場に残された手がかりから、警察の地道な捜査で犯人逮捕につながる可能性があります。

遺留品

暴行事件の現場に残された犯人の遺留品も有力な証拠となります。

暴行犯は突発的な他人とのトラブルで激高し、冷静さを失っている可能性が高いでしょう。

相手を殴ったり逃走したりするとき、運転免許証のような本人確認書類を落としてしまう場合もあります。

暴行犯の遺留品を手がかりに、後日逮捕につながることもあるでしょう。

DNA資料

暴行事件の現場などから暴行犯のDNA等が採取され、証拠となる可能性があります。

暴行犯の血液が被害者の衣服に付着していたり、遺留品から髪の毛が見つかったりした場合、暴行犯を特定できるかもしれません。

DNA鑑定だけに頼らず、目撃証言や防犯カメラの映像の確認等、地道な捜査も並行して行われます。

乗車履歴

SuicaやPASMOのようなICカードの乗車記録も、犯人の特定につながる証拠の1つとなり得ます。

たとえば、暴行事件が駅構内や電車内で発生した場合、同日・同時刻に、駅や電車を利用していた事実がわかるでしょう。

ただし、乗車記録だけでは、暴行を疑われている者から「たまたま自分も暴行事件の現場に遭遇しただけだ」と反論される可能性があります。

捜査機関は、被害者・目撃者の供述、防犯カメラ・スマートフォン等の映像、遺留品などを検討して、後日逮捕につなげていくでしょう。

暴行罪による逮捕後の流れ

暴行罪で逮捕された場合、警察署で取調官の取り調べを受てから、検察官への送致や勾留手続きが進められていきます。

暴行犯が暴行を反省し、逃走や証拠隠滅のおそれがなければ、釈放され自宅に戻れる場合もあります。

送致

警察から暴行事件の被疑者として、逮捕・留置された後、48時間以内に検察官へ送致されるでしょう。

送致後は、検察官から暴行の経緯や動機等の取り調べを受けます。

被疑者が暴行事実を認めて反省し、逃亡や証拠隠滅のおそれもないと判断されれば、釈放されます。以後は、在宅事件として扱われるでしょう。

一方、検察が身柄拘束が必要と判断した場合は、24時間以内に裁判所へ「勾留」請求を行います。

勾留

裁判所が勾留請求を認めれば、引き続き留置施設で被疑者の身柄拘束が可能です。

勾留期間は原則10日で更に10日間延長できるため、被疑者は最長20日身柄を拘束される場合があります。

留置施設に勾留されている間も、被疑者は警察・検察の取り調べを受けます。

起訴・不起訴

暴行事件に関する捜査終了後、検察官は起訴するか不起訴にするかを決定します。

暴行事件の捜査の結果、次のような結果となれば不起訴処分となるでしょう。

  • 暴行にかかわっていない事実が証明された→嫌疑なし
  • 暴行事件で起訴するには、あまりにも証拠が乏しい→嫌疑不十分

また、暴行事件で起訴するに足る証言・証拠が揃っていても、被害者とすでに示談が成立した等の事情を考慮し、不起訴処分となる可能性があります(起訴猶予)。

一方、起訴(公判請求)されれば刑事裁判に移行するため、被疑者は公開裁判へ出廷しなければなりません。

刑事裁判

刑事裁判では被疑者は「被告人」と呼ばれます。被告人が被害者への暴行を認めている場合、基本的に公判期日計2回で裁判は終了します。

第1回目の公判期日の流れは次の通りです。

1.人定質問:被告人の本人確認(名前・職業・住所・本籍地)
2.検察官が起訴状を朗読
3.裁判官が被告人に黙秘権の告知
4.罪状認否:起訴状の誤りの有無を、被告人と弁護人に確認
5.冒頭陳述:検察官が、証拠で被告人の暴行罪を立証する事実について読み上げ
6.証拠調べ:供述調書や証拠物の取り調べ、情状証人への尋問の他、被告人質問
7.検察官による論告求刑と、弁護人による被告人の弁論
8.最後に被告人に意見を述べる機会が与えられ、結審
 

裁判官は、第1回目の公判期日で検察側・弁護側の主張や証拠、事実等を審理後、第2回目の公判期日で有罪か無罪かの判決を言い渡します。

判決

裁判官は、被告人が暴行に及んだ事実を証明できる証言、証拠がなければ、無罪判決を言い渡すでしょう。

被告人が有罪となり実刑判決を受けた場合は、刑を言い渡され、かつその刑が執行されます。

一方、刑の執行を猶予した方がよいと判断された場合は、「執行猶予付き判決」が言い渡されます。

なお、言い渡された判決に不服があれば、双方とも上級裁判所に対し控訴が可能です。

勾留される期間を短くするためのポイント

逮捕後、留置施設に勾留が認められると、最長20日間にわたり身柄を拘束されます。家族・友人の面会は制限されるので、心身ともに疲弊する場合もあるでしょう。

早期釈放のため弁護士に相談し、今後の対応を協議した方がよいです。

弁護士への相談

被疑者が勾留中でも、弁護士だけは自由に面会が可能です。

逮捕前または逮捕後、弁護士に私選弁護人を依頼すれば、次のような法的なアドバイスやサポートを受けられます。

  • 勾留を短縮する方法
  • 被害者との示談交渉の必要性
  • 弁護士が示談の交渉役を引き受けた場合の対応
  • 示談を成立させるメリット
  • 弁護士による適正な示談金額の算定

弁護士は捜査機関に勾留期間の短縮を要求する他、被害者との示談交渉を行い、早期釈放・早期和解を目指します。

示談交渉

勾留中、被害者との示談に成功すれば、早期釈放となる可能性もあるでしょう。

被疑者は勾留中であるため、被害者との示談交渉は弁護士に委任が可能です。弁護士と被害者は次のような示談内容を取り決めていきます。

  • 被疑者は被害者に謝罪し、二度と被害者に近づかず、いいがかりもつけない
  • 示談金の内容を調整する(示談金額、支払方法・期限等)
  • 被害者は被害届や告訴状を取り下げる
  • 被害者は嘆願書を提出し、検察官に寛大な処分を求める
  • 示談後は、お互いが今回の暴行事件を蒸し返さない

示談内容がまとまれば示談書を2通作成し、示談した当事者がそれぞれ1通ずつ大切に保管しましょう。

すでに被害者と示談が成立した事実を考慮し、検察官はこれ以上の勾留は不要(不起訴)と判断する場合があります。

暴行での逮捕を弁護士に相談するメリット

暴行罪で有罪になると、2年以下の懲役(2025年6月1日以降は拘禁刑)若しくは30万円以下の罰金、または拘留若しくは科料に処されます(刑法第208条)。

しかし、弁護士が速やかに弁護活動を開始できれば、早期の釈放や検察官の不起訴処分を得られる可能性もあるでしょう。

出典:刑法 | e-Gov法令検索

早期の身柄解放を目指せる

弁護士の迅速な弁護活動で早期釈放となる可能性があります。

暴行事件で現行犯逮捕を免れても、被害者・目撃者の証言や証拠により、数日のうちに後日逮捕されるかもしれません。

後日逮捕されても慌てないために、逮捕前に弁護士と今後の対応を相談し、私選弁護人を依頼しておきましょう。

そうすれば後日逮捕された場合でも、早い段階(逮捕後すぐの警察署での取り調べ等)で、弁護活動を展開できます。

被疑者に逃亡や証拠隠滅のおそれはないと弁護士が説明すれば、捜査機関が納得し、勾留しない決定を行う場合もあります(在宅事件)。

ただし、在宅事件になっても捜査は継続するので、捜査機関からの呼び出しには応じなければなりません。

示談の適正金額の算定

示談交渉を行う場合、弁護士が暴行事件の適正な示談金額を算定します。示談金額には、被害者への慰謝料の他に医療費等も含まれています。

暴力はあったが被害者がケガをしていない場合、約10〜20万円が示談金額の目安です。

一方、被害者がケガをしていた場合は、軽傷にとどまる限りは約10〜30万円が示談金額の目安です。被害者がケガをしている場合、被疑者が傷害罪で逮捕される可能性もあります。

捜査機関が暴行事件として扱うのは、被害者が診断書を警察に提出しておらず、傷害罪ではなく暴行罪として立件されたケースです。

暴行罪で立件されたとしても、被害者が実際に病院で治療し、医療費を支払っている場合は、その費用も示談金額に加算する必要があります。

不起訴処分を目指せる

被害者との示談に成功すれば、不起訴処分となる場合もあるでしょう。

暴行罪は非親告罪のため、示談が成立し、被害者が被害届や告訴状を取り下げても、起訴するか否かは検察官の判断次第です。

ただし、示談が成立した他、次のような事情が確認できれば、不起訴処分とする可能性が高いでしょう。

  • 被疑者が暴行を自白し、深く反省している
  • 被疑者は初犯である
  • 被疑者は捜査にも協力的だった
  • 被害者が大きなケガを負っていない

暴行による逮捕後の勾留期間を短くしたいなら春田法律事務所まで

今回は多くの刑事事件を担当してきた弁護士が、後日逮捕されるまでの期間はどれくらいか、逮捕後の勾留期間を短縮するポイント等について詳しく解説しました。

春田法律事務所は、刑事事件の示談交渉や裁判を得意とする法律事務所です。自らの起こした暴行事件をどのように解決していくか、弁護士とよく相談しましょう。

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