もう限界!嫁姑問題で離婚を考えたときの知識を弁護士が解説!手順や慰謝料について詳しく紹介
最終更新日: 2023年02月19日
- 嫁姑問題を理由に離婚はできるのか
- 嫁姑問題で離婚するための準備とは
- 離婚したら姑や夫に慰謝料は請求できるのか
夫婦仲はうまくいっていても、義両親との関係に苦慮して離婚を考える人は少なくありません。姑の言動に振り回されて、心身ともに疲弊している方もいることでしょう。
そこで今回は、男女問題や離婚問題を多く取り扱う弁護士が、嫁姑問題を理由に離婚するときの知識や手順、慰謝料や親権について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 嫁姑問題を理由にした離婚は、相手も合意すればできる。できない場合は調停・裁判へと発展する可能性もある
- 嫁姑問題を理由に離婚を考えているなら、「夫婦で話し合う」「姑と離れる方法を考える」「離婚後の生活を考える」の3つが大切
- 嫁姑問題で姑の行動が不法行為に該当する程度にひどいものである場合は、姑への慰謝料請求が認められる可能性がある
離婚を考えるほどの嫁姑問題とは?
嫁姑問題とは、その名の通り嫁と姑の間で起こるトラブルのことを言います。トラブルの例としては、以下のようなことがあります。
- 子育てや家事のことで姑から過度な口出しをされる
- 夫が妻である自分よりも姑を優先する
- 姑の介護が困難を極める
- 姑から嫌がらせ行為や暴力を受ける
姑との間で毎日のようにいざこざが起こることが原因となり、家族関係の悪化や家庭環境の崩れにつながる恐れがあります。単に嫁と姑の仲が悪いだけでなく、夫が解決に向けて行動しないというケースもあるでしょう。
夫の対応が不十分だと、姑だけでなく夫への不信感が募り、夫婦間の間柄にも亀裂が入ってしまいかねません。嫁姑問題の深刻な状況が長続きすると、婚姻関係の継続が難しくなってしまう夫婦も少なくありません。
嫁姑問題で離婚を考えたときにすべきこと
嫁姑問題を解決するのは、一筋縄ではいかないかもしれません。離婚を決意する前にしておくべきこととしては、以下の3つが考えられます。
- 夫婦で話し合う
- 姑と離れる方法を考える
- 離婚後の生活を考える
夫婦で話し合う
女性同士の感情が絡み合う嫁姑間のいざこざに、首を突っ込みたくないと考える夫もいます。しかし姑としょっちゅう顔を合わせる妻の立場からすると、姑との間のトラブルは、非常に深刻な問題になりがちです。
放置していると余計に状況が悪化してしまうこともあるでしょう。離婚すると決めたら弁護士に相談する方法がありますが、その前に夫と話し合いの機会を設けることをおすすめします。
夫に姑との間に入ってもらい、嫁として現在の不満と今後の要望を伝達してもらうことが大切です。
姑と離れる方法を考える
嫁姑問題では、毎日姑に子育てについて小言を言われたり生活を監視されたりしているために、大きな精神的ストレスを感じるというケースが往々にしてあります。離婚する前に、姑と距離を置く方法はないかを考えてみましょう。
同居しているなら別居を、近所に住まいがあるなら引越しをするといった方法です。なかには姑と離れることを嫌がる夫もいます。後述しますが、妻が嫁姑問題の解決策を提案しても夫が拒否した場合は、離婚するときの離婚事由となる可能性があるため、覚えておきましょう。
離婚後の生活を考える
離婚する前に、離婚後の経済的な問題が起こらないか冷静に検討しておくことも大切です。今年や来年だけでなく、10年後、20年後も安定した生活が送れるかを考えておくことをおすすめします。
離婚を決意するには、経済的な問題をクリアする必要があります。実家に戻れるのであれば当面、家賃はかからないかもしれません。しかし実家に住み続けるとなると、ゆくゆくは両親の介護問題や相続問題などが起こる恐れもあるでしょう。
嫁姑問題を理由に離婚できる?
姑との仲をどうしても修復できず、やがてその問題が夫婦仲にまで影響を及ぼし、離婚へと踏み切る人も少なくありません。嫁姑問題を理由に離婚は可能なのでしょうか。この項で説明していきます。
協議離婚や調停離婚の場合
離婚の手続きの中でも協議離婚や調停離婚であれば、離婚の理由は問われません。そのため、嫁姑問題が理由であっても離婚は可能です。
夫婦で話し合い二人が離婚に合意しているときには、役所に離婚届を提出し、受理されれば離婚は成立します。
離婚裁判となった場合
夫婦間で合意が得られず、協議離婚や調停離婚が成立しない場合は、裁判を起こして離婚を申し立てます。離婚裁判となった場合、離婚が成立するためには民法770条1項1〜5号に定められている「法定上の離婚原因」が必要です。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
嫁姑問題が原因であったとしても、嫁姑間の不仲だけでは法定上の離婚原因である1~4には該当しません。そのため、5の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するかどうかがポイントです。
裁判で離婚が認められるためには、夫の対応が適切であったかも重要です。嫁姑との不仲は家庭の問題であり、夫は妻と姑の間に入って仲を取り持つ責任があります。
仮に姑が妻に対してひどい嫌がらせをしている場合、夫は妻を姑から守らなければならず、それができない場合は夫の不適切な対応が原因で夫婦仲が破綻したと考えられるためです。
例を挙げると、妻が夫に相談しても嫁姑問題に対して何の解決策も講じない、あるいは母親側について妻に精神的苦痛を与えてしまったときなどのケースです。
このような夫の不適切な対応が原因で、家庭が平穏な形で継続できず修復不可能だと客観的に認められた場合は、離婚事由として認められる可能性が見込めます。
反対に、夫が姑に対して「嫁に優しく接してくれないか」と要請したり、妻に対して「母親があんな態度を取って、君には苦労をかけて申し訳ない」といった声掛けがあったりする場合は、離婚は認められにくいでしょう。
嫁姑問題での離婚!慰謝料や親権はどうなる?
離婚を決意した場合、慰謝料はもらえるのでしょうか。また、子どもがいる人は親権についての疑問も出てくるかもしれません。ここでは嫁姑問題をきっかけに離婚する場合の、慰謝料や親権について詳しく解説します。
姑への慰謝料請求はできる?
姑の行動が不法行為に該当する程度にひどいものである場合は、姑への慰謝料請求が認められる可能性があります。たとえば度を超えた嫌がらせや暴力がある、姑が率先して離婚を促すなどのケースです。
ただし裁判所に立証するためには、被害を受けた妻側が、姑からの嫌がらせや暴力の実態の証拠を裁判所に提出しなければなりません。
証拠の具体例としては、メール・LINEの記録、暴言を録音したもの、詳細を記載した日記、夫や友人と会話した姑についての悩み相談の記録などが考えられます。一つでも多くの証拠を確保していくことが大切です。
他にも、嫁姑問題が原因で精神的なストレスを感じて心療内科に通院したときなどは、病院の診断書や診断記録も証拠になることがあるでしょう。
夫への慰謝料請求はできる?
嫁姑問題が原因で離婚する場合、夫への慰謝料請求は可能ですが、夫が嫁姑問題の解決に非協力的であった場合に限られます。夫も解決に向けて努力したにもかかわらず、その甲斐なく離婚へと至った場合は、慰謝料の請求は困難だと考えておきましょう。
たとえば夫が姑と共謀して妻に精神的・心身的ストレスを与えていたなどのケースでは、慰謝料の請求が認められる可能性もあります。姑に対する慰謝料のケースと同様、嫌がらせの程度を立証するための証拠が必要です。
姑に親権を渡せと要求されたら?
夫婦の間に未成年の子どもがいる場合、親権の問題が出てきます。夫の両親と二世帯同居している場合などでは、姑から子どもの親権を夫に渡すよう言われることもあるでしょう。しかし、親権はあくまでも夫婦間の問題です。
親権が夫側と決まると、妻の立場からみれば夫ではなく姑に子どもを取られたように感じるかもしれません。また姑と不仲であることから、離婚後も子どもに会いづらくなる恐れがあります。親権は一度決めてしまうと、後から変更することが難しいものです。
離婚するときにはさまざまな不安がよぎって判断力が低下しがちですが、親権に関しては後悔のないように納得がいくまで話し合うことをおすすめします。
まとめ
今回の記事では、離婚問題に詳しい弁護士が、嫁姑問題を理由に離婚するときの知識や手順、慰謝料や親権について解説しました。
嫁姑問題は、いつの時代もトラブルになりがちな問題です。姑とどうしても馬が合わず、夫も協力してくれない場合は離婚を決意するのもやむを得ないでしょう。
スムーズに離婚を進めるためには、法律の専門家によるサポートが重要です。まずは嫁姑問題や離婚問題に詳しい弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。