大麻で逮捕されたらどうなる?初犯・前科ありの違いや刑を軽くする方法を弁護士が解説
最終更新日: 2025年07月17日
「家族が大麻で逮捕された」「自分が使用してしまい、警察の捜査が入った」——そんなとき、次に何が起こるのか、どうすれば前科や拘禁刑を避けられるのか、不安でいっぱいになるのは当然です。
早期に弁護士へ依頼し、家族の支援体制を整えることで、不起訴や執行猶予を獲得できる可能性があります。
この記事では、大麻で逮捕された場合の流れや刑の重さ、初犯と再犯での違い、逮捕後に家族ができる対応などを、弁護士の視点でわかりやすく解説します。
まずは落ち着いて、この記事を読んでください。今すぐ取るべき対応がわかります。
大麻で処罰される行為とは?使用も罪になる
現在、大麻に関しては以下のすべての行為が法律で禁止されており、それぞれに刑罰が定められています。
行為 | 処罰内容 |
使用 | 拘禁刑7年以下(営利目的:1年以上10年以下、300万円以下の罰金) |
所持 | 拘禁刑7年以下(営利目的:拘禁刑1年以上10年以下、300万円以下の罰金) |
譲渡・譲受 | 拘禁刑7年以下(営利目的:1年以上10年以下、300万円以下の罰金) |
栽培 | 拘禁刑1年以上10年以下(営利目的:1年以上、500万円以下の罰金) |
輸出入 | 拘禁刑1年以上10年以下(営利目的:1年以上、500万円以下の罰金) |
それぞれの行為の具体的な内容は以下の通りです。
使用(拘禁刑7年以下)
自分で大麻を吸ったり、リキッドを吸引したりする行為です。
たとえ所持していなくても、尿検査などで使用の痕跡が確認されれば、使用そのものが処罰対象となります。
例:知人にもらった大麻リキッドを自宅で吸引した。
所持(拘禁刑7年以下/営利目的なら10年以下)
乾燥大麻や大麻リキッド、大麻入りの製品を手元や自宅に保管していた場合などが該当します。
量の多少や目的(自分用か他人に売るためか)によって量刑が異なります。
例:封筒に入った乾燥大麻をかばんの中に入れていた。
譲渡・譲受(拘禁刑7年以下/営利目的なら10年以下)
「譲渡」は他人に大麻を渡す行為、「譲受」は他人から大麻を受け取る行為を指します。
お金のやり取りがなくても処罰され、営利目的があると量刑が重くなります。
例1:友人に少量の大麻を分けた(譲渡)。
例2:知人から大麻リキッドをもらった(譲受)。
栽培(拘禁刑10年以下/営利目的なら1年以上)
大麻草を自宅や倉庫、プランターなどで育てる行為が該当します。
芽が出ていなくても、「栽培目的の所持」として処罰対象になることがあります。
例:自宅のベランダで大麻草の種をまき、育てていた。
輸出入(拘禁刑1年以上10年以下/営利目的なら1年以上)
大麻や大麻製品を海外から持ち込んだり、海外へ持ち出したりする行為です。
密輸事件として扱われるため、非常に重い処罰が科されます。
例:海外旅行の帰りに、大麻入りグミをスーツケースに入れて持ち込んだ。
大麻で逮捕されたあとの流れ
大麻で逮捕された場合、一般的には以下の流れで手続きが進みます。
逮捕(最大72時間)
警察により身柄を拘束され、取り調べを受けます。
逮捕から48時間以内に、事件は検察に送致(=送検)されます。
送検とは?
警察が「この人に犯罪の疑いがあります」と検察に引き渡し、起訴するかどうかの判断を委ねることです。
勾留(最大20日)
検察が「捜査のため身柄を拘束する必要がある」と判断すると、裁判所に勾留を請求します。
裁判所がこれを認めれば、最初の10日間の勾留が決定されます。
さらに必要があれば、もう10日延長され、最大で20日間拘束される可能性があります。
勾留とは?
逮捕後も引き続き身柄を拘束して、取り調べや証拠収集を進めるための制度です。
起訴 or 不起訴
検察は、勾留中または満期後に起訴するかどうかを決定します。
- 起訴された場合:刑事裁判が開かれ、有罪なら刑罰が科されます。
- 不起訴となった場合:その場で釈放され、前科はつきません。
初犯か再犯かで大きく変わる刑罰
大麻事件では、前科の有無や行為の内容によって、科される刑の重さが大きく変わります。
状況 | 量刑の傾向 |
初犯・少量の所持または使用のみ | 拘禁刑1年6か月・執行猶予3年程度 |
再犯(2回目) | 実刑の可能性が高い(拘禁刑1年6か月〜2年) |
栽培・譲渡・輸出入あり | 拘禁刑2〜5年(実刑が基本) |
初犯で深く反省し、家族の監督体制が整っていると判断されれば、執行猶予が付く可能性があります。
家族ができること|弁護士依頼と身元引受がカギ
逮捕された後、家族がすぐに行動することで、今後の展開が大きく変わります。
弁護士にすぐ依頼する
- 勾留を防ぐための意見書の提出
- 不起訴に向けた検察への働きかけ
- 接見(本人との面会)による状況確認・支援
など、早期の弁護士依頼が不起訴・執行猶予を得るための重要なポイントになります。
身元引受書・反省文の提出
- 本人の反省文
- 家族の監督誓約書
- 身元引受書(家族が再犯防止に協力することを示す)
これらの書面は、検察や裁判所が「更生の見込みがある」と判断する材料になります。
よくある状況と対応例
社会人男性が大麻使用で捜査 → 家族の監督体制で不起訴に
社会人男性が知人から譲り受けた大麻を使用したことが発覚し、警察に捜査されました。
大麻の使用量がごく少量であったこと、本人の反省文や保護者の監督体制などを弁護士の意見書で示したことで、検察も更生の見込みを認め起訴猶予の不起訴処分となりました。
社会人男性が所持で逮捕 → 弁護士の弁護活動で不起訴に
20代の会社員が、乾燥大麻を同居人から譲り受けたとの嫌疑で逮捕。
弁護士がすぐに接見し、完全黙秘の対応で進め、かつ勾留についての準抗告を申し立てました。勾留延長に対する準抗告が認められ、勾留満期よりも早期に釈放、かつその後不起訴処分が確定しました。
結果として、逮捕があったにもかかわらず、不起訴となり、仕事を継続できる状況に立て直しました。
6. よくある質問(FAQ)
Q. 大麻を吸っただけでも逮捕されますか?
はい。現在は「使用」自体が違法で処罰対象となっており、たとえ所持していなくても逮捕される可能性があります。
Q. 家族は本人と面会できますか?
通常、勾留中は接見禁止がついていない限り、弁護士は面会可能ですが、家族は制限されることがあります。弁護士を通じて連絡するのが最善です。
Q. 不起訴になれば前科はつきませんか?
はい、不起訴処分であれば前科はつきません。ただし、逮捕歴(逮捕されたという記録)は残ります。
Q. 弁護士はいつ依頼するのがベスト?
警察発覚直後が最も重要なタイミングです。初動の早さが、逮捕回避、不起訴や執行猶予に直結します。
Q. 自分では弁護士を探せないのですが…
本人が勾留中でも、家族が代理で弁護士に依頼することが可能です。まずは無料相談から始めてください。
まとめ|逮捕されても諦めないで。早期対応が未来を守ります
大麻で逮捕されても、すぐに前科や実刑になるわけではありません。
初犯であれば、不起訴や執行猶予の可能性も十分あります。
そのためには、
- 弁護士への早期相談
- 家族の支援体制
- 本人の反省と治療意欲の証明
など、初動対応が極めて重要です。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。