大麻の尿検査は拒否できる?陽性なら有罪?専門弁護士が解説
最終更新日: 2024年02月13日
- 大麻の所持を疑われていて、尿の提出を求められている。
- 尿から大麻の陽性反応が出てしまった。この後、逮捕されるのか?
日本では、大麻を含め、違法薬物に対して非常に厳しい取締りを実施しています。首都圏のみならず、全国各地で大麻所持の検挙活動が行われており、警察官は、大麻所持を疑われる人に対して、尿検査の協力を進めてくることも多いです。
では、突然、警察官から尿検査を求められた場合、これを拒否することはできるのでしょうか。また、尿検査の結果、大麻の陽性反応が出てしまった場合、そのまま逮捕・起訴され、有罪判決を受けてしまうのでしょうか。
大麻取締法違反に関する尿検査とその後の捜査の流れについて、薬物に詳しい弁護士が解説していきます。
大麻の尿検査は拒否できる?
繁華街を歩いていたり、深夜に路上駐車をして車の中で待機していたりすると、不審に思った警察官がやってきて、職務質問を行い、その際に尿の任意提出を求められることがあります。このような場合、尿検査を拒否することができるのでしょうか。
職務質問による尿検査
警察官は誰に対しても、不審事由を認めたときは職務質問を行うことができます。尿の提出や検査を求められる場合、この職務質問を根拠にしています。
すぐに尿の提出を求めてくるというよりは、所持品検査から始まり、違法薬物の使用について強い疑いをもった段階で尿検査を求めてくる流れが通常でしょう。
このような職務質問による尿検査の求めは、拒否できるのでしょうか。
任意捜査か強制捜査か
警察官が行うことのできる捜査としては、任意捜査と強制捜査の二種類があります。
任意捜査は、人権侵害の危険性が認められない限り、様々な捜査を行うことができます。よく誤解されるのですが、捜査対象者の同意を得なければ任意捜査を行えないものではありません。任意捜査の限界は、捜査の必要性と人権侵害の度合いの比較によって、個別具体的な事案において判断されます。
対象者の同意があるに越したことはないものの、同意がなかったからといって、当該任意捜査が直ちに違法となるわけではありません。
他方、強制捜査は、人権侵害の度合いが強いため、法律に根拠のあるものしか行うことができません。たとえば、逮捕、捜索、差押えなど、令状をもって執行する手段が強制捜査に該当します。
尿検査を拒否するのは難しい
まず警察官が尿検査への協力を求めてくる場合、任意捜査としてなされます。よくテレビの捜査番組などで、被疑者が「任意ですか。任意なら拒否します」と言うように、協力に応じない光景を見ることがあるでしょう。
このようにして任意捜査は、一応、拒否することはできます。しかし、実際のところ、警察官は、捜査協力を拒否されたところで容易には引き下がらないでしょう。むしろ捜査協力を拒否されたことで、ますます疑いを強めますので、尿検査に応じてもらうまで、被疑者をその場に留め置いたり、警察官がどこまでも追跡してくることが通常です。
その場に留め置かれることや、追跡されること自体が違法捜査ではないかという問題もありますが、これも基本的には任意捜査の範疇として許容されます。
そして、尿検査に応じない場合、警察は、強制採尿という奥の手を用意しています。判例では、強制採尿を捜索差押許可状(いわゆる強制採尿令状)によって執行することを認めています。警察官は、最終的には強制採尿令状を求めることができますので、任意の段階でも尿検査を拒否することは事実上困難です。
大麻事件は尿検査で陽性なら有罪?
2024年に施行予定の改正法によって、大麻の使用も犯罪として処罰されることになりました。そのため、今後は尿検査で大麻の陽性反応が出れば使用罪として逮捕、起訴されることになります。
法改正以前は大麻の所持は犯罪でしたが、使用を処罰する法律がありませんでした。使用罪が無い時代にも大麻を所持していた被疑者に対して尿検査を警察官は求めていました。それは、大麻を使用している被疑者が覚せい剤やコカインなどの麻薬も使用しているかもしれない疑いがあるからです。つまり、大麻使用の証拠を得るためではなくその他の違法薬物使用の証拠を得るために尿検査が実施されていました。
大麻の使用罪がなかった時代には、大麻所持で捕まった場合、尿検査を拒否しても強制採尿までは実施されないケースもありました。しかし、大麻使用罪ができた今後は、その証拠を得るために尿検査を拒否すれば強制採尿がなされる可能性は高くなるでしょう。
大麻で尿検査をされたら弁護士に相談
職務質問を受けたところ、尿を取られた場合、今後の対応次第で、逮捕、起訴されることもあれば、在宅捜査のまま不起訴処分となるということもあり、結論は大きく分かれてきます。
事案によって、状況は様々であり、供述すべき内容も事案により変わってきます。しかし、尿を取られたことで諦める必要はなく、ベストな手段は必ず存在します。そして、そのような助言を行うことができるのは、薬物事件に詳しい弁護士です。
薬物事件に詳しい弁護士かどうかを判断するには、薬物事件の経験値で決めるのが、最も確実といえます。そして、薬物事件の経験値を計る指標となるのが、薬物事件について無罪判決を獲得した経歴があるかどうか、薬物事件について多数の不起訴を獲得しているかどうか、元検察官が所属しているかどうかなどが考えられます。
気になった法律事務所のホームページなどに該当する記載があるのかどうかを確認してみましょう。
また、ホームページの記載だけでは不安という方は、一度、法律相談を申し込み、担当弁護士と話をすることも非常に有効です。弁護を依頼する際、実際に実働するのは担当弁護士なので、話をした結果、安心して任せることができると判断できるのであれば、それがベストであるといえます。
尿検査により陽性反応が出た場合、一度、薬物事件に詳しい弁護士に対応を相談するのがよいでしょう。
まとめ
いかがでしたか。今回は、尿検査の法律上の根拠や、尿検査の結果、大麻の陽性反応が出てしまった場合について、詳しく解説しました。
大麻の陽性反応が出た場合も、その後の対応次第では逮捕、起訴を回避できる可能性はあります。
職務質問を受けてしまい、大麻で捜査されるのではないかと不安な方は、是非一度、弁護士にご相談ください。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。