痴漢で被害届が出たら?示談金の相場は?専門弁護士が解説

最終更新日: 2023年12月20日

痴漢で被害届が出たら?示談金の相場は?専門弁護士が解説

痴漢をして被害届が出た場合、警察に捜査され、その後起訴されます。ケースによっては逮捕、勾留という身柄拘束をされる可能性もあります。そのような逮捕や起訴をさけるには被害者との示談が必要となりますが示談金の相場も気になるところでしょう。

今回は痴漢事件で被害届が出たときの被害者側の対応や示談金相場について専門弁護士が解説します。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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痴漢事件で被害届はどのように出されるのか

痴漢事件の加害者を検挙してもらい、処罰を受けさせるにはまず、痴漢被害にあったことを捜査機関に申告するために被害届を出す必要があります。

電車内の痴漢行為であれば、加害者を現行犯逮捕して、駅員を呼び、警察への通報をお願いします。路上での痴漢の場合は、直ぐに110番通報をすることになります。

そして、警察官が現場に到着した後は、警察官と一緒に最寄りの警察署又は交番で事情聴取を受け、警察官の指示に従って「被害届」に必要事項を記入します。

なお、被害届と似て非なるものに「告訴」があります。被害届は犯罪事実の申告ですが、告訴は犯罪事実の申告に加えて、加害者の処罰を求める意思も含まれます。通常は被害届を出すことで足りますが、警察が被害届を受け付けてくれないようなケースでは、弁護士に依頼をして告訴状を警察へ提出することを検討します。

痴漢事件で被害届を出すデメリット

被害届を出すには、被害者も警察署へ同行を求められ、数時間の事情聴取を受けることになります。また、後日、被害の再現や現場検証への立会いといった捜査協力を求められますので、更に時間的拘束を受けます。

このように被害届を出すと、捜査のために必要やむを得ないとはいえ、捜査協力のための時間と労力がかかるデメリットがあります。

また、被疑者が起訴処分を受けると起訴状には被害者の氏名が記載されますので、被害者の氏名を加害者に知られてしまいます。するとSNSで被害者の氏名を検索するなどして被害者の個人情報を加害者に知られてしまう可能性があります。

このように被害者のプライバシーの観点からも懸念される点があります。

とはいえ、被害届を出さなければ、加害者に処罰を受けさせることもできませんので、これらのデメリットは甘受せざるを得ないのが実情です。

痴漢で被害届が出たときの示談金相場

次に加害者から被害者へ示談金を支払う方法や示談金の相場について説明します。

慰謝料を支払う方法

痴漢行為の被害者側は、痴漢行為自体による精神的苦痛はもちろん、前記のとおり、本来不要な時間、労力をかけることになりますので、加害者側に対して賠償を求めたいと考えるのが自然でしょう。

警察は被害者の氏名や連絡先を加害者本人には教えてくれませんので弁護士に依頼をして弁護士を通じて被害者に連絡をとります。そして、被害者に示談の申し入れをして、示談金として慰謝料や迷惑料を支払うことになります。

一方、そのような示談交渉をせずに刑事事件が終結した場合、被害者は民事で慰謝料などの損害賠償請求をしてくる可能性があります。ただ、この場合、弁護士費用が損害賠償金よりも高くなる可能性がありますので被害者としては示談交渉の中で慰謝料の支払いを受けることが望ましいといえます。

示談金の相場

痴漢行為は性犯罪ですが、その態様によって都道府県の迷惑防止条例違反となるケースと、より悪質な刑法の強制わいせつ罪(改正後は不同意わいせつ罪)になるケースがあります。

迷惑防止条例違反の場合には示談金(慰謝料)の相場は概ね10万円から30万円です。他方、刑法の強制わいせつ罪(改正後は不同意わいせつ罪)の場合の示談金(慰謝料)は概ね50万円から100万円です。

被害者が未成年者の場合には、示談交渉の窓口は保護者の方となり、保護者の方の怒りは強いことが多いこともあり、上記の相場よりも若干、示談金(慰謝料)は高くなる可能性があります。

まとめ

以上、痴漢事件の被害届と示談金についてご説明しました。

痴漢事件の加害者となり被害者との示談交渉を考えている場合は専門弁護士にご相談ください。

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