痴漢事件の被害届と慰謝料請求について

痴漢事件の被害届と慰謝料請求について

2020年03月07日

1 はじめに

痴漢行為の被害者となった場合、被害届を出して加害者の逮捕、処罰を求めることになります。また、加害者に対して慰謝料請求をしたいと考える被害者の方も多いでしょう。

そこで、今回は痴漢事件の被害届と慰謝料請求についてご説明します。

2 痴漢事件の被害届の出し方

痴漢事件の加害者を検挙してもらい、処罰を受けさせるにはまず、痴漢被害にあったことを捜査機関に申告するために被害届を出す必要があります。

電車内の痴漢行為であれば、加害者を現行犯逮捕して、駅員さんを呼び、警察への通報をお願いします。路上での痴漢の場合は、直ぐに110番通報をすることになります。

そして、警察官が現場に到着した後は、警察官と一緒に最寄りの警察署又は交番で事情聴取を受け、警察官の指示に従って「被害届」に必要事項を記入します。

なお、被害届と似て非なるものに「告訴」があります。被害届は犯罪事実の申告ですが、告訴は犯罪事実の申告に加えて、加害者の処罰を求める意思も含まれます。通常は被害届を出すことで足りますが、警察が被害届を受け付けてくれないようなケースでは、弁護士に依頼をして告訴状を警察へ提出することを検討します。

3 痴漢事件で被害届を出すデメリットは

被害届を出すには、被害者も警察署へ同行を求められ、数時間の事情聴取を受けることになります。また、後日、被害の再現や現場検証への立会いといった捜査協力を求められますので、更に時間的拘束を受けます。

このように被害届を出すと、捜査のために必要やむを得ないとはいえ、何の落ち度もない被害者が痴漢行為の被害に加えて、時間的なコストも払うことになるデメリットがあります。

また、被疑者が起訴処分を受けると起訴状には被害者の氏名が記載されますので、被害者の氏名を加害者に知られてしまいます。するとSNSで被害者の氏名を検索するなどして被害者の個人情報を加害者に知られてしまう可能性があります。

このように被害者のプライバシーの観点からも懸念される点があります。

とはいえ、被害届を出さなければ、加害者に処罰を受けさせることもできませんので、これらのデメリットは甘受せざるを得ないのが実情です。

4 痴漢事件の被害者が慰謝料請求する方法

痴漢行為の被害者側は、痴漢行為自体による精神的苦痛はもちろん、前記のとおり、本来不要な時間的拘束を受けることになりますので、加害者側に対して賠償を求めたいと考えるのが自然でしょう。

被疑者に弁護士(弁護人)がついている場合は、通常、捜査機関を通じて、被害者側の連絡先をその弁護士に伝えることで、加害者側から示談交渉の連絡が来ますので、示談交渉の中で示談金として慰謝料の支払いを受けることになります。

一方、加害者側からそのような示談交渉の連絡がないときは、民事手続によって損害賠償請求をしていくことになります。その場合、被害者側は弁護士に依頼をして、捜査機関から加害者の氏名・住所の開示を受けます。

後者の方法による場合、弁護士費用などのコストがかかり、示談金(慰謝料)の金額によっては、費用倒れになりますので、被害者側としては示談交渉の中で慰謝料の支払いを受けることが望ましいといえます。

5 痴漢事件の示談金(慰謝料)の相場

痴漢行為は性犯罪ですが、その態様によって都道府県の迷惑防止条例違反となるケースと、より悪質な刑法の強制わいせつ罪になるケースがあります。

迷惑防止条例違反の場合には示談金(慰謝料)の相場は概ね10万円から30万円です。他方、刑法の強制わいせつ罪の場合の示談金(慰謝料)は概ね50万円から100万円です。

被害者が未成年者の場合には、示談交渉の窓口は保護者の方となり、保護者の方の怒りは強いことが多いこともあり、上記の相場よりも若干、示談金(慰謝料)は高くなる可能性があります。

6 最後に

以上、痴漢事件の被害届と慰謝料請求についてご説明しました。
痴漢事件の被疑者となり、逮捕された方、被害者との示談交渉を考えている方は、刑事事件の経験豊富な弁護士にご相談ください。

この記事を書いたのは

代表弁護士春田 藤麿
愛知県弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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