コカイン使用の罰則とは?逮捕後の初動対応と弁護士に相談すべき理由

最終更新日: 2025年11月22日

コカインの所持や使用で逮捕されるのか?もし逮捕されたらいつ釈放されるのか、薬物犯罪に強い弁護士が徹底解説します!

コカインの使用や所持が発覚した場合、非常に厳しい罰則が科される可能性があります。一度逮捕されてしまうと、その後の人生を大きく左右する事態に発展することも少なくありません。特に逮捕直後の行動は極めて重要であり、初動対応を誤ると、長期にわたる身柄拘束や重い刑事罰に繋がりかねません。

コカイン事件における具体的な罰則の内容、逮捕された後の刑事手続きの流れ、そしてなぜ逮捕直後から迅速に弁護士に相談することが不可欠なのかを、実用的な情報と解決策を交えて詳しく解説します。もし今、あなた自身やあなたの大切な人がコカイン事件に巻き込まれ、不安を抱えているのであれば、この情報が具体的な一歩を踏み出す助けとなるでしょう。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
宅地建物取引士

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目次

コカインの使用・所持で逮捕されたら?罰則と知っておくべきこと

コカインは、「麻薬及び向精神薬取締法」によって厳しく規制されている非常に危険な薬物です。この法律は、コカインが乱用されることによって生じる個人の健康被害や社会への悪影響を防ぐことを目的としており、その規制は非常に厳格に運用されています。

もしコカインの単純な使用や所持であっても、逮捕・勾留の対象となり、最終的には重い刑事罰が科される現実があります。逮捕後は、警察による取り調べから始まり、検察官による勾留請求、そして起訴・不起訴の判断へと、厳格な時間制限のもとで刑事手続きが進行していきます。

コカイン事件で問われる具体的な罰則の内容、逮捕された後の刑事手続きの全体像、そしてこの困難な状況において弁護士の存在がいかに重要であるかについて、詳細に解説していきます。これらの知識を身につけることで、不測の事態に直面した際に、より適切な判断と行動ができるようになるでしょう。

コカイン使用で問われる罪と罰則

コカインに関する犯罪は、その行為の態様によって科される刑罰が大きく異なる非常にデリケートな問題です。単純な使用や所持であっても厳しい罰則が定められていますが、もし営利目的(販売などでお金儲けを企むこと)が加われば、その刑罰は格段に重くなります。このセクションでは、まずコカインを規制する法律の概要を説明し、その後、具体的な行為別にどのような罰則が定められているのかを詳しく解説していきます。

コカインを規制する「麻薬及び向精神薬取締法」

コカインに関する犯罪は、「麻薬及び向精神薬取締法」によって厳しく規制されています。この法律において、コカインは強い依存性や有害性を持つ「麻薬」に指定されており、その取り扱いが極めて制限されているのです。具体的には、コカインの輸入、輸出、製造、譲渡し、譲受け、所持、施用(使用)といったあらゆる行為が禁止されています。

この法律は、国民の健康と安全を守ることを目的としており、コカインにまつわる犯罪に対しては非常に厳格な姿勢で臨んでいます。そのため、たとえ少量であってもコカインに関与した場合は、重い刑事罰の対象となる可能性があり、後のセクションで詳しく見ていく罰則もこの法律に基づいて定められています。

【行為別】コカイン事件の罰則一覧

麻薬及び向精神薬取締法では、コカインに関する行為が「単純所持・使用」といった非営利目的の場合と、「営利目的」の場合とで明確に区別され、それぞれに異なる罰則が定められています。特に営利目的の犯罪に対しては、社会全体に与える悪影響が大きいと判断されるため、極めて重い刑罰が科される傾向にあります。次の項目からは、これらの行為別に具体的な法定刑について詳しく解説していきます。

単純な使用・所持の場合

自己使用を目的としたコカインの「所持」「譲受け」「施用(使用)」については、麻薬及び向精神薬取締法により「7年以下の懲役」が法定刑として定められています。これは非常に重い刑罰であり、たとえ初めての逮捕であっても、この上限内で刑が科される可能性があることを意味します。なお、コカインの「使用」自体を直接罰する規定は麻薬及び向精神薬取締法にはありませんが、通常、コカインを使用するためには何らかの形で所持していることがほとんどです。そのため、使用の事実が発覚した場合には、所持罪で立件されることが実務上の運用となっています。

営利目的(輸出入・製造・譲渡など)の場合

営利目的でコカインを扱う行為には、非常に重い罰則が科されます。具体的には、販売などでお金儲けを企んでコカインを「輸入・輸出・製造」した場合は、「1年以上の有期懲役」となり、情状(事情)によっては500万円以下の罰金が併科されることもあります。

また、営利目的でコカインを「譲渡し・譲受け・所持」した場合は、「1年以上10年以下の懲役」が科され、こちらも情状によっては300万円以下の罰金が併科されます。これらの罰則は、自己使用目的の場合と比較して格段に重く、いかに営利目的の薬物犯罪が社会に大きな悪影響を与えると見なされているかがわかります。このような重い刑罰が科される可能性があるため、営利目的の事件においては、より一層、専門家である弁護士の早期の介入が不可欠となります。

初犯でも実刑?執行猶予を獲得するためのポイント

コカイン事件で逮捕された際、「初犯だから実刑は免れるのではないか」と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、日本の法律では、コカインに関する犯罪は厳しく取り締まられており、初犯であっても実刑判決(刑務所への収監)となる可能性はゼロではありません。特に、薬物の所持量が多い場合や、犯罪の悪質性が高いと判断された場合は、初犯でも実刑判決が下されることがあります。

一方で、多くのコカイン事件では、適切な弁護活動を行うことで執行猶予付き判決を目指すことが可能です。執行猶予を獲得するためには、いくつかの重要なポイントがあります。例えば、薬物の所持量が微量であること、逮捕後の取り調べに対して深く反省の意を示していること、そして最も重要なのが「再犯しないための具体的な環境が整っていること」です。具体的には、家族による厳格な監督体制が構築されていること、薬物依存からの回復を目指すための治療プログラムやカウンセリングに積極的に参加する意思があることなどが挙げられます。また、前科前歴がないことも有利な情状として考慮されます。

これらの事情を裁判官に効果的に伝えるためには、弁護士の専門的なサポートが不可欠です。弁護士は、被疑者・被告人の反省の意や再犯防止への具体的な取り組みを客観的な証拠とともに主張し、検察官や裁判官に働きかけることで、執行猶予付き判決の獲得に向けて最大限の努力をします。早期に弁護士に相談し、これらの有利な情状を一つでも多く積み重ねていくことが、厳しい状況を乗り越えるための重要な鍵となるのです。

コカイン使用で逮捕された後の流れと初動対応

コカインの使用や所持で逮捕されてしまった場合、その後の刑事手続きがどのように進んでいくのか、不安に感じている方もいらっしゃるかもしれません。逮捕後の手続きは、法律によって厳格な時間制限が設けられており、特に逮捕直後の72時間は、その後の身柄拘束が長引くか、あるいは早期に釈放されるかを左右する極めて重要な時期となります。この期間にいかに適切に対応できるかが、今後の人生を大きく左右すると言っても過言ではありません。このセクションでは、逮捕されてから起訴・不起訴が決まるまでの具体的な時間軸に沿った手続きの流れと、その中でご自身やご家族が「何をすべきか」という初動対応について詳しく解説していきます。

逮捕から起訴・不起訴決定までの流れ(最大23日間)

逮捕されてから検察官が起訴するかどうかを決定するまでには、法律で定められた最大23日間の身柄拘束期間があります。この期間は、大きく「警察段階」「検察段階」「勾留段階」の3つのフェーズに分かれており、それぞれの段階で捜査が進められ、重要な判断が下されます。以下の各項目で、それぞれのフェーズについて、具体的な時間制限や手続きの流れを詳しく見ていきましょう。

逮捕~警察での取り調べ(最大48時間)

コカイン使用の疑いで逮捕されると、まずは警察署の留置場に身柄を拘束され、警察官による取り調べが開始されます。この警察段階では、逮捕時から48時間以内という時間制限が設けられています。警察は、この48時間以内に被疑者の取り調べを行い、事件に関する書類や身柄を検察官に送致(送検)するか、あるいは事件を微罪にとどめて釈放するかを判断しなければなりません。この段階での供述内容は、その後の手続きに大きく影響するため、慎重な対応が求められます。

検察への送致~勾留請求(最大24時間)

警察から事件の送致を受けた検察官は、被疑者の身柄を受け取ってからさらに24時間以内という時間制限の中で、対応を決定します。検察官は、被疑者を直ちに釈放するか、あるいは捜査の必要性や逃亡・証拠隠滅のおそれがあると判断した場合に、裁判官に対して「勾留請求」を行うかを判断します。この段階は、逮捕後初めて身柄が解放される可能性がある重要な局面の一つであり、弁護士が介入することで勾留請求を阻止できる場合もあります。

勾留・勾留延長(最大20日間)

検察官の勾留請求を裁判官が認めた場合、被疑者は原則として10日間、警察署の留置場に身柄を拘束され、さらに取り調べを受けることになります。この期間に、捜査が十分に終わらない、あるいは逃亡や証拠隠滅のおそれがまだあると判断された場合には、検察官の請求により、さらに最大で10日間の勾留延長が認められる可能性があります。つまり、勾留期間は最長で合計20日間にも及びます。この合計最大20日間の勾留期間中に、検察官は被疑者を起訴するかどうかの最終的な判断を下すための捜査を進めます。

検察官による起訴・不起訴の判断

逮捕から最大23日間の身柄拘束期間が満期を迎えるまでに、検察官は被疑者を刑事裁判にかける「起訴処分」とするか、あるいは裁判にかけずに事件を終了させる「不起訴処分」とするかを最終的に判断します。不起訴処分には、犯罪の証拠が不十分な「嫌疑不十分」のほか、犯罪を犯したことは明らかでも、年齢、境遇、犯罪の軽重、情状、犯罪後の状況などを考慮して、検察官の判断で起訴を見送る「起訴猶予」があります。弁護活動の大きな目標の一つは、この起訴猶予の獲得であり、前科をつけずに事件を解決できる可能性が高まります。

逮捕されたらすぐにやるべき初動対応

コカイン使用の疑いで逮捕されたという事態は、まさに人生の一大事であり、逮捕直後の混乱は想像に難くありません。しかし、限られた時間の中でどのような行動を取るかが、その後の結果に直接影響します。パニックに陥らず、冷静かつ迅速に対応することが極めて重要です。このセクションでは、逮捕された際に具体的に「何をすべきか」という初動対応について、以下の項目で詳しく解説していきます。

すぐに弁護士に接見を依頼する

逮捕されたら、何よりもまず弁護士を呼ぶことが最優先事項です。逮捕されると、ご家族であっても自由に面会(接見)できないことが多く、手紙のやり取りなども制限されてしまいます。しかし、弁護士は時間や回数の制限なく、警察官などの立ち会いなしでいつでも被疑者と面会できる唯一の存在です。無料で一度だけ弁護士を呼べる「当番弁護士制度」もありますが、ご自身で弁護士を選ぶ「私選弁護人」を依頼することも可能です。早期に弁護士と面会し、取り調べへの具体的な対応方法や今後の見通しについてアドバイスを受けることが、身柄の早期解放や有利な処分を獲得するために非常に重要となります。

取り調べでの注意点と黙秘権の重要性

警察や検察による取り調べは、被疑者の心理的な負担が大きい状況で行われます。この取り調べにおいて、ご自身に不利益な供述を強要されない権利である「黙秘権」と、供述調書への署名・押印を拒否する権利があることを明確に理解しておく必要があります。不用意な発言や、事実と異なる供述をしてしまうと、それが後に不利な証拠として使われてしまう可能性があります。そのため、弁護士と相談するまでは、安易に話したり、供述調書にサインしたりすべきではありません。毅然とした態度で臨み、弁護士が来るまで供述を保留することも大切な対応の一つです。

家族や会社への連絡はどうするべきか

逮捕された場合、逮捕直後は外部との連絡が制限されることがほとんどです。そのため、ご家族や勤務先への連絡をどのようにすれば良いか、大きな不安を感じるかもしれません。弁護士は、本人に代わってご家族に連絡を取り、現在の状況や今後の手続きの見通しを説明することができます。また、会社への連絡については、不当な解雇などの不利益処分を避けるため、連絡のタイミングや伝えるべき内容を弁護士と慎重に協議する必要があります。弁護士が、ご本人とご家族の意向を踏まえて、会社への説明や交渉をサポートすることで、社会生活への影響を最小限に抑えることが期待できます。

なぜ弁護士への相談が不可欠なのか?早期相談の3つのメリット

コカイン使用という深刻な事態に直面し、逮捕されてしまった場合、精神的な動揺は計り知れません。しかし、このような非日常的な状況だからこそ、法律の専門家である弁護士のサポートが極めて重要になります。弁護士は単に法的な手続きを進めるだけでなく、逮捕された方の心理的な支えとなり、具体的な利益をもたらす心強い存在です。逮捕直後からの迅速な対応は、身柄拘束の期間を短縮したり、最終的な刑事処分を有利なものに変えたりする可能性を大きく高めます。このセクションでは、弁護士に早期に相談することで得られる「早期の身柄解放」「有利な処分の獲得」「周囲への影響の最小化」という3つの大きなメリットについて詳しく解説します。

メリット1:早期の身柄解放(釈放)の可能性が高まる

弁護士に依頼する最大のメリットの一つは、身柄拘束からの早期解放、つまり釈放の可能性を大きく高められる点にあります。コカイン事件で逮捕された場合、最長で23日間にわたる身柄拘束を受ける可能性がありますが、この期間が長引くほど、日常生活や社会生活への影響は甚大になります。弁護士は、勾留請求を阻止するため、検察官や裁判官に対し、被疑者が「逃亡するおそれがないこと」や「証拠を隠滅するおそれがないこと」を客観的な証拠や論理的な主張に基づいて効果的に訴えかけます。

万が一、勾留が決定されてしまった場合でも、弁護士は勾留決定に対する不服申し立てである「準抗告」を行うなど、あらゆる法的手続きを駆使して早期の釈放を目指します。また、起訴された後であれば「保釈請求」を行い、保釈金の支払いと引き換えに身柄を解放するよう裁判所に働きかけます。これらの弁護活動を通じて、身体的な自由を取り戻し、早期に社会生活へ復帰できることは、その後の人生を再建する上で非常に重要な意味を持ちます。

メリット2:不起訴処分や執行猶予付き判決を獲得しやすくなる

コカイン事件において、最終的な刑事処分をできる限り軽くすることは、被逮捕者にとって最も重要な目標の一つです。弁護士は、前科が付かない「不起訴処分」や、刑務所に入らずに済む「執行猶予付き判決」の獲得を目指し、多岐にわたる弁護活動を展開します。特に、検察官が起訴・不起訴を判断するまでの期間、弁護士は本人に代わって、深く反省していることや、二度と薬物に手を出さないという強い意志があることを検察官に伝えます。

具体的には、家族による監督体制の構築、薬物依存からの脱却に向けた専門治療プログラムへの参加計画の提示、職場復帰への具体的な道筋など、被逮捕者にとって有利な情状を効果的にアピールするための証拠を収集し、意見書として提出します。起訴されてしまった場合でも、弁護士は公判(裁判)においてこれらの有利な事情を主張・立証し、執行猶予付き判決やより軽い刑罰を獲得するために尽力します。弁護士の専門的な知識と経験に基づく戦略的な弁護活動が、厳しい状況を乗り越え、人生を立て直すための大きな希望となります。

メリット3:会社や家族など周囲への影響を最小限に抑えられる

刑事事件は、逮捕された本人のみならず、その家族や勤務先など、周囲にも多大な影響を及ぼします。弁護士は、こうした社会生活上の不利益を最小限に抑えるためにも重要な役割を担います。例えば、不当な解雇などを防ぐために、弁護士が会社に対して事件の状況や今後の見通しを説明し、法的な観点から交渉を行うことができます。弁護士が間に入ることで、感情的にならず冷静な話し合いを進め、会社からの理解を得やすくなる場合があります。

また、逮捕の事実は家族に大きな動揺と不安を与えます。弁護士は、本人に代わって家族に連絡を取り、今後の手続きの流れや家族としてできることについて具体的にアドバイスを提供します。これにより、家族は状況を正確に把握し、不安を軽減することができます。さらに、逮捕された本人が外部との連絡が制限されている間、弁護士が家族からのメッセージを伝えたり、本人の状況を家族に伝えたりする架け橋となることも可能です。弁護士の存在は、混乱の中で孤立しがちな家族にとって、精神的な支えとしても非常に心強いものとなるでしょう。

コカイン事件で弁護士ができる具体的な弁護活動

コカイン事件で逮捕されてしまったとき、弁護士はどのようなサポートをしてくれるのでしょうか。刑事手続きの各段階において、弁護士は被疑者や被告人の権利と利益を守るために専門的な活動を展開します。特に、身柄を解放するための活動、最終的な処分を軽くするための活動、そして何よりも大切な再犯防止のためのサポートという3つの側面から、弁護士が行う具体的な活動について詳しく見ていきましょう。

身柄解放活動(勾留阻止・準抗告・保釈請求)

逮捕されてしまった方がまず望むのは、一刻も早い身柄の解放です。弁護士は、身体拘束からの解放を目指し、さまざまな法的手段を駆使して活動します。まず、逮捕直後の警察段階から検察官が勾留を請求するまでの期間に、弁護士は検察官や裁判官に対し、被疑者が逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを客観的な証拠とともに主張し、勾留請求を行わないよう求める意見書を提出します。この活動が実を結べば、勾留されることなく早期に釈放される可能性が高まります。

もし勾留が決定されてしまった場合でも、弁護士は諦めません。勾留決定に対して不服があるときは、「準抗告」という不服申し立ての手続きを取ることができます。弁護士は勾留決定の不当性を主張し、裁判官に対して改めて身柄の解放を求めます。さらに、起訴された後であれば「保釈請求」が可能です。保釈とは、一定の保釈保証金を納めることで、判決が確定するまで一時的に身柄を解放してもらう制度です。弁護士は、被告人が逃亡しないこと、証拠を隠滅しないことなどを裁判所に説得的に主張し、保釈の許可を得るために尽力します。

不起訴処分や刑の減軽に向けた活動

弁護士の重要な役割の一つは、依頼者の方が最終的に不利益な処分を受けないよう、あるいはその不利益を最小限に抑えることです。コカイン事件においては、前科が付かない「不起訴処分」の獲得、特に罪を犯した事実はあっても起訴を見送る「起訴猶予」を目指す活動が非常に重要になります。弁護士は、検察官との面会を重ね、被疑者の方の反省の情、コカインの所持量が微量であったこと、家族による監督体制が整っていることなど、本人にとって有利な事情を積極的に主張します。これらの事情をまとめた意見書を提出することで、検察官に起訴猶猶予の判断を促します。

もし起訴されてしまった場合でも、弁護士の活動は続きます。公判(裁判)においては、執行猶予付き判決やより軽い刑罰を獲得することを目標とします。弁護士は、裁判官に対して依頼者の反省の度合い、家族や周囲のサポート状況、薬物治療への取り組み、再犯防止のための具体的な計画などを具体的に主張・立証します。これらの情状証拠を効果的に提示することで、裁判官に情状酌量を促し、依頼者の方が社会の中で更生できるよう、最善の弁護活動を行います。

再犯防止に向けた環境整備のサポート

薬物事件では、単に刑罰を軽くするだけでなく、本人の更生と社会復帰を支援することが極めて重要です。弁護士は、依頼者の方が二度と同じ過ちを繰り返さないよう、再犯防止に向けた環境整備も積極的にサポートします。例えば、薬物依存からの回復を支援する専門機関(ダルクなど)や医療機関、クリニックへの橋渡しを行い、適切な治療プログラムに参加できるよう手助けします。

また、家族の協力を得て、依頼者の方が薬物と縁を切って生活できる具体的な計画を立てるサポートも行います。家族による監督体制の構築や、本人を取り巻く生活環境の改善に向けたアドバイスを提供し、検察官や裁判官に「二度と薬物には手を出さない」という強い意志と、それを支える具体的な環境が整っていることを示します。このような再犯防止に向けた積極的な取り組みを示すことが、不起訴処分や執行猶予付き判決など、有利な処分を獲得するための非常に重要な要素となります。

コカイン事件に関するよくある質問

コカイン事件に直面した際、逮捕されたご本人やご家族は、非常に強い不安を抱え、多くの疑問を抱かれることでしょう。ここでは、そのような方々が特に知りたいと思われる具体的な質問に対し、簡潔かつ分かりやすくお答えします。疑問を解消し、適切な対応を取るための参考にしてください。

Q. コカインの使用について全く身に覚えがない場合はどうすればいいですか?

もしコカインの使用について全く身に覚えがないにもかかわらず、容疑をかけられてしまった場合は、何よりもまず「容疑を明確に否認し続けること」が重要です。警察や検察の取り調べに対し、安易に「使った」と認めてしまったり、不確かな供述調書に署名したりすることは絶対に避けてください。一度署名してしまえば、後からその内容を覆すことは非常に困難になります。

身に覚えがないのであれば、すぐに弁護士に相談し、サポートを依頼してください。弁護士は、捜査機関の主張する証拠(例えば尿検査の結果など)の信用性を争うための法的アドバイスを提供したり、ご自身のアリバイを主張するための具体的な証拠収集を支援したりするなど、無実を証明するためのあらゆる弁護活動を行います。無実を主張し続けることは、非常に精神的な負担を伴いますが、弁護士と連携しながら毅然とした態度で臨むことが、最善の結果を得るための鍵となります。

Q. 弁護士費用はどのくらいかかりますか?

コカイン事件に関する弁護士費用は、事件の状況や依頼する弁護士事務所によって大きく異なります。例えば、単純な所持や使用に関する事件と、営利目的の密売などが疑われる事件では、弁護活動の複雑さが異なるため費用も変わってきます。また、容疑を認めている場合(自白事件)と、無実を主張している場合(否認事件)でも、弁護活動の内容が異なるため、費用に差が生じることが一般的です。

一般的に、弁護士費用は「着手金」と「成功報酬」の2つの体系で構成されていることが多いです。着手金は事件を依頼する際に最初に支払う費用で、数十万円から、事件の難易度に応じて高額になることもあります。成功報酬は、不起訴処分を獲得できた場合や、執行猶予付き判決を得られた場合など、事件の結果に応じて支払う費用です。具体的な金額は、各弁護士事務所の料金体系によりますので、まずは法律相談の際に、ご自身のケースでの費用見積もりを必ず確認するようにしてください。

Q. 家族がコカインで逮捕されました。何をすればいいですか?

ご家族がコカイン事件で逮捕されたと知った場合、何よりもまず「一刻も早く弁護士を探し、本人への接見を依頼すること」が最優先です。逮捕直後は、ご家族であっても本人と自由に面会することができません。しかし、弁護士であれば時間や回数の制限なく接見できるため、本人の状況を確認し、精神的なサポートを行うとともに、今後の取り調べに対するアドバイスを伝えることができます。

次に、弁護士と協力しながら、本人にとって有利な情状証拠となりうるものを準備してください。例えば、本人の反省の気持ちを示す文書、ご家族が今後監督していくことを誓う身元引受書、薬物依存から脱却するための治療プログラムへの参加意向を示す書類などが考えられます。これらの準備を通じて、ご家族が本人を支え、更生を促す姿勢を示すことが、検察官や裁判官に良い印象を与え、最終的な処分に良い影響を与える可能性があります。逮捕はご家族にとっても大きな動揺を伴いますが、冷静に、そして迅速に弁護士と連携して対応することが、ご本人を救うための最も重要な行動となります。

まとめ:コカイン事件はスピードが命|一人で悩まず専門家にご相談ください

コカインに関する事件は、その性質上、非常に厳しい法的制裁が科される重大な犯罪です。一度逮捕されてしまうと、その後の刑事手続きは逮捕直後から分刻みで進行し、厳格な時間制限の中で様々な判断が下されていきます。特に、逮捕から72時間以内、そして最大で23日間という限られた期間での対応が、身柄が拘束され続けるか、あるいは早期に釈放されるか、さらには最終的な刑事処分がどうなるかを大きく左右します。

この緊迫した状況下で、ご自身や大切なご家族を守るためには、初動のスピードが何よりも重要です。コカイン事件で逮捕されてしまった場合、身柄の早期解放を目指す弁護活動や、不起訴処分、執行猶予付き判決といった有利な処分を獲得するためには、一刻も早く弁護士に相談し、適切なアドバイスとサポートを受けることが不可欠です。

「もしもの時」にどうすれば良いか、深い不安の中で一人で悩みを抱え込む必要はありません。法律の専門家である弁護士は、あなたの状況に寄り添い、具体的な解決策と安心を提供してくれます。まずはすぐに弁護士に連絡を取り、今後の見通しや取るべき行動について具体的なアドバイスを得てください。弁護士への早期相談が、今後の人生を大きく左右する分かれ道となるでしょう。

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