コカインの所持や使用で逮捕されるのか?もし逮捕されたらいつ釈放されるのか、薬物犯罪に強い弁護士が徹底解説します!

最終更新日: 2023年11月03日

コカインの所持や使用で逮捕されるのか?もし逮捕されたらいつ釈放されるのか、薬物犯罪に強い弁護士が徹底解説します!
「家族がコカインを所持していた容疑で逮捕されました!」
「コカイン使用で逮捕された場合の刑罰を知りたい」

コカインの所持や使用で逮捕された場合、いつまで身柄拘束が続くのか、当然、気になってくる問題だと思います。

コカインの所持や使用によってなぜ逮捕されることになるのか、逮捕された場合にいつ釈放になるのでしょうか。この問題について、我が国においてコカインの所持や使用が取り締まりの対象とされている根拠や、逮捕された後の具体的な流れと併せて、薬物犯罪に強い弁護士がご説明します。 それでは早速まいりましょう。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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コカインを使ったり、所持したりすると、必ず逮捕されるのか

コカインを使った場合、なぜ逮捕されるのか、また、どういった事案で逮捕されるのか、詳しく見ていきます。

  • コカインに関する罪
  • 被疑者を逮捕できる条件
  • コカインの使用や所持を逮捕する条件

コカインに関する罪

コカインは麻薬及び向精神薬取締法によって規制されています。

「麻薬」とは、同法別表第1に掲げる物をいうとされており(同法2条1号)、コカインの成分を含有する物が、ここで言う「麻薬」として取り締まりの対象とされています。

同法において、特に厳しく処罰されているのは、ジアセチルモルヒネ等(いわゆるヘロイン)でありますが、「ジアセチルモルヒネ等」以外の麻薬として、コカインも規制されているのです。なお、ジアセチルモルヒネ等の単純所持は10年以下の懲役、コカインについては7年以下の懲役として若干軽くなっています。

具体的な規制対象行為としては、麻薬及び向精神薬の輸入、輸出、製造、製材、譲渡となっています。

被疑者を逮捕できる条件

被疑者を逮捕できる場合は、刑事訴訟法に明記されています。逮捕は、被疑者の身体を拘束する点で、重大な人権侵害を伴いますから、法律の根拠がなければ執行できないのです。
刑事訴訟法が認めている逮捕手続としては、通常逮捕、現行犯逮捕、緊急逮捕の3つがあります。それぞれ見ていきましょう。

通常逮捕

逮捕状を被害者に示して逮捕する場合を通常逮捕と呼びます(刑事訴訟法199条~201条1項)。
逮捕状を発令する要件としては、「被害者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」が必要となっています。たとえば、コカインと思われる薬物を簡易鑑定した結果、陽性判定が出た場合、被疑者の尿からコカイン成分が顕出された場合などがこれに当たります。

現行犯逮捕

刑事訴訟法は、「現に罪を行い、又は現に罪を行い終つた者」を現行犯人としており、現行犯人を逮捕できることを定めています(刑事訴訟法212条、213条)。

ただ、コカインの場合、間違いなくコカインの成分が含まれていると判断できる場合であっても、検査結果を踏まえて通常逮捕するケースが多く、現行犯逮捕されることはそれほど多くないものと思われます。

緊急逮捕

緊急逮捕(刑事訴訟法210条)は、死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁固にあたる罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときに逮捕できる手続きです。

通常逮捕において令状を示して逮捕することが大原則ですから、緊急逮捕の後、直ちに、逮捕状を求める手続きをとることが必要となります。

なお、緊急逮捕において想定しているのは、重大犯罪の指名手配犯と、逮捕状を持っていない状態で遭遇したケースを想定しています。このような場合に逮捕状を持っていないからといって指名手配犯を見逃すのは相当でないことから、事後的に逮捕状をとることを条件として、逮捕を認めた者です。

コカインの使用や所持を逮捕する条件

コカインの嫌疑が認められたとして、どのような場合に逮捕がなされるのか、「所持」と「使用」に分けて、詳しく見ていきましょう。

コカイン所持

所持品検査をした結果、コカインを含有すると疑われる物を所持していた場合、逮捕によって身柄拘束を受ける可能性は非常に高いといえます。所持しているコカインの量に関係はなく、ごく少量であっても、逮捕されているケースが大半です。

また、コカインを含有すると疑われる物を所持していたとしても、それがコカインかどうか、捜査側に確証がない場合、その場では逮捕されない場合もあります。しかし、これは発見した物がコカインで間違いないかどうか鑑定するためであり、鑑定の結果、コカインを含有する物と認められれば、後日、逮捕令状によって通常逮捕されます。

コカイン使用

何らかの薬物を使用していると疑われた場合、職務質問の際に尿の任意提出を求められるのが通常です。そして、提出した尿からコカインが顕出された場合、コカインを使用したことの動かぬ証拠となりますから、そのまま逮捕される可能性は極めて高いといえます。

なお、尿の任意提出を拒否したとしても、捜査側において強制採尿令状を取得されれば強制的に採尿が執行されてしまいます。現実には、尿の任意提出を拒否するのは、非常に困難です。

コカインの嫌疑で逮捕された場合の流れ

では、コカインの所持や使用で逮捕された場合、釈放されるまでどのような流れを踏むのでしょうか。具体的な流れを追っていきましょう。

  • 逮捕~勾留決定までの期間
  • 勾留期間満了まで
  • 起訴されてから釈放されるまで

逮捕~勾留決定までの期間

逮捕された場合、警察において最大48時間の身柄拘束を受けます。そして、警察は、48時間以内に被疑者を検察庁に送致することになります。
その後、被疑者の身柄を受け取った検察庁において、裁判所に対し、10日間の勾留請求をするかどうかを決めることになります。なお、逮捕時から通じて72時間以内にこれを行う必要があります。

裁判所は、勾留請求を受けると、勾留請求を認める決定を出すか、勾留請求を却下して釈放するかどうかを決めます。コカインの嫌疑がある場合、裁判所が勾留請求を却下することはほとんどありません。

勾留期間満了まで

勾留期間は、勾留請求の日から原則として10日間ですが、さらに10日間の延長が認められています。コカインで逮捕された場合、ほとんどの事案で10日間の勾留延長がなされるので、20日間は留置されることになります。

他方、被疑者には、勾留決定や、勾留延長決定に対して、準抗告という異議申立ての手続きが用意されています。裁判所の勾留決定に理由がない場合、勾留決定が取り消され、被疑者は釈放となります。また、勾留延長決定が長すぎる場合には、勾留延長決定自体が取り消されたり、あるいは延長期間が短縮されることもあります。

起訴されてから釈放されるまで

起訴された後は、保釈請求をすることができます。保釈とは、保釈金を裁判所に納めて、釈放を得る手続きのことです。

保釈の請求があったときは、刑事訴訟法89条の1号から6号に定める事由がない場合、これを認めなければならないとされています(権利保釈と呼ばれています。)。もっとも、権利保釈の要件がクリアできなくとも、罪証隠滅等のおそれがないなど、保釈が適当であると認められれば裁量保釈(刑事訴訟法90条)によって、釈放されることもあります。

保釈の条件が揃えば、裁判所から保釈決定とともに保釈保証金の金額が通知されますので、その金額を裁判所に納めれば釈放となります。

なお、保釈請求をした当日に保釈決定が出るわけではなく、一定期間判断に時間を要します(東京地裁の運用では、保釈請求をした日の翌々日としています。)。

コカインで逮捕された場合の対応策

次に、コカインで逮捕された場合、逮捕された本人としてはどのような対応をすればよいのでしょうか。具体的な対応方法について説明します。

  • コカインに覚えがない場合
  • コカインに心当たりがある場合
  • 逮捕後の対応を弁護士に依頼

コカインに覚えがない場合

コカインに覚えがないのに事実を認めてしまうと有罪の判決を受けることになりますから、この場合は、嫌疑不十分を理由とする釈放を狙います。しかし、嫌疑不十分を狙うのは、それほど容易なことではありません。

警察や、検察は、取調べにおいて、あの手この手を用いて、必ず被疑者の自白を得ようとします。
かつて、取調官による過酷な拷問によって自白をとっていた時代もありました。現代に至っても、根本的な発想に変わりはなく、容疑を否認した場合には長期間の身柄拘束がなされ、連日、長時間の取調べを受けます。
通常の人であれば、長期間の身柄拘束と長時間の取調べに耐えきれず、簡単に自白に転じてしまうことでしょう。
このような過酷な身体拘束や、取調べを耐え抜いて、嫌疑不十分による不起訴を獲得しなければならないのです。

また、被疑者の自白を残す方法として、調書に被疑者の発言内容を記録し、最後に被疑者自身の確認後、署名拇印を残します。
ただし、必ずしもご自身が供述したとおりに正確な調書が取られるとは限りません。調書の内容に自身の意図していない記述が含まれていないかどうか、きちんと確認する必要があります。

また、調書の内容が正確であっても、ご自身では正当な主張と思っていたにもかかわらず、有罪の方向に働く供述をしてしまうこともあります。また、供述した内容を手がかかりとして、警察からさらなる追求をなされることが普通です。そのため、一切の証拠や、手掛かりを捜査側に与えないためにも、黙秘権行使を徹底することも重要なのです。

コカインに心当たりがある場合

逮捕された理由となった事実に間違いがないのであれば、認める供述をすることを推奨します。捜査側は、相応の証拠をもって取調べに臨んでいますから、コカインに心当たりがあるのに、あえて嘘をつくことお勧めできません。

前述したとおり、否認した場合の取調べは過酷です。また、否認をした場合のデメリットとして、起訴後に保釈請求をしても、罪証隠滅のおそれが高いとして、保釈請求却下の可能性が高まります。あえて嘘をつく否認をすると、手痛いしっぺ返しをくらうことにもなりかねません。

逮捕された理由となった事実に間違いないのであれば、ほとんどの場合に有罪にするだけの十分な証拠は残っているはずです。この状況で無罪を争っても良い結果になる可能性は極めて低いので、素直に犯行を認めるべきでしょう。

逮捕後の対応を弁護士に依頼

逮捕された場合、国選弁護人が選任されることから、弁護士など頼む必要はないと考える方もいらっしゃいます。しかし、国選弁護人が選任されるのは、勾留決定が出た後のことです。既に説明したとおり、逮捕から勾留決定が出るまで2~3日はかかってしまうので、逮捕後速やかに弁護士に依頼をしないと、逮捕された方は、弁護人不在のまま取調べ対応等を行うことになってしまいます。

逮捕された方は、誰とも事件に相談できない状況において、認めるべきか、認めない方がよいのか、決断に迷うことが通常です。しかも、見通しがあやふやなままでは、誤った判断によって下手な供述をしたり、合理性のない否認を行いかねません。これでは、全く本人のためになりません。

薬物事件に強い弁護士であれば、事件の正確な見通しをもって適切な助言を行うことができるので、逮捕後、すぐに弁護士に対応を依頼することが重要です。

まとめ

今回、コカインが厳格に規制されており、ほとんどの事案において逮捕を免れないことを説明しました。また、コカインの所持や使用で逮捕されてから釈放されるまでの流れについてご説明したとおり、いったん逮捕されてしまうと、すぐに釈放することも難しいのが現実です。
それでも、薬物に強い弁護士であれば、身柄拘束期間を最小限にする適切な弁護方針を組み立てることで、最良の結果を得ることも可能です。

コカインの所持や使用で逮捕された場合、まずは弁護士に相談することをお勧めします。

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