介護を理由に寄与分を主張するときには弁護士が頼りになる!依頼するメリットを弁護プランとともに解説
2022年03月04日
被相続人が亡くなったときには、その財産は定められた相続人が引き継ぎます。しかし、相続法には寄与分という制度があります。寄与分とは、被相続人の財産に貢献した他の相続人にも、相続が反映される制度です。
そして、介護を理由に寄与分が認められるときもあるのです。
そこで今回は、相続トラブルに関して豊富な経験を有する専門弁護士が、介護を理由に寄与分を主張するときの方法や弁護士に依頼するメリットについて解説します。
介護を理由に寄与分を主張するための基礎知識を弁護士が解説
ここでは、介護を理由とした寄与分に関する基礎知識を3つ解説します。
- 介護では療養看護型として寄与分が認められる可能性がある
- 寄与分が認められる相続人
- もらえる寄与分
それでは、1つずつ解説します。
介護では療養看護型として寄与分が認められる可能性がある
基礎知識の1つ目は、介護では療養看護型として寄与分が認められる可能性があることです。
寄与分とは相続法に存在する制度のことで、被相続人の財産維持や増加に寄与した相続人が存在するときに、そのことを相続に反映させるものです。これにより、相続人間の公平性を保つ役割を果たします。寄与分が認められる可能性があるケースを、以下に紹介します。
・出資型
・療養看護型
・扶養型
・財産管理型
なお、寄与分が認められるには、継続的または専従的に被相続人の財産維持や財産増加に貢献したと認められることが必要です。
寄与分が認められる相続人
基礎知識の2つ目は、寄与分が認められる相続人についてです。
配偶者は常に法定相続人となりますので、それ以外の相続人における順位を解説します。
まず第一順位が子です。ただし、子がいなくて孫がいるときは孫による「代襲相続」が可能となります。そして、第二順位が直系尊属、第三順位が兄弟姉妹です。このように、寄与分が認められる相続人は原則として血縁のある家族となっています。
ただし例外もあります。2018年の民法改正で新設された民法1050条では、以下のとおり規定しています。
「被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人、相続の放棄をした者及び第891条の規定に該当し又は廃除によってその相続権を失った者を除く。以下この条において「特別寄与者」という。)は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(以下この条において「特別寄与料」という。)の支払を請求することができる。」
このように、相続人以外の特別寄与者への特別寄与料が明文で認められているのです。
もらうことのできる寄与分
基礎知識の3つ目は、もらうことのできる寄与分についてです。
寄与分が認められたときには、相続分は以下の式で算出します。
相続財産総額-寄与分=みなし相続財産 |
みなし相続財産÷法定相続分=各相続分(暫定) |
各相続分(暫定)+寄与分=寄与した相続人の相続金額 |
ただし、寄与分や一部の相続人だけが受け取る特別受益は、調停や審判などで認められるための主張は難しいことが一般的です。主張したいときには、事前に弁護士に相談しましょう。
また、これまでの民法で寄与分が認められるのは、相続人が行った行為のみでした。そのため、遺言がなければ第三者が相続人の財産維持や財産増加を行っても相続はできませんでした。
しかし、「特別寄与料の請求権」が創設されて、被相続人への貢献度を考慮してもらえるようになりました。
介護を理由に寄与分を主張する方法は?弁護士ができることと解説
ここでは、介護を理由に寄与分を主張する方法を2つ解説します。
- 遺産分割協議
- 調停・審判
それでは、1つずつ解説します。
遺産分割協議
寄与分を主張するときの方法の1つ目は、遺産分割協議です。遺産分割協議とは、遺産の分割について相続人全員で協議し、合意することです。
遺産分割協議の段階では、特別な寄与の証明になる証拠は要求されません。それでも、他の相続人を説得するために、ある程度の資料を収集しておく必要があります。その他、話し合いの内容として特別受益や持戻し免除の意思表示の有無などもあります。
いずれにしても、遺産分割協議に臨むにあたっては、事前にしっかりと交渉戦略を立てておいてください。
調停・審判
寄与分を主張するときの方法の2つ目は、調停・審判です。
上述の遺産分割協議で話がまとまらなければ、家庭裁判所に対して寄与分を求める処分調停を行います。すでに遺産分割調停の手続きが行われているときは、別途調停や審判の申立てが必要です。
調停は、第三者が入ることで当事者同士の話し合いよりも冷静に行えます。
仮に調停で双方合意できなければ自動的に審判に進み、裁判官によって寄与分が決定されます。
介護を理由に寄与分を主張するときに弁護士に依頼するメリット
ここでは、介護を理由に寄与分を主張するときに弁護士を依頼するメリットを3つ解説します。
- 法的根拠をもって主張・立証
- 調停や審判への対応
- 寄与分に限らず遺産分割をトータルサポート
それでは、1つずつ解説します。
法的根拠をもって主張・立証
弁護士を依頼するメリットの1つ目は、法的根拠をもって主張・立証することです。
弁護士は専門的な知識や経験を有しており、遺産分割において適切な寄与分を算出してくれます。
また、寄与分を立証する証拠収集のサポートも行ってくれます。特に審判では、確かな根拠に基づいた主張が重要になるため、弁護士は強い味方になってくれることでしょう。
調停や審判への対応
弁護士を依頼するメリットの2つ目は、調停や審判の対応です。
調停になると家庭裁判所に何度も行かなければならず、仕事などとの兼ね合いが難しくなります。
また、裁判所に提出する資料の準備も必要になります。これらを煩わしいと感じるのであれば、弁護士に依頼しましょう。それにより、手間やストレスが格段に減ります。
寄与分に限らず遺産分割をトータルサポート
弁護士を依頼するメリットの3つ目は、寄与分に限らず遺産分割をトータルサポートすることです。
遺産分割は、寄与分だけでなく特別受益やその他の使い込みなど、さまざまな問題に発展する可能性が大いにあります。
たとえば、被相続人と同居していたときには、他の相続人から使い込みを疑われることもあります。
このように、寄与分以外で問題が発生しても、弁護士に相談しておけば安心です。
介護で寄与分を主張するための弁護士への相談から解決までの流れ
ここでは、介護を理由に寄与分を主張するときの弁護士への相談から解決するまでの流れを解説します。
当法律事務所に相談してから解決するまでの流れは、以下のとおりです。
2.来所相談
3.依頼
4.交渉
5.調停・訴訟
まとめ
今回は、介護を理由に寄与分を主張するときの方法や弁護士に依頼するメリットについて解説しました。
介護を理由とした寄与分が認められることもありますが、寄与分の主張により他の相続人と揉めるケースも珍しくありません。
このとき、遺産分割協議で平和的解決ができればよいですが、調停や審判に進展してしまうと大きな手間やストレスを抱えることになってしまいます。
そのため、介護を理由とした寄与分の主張で揉めそうであれば、当法律事務所にご相談ください。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。