刑事事件で逮捕されたら?弁護士が解説する直後の流れと対処法

最終更新日: 2026年04月08日

刑事事件で逮捕されたら99.9%有罪って本当!?回避を目指すなら弁護士に相談しよう!

ある日突然、警察官がやってきて家族が連れて行かれた。自分自身が任意の事情聴取だと思っていたら、そのまま逮捕されてしまった。このような事態は、誰の身にも起こりうる可能性があります。

刑事事件で逮捕されると、その後の人生を大きく左右する極めて重大な局面を迎えることになります。外部との連絡を絶たれ、厳しい取調べが続く中で、たった一人で冷静な判断を下すことは困難を極めます。

しかし、逮捕直後からの時間は待ってくれません。刑事手続きは法律で定められた厳格な時間制限の中で進んでいきます。この初期段階での対応、すなわち「初動」を誤ると、本来なら避けられたはずの長期の身体拘束や、前科がつくといった深刻な事態を招きかねません。

この記事では、刑事事件で逮捕された場合に、その後どのような流れで手続きが進むのか、そしてご本人やご家族が何をすべきで、何をしてはいけないのかを、弁護士の視点から詳しく解説します。もしもの時に備え、正しい知識を身につけ、冷静な初動で最善の未来を掴むための一助となれば幸いです。

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士 春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内法律事務所勤務
当事務所開設
資格
宅地建物取引士
情報処理安全確保支援士

「家族が逮捕された」「示談したい」など、300件以上の刑事事件のご相談に対応してきました。(※2026年3月時点)これまでの実務経験をもとに、法律のポイントを分かりやすく解説しています。

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目次

刑事事件における「逮捕」とは?3つの種類を解説

「逮捕」とは、犯罪の嫌疑がある者(被疑者)の逃亡や証拠隠滅を防ぐために、その身体を強制的に拘束する手続きのことです。

あくまで捜査の初期段階における身柄拘束であり、逮捕されたこと自体が有罪を意味するわけではありません。

逮捕には、主に以下の3つの種類があります。

通常逮捕(後日逮捕)

最も一般的な逮捕の形態です。

捜査機関が収集した証拠に基づき、裁判官に逮捕状を請求し、その令状が発付されて執行されます。裁判官は「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」と「逃亡または証拠隠滅のおそれ」があるかを審査します。

事件発生から時間が経ってから、ある日突然自宅などに警察が訪れて逮捕されるケースが多いため、「後日逮捕」とも呼ばれます。

現行犯逮捕

「現に罪を行い、又は現に罪を行い終わった者」を、逮捕状なしで逮捕することができます。

痴漢、万引き、暴行など、犯行が明白な場面で適用されることが多いです。

犯行を目撃した一般人でも現行犯逮捕は可能ですが(私人逮捕)、その場合は直ちに警察官や検察官に被疑者を引き渡さなければなりません。

緊急逮捕

死刑、無期、または長期3年以上の懲役・禁錮にあたる重大な罪を犯したと疑うに足りる十分な理由があり、かつ、急速を要し逮捕状を請求する時間がない場合に、令状なしで被疑者を逮捕する手続きです。

ただし、逮捕後には直ちに裁判官に逮捕状を請求する手続きが必要で、もし令状が発付されなければ、被疑者は釈放されます。

【時間別】逮捕された直後からの流れを徹底解説

逮捕後の刑事手続きは、法律で厳格な時間制限が設けられています。

このタイムリミットを意識することが、弁護活動において極めて重要になります。

① 逮捕~警察での取調べ(逮捕から48時間以内)

逮捕されると、警察署の留置場(留置施設)に身柄を拘束され、警察官による取調べが始まります。

この期間は、弁護士以外は家族であっても原則として面会できません。被疑者には、言いたくないことは言わなくてよい「黙秘権」や、弁護士を呼ぶことができる「弁護人選任権」などの権利が保障されています。

警察は、逮捕から48時間以内に、被疑者の身柄と事件に関する書類を検察官に送致(送検)するか、釈放するかを判断しなければなりません。

② 送検~検察官による勾留請求(送検から24時間以内)

送検されると、次は検察官による取調べが行われます。

検察官は、警察から事件を引き継いでから24時間以内に、被疑者の身柄拘束を続ける必要があるかを判断します。そして、身柄拘束を続ける必要があると判断した場合は、裁判官に対して「勾留請求」を行います。

必要がないと判断すれば、被疑者は釈放されます。つまり、逮捕から最大72時間(48時間+24時間)が、身柄解放に向けた最初の重要な山場となります。

③ 勾留決定~起訴・不起訴の判断(最大20日間)

検察官の勾留請求を受けて、裁判官が面会(勾留質問)を行い、勾留を認めるかどうかの決定をします。

裁判官が勾留を決定すると、被疑者は原則として10日間、引き続き身柄を拘束されます。この間、検察官は捜査を続け、起訴するかどうかの判断材料を集めます。

捜査が10日間で終わらない場合、検察官はさらに最大10日間の勾留延長を請求することができ、認められるケースがほとんどです。

この逮捕後の72時間と合わせた最大23日間が、社会から隔離される期間となります。

検察官は、この勾留期間が満了するまでに、被疑者を起訴するか、不起訴(釈放)にするかを最終的に決定します。

④ 起訴後の流れ(公判請求・略式請求)

検察官が起訴を決定すると、被疑者は「被告人」となり、刑事裁判へと進みます。起訴には「公判請求」と「略式請求」の2種類があります。

 

  • 公判請求(正式裁判)
    公開の法廷で裁判が開かれ、有罪か無罪か、有罪の場合はどの程度の刑罰が科されるかが審理されます。日本の刑事裁判の有罪率は99%以上と言われており、起訴されると極めて高い確率で有罪判決(前科)がつくことになります。起訴後は保釈請求が可能になります。 

  • 略式請求(略式手続)
    比較的軽微な事件で、本人が事実を認めている場合に、公開の裁判を経ずに罰金刑を科す手続きです。本人の同意が必要ですが、これに応じると前科がつきます。

 

逮捕によって生じる5つの重大なリスク

逮捕は、単に身柄を拘束されるだけではありません。その後の人生に多大な影響を及ぼす、以下のような深刻なリスクを伴います。

長期間の身体拘束により社会から隔離される

逮捕・勾留されると、起訴・不起訴の判断が下されるまで最大23日間、社会から完全に隔離されます。

外部との連絡は厳しく制限され、仕事や学業はもちろん、日常生活から切り離されてしまいます。この間の精神的・肉体的苦痛は計り知れません。

会社からの解雇や学校からの退学処分

長期間の無断欠勤が続けば、就業規則に基づき会社を解雇されるリスクが高まります。

学生の場合も、校則により退学や停学などの厳しい処分が下される可能性があります。

逮捕されたという事実だけで、有罪判決が下る前に社会的な地位を失ってしまうのです。

実名報道による社会的信用の失墜

事件の内容や被疑者の社会的地位によっては、テレビや新聞、インターネットニュースで実名報道されることがあります。

一度報道されると、その情報はインターネット上に「デジタルタトゥー」として半永久的に残り続け、本人だけでなく家族の名誉や信用も大きく傷つけられます。

前科がつくことによる将来への影響

起訴されて有罪判決が確定すると「前科」がつきます。前科がつくと、特定の職業(公務員、弁護士、教員など)に就けなくなる、保有している資格が剥奪されるなどの法律上の制限を受けることがあります。

また、海外渡航の際にビザの発給が制限されるなど、社会生活の様々な場面で不利益を被る可能性があります。

家族への精神的・経済的負担

逮捕されたという事実は、ご家族にも大きな衝撃と不安を与えます。

周囲からの偏見や中傷に苦しんだり、精神的に追い詰められたりすることもあります。

また、一家の働き手が逮捕された場合、収入が途絶え、経済的に困窮してしまうケースも少なくありません。

逮捕されたらすぐにやるべきこと・やってはいけないこと

万が一逮捕されてしまった場合、パニックに陥る中で、その後の運命を分ける重要な行動があります。

【やるべきこと】すぐに弁護士に連絡する

逮捕された本人には、当番弁護士を1回無料で呼ぶ権利があります。警察官に「当番弁護士を呼んでください」と伝えれば、弁護士会から派遣された弁護士が接見に来てくれます。

とにかく外部の専門家である弁護士に一刻も早く連絡を取り、法的な助言を受けることが最も重要です。

また、ご家族が速やかに私選弁護人を選任し、接見に向かわせることも極めて有効です。

【やってはいけないこと】安易な供述や書面への署名

警察官や検察官による取調べで話した内容は、「供述調書」という書面にまとめられます。

この調書に一度署名・押印してしまうと、後の裁判でその内容を覆すことは非常に困難になります。たとえ事実と違う内容や、自分に不利な内容であっても、捜査官に促されるまま安易に署名してはいけません。

内容に納得できなければ、署名を拒否する権利があります。

まずは弁護士のアドバイスを受けるまで、黙秘権を行使することも検討しましょう。

ご家族ができること|逮捕の連絡を受けたら

ご家族が逮捕されたという連絡を受けたら、冷静さを失いがちですが、ご本人を支えるためにできることがあります。

まずは弁護士を探して接見(面会)を依頼する

ご家族がまず行うべきことは、刑事事件に強い弁護士を探し、本人との接見を依頼することです。

逮捕直後は家族でも面会が許されませんが、弁護士であれば原則としていつでも、誰にも立ち会われることなく本人と面会(接見)できます。

弁護士を通じて、本人の状況を確認し、今後の見通しや取調べへの対応について具体的なアドバイスを届けることが、何よりも本人の支えになります。

本人の着替えや現金を差し入れる

留置場での生活に必要な衣類(スウェットなど紐や金具のないもの)や、留置場内で日用品などを購入するための現金を差し入れることができます。

差し入れには細かいルールがあるため、事前に警察署の留置管理課に電話で確認するとよいでしょう。

今後のための証拠収集や示談金の準備

弁護士と連携し、捜査に有利に働く可能性のある証拠(アリバイを証明するレシートや防犯カメラ映像など)を集めたり、被害者がいる事件であれば示談交渉のための示談金を準備したりすることも重要です。

どのような行動が有効かは事件の内容によりますので、必ず弁護士と相談しながら進めてください。

なぜ弁護士への相談が不可欠なのか?依頼する5つのメリット

逮捕という危機的状況において、弁護士に依頼することは、未来を守るための最も有効な手段です。具体的には、以下のようなメリットがあります。

最短での身柄解放(早期釈放)の可能性が高まる

弁護士は、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを示す証拠(身元引受書など)を揃え、検察官や裁判官に意見書を提出します。

これにより、勾留請求をさせない、あるいは勾留決定をさせないよう働きかけ、逮捕から72時間以内、あるいはそれ以降の早期の身柄解放を目指すことができます。

取調べへの適切な対応をアドバイスし、不利な状況を防ぐ

弁護士は、接見を通じて本人から状況を聞き取り、黙秘権の適切な使い方や供述すべき内容、供述調書のチェックポイントなどを具体的にアドバイスします。

これにより、捜査機関の誘導に乗ってしまい、不本意な自白をしてしまうといった最悪の事態を防ぎます。

被害者との示談交渉をスムーズに進められる

被害者のいる犯罪では、被害者との示談成立が、不起訴処分や刑の減軽に極めて大きな影響を与えます。

加害者本人やその家族が直接交渉しようとすると、被害者の感情を害し、かえって事態が悪化することも少なくありません。

弁護士が間に入ることで、冷静かつ円滑な交渉が可能になります。

不起訴処分や執行猶予を獲得し、前科回避を目指せる

弁護士は、示談交渉のほか、本人の反省の情や更生の意欲を示す証拠を収集・提出し、検察官に対して起訴すべきでないと強く働きかけます。

その結果、不起訴処分を獲得できれば、前科がつくことを回避できます。

万が一起訴された場合でも、被告人に有利な事情を主張し、執行猶予付き判決の獲得を目指します。

会社や家族への対応についても相談できる

刑事事件への対応だけでなく、それに付随して発生する様々な問題についてもサポートします。

例えば、会社への連絡方法、不当な解雇を争う方法、ご家族の精神的なケアや今後の生活に関するアドバイスなど、幅広い支援が期待できます。

刑事事件の弁護士選びで重要な3つのポイント

弁護士なら誰でもいいわけではありません。刑事事件、特に逮捕事案の弁護を依頼する際は、以下の3つのポイントを重視して弁護士を選びましょう。

刑事事件の経験・実績が豊富か

弁護士にはそれぞれ得意分野があります。離婚や相続を専門とする弁護士に刑事事件を依頼しても、最善の結果は期待できません。

「刑事事件の弁護に精通しているか」「逮捕事案で身柄解放や不起訴処分を獲得した実績が豊富か」を、法律事務所のウェブサイトなどで必ず確認しましょう。

迅速に対応してくれるか(スピード感)

刑事弁護は時間との勝負です。

逮捕直後の72時間が極めて重要であるため、「相談後すぐに接見に行ってくれるか」「土日や夜間でも対応してくれるか」など、フットワークの軽さとスピード感は必須の条件です。

費用体系が明確で、説明が丁寧か

依頼する前に、着手金、成功報酬、接見の日当など、費用体系について明確な説明があるかを確認しましょう。

見積もりを提示し、なぜその金額になるのか、どのような活動に対して費用が発生するのかを、依頼者が納得するまで丁寧に説明してくれる誠実な弁護士を選びましょう。

刑事事件の逮捕に関するよくある質問(Q&A)

Q. 逮捕されたら家族でも面会できないのですか?

逮捕後、勾留が決定するまでの最大72時間は、原則としてご家族は面会できません。

その後、勾留が決定した場合でも、捜査機関が「接見禁止」の決定を裁判所から得た場合は、引き続き面会ができません。これに対し、弁護士は、接見禁止の有無にかかわらず、原則としていつでも本人と面会することが法律で保障されています。

Q. 会社にはどう連絡すればよいですか?正直に言うべき?

非常に難しい問題であり、一概に「こうすべき」とは言えません。

正直に「逮捕された」と伝えると、それだけで解雇につながるリスクがあります。一方で、理由を告げずに無断欠勤を続ければ、やはり解雇の正当な理由を与えてしまいます。

まずは弁護士に相談し、事件の内容や会社の就業規則、ご本人の立場などを総合的に考慮した上で、最善の対応策を検討することが重要です。

Q. 国選弁護人と私選弁護人は何が違いますか?

国選弁護人は、経済的な理由などで自分で弁護士を頼めない人のために、国が費用を負担して選任する弁護士です。

勾留された後でなければ選任されず、弁護士を自分で選ぶことはできません。

一方、私選弁護人は、ご本人やご家族が費用を負担して、自由に選任する弁護士です。最大のメリットは、逮捕された直後からすぐに活動を開始できる点にあり、初動のスピードが結果を大きく左右する刑事事件では非常に重要です。

Q. 弁護士費用はどれくらいかかりますか?

依頼する法律事務所や事件の難易度によって大きく異なりますが、一般的な相場としては、活動を開始するための「着手金」が30万円~50万円程度、不起訴や執行猶予といった成果が得られた場合に支払う「成功報酬」が30万円~50万円程度かかることが多いです。

初回相談を無料で行っている事務所も多いため、まずは複数の事務所に問い合わせて費用を確認することをお勧めします。

まとめ

刑事事件で逮捕されるという事態は、誰にとっても悪夢のような出来事です。

突然社会から隔離され、将来への不安に苛まれる中で、冷静な判断を保つことは極めて困難です。

しかし、忘れてはならないのは、逮捕後の未来は、逮捕直後からの迅速かつ的確な「初動」にかかっているという事実です。

そして、その初動の成否を分ける最も重要な鍵が、刑事事件に強い弁護士の存在です。 弁護士は、法的な知識と経験を駆使して、不当な身柄拘束からの解放、不利な供述調書の作成阻止、そして前科がつく事態の回避といった、ご本人とご家族の未来を守るためのあらゆる活動を行います。

もし、あなたやあなたの大切な人が逮捕されてしまったら、決して諦めないでください。そして、一刻も早く、信頼できる弁護士に相談してください。その一本の電話が、未来を切り開くための最初の一歩となるはずです。

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