不同意わいせつの示談金、いくら払う?相場と金額が決まる要因を解説
2026年04月27日

2023年7月13日に施行された改正刑法により、これまでの「強制わいせつ罪」と「準強制わいせつ罪」は一本化され、「不同意わいせつ罪」として新たに定められました。
もし、あなたが不同意わいせつ事件の加害者になってしまった場合、今後の刑事手続きや社会生活への影響に大きな不安を抱えていることでしょう。
逮捕や前科を回避し、事件を早期に解決するために極めて重要になるのが、被害者との「示談」です。そして、示談交渉において最大の焦点となるのが「示談金」の金額です。
この記事では、不同意わいせつ事件における示談金の相場、金額が決まる具体的な要因、そして示談交渉を成功させるための流れや注意点について、分かりやすく解説します。少しでも早い対応があなたの将来を左右します。まずは正しい知識を身につけ、次にとるべき行動を明確にしましょう。
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不同意わいせつ事件で示談はなぜ重要?
不同意わいせつ事件を起こしてしまった場合、被害者との示談を成立させることは、加害者にとって非常に大きな意味を持ちます。示談が成立しているかどうかは、検察官が起訴・不起訴を判断する際や、裁判官が刑の重さを決める際に重視される事情の一つだからです。具体的にどのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。
逮捕や前科を回避できる可能性が高まる
示談が成立し、被害者から「加害者の処罰を望まない」という宥恕(ゆうじょ)の意思表示が得られれば、検察官が不起訴処分とする可能性が高まります。
不起訴処分となれば、刑事裁判は開かれず、前科がつくこともありません。
職場や家庭への影響を最小限に抑えられる
また、逮捕・勾留されている場合でも、示談の成立によって早期に釈放される可能性が高まります。
逮捕・勾留が長引けば、職場に事件のことを知られたり、解雇されたりするリスクが高まります。
また、事件が報道されれば、家族や周囲の人々にも多大な影響が及びます。早期に示談を成立させ、事件を解決に導くことは、こうした社会生活上の不利益を最小限に食い止めることにつながります。
被害者への謝罪と被害回復につながる
示談は、単に刑事処分を軽くするためだけのものではありません。
加害者が自身の行為を真摯に反省し、被害者に対して謝罪の気持ちを伝えるとともに、示談金によって精神的・肉体的な苦痛に対する償いを行うという重要な意味を持ちます。
被害者の被害回復に真摯に取り組む姿勢を示すことは、加害者としての最低限の責任です。
不同意わいせつの示談金相場はいくら?
加害者が最も気になるのが「示談金としていくら支払うべきか」という点でしょう。不同意わいせつの示談金に法的な決まりはありませんが、過去の事例からある程度の相場が存在します。
示談金の相場は20万~150万円が目安
不同意わいせつ事件における示談金の相場は、一般的に20万円~150万円程度が目安とされています。
ただし、これはあくまで一般的なケースであり、わいせつ行為の態様や悪質性、被害の程度など、後述する様々な要因によって金額は大きく変動します。
示談金の内訳(慰謝料・損害賠償金など)
示談金は、主に以下の要素から構成されます。
慰謝料
被害者が受けた精神的苦痛に対する賠償金。示談金の大部分を占めます。
損害賠償金
治療費(精神科への通院費など)、カウンセリング費用、仕事を休んだ場合の休業損害、被害によって壊れた衣服の弁償費用など、事件によって発生した実質的な損害に対する賠償金。
迷惑料
上記のいずれにも分類されない、事件によって被った様々な迷惑に対する金銭。
示談金の金額が決まる7つの要因
示談金の額は、画一的に決まるわけではありません。以下の7つの要因が複雑に絡み合い、最終的な金額が決定されます。
わいせつ行為の態様・悪質性
行為が執拗であったか、計画的であったか、どの部位を触ったか、行為の時間など、わいせつ行為の内容が悪質であるほど示談金は高額になる傾向があります。
被害者の精神的苦痛の度合い
事件によって被害者が受けた精神的ショックの大きさは、慰謝料額に直結します。PTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断されるなど、精神的な被害が深刻であるほど金額は高くなります。
被害者の年齢(未成年者かなど)
被害者が未成年者、特に13歳未満の年少者である場合、その心身の健全な発達に与える影響が甚大であるとみなされ、示談金は著しく高額になります。
加害者と被害者の関係性
見ず知らずの相手からの被害ももちろん重大ですが、上司と部下、教師と生徒、親族など、信頼関係を裏切る形で行われた場合、被害者の精神的苦痛はより大きいと判断され、示談金が高額化する要因となります。
加害者の社会的地位や資力
加害者に支払い能力があるかどうかも考慮されます。医師や会社役員など社会的地位が高く、資力があると判断される場合、相場よりも高い金額を求められることがあります。
示談交渉のタイミング
捜査の初期段階など、早いタイミングで示談交渉を申し出ることで、加害者の反省の意思が伝わり、比較的穏当な金額で示談が成立することもあります。逆に、交渉がこじれて起訴が迫るタイミングになると、金額が高騰する可能性があります。
示談の成立が刑事処分に与える影響
示談が成立すれば不起訴になる可能性が高い事案では、加害者側も多少高額でも示談を成立させたいというインセンティブが働きます。こうした力関係も示談金額に影響を与えます。
示談金が高額になりやすいケースとは?
特に以下のようなケースでは、示談金が相場よりも大幅に高額になる可能性が高いと覚悟しておく必要があります。
暴行や脅迫を伴う悪質なケース
被害者の抵抗を抑えつけるために暴行や脅迫を用いた場合、行為の悪質性が極めて高いと判断されます。これは旧刑法の「強制わいせつ罪」に相当する悪質な態様であり、示談金は数百万単位になることも珍しくありません。
被害者が未成年者の場合
前述の通り、被害者が未成年であるという事実は、示談金額を大きく引き上げる要因です。特に、保護監督下にある者への行為や、13歳未満の児童に対する行為は、社会的な非難も極めて強く、示談金は非常に高額になります。
被害者に後遺症が残った場合
事件が原因で、被害者にPTSDやうつ病などの精神疾患が残ってしまった場合、将来にわたる治療費や逸失利益なども考慮されるため、示談金は高額化します。
加害者に反省の色が見られない場合
加害者が言い訳をしたり、責任を認めなかったりするなど、反省の態度が見られない場合、被害者の処罰感情は当然高まります。その結果、示談交渉そのものを拒否されたり、懲罰的な意味合いで非常に高額な示談金を要求されたりする可能性があります。
不同意わいせつの示談交渉の流れと進め方
不同意わいせつ事件の示談交渉は、専門家である弁護士を介して進めるのが鉄則です。ご自身で進めようとすると、事態をさらに悪化させる危険性が非常に高いためです。
弁護士に相談・依頼する
まずは刑事事件に精通した弁護士に相談し、正式に弁護を依頼します。弁護士は今後の見通しやとるべき対応について具体的にアドバイスしてくれます。
弁護士を通じて被害者の連絡先を確認する
加害者が直接被害者の連絡先を知ることはできません。弁護士が検察官や警察に連絡を取り、「被害者の方へ謝罪と賠償をしたいので、連絡先を教えていただけないか」と交渉します。被害者が了承した場合のみ、弁護士に連絡先が開示されます。
被害者へ謝罪し、示談交渉を開始する
弁護士が被害者(または被害者側の弁護士)に連絡を取り、まずは加害者の謝罪の意思を伝えます。その上で、示談金の額や支払い方法、その他の示談条件について交渉を開始します。
示談書を作成・締結する
双方が示談内容に合意したら、弁護士が法的に有効な「示談書(合意書)」を作成します。
示談金を支払い、示談書を捜査機関へ提出する
示談書に定められた期日までに示談金を支払います。支払いが完了したら、弁護士が示談書(の写し)を検察官や裁判官に提出し、示談が成立したことを報告します。
不同意わいせつの示談で注意すべきポイント
示談交渉を成功させ、望ましい結果を得るためには、いくつか重要な注意点があります。
加害者本人が直接交渉してはいけない
絶対に避けるべきです。加害者から直接連絡が来ること自体が、被害者にとっては恐怖であり、精神的苦痛を増大させます。また、冷静な話し合いは難しく、感情的な対立から交渉が決裂したり、「脅迫された」と受け取られたりするリスクさえあります。示談交渉は必ず弁護士に任せてください。
示談交渉は時間との勝負|適切なタイミングとは?
示談交渉にはタイムリミットがあります。検察官が起訴・不起訴を決定する前が良いです。起訴されてしまうと、執行猶予判決が得られたとしても前科がつきます。少しでも早く弁護士に依頼し、示談交渉を開始することが重要です。まさに時間との勝負と言えるでしょう。
法的に有効な示談書を作成する
示談書には、後々のトラブルを防ぐために必要な条項を盛り込む必要があります。不備のある示談書では、示談の効果が十分に認められない可能性もあるため、必ず弁護士に作成を依頼しましょう。
不同意わいせつの示談を弁護士に相談すべき3つの理由
ここまで読んでいただければ、弁護士の重要性はお分かりかと思いますが、改めて弁護士に依頼するメリットを3つにまとめます。
被害者の感情に配慮し、示談に応じてもらいやすくなる
大多数の事件では、加害者は被害者と直接連絡をとることはできません。第三者である弁護士が間に入ることで、被害者の警戒心や恐怖心を和らげることができます。弁護士は被害者の感情に最大限配慮しながら、冷静かつ丁寧な交渉を行うため、加害者本人が接触するよりも格段に示談に応じてもらえる可能性が高まります。
適正な示談金額で交渉を進められる
弁護士は、過去の膨大な事例や裁判例をもとに、事案に応じた適正な示談金の相場を熟知しています。被害者側から相場を大きく超える金額を提示された場合でも、法的な根拠に基づいて減額交渉を行うことができます。結果として、高額すぎる示談金を支払う事態を避けられます。
逮捕・勾留からの早期釈放や不起訴処分の可能性が高まる
無事に示談が成立すれば、その結果をまとめた意見書を提出するなど、不起訴処分を獲得するための的確な弁護活動を展開してくれます。
不同意わいせつの示談金に関するFAQ
不同意わいせつの示談金に関して、よく寄せられる質問とその回答をまとめました。
Q:被害者が示談に応じてくれない場合はどうすればよいですか?
被害者の処罰感情が非常に強く、どうしても示談交渉に応じてもらえない場合もあります。その場合でも、何もしないわけにはいきません。弁護士を通じて、謝罪文を提出したり、示談金相当額を法務局に預ける「供託」という手続きをとったり、弁護士会へ贖罪寄付することで、反省と賠償の意思を捜査機関や裁判所に示すことができます。これは示談成立ほどではありませんが、刑事処分を決定する上で有利な情状として考慮される可能性があります。
Q:示談すれば、必ず不起訴になりますか?
必ず不起訴になるとは限りません。示談の成立は、不起訴処分となる可能性を「大幅に高める」最も重要な要素ですが、最終的な判断は検察官が行います。例えば、行為態様が極めて悪質であったり、同種の前科があったりする場合には、示談が成立していても起訴される可能性があります。しかし、示談が成立していれば、起訴された場合でも執行猶予付き判決となる可能性が高まるなど、いずれにせよ加害者にとって有利に働きます。
Q:弁護士に依頼する費用はどれくらいかかりますか?
弁護士費用は、依頼する法律事務所や事案の難易度によって異なりますが、一般的には「着手金」と「成功報酬」で構成されます。不同意わいせつ事件の場合、着手金が30万~50万円程度、示談成立や不起訴獲得などの成果に応じた成功報酬が30万~50万円程度が目安となることが多いです。合計で60万~100万円程度を見込んでおくとよいでしょう。費用については、相談時に必ず弁護士に確認してください。
Q:逮捕される前に示談することは可能ですか?
可能です。被害届が提出される前(事件化する前)に、被害者と連絡が取れる状況であれば、弁護士を介して示談交渉を進めることができます。事件化前に示談が成立し、被害届を出さないという合意が得られれば、警察の捜査を受けることなく事件を解決できる可能性があります。これを「内々の示談」と呼ぶこともあります。ただし、この場合も当事者同士での接触は避け、必ず弁護士に間に入ってもらうことが重要です。
まとめ
不同意わいせつ事件の加害者となってしまった場合、示談の成否がその後の人生を大きく左右します。
そして何より重要なのは、示談交渉は決して一人で行わず、一刻も早く刑事事件に詳しい弁護士に相談・依頼することです。弁護士は、あなたの代理人として被害者との交渉を適切に進め、逮捕・勾留からの早期釈放や前科の回避(不起訴処分)に向けて、最善の弁護活動を行ってくれます。
不安な気持ちで時間を浪費してしまうことが、最も避けるべき事態です。まずは無料相談などを利用して、専門家である弁護士に連絡をとることから始めてください。それが、あなた自身の未来と、被害者への誠意ある対応の第一歩となります。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。
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