暗号資産の事業に対する弁護士の業務とは?対象分野や活動内容・費用なども紹介
最終更新日: 2024年01月31日
- 暗号資産の事業を起こしたいが、法制度がいまいちわからない
- 暗号資産の事業で行政から指摘を受けた場合、どこに相談すればよいのだろう?
- 暗号資産の事業には、はたして弁護士のサポートが必要なのだろうか?
暗号資産(仮想通貨)とは、インターネットを通じ、不特定多数者との間で商品等の対価として使用できる資産です。
ビットコインやイーサリアムをはじめ、いろいろな暗号資産が登場しています。暗号資産事業に乗り出したい企業も多いことでしょう。
しかし、暗号資産に関連した法律は非常に複雑で、法律の専門家のアドバイスやフォローが必要となります。
そこで今回は、暗号資産の知識に精通した専門弁護士が、暗号資産事業で弁護士が法的助言を行う有効性等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 弁護士が法的助言を行う分野は、デジタルトークンの発行や資金調達等、非常に幅広い
- 相談や依頼をするならば、暗号資産に詳しい弁護士を選ぶ
- 暗号資産の事業でトラブルが発生したら、弁護士は迅速に問題解決を図る
暗号資産の法的概念を弁護士が解説
暗号資産とは、インターネット上で自由にやりとりされ、通貨としての機能を持つ電子データです。
「資金決済に関する法律」では、次のように暗号資産を定義しています(同法第2条第14項)。
- 不特定の者に対し、代金の支払い等に使用でき、法定通貨(日本円、米国ドル等)とも相互に交換可能
- 電子的に記録され、移転できる
- 法定通貨または法定通貨建ての資産(プリペイドカード等)ではない
ごく限られた人だけが使用できたり、電子的なやりとりができなかったりすれば、暗号資産とはいえません。
暗号資産事業で弁護士が法的助言を行う分野
暗号資産事業は法令に則って運用しなければいけません。
事業を展開している企業、またはこれから事業を行う企業は、技術の活用だけでなく法律の誠実な遵守も求められます。
企業は法律の専門家である弁護士に助言を受ければ、円滑な事業展開が行えることでしょう。
デジタルトークンの発行
デジタルトークンとは、ブロックチェーン(分散型台帳)の仕組みを使用し、企業・団体等が独自に発行するデジタル権利証です。
ICOによる新規事業の資金調達で利用される等、活用の幅が広がっています。
ただし、デジタルトークンの場合、明確な定義が法律で定まっているわけではありません。
個別のデジタルトークンの機能等により、次のような金融規制上の法的分類がなされています。
- 暗号資産→資金決済に関する法律
- 前払式支払手段→資金決済に関する法律
- 為替取引の手段→銀行法、資金決済に関する法律
- 有価証券(電子記録移転権利等)→金融商品取引法
デジタルトークンの機能別に、様々な法律を確認しなければいけない点はおわかりでしょう。
どのような法律が適用されるのか、素人では判別できない可能性があり、弁護士の助言が必要不可欠となります。
ブロックチェーン技術の活用
ブロックチェーン(分散型台帳)とは、暗号資産の受け渡し等の取引記録を、ネットワーク上の端末同士と直接接続して、暗号技術を用い分散的に処理・記録するデータベースの一種です。
ブロックチェーン技術の活用は極めて広範囲に及んでいます。一例をあげましょう。
- あらゆるもののトレーサビリティの確保や管理サービスの提供
- 不動産をはじめとした投資の小口化、金融商品の組成
- ファンビジネス
- ゲームコンテンツ
- デジタル通貨を利用した資金決済分野 等
幅広い分野に活用されており、関係する法規制やルールも多岐にわたります。弁護士から助言を受けつつ、当該技術の活用を図れば、法的なトラブルは未然に防げることでしょう。
NFTの発行やプラットフォーム開発
NFT(Non-Fungible Token)とは非代替的トークンとも呼ばれ、偽造不可能な鑑定書・所有証明書付きのデジタルデータを指します。
暗号資産と異なり、同じトークンは存在せず、さらに分割も不可能です。
NFTの活用領域としては、デジタルアート、ゲームアイテムのような1点ものの取引が想定されます。
NFT取引の「場」となるプラットフォームを開発・提供するならば、プラットフォーム運営会社では規約を定め、安全な取引を図れるように配慮しなければいけません。
規約を定めるときには、弁護士と事前に相談し、プラットフォーム大手の規約等も参考にしつつ、ルールを取り決めていく必要があります。
ICOをはじめとする資金調達
ICO(Initial coin offering)とは、企業等がトークンを電子的に発行し、不特定多数の人達から法定通貨・暗号通貨を調達する行為の総称です。
株式公開・ファンド出資の募集と比較し、簡易迅速な手続きで資金調達ができると言われています。
しかし、ICOを利用する場合は資金決済に関する法律で規定する「仮想通貨交換業」(同法8条)に当たるのか、金融商品取引法が適用されるのか、判断に悩んでしまう場合もあるでしょう。
たとえば、以下の条件が揃えば、本ケースでのICOは金融商品取引法の適用を受けます。
- ICOで発行されるトークン購入者が、発行者からの事業収益の分配等を期待している
- 当該トークンが法定通貨で購入、または暗号資産で購入されるものの実質的に法定通貨で購入されると同視できる
企業側で判断がつき難い場合は、弁護士のアドバイスを受けながら、どの法律に該当するのかを把握していきます。
暗号資産取引所の立ち上げや運営
自社で暗号資産事業の部署を立ち上げたら、勝手に運営してよいわけではありません。
日本国内で暗号資産と法定通貨との交換サービスを行うには、「暗号資産通貨交換業の登録」が必要です。
申請は地方財務局で手続きを進めます。申請のときは財務局での事前相談〜登録可否の判断まで6か月程度かかってしまいます。
書類の不備や審査に通らなければ、事業の開始に支障が出るおそれもあるでしょう。
弁護士のサポートを受け、手続きを進めていけば、円滑に事業運営を開始できる可能性が高いです。
暗号資産に強い弁護士の特徴
暗号資産に関する法的助言を受けるとき、弁護士なら誰でもよいというわけではありません。
暗号資産に精通した弁護士へ相談し、サポートを依頼しましょう。
豊富な専門知識
暗号資産に関する法的なアドバイスを受けたいならば、インターネットの知識はもちろん、外国語や企業法務、金融関連の法律に豊富な知識・経験を有する弁護士の選任が必要です。
身近に助言を求められる弁護士がいないならば、法律事務所のホームページを確認しましょう。
ホームページに、暗号資産の相談事例やコラム等が豊富に掲載されている場合、その分野に精通している弁護士とみて間違いありません。
実績
暗号資産に関する手続き等へ携わってきた弁護士ならば、的確なサポートを行うことができます。
実績豊富かどうかは、暗号資産に関するコメンテーターとして、マスメディアに取り上げられている弁護士ならば実績豊富と言えるでしょう。
その他にも、ホームページで相談実績が具体的に明記されているか、暗号資産の著作物を多数執筆している弁護士か等でも判断できます。
暗号資産に関する弁護士の主な活動内容
暗号資産に関する相談や依頼をすれば、弁護士は企業の状況や暗号資産の現状を踏まえ、柔軟な対応を行います。
適正法リサーチ
暗号資産やデジタルトークン等は、様々な分野に活用されていて、関係する法規制やルールも多岐にわたります。
弁護士は企業の提供したい暗号資産等のサービスに、どのような法律が適用されるのかを判断し、企業側にアドバイスします。
弁護士が顧問となれば、契約期間中、企業が法律の解釈に悩まされる事態を回避できます。
手続代行
法的な観点の他、各種技術面やビジネス面にも精通した弁護士ならば、暗号資産等のサービスの法的検証、許認可・登録に係る行政対応を任せられます。
弁護士はコンプライアンスをはじめとする社内体制の整備、プラットホームの利用約款や関連契約の作成等、いろいろな事業活動をサポートします。
交渉
弁護士は暗号資産事業に関するシステム開発の契約書作成や修正、契約締結交渉も行います。相手方とトラブルが発生した場合の紛争解決も、弁護士を窓口に迅速な対応が可能です。
弁護士を代理人とすれば、法律と経験を駆使した主張や調整が行われるので、理性的かつ迅速に相手方との和解を図れます。
暗号資産に関する弁護士の対応費用
暗号資産の法的なアドバイスの料金や、許認可・登録に係る行政対応の費用等は、各法律事務所が自由に設定可能です。
暗号資産に関する費用の目安は次の通りです。
- 顧問契約(法律相談、契約書作成および修正等):月額5万5,000円~
- 監査役等(最高法務責任者・執行役員として経営判断に参加):月額15万円~
なお、法律事務所への相談料は30分5,000円が目安です。中には、初回相談無料の良心的な法律事務所もあります。
暗号資産の問題解決は弁護士に相談を
今回は暗号資産等の法的なアドバイスに携わってきた専門弁護士が、暗号資産事業で弁護士が果たす役割等を詳しく解説しました。
暗号資産に関する法令はかなり複雑であり、弁護士を顧問として事業運営や行政対応に備えた方がよいでしょう。
弁護士のアドバイスやサポートを受けながら、暗号資産事業を推し進めてみてはいかがでしょうか。