離婚の決め手はここ!理由とタイミング・取るべき行動を解説
最終更新日: 2023年10月30日
- 正直、配偶者と離婚したいと思っている。他の夫婦が離婚した理由を是非知りたい。
- 夫婦の一方が離婚を決めたのは、どのような深刻な事態が原因だったのだろう?
- 離婚を決めたときに取るべき行動としては何があるだろう?
夫婦が離婚を決めた理由や決定的な出来事は、夫婦によっていろいろ違いがあるでしょう。
しかし、離婚調停等の申立てについては、その動機が公表されています。それを見れば、現在離婚をしたいと考えている人と共通する理由もあるかもしれません。
どのような理由で夫婦が離婚を決意したのか、気になる人も多いでしょう。
そこで今回は、多くの離婚問題に携わってきた経験豊かな弁護士が、離婚の決め手となる理由やタイミング、離婚を決めたときに行うべき行動等について詳しく解説します。
本記事の要点は次の通りです。お悩みの方は詳細を弁護士と無料で相談が可能です。
- 離婚の決め手となる理由は「性格の不一致」が圧倒的に多い
- 離婚の決め手となる事態や出来事は不貞行為や悪意の遺棄等である
- 離婚を決めたのであれば、離婚を有利に進めるための証拠集めや、弁護士との相談が不可欠
離婚の決め手となる理由
離婚の決め手になった理由は、司法統計年報(最高裁判所事務総局)「第19表 婚姻関係事件数―申立ての動機別」にまとめられています。
こちらでは、夫婦が離婚を決意した主な理由4つについて解説します。
性格の不一致
離婚の決め手になった理由は、「性格が合わない」が夫婦ともに最多となっています。
夫または妻からの離婚調停等の申立総数57,062人のうち、実に4割以上の25,278人(44%以上)が性格の不一致が理由と回答しています。
ただし、「性格が合わない」に加え複数の理由から離婚を決めている場合が多く、必ずしも1つの理由だけで、離婚に踏み切ったわけではありません。
夫婦別で「性格が合わない」を理由に挙げた件数・割合は、下表の通りです。
申立人 | 理由「性格が合わない」件数/総件数(割合) |
夫 | 9,127/15,176(60.1%) |
妻 | 16,151/41,886(38.6) |
合計 | 25,278/57,062(44.3%) |
暴力・モラハラ
身体的な暴力、強引な性交渉、言葉の暴力等、深刻な理由をあげる夫婦も多いです。
申立ての動機別で「暴力を振るう」と「精神的に虐待する(モラハラ)」に分かれていますが、2つを合計すると41%になり、「性格が合わない」に次いで高い割合を占めています。
夫婦別で暴力・モラハラを理由に挙げた件数・割合は、下表の通りです。
申立人 | 理由「暴力を振るう」 件数(割合) | 理由「精神的に虐待する」 件数(割合) |
夫 | 1,353(8.9%) | 3,234(21.3%) |
妻 | 7,861(18.8%) | 10,948(26.2%) |
合計 | 9,214(16.1%) | 14,209(24.9%) |
不倫
「異性関係」という理由が7,434件(約13%)と、こちらも高い割合です。
異性関係には、浮気相手との不貞行為の他、好きな人ができ肉体関係にまでは至っていないものの、その人と交際したいので別れたいという理由も想定されます。
夫婦別で異性関係を理由に挙げた件数・割合は、下表の通りです。
申立人 | 理由「異性関係」件数(割合) |
夫 | 1,779(11.7%) |
妻 | 5,655(13.5%) |
合計 | 7,434(13.0%) |
子ども
「第19表 婚姻関係事件数―申立ての動機別」には、子どもが離婚の理由になったという動機は明記されていません。
しかし、夫婦の一方が配偶者にではなく、子どもに対して問題行動を取った場合も、離婚の決め手になる可能性があります。
次のような理由が想定されます。
- 子どものへのDV:身体的な暴力、強制的な性交および性交類似行為、ネグレクト等
- 子どもへの言葉の暴力:子どもを傷つける暴言「産むんじゃなかった!」等
- 生活費を渡さない:子どもの困窮等
離婚の決め手となるタイミング
離婚の決め手となるタイミングは夫婦それぞれですが、主に次のような出来事があげられます。
不貞行為がわかった
配偶者と浮気相手の不貞行為が判明したとき、離婚の決め手となったというケースが多いです。
不貞行為が発覚するのは、主に次のような事実がわかった場合です。
- 夫婦の一方がSNSやメール等で浮気相手と連絡を取っている:(例)〇〇ホテルで〇時に待ち合わせ等
- スタンプがたくさん押されたラブホテルのスタンプカードをみつけた
- 配偶者が浮気相手と共にラブホテル、浮気相手宅へ出入りした画像、動画を撮影できた
- 配偶者の浮気の自白を録音した 等
ただし、裁判離婚で配偶者の不貞行為を理由に、離婚および慰謝料を請求するためには、浮気相手との性行為の証拠が必要です。
そのため、浮気相手と一緒にラブホテルへ出入りしている画像や動画の撮影、配偶者の浮気の自白を録音したテープ等があれば、確実な証拠として裁判所に提出できます。
悪意の遺棄に該当した
「悪意の遺棄」とは、やむを得ない理由がないにもかかわらず、配偶者が同居を拒否したり、家族との協力や扶け合いを拒んだりする行為が該当します。
- 家族を自宅へ置き去りにし、頻繁に家出をした
- 逆に家族を自宅から追い出した
- 健康なのに働きもせず、怠けて家事もしない 等
このような対応が原因で、夫婦の一方が離婚を決意するケースもあるのです。悪意の遺棄は裁判離婚の法定離婚事由となります(民法第770条第1項)。
婚姻を継続しがたい重大な出来事があった
「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」は、裁判離婚の法定離婚事由となります(民法第770条第1項)。
主に次のようなケースが該当します。
- 夫婦が長期間にわたり別居状態となっている
- 夫婦がセックスレスになり関係修復が極めて困難となっている
- 配偶者からDVやモラハラを受けた
- 配偶者が重大な罪で服役してしまった
このように夫婦の一方から暴力・暴言等を受けた場合や、他に婚姻を継続し難い状況となった場合は、離婚の交渉や調停、そして訴訟が行われるケースもあるのです。
家族を取り巻く環境の変化があった
夫婦の一方の家族と同居するようになった、子どもが成人し自立した等、家族の環境の変化で離婚を決意する場合もあります。
たとえば、夫婦の一方の親等と同居したときに、配偶者の親や兄弟に無視されたり、口論したりして、同居の家族との不和に悩み、離婚を決めるというケースが考えられます。
もともと配偶者との関係がギクシャクして離婚したかったが、離婚により「子どもが精神的に傷つくのでは」と考え、思いとどまっていたケースも考えられます。このような場合は、子どもが成人し自立したタイミングで、離婚を決意することもあるでしょう。
離婚を決めたら取るべき行動
離婚の方法は協議離婚、調停離婚、裁判離婚の3種類があります。いずれの方法でも離婚を主張するためには証拠の収集が必要です。
こちらでは、離婚したい人がとるべき行動について解説しましょう。
証拠収集
離婚の交渉や調停、裁判を有利に進めるために、配偶者が離婚の原因をつくった、という証拠を集めましょう。
たとえば、配偶者の暴力が原因の場合は、次のような証拠を集めます。
- 配偶者から暴力を受けている画像や動画、音声
- 医師が作成した診断書
- 暴行を受けた部分(外傷やアザ等)の写真
- 警察等への相談記録
協議離婚、調停離婚で配偶者が離婚に納得しなくても、裁判離婚でこれらの証拠を提出できれば、訴訟を提起した原告の主張が認められる可能性は高いです。
弁護士への相談
離婚を決意したときは、まず弁護士に相談しましょう。
離婚の交渉、調停や裁判の経験が豊富な弁護士であれば、離婚を進めるときに何をすべきか、相談者にわかりやすくアドバイスします。
また、弁護士を代理人にたてれば弁護士が本人に代わって配偶者と交渉するので安心です。
有利に離婚の手続きを進めたいときは、弁護士の力を借りましょう。
まとめ
今回は多くの民事事件に携わってきた専門弁護士が、夫婦が離婚を望むようになった理由やタイミング、離婚を進めるポイント等について詳しく解説しました。
どのような理由があるにせよ、離婚すべきか否かを夫婦で冷静に話し合うことは大切です。
離婚を決意したときは、速やかに弁護士と相談し、今後の対応方法を検討してみましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。