離婚後に養育費を払わないリスクと未払い対策を解説!免除されるケースも紹介

最終更新日: 2024年11月08日

離婚後に養育費を払わないリスクと未払い対策を解説!免除されるケースも紹介

  • 養育費を支払うべき相手がなかなか支払ってくれない。どうしたらよい?
  • 養育費を支払う取り決めだったが、自分の生活が困窮している。免除してもらえないか?
  • 養育費のトラブルは、弁護士に相談した方がよいのだろうか?

離婚について話し合った結果、養育費を支払うと決めたのであれば、取り決め通りに支払われなければいけません。

しかし、何らかの理由で支払いが滞る場合も想定されます。

そこで今回は、離婚問題の解決に携わってきた専門弁護士が、養育費を払わないとどうなるのか?養育費の支払いが免除されるケース等について詳しく解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • 養育費の支払いが滞れば、最終的に強制執行できる
  • 養育費を支払う側に支払い能力がない等の場合は、免除される可能性もある
  • 養育費に関するトラブルが起きたら、専門の弁護士に相談した方がよい

離婚に強い弁護士はこちら

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

詳しくはこちら

離婚後に養育費を払わないとどうなるのか?罰則は?

養育費を支払わないままだと、最悪の場合には強制執行を受ける可能性があります。

養育費は、子どもの生活費・医療費・教育費を賄う大切な資金です。養育費は、基本的に、子どもを直接養育しない親が負担しなければいけません。

支払いが滞った場合は、交渉や調停・審判で状況の打開を図ります。

不払い発生

あなたが相手から養育費を受け取る側であれば、期限になっても支払いが行われていないときは、支払う側に連絡を取る必要があります。

支払う側が仕事で忙しく、たまたま支払い期限が過ぎただけなら「〇月〇日までに支払って」と、催促する程度で済むでしょう。

もちろん、指示した日時に指定口座へ養育費が振り込まれているか、忘れずに確認が必要です。

しかし、いつまで経っても支払う側と連絡がつかない場合や突如支払いを拒否された場合は、交渉して養育費の支払い再開を求める必要があります。

交渉

養育費の支払いを行わない相手と、冷静に交渉を行いましょう。

支払う側が原因で離婚した場合、「あなたが不倫したからこうなったんでしょう」「あなたには家族を裏切った責任がある」等と過去を蒸し返さずに、理性的な対応が求められます。

まずは養育費を払わない理由について問いただしましょう。

相手は次のように返答する可能性があります。

  • 会社が倒産した
  • 転職して収入が減った
  • 病気やケガをして入院した 等

上記のようなやむを得ない理由の場合は、支払期日を延期したり、養育費の減額に応じたりして、柔軟に話し合いましょう。

調停・審判

交渉しても養育費の支払いに応じない・連絡を取りたくても無視されるといった場合、家庭裁判所に養育費の調停を申し立てましょう。

調停の申立ては、養育費を受け取る側・支払う側いずれからでも可能です。

家庭裁判所では、調停委員が当事者の間に入って双方の主張の隔たりを埋められるよう、助言・解決案の提示を行います。

調停が不成立に終わった場合は、審判で養育費問題の解決を図りましょう。

養育費に関して、すでに家庭裁判所の調停・審判を経ていたり、強制執行認諾文言付き公正証書を作成したりしている場合は、改めて調停・審判を受ける必要はありません。

履行勧告・履行命令

調停・審判で養育費の支払いを決めたにもかかわらず、支払いがなされないときは、家庭裁判所に履行勧告の申出・履行命令の申立てを行うことができます。

ただし、一般的には履行勧告・履行命令を経ずに、いきなり強制執行を行う可能性が高いです。

履行勧告・履行命令の内容は、次のとおりです。

  • 履行勧告:必要な調査をして支払う側に、家庭裁判所が養育費の支払いを勧告する
  • 履行命令:履行勧告によっても養育費が支払われない場合に、支払う側へ、養育費の支払いを命じる

勧告に罰則はありませんが、履行命令に従わない場合は、10万円以下の過料を科せられる可能性があります。

強制執行

養育費を支払う側がいつまでも支払いに応じない場合は、最終的には強制執行を申し立てることになります。

主に支払う側の預金口座・給与等を差し押え、強制的に金銭を徴収することになるでしょう。

強制執行をするためには、債務名義と呼ばれる書類が必要です。債務名義に該当する書類は次の通りです。

  • 調停調書
  • 審判書
  • 判決書
  • 強制執行認諾文言付き公正証書

給与が差し押さえられると、養育費を支払っていない事実が職場に知れ渡り、信用を失う可能性があります。

支払う側であるなら、差押さえを受ける前に、養育費の支払いに応じた方がよいでしょう。

離婚後に養育費を払わない場合でも免除されるケース

支払う側にやむを得ない理由があるときや受け取る側の事情が変化したときは、養育費の支払を減額または免除される場合があります。

支払う側と受け取る側の話し合いで、減額・免除を決める場合もあれば、調停・審判で解決を図る場合もあります。

相手と合意している

養育費は子どもがいる場合の大切な資金となるものですが、次のように夫婦で合意しているときは、養育費が免除されることがあります。

  • 養育費の代わりに、親権者となる親へ多めに財産を分配した
  • 親権者となる親へ慰謝料という形で多額のお金を渡す代わりに、養育費の免除に合意した
  • 親権者となる親と子が、引き続き住居を利用するので養育費を免除した

ただし、子どもが小・中・高校と進学するにつれ教育費がかかるので、養育費が不要かどうかは慎重に検討しましょう。

支払い能力がない

養育費を支払う側に支払い能力がない場合、養育費の減額や免除が認められる可能性もあります。

次のようなケースでは受け取る側と交渉したり、調停を申し立てたりして、養育費の減額・免除が図れます。

  • 養育費を支払う側の勤め先が倒産して失業した
  • 養育費を支払う側が病気やケガで入院し、無収入となった
  • 養育費を支払う側が、自然災害で家や財産を失った 等

単に養育費を支払うのが嫌だという理由で拒否しても、当然、養育費の減額・免除は認められません。

収入の差がある

子どもの親権者である受け取る側の収入が多ければ、支払う側の養育費の負担を軽減できたり、免除されたりする可能性があります。

離婚当時は養育費を支払う側の収入が多かったとしても、離婚後に受け取る側が昇進や事業に成功する等で、高い収入を得られるケースもあるでしょう。

一方、支払う側には子どもの生活レベルを自分と同じ程度に保障する「生活保持義務」があります。

子どもの困窮を避けるために、支払う側の生活レベルを落としてでも、養育費を支払わなければならない場合もあるでしょう。

ただし、受け取る側の収入が子どもを十分に養えるほど多ければ、支払う側が無理に養育費を負担する必要はありません。

そのため、支払う側・受け取る側が離婚後も定期的に面会し、現在の収入・経済状態を相互に確認する方がよいでしょう。

新たな親と養子縁組がある

養育費を受け取る側が再婚し、再婚相手と子どもが養子縁組した場合、支払う側の養育費負担は減額または免除される可能性が高いです。

なぜなら、養親となった再婚相手が第一次的な扶養義務者となるからです。養子縁組後は養親が優先的に子どもを扶養しなければいけません。

ただし、実の親である支払う側が完全に養育費の支払い義務が免除されるとは限りません。養親に十分な収入がない場合は、支払う側は養育費の不足分を補う必要があります。

子どもが養子縁組したからといって、支払う側が一方的に養育費の支払いを打ち切ると、子どもが経済的に困窮する場合もあるので注意しましょう。

子どもが経済的に自立した

子どもが就職等して経済的に自立できたときは、養育費は不要です。

ただし、子どもが仕事に就いたという理由で、支払う側から一方的に養育費を打ち切るのは早計です。

支払う側・受け取る側が再度話し合い、養育費の支払いを継続するかどうかについて、慎重に判断しましょう。

再度話し合うときは子どもを参加させ、養育費を受け取るかどうか、率直な意見を聞くのもよい方法です。

離婚後に養育費を払わない事態が起きたら

養育費の支払いが滞ると、子どもに深刻な影響が生じる可能性があります。経済的な困窮はもちろん、就学の機会を失うおそれもあるでしょう。

安定的な養育費の確保を図るための対応と、どうしても養育費を支払えない事情がある場合の対応について説明します。

相手が払わないとき

養育費の支払いが滞っているときは、受け取る側は迅速に支払う側へ請求しましょう。次の方法が考えられます。

  • まずは支払う側に電話やメール、面会する等して養育費の支払いを請求
  • 内容証明郵便を利用し請求:支払う側にプレッシャーを与えられる
  • 調停・審判を行う:家庭裁判所で養育費問題の解決を図る
  • 強制執行で養育費を確保する:支払う側の給料・預金を差し押さえる

内容証明郵便とは、一般書留郵便物の内容を郵便局が証明するサービスです。

養育費を支払わせるための強制力はないものの、支払う側が内容証明郵便を確認すれば、請求に応じる場合もあります。

内容証明郵便の請求に応じず、調停・審判になったときは、受け取る側が適切な対応をしているのに、支払う側が義務を怠っているという事実が証明できます。

調停・審判で解決を図る可能性がある場合は、早期に弁護士へ相談し、法的なアドバイスやサポートを受けることがおすすめです。弁護士に依頼すれば、迅速に手続きが進みます。

自分が払えなくなったら

養育費を支払う立場でありながら、やむを得ない理由で養育費が払えない状態となったときは、家庭裁判所に養育費減額の申立ても可能です。

申し立てるときは次の書類を準備し、相手方(受け取る側)の居住地を担当する家庭裁判所へ提出します。

  • 申立書原本・写し:各1通
  • 送達場所の届出書:1通
  • 事情説明書:1通
  • 進行に関する照会回答書:1通
  • 未成年者の戸籍謄本:1通
  • 申立人(支払う側)の源泉徴収票や給料明細、確定申告書等の写し
  • 収入印紙:子ども1人につき1200円
  • 郵便切手:180円1枚、110円10枚、50円2枚、10円10枚
  • 非開示の希望に関する申出書:非開示を望むときのみ必要

申立ての前に弁護士のアドバイスを受けて準備した方が、安心して手続きを進められます。

離婚後に養育費を払わないことでお悩みなら弁護士に相談を

今回は離婚成立に尽力してきた専門弁護士が、養育費の支払いが滞った場合の対応等について詳しく解説しました。

養育費の支払いを拒否されている場合や、やむを得ない理由で養育費の支払いが困難な場合は、弁護士に相談して対応を協議した方がよいでしょう。

法律事務所の中には、初回相談を無料で受け付けているところもあります。まずは気軽に担当者へ悩みや不安を打ち明けてみましょう。

離婚に強い弁護士はこちら

離婚のコラムをもっと読む

※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。