離婚の養育費を徹底解説!計算方法や支払い方法などを弁護士が紹介

最終更新日: 2023年07月04日

  • 離婚したいけど子供の養育費を払わないといけないのだろうか?
  • 離婚した後の養育費を計算するにはどうすればいい?
  • 離婚した後に養育費を変えることはできるのか?

離婚するときに子供がいる場合は、養育費にも注意しなければなりません。離婚しても法的な親子関係は続くため、子供が成人するまで養育費を支払う必要があります。

養育費の相場はどのくらいか、どうやって計算するのか、わからない方も多いでしょう。

また、支払う側の収入が減って今の養育費を支払い続けることが困難なケースや、養育費をまったく支払ってくれないケースにおける対応も気になるのではないでしょうか。

そこで今回は、離婚問題の専門弁護士が、養育費の意味や計算方法、支払う期間などについて解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • 離婚するときの養育費は、原則として請求時点から子供が20歳になるまで支払う必要がある
  • 離婚した後の養育費を計算するには、「養育費算定表」を使って計算
  • 離婚した後に養育費を変えることは、状況次第で可能

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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離婚時に子供がいたら養育費が発生!?基礎知識を解説

ここでは、養育費の基礎知識について、以下の2つを解説します。

  • 養育費の意味
  • 養育費の内訳

それでは、1つずつ解説します。

養育費の意味

基礎知識の1つ目は、養育費の意味です。

養育費は、子供が成人して自立した生活を行えるようになるまでの、子育てにかかる費用です。離婚しても子供と法的な親子関係は続くため、民法877条1項に基づき、引き続き未成年者の子供を世話する義務が生じます。

直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。

※民法877条1項より引用

夫婦が離婚しなければ、子供への養育費は自然と支払われますが、離婚して子供と離れていても、非親権者は親権者に対し養育費を託す必要があるのです。

出典:民法(明治二十九年法律第八十九号)|e-GOV法令検索

養育費の内訳

基礎知識の2つ目は、養育費の内訳です。

養育費の内訳は、大きく分けると以下の5つです。いずれも子供の健康な生活、成長に必要な費用で、できる限り具体的に取り決めを行うことが欠かせません。

子供の生活費 食費や住居、光熱費など
教育費 授業料や塾代、教材費など
医療費 治療費や薬代など
小遣い 子供のお小遣い
交通費 通学などに必要な交通費

離婚するときの養育費はどう計算するのか

ここでは、養育費の計算方法について、以下の2つを解説します。

  • 相場
  • 養育費算定表

それでは、1つずつ解説します。

相場

1つ目は、養育費の相場です。

厚生労働省の調査によると、2016年における養育費の平均額は、以下のとおりでした。

  • 母子家庭では43,707円/月
  • 父子家庭では32,550円/月

また、子供の数別に平均の養育費を表にまとめると、それぞれ以下の通りです。

子どもの数

母子世帯

父子世帯

1人

38,207円/月

29,375円/月

2人

48,090円/月

32,222円/月

3人

57,739円/月

42,000円/月

4人

68,000円/月

出典:平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果|厚生労働省

養育費算定表

2つ目は、養育費算定表です。

養育費算定表は、以下の基準により養育費を算出するための表です。

  • 養育費を支払う側の年収
  • 養育費を受け取る側の年収
  • 養育費を支払う側が自営業か給与所得者か
  • 子供の数や年齢

インターネット上でも公開されているので、参考にしてみてください。

出典:養育費・婚姻費用算定表|裁判所

離婚するときの養育費はいつまで発生するのか

ここでは、離婚してからいつまで養育費が発生するかについて、以下の2つを解説します。

  • 原則として請求時点から子供が20歳になるまで支払う
  • 一度決めた養育費を増減させることも可能

それでは、1つずつ解説します。

原則として請求時点から子供が20歳になるまで支払う

1つ目は、養育費をいつからいつまで支払う必要があるかです。

養育費を支払う期間は、養育費を請求した時点から、子供が成人になるまでです。養育費を過去にさかのぼって請求することはできません。

また、民法改正により成人が18歳になったものの、実務上、養育費は20歳まで支払うことが必要とされています。

なお、養育費の請求も、原則として子供が20歳になるまでしか請求できません。また、養育費は通常月々の分割払いで、一括払いの強制はできません。養育費を支払う側と受け取る側双方の合意があれば一括払いも可能ですが、利息や税金を考え、本当に一括払いが妥当か判断しましょう。

一度決めた養育費を増減させることも可能

2つ目は、一度決めた養育費を増減させることが可能かどうかです。

結論から言えば、養育費を増減させることは可能です。たとえば、以下の場合は養育費の免除・減額を主張できる可能性があります。

  • 養育費を支払う側の収入が下がり、一度決めた養育費の支払いが困難な場合
  • 養育費を支払う側が再婚し、扶養者ができた場合
  • 養育費を受け取る側が再婚し、子供が再婚相手と養子縁組した場合
  • 養育費を受け取る側の収入が上がり、経済的余裕ができた場合

ただ、これらの理由があっても、養育費を支払う側が一方的に、支払いのストップや減額を行うことはできません。協議や調停を経て、養育費を支払う側と受け取る側双方の合意を行うことが欠かせないのです。

離婚後に再婚しても養育費は発生するのか

離婚後に再婚しても、基本的には子供が成人しない限り養育費は発生します。これは、再婚した場合でも法律上の親子関係は継続するからです。ただ、再婚相手の子供と養子縁組を行なった場合は、その子供を扶養する義務が生じます。

また、再婚相手の子供の方が、扶養の優先度が高まります。そのため、再婚後の経済状況を考慮して養育費の支払い条件を変更することが妥当と認められれば、養育費の減免が発生することもあり得るのです。

ただし、養育費の条件は一方的に変更できないので、当事者間の協議や家庭裁判所の調停などを経て、条件の変更を行いましょう。

離婚しても養育費を支払ってくれない場合はどうするのか

ここでは、離婚しても養育費を払ってくれない場合の対応方法について、以下の2つを解説します。

  • 履行勧告/命令
  • 強制執行

それでは、1つずつ解説します。

出典:養育費に関する手続|裁判所

履行勧告/命令

対応方法の1つ目は、履行勧告/命令です。

履行勧告は、養育費の支払い状況(履行状況)を調査して未払い分を取り決め通り支払うよう、家庭裁判所から催促してもらう制度のことです。ただし、履行勧告自体に強制力はありません。

一方、履行命令は、履行勧告があっても未払い分が支払われておらず、家庭裁判所がそのことを相当と認めた場合に、一定の時期までに未払い分を支払うよう命令することです。履行命令に正当な理由なく従わない場合は、10万円以下の過料が課せられます。

なお、履行勧告/命令は、ともに調停や裁判で養育費に関して取り決めを行なっていないと利用できません。

強制執行

対応方法の2つ目は、強制執行です。

強制執行手続が認められると、相手の給料や預貯金から未払い分の養育費を回収できます。強制執行手続を行うには、調停や裁判で養育費を取り決めたときに公正証書を作成しておくことが必要です。

ただし、養育費について取り決めがない場合や公正証書がない場合でも、養育費の調停や審判が申し立てられた場合には、強制執行手続をとられる可能性があります。

また、民事執行法の改正(2020年4月1日施行)により、相手の勤務先や預貯金口座がわからなくても、裁判所が市町村や日本年金機構などに問い合わせることで、これらの情報を得ることが可能になりました。

離婚の養育費トラブルは弁護士に相談を

今回は、離婚問題の専門弁護士が、養育費の意味や計算方法、支払う期間などについて解説しました。

養育費は、子供が成人するまで必要な費用で、基本的には養育費算定表に基づき算出されます。原則的には子供が20歳になるまで、養育費を支払う必要があるものの、支払う側の収入が大幅に増減大幅に増減した場合などは、一度決めた養育費を増減できるケースもあります。

離婚時に取り決めた養育費を支払ってくれない場合は、履行勧告/命令や強制執行も視野に入れましょう。強制執行を行うときには、公正証書を作成することがおすすめです。

ただ、これら離婚の養育費トラブルを速やかに解決するには、法的な知識や豊富な交渉経験が欠かせません。そのため、離婚問題のプロの弁護士を多数有する、当事務所へのご相談をおすすめします。

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