離婚後の養育費はどう決める?相場・計算方法・未払い対処法を弁護士が解説
最終更新日: 2026年06月23日

離婚後、子どもを育てていくうえで養育費は欠かせない収入です。
しかし「相場がわからない」「取り決め方を知りたい」「払ってもらえなかったらどうすればいい?」と不安を感じている方は少なくありません。
この記事では、養育費の基本から相場の目安・計算方法・取り決め方・未払いへの対処法まで、離婚問題を取り扱う弁護士がわかりやすく解説します。
この記事を監修したのは
職員が丁寧にお話を伺います初回無料
養育費とは?誰が払う?何のためのお金?
養育費とは、子どもを養育するために必要な費用を、子どもと別居している親(非監護親)が支払うものです。
根拠は民法877条に定められた「扶養義務」であり、親権の有無にかかわらず、すべての親が子どもを扶養する義務を負います。
養育費には以下のような費用が含まれます。
費用の種類 | 具体例 |
生活費 | 食費・被服費・住居費・光熱費 |
教育費 | 授業料・教材費・塾代・学用品 |
医療費 | 通院費・薬代・保険適用外の治療費 |
小遣い | 子どもの日常の小遣い |
交通費 | 通学・通塾の交通費 |
重要なのは、養育費は「子どもの権利」であるという点です。
監護親(子どもと同居する親)が受け取りますが、それはあくまで子どもに代わって管理するためのものです。
よくある誤解 | 正しい理解 |
不倫をした側は養育費を払わなくていい | 離婚の原因にかかわらず支払い義務がある |
親権がなければ払わなくていい | 非監護親(別居する側)が支払う義務を負う |
子どもに会わせてもらえないなら払わない | 面会交流と養育費は別問題(後述) |
再婚したら自動的に養育費は終わる | 再婚しても原則として支払い義務は続く |
養育費の相場はどのくらい?
統計データから見る養育費の実態
裁判所の司法統計(令和5年)によると、調停・審判で取り決められた養育費の月額で最も多いのは「4万円以上6万円未満」(31.13%)、次いで「6万円以上8万円未満」(26.09%)となっています。厚生労働省の調査では、養育費を受け取っている母子世帯の平均月額は約5万円です。
ただしこれは統計上の数字であり、自分のケースに当てはまるとは限りません。養育費の金額は双方の年収・子どもの人数・年齢によって大きく変わります。
年収・子どもの人数別の目安(監護親の年収が低い場合)
以下は、監護親(受け取る側)の年収が0〜100万円程度の場合の、非監護親(支払う側)の年収別・月額目安です。
非監護親の年収 | 子ども1人(0〜14歳) | 子ども1人(15歳以上) | 子ども2人(両方0〜14歳) |
200万円 | 1万〜2万円 | 2万〜3万円 | 2万〜3万円 |
300万円 | 2万〜4万円 | 3万〜5万円 | 4万〜6万円 |
400万円 | 4万〜6万円 | 4万〜6万円 | 6万〜8万円 |
500万円 | 4万〜6万円 | 6万〜8万円 | 6万〜8万円 |
600万円 | 6万〜8万円 | 6万〜8万円 | 8万〜10万円 |
700万円 | 6万〜8万円 | 8万〜10万円 | 10万〜12万円 |
800万円 | 8万〜10万円 | 10万〜12万円 | 12万〜14万円 |
1000万円 | 10万〜12万円 | 12万〜14万円 | 16万〜18万円 |
※ 上記は裁判所の養育費算定表(令和元年版)をもとにした概算です。監護親の収入が高い場合は支払額が下がります。実際の金額は双方の収入・子どもの状況によって異なります。
子どもの数・年収別の詳しい相場はこちらで解説しています。
不倫が絡む離婚の場合の養育費についてはこちら。
養育費の計算方法(算定表の使い方)
自分のケースの養育費の目安を確認するには、家庭裁判所が公表する「養育費算定表」(令和元年版)を使います。以下の3ステップで確認できます。
STEP1:双方の年収を確認する
給与所得者は源泉徴収票の「支払金額(額面)」欄、自営業者は確定申告書の「課税される所得金額」を基準とします。ボーナスがある場合は年間総額に含めます。
なお、給与所得者と自営業者では算定で使う「年収」の計算方式が異なるため、相手が自営業者の場合は注意が必要です。
STEP2:子どもの人数と年齢で使う表を決める
算定表は子どもの人数(1〜3人)と年齢(0〜14歳 / 15歳以上)の組み合わせで表が分かれています。複数の子どもがいる場合、年齢の構成によって使う表が決まります。
STEP3:表で金額帯を確認する
縦軸が「義務者(支払う側)の年収」、横軸が「権利者(受け取る側)の年収」です。交差する欄に「○万〜○万円」という月額の目安が示されます。
支払う側の年収600万円
受け取る側の年収0円
子ども1人(10歳)の場合
→ 月額の目安:6万〜8万円
なお、算定表はあくまで目安であり、双方の合意があれば算定表と異なる金額で取り決めることも可能です。
私立学校の授業料や子どもの持病などの事情がある場合は、算定表より高い金額が認められることもあります。
養育費はいつまで払う?支払い期間の整理
2022年4月の民法改正で成年年齢が18歳に引き下げられたため、取り決め方によっては想定より早く養育費が終わる可能性があります。
取り決めの文言 | 支払い終期 |
「成年に達するまで」(2022年4月以降の取り決め) | 18歳の誕生日(注意が必要) |
「20歳になるまで」と明記 | 20歳の誕生日 |
「大学卒業まで」と明記 | 大学卒業月(通常22歳3月) |
「22歳に達した最初の3月まで」と明記 | 22歳3月末(最も明確) |
「就職するまで」と明記 | 就職した時点 |
大学進学を見込んでいる場合は、「22歳に達した最初の3月まで」のように終期を具体的に明記することが重要です。
養育費の取り決め方(協議・調停・審判)
方法1:協議(当事者間の話し合い)
夫婦間で合意できる場合は話し合いで決めます。
決める項目は①金額 ②支払開始日 ③支払終期 ④振込先 ⑤特別費用(進学時・医療費等)の取り扱い です。
口約束では後のトラブルのもとになるため、必ず書面に残しましょう。
さらに「強制執行認諾文言付きの公正証書」にしておくと、未払い時に裁判を経ずに給与差押えができます。公証役場への手数料は数万円程度が目安です。
方法2:養育費請求調停(家庭裁判所)
話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てます。調停委員が間に入り、双方の言い分を聞きながら合意を目指します。
調停成立後の「調停調書」は公正証書と同じく強制執行力を持ちます。申立てから解決まで3〜6か月程度かかることが多いです。
方法3:審判(家庭裁判所)
調停でも合意できない場合、裁判所が金額を決定します。原則として養育費算定表に基づいた金額が定められます。
【2026年4月 改正民法 重要ポイント】
「法定養育費制度」が新設されました。取り決めができていない場合でも、子ども1人あたり月額2万円を上限に法定養育費の請求が認められるようになりました。
また、合意された養育費が月額8万円以下の場合、相手の財産(給与・預金)を優先的に差し押さえやすくなる制度も導入されています。
養育費が未払いになったときの対処法
養育費の未払いは非常に多く発生しています。以下の順で対処しましょう。
STEP1:電話・メールで直接連絡する
まず相手に直接連絡し、支払いを求めます。相手が忘れていたり、経済的な一時的な事情を抱えていたりするケースもあります。
STEP2:内容証明郵便で催促する
連絡に応じない場合は、内容証明郵便で未払い分の支払いを請求します。「いつ・どのような内容で請求したか」を証拠として残す効果があります。
STEP3:家庭裁判所に履行勧告・履行命令を求める
調停調書や審判書がある場合、家庭裁判所に「履行勧告」を申し出ることができます。費用は無料で、裁判所が相手に支払いを促します。
効果がない場合はさらに強制力のある「履行命令」を申し立てることも可能です。
STEP4:強制執行(給与・預金の差押え)
公正証書や調停調書がある場合、裁判所への申立てにより相手の給与や預貯金を差し押さえられます。給与の差押えは勤務先に通知が届くため、相手に強いプレッシャーを与える効果があります。
2020年の民事執行法改正により財産開示手続きが強化され、相手が財産を隠していても発見しやすくなりました。
養育費の増額・減額が認められるケース
一度決めた養育費は、事情の変化があれば変更できます(民法880条)。増額・減額いずれも当事者間の合意または家庭裁判所への調停申立てで手続きします。
増額が認められやすいケース
- 子どもが私立学校・大学に進学し教育費が大幅に増加した
- 子どもが病気・障害を持ち、医療費や介護費が増えた
- 支払う側の収入が大幅に増加した
- 受け取る側の収入が大幅に減少した
- 物価の上昇など社会的な事情変更があった
減額が認められやすいケース
- 支払う側が失業・病気などで収入が大幅に減少した(不可抗力の事情)
- 支払う側が再婚し、新たな扶養家族が生じた
- 受け取る側が再婚し、子どもが再婚相手と養子縁組した
- 受け取る側の収入が大幅に増加した
増額・減額を請求したい方は以下もあわせてご覧ください。
養育費の問題を弁護士に依頼する3つのメリット
養育費の取り決めや未払い対応は自分でも行えますが、弁護士に依頼することで有利に進めやすくなります。
メリット1:適正な金額で取り決めができる
相手が不当に低い金額を提示してきたり、算定表を曲解して説明してきたりするケースがあります。
弁護士は双方の収入・子どもの状況を正確に評価し、適正額での取り決めをサポートします。
私立学校への進学見込みや子どもの持病など、算定表を超える加算が認められる事情がある場合も、適切に主張できます。
メリット2:公正証書・調停調書で未払いリスクを減らせる
弁護士が関与することで、強制執行が可能な公正証書の作成や調停での合意をスムーズに進めることができます。
「口約束で決めてしまい後から払ってもらえない」というリスクを大幅に減らせます。
メリット3:未払い発生時の回収を任せられる
未払いが発生した場合の内容証明郵便・強制執行の申立て・財産調査など、回収のための一連の手続きを代理で行ってもらえます。
相手との直接交渉を避けながら確実に回収を進めることができます。
よくある状況と対応例
合意内容を公正証書に→未払い発生→給与差押えで回収
離婚時に毎月5万円の養育費を公正証書に明記していたAさん。
半年後に元配偶者からの支払いが止まりましたが、公正証書をもとに弁護士を通じて給与の差押えを行い、未払い分を全額回収できました。
大学進学まで支払うことで合意
高校生のお子さんを育てていたBさん。
元配偶者は養育費は20歳までしか支払わないと主張していましたが、父母双方が大学に進学していたこと、子も大学進学を望んでおり、夫婦間でも子を大学に行かせることに同意していたことを踏まえ元配偶者と協議のうえ、大学卒業までの支払い(22歳の3月まで)で合意。
内容を公正証書にしておいたため、その後の支払いは滞りなく継続されています。
収入が減少したので減額調停により支払い可能な金額まで減額
離婚時に毎月10万円の養育費を支払うことに合意したCさん。
離婚から数年経ってから収入が大幅に下がってしまったため、家庭裁判所に養育費減額調停を申し立て。
減額後の収入を前提に養育費を再計算し、無理なく支払うことができる金額まで養育費を減額することができました。
※こちらはあくまで参考であり、実際の案件とは異なります。
よくある質問
Q. 養育費を払ってもらえない場合、どのような手段がありますか?
公正証書や調停調書がある場合、裁判所への申立てにより給与や預貯金の差押えが可能です。
書面がない場合は、まず養育費請求調停を申し立てて書面に残してから強制執行に進みます。
Q. 子どもに会わせてもらえないなら、養育費を払わなくていいですか?
いいえ、払わなければなりません。養育費と面会交流は法律上まったく別の問題です。面会交流を拒否されたとしても、養育費の支払い義務はなくなりません。
Q. 相手が再婚したら養育費はどうなりますか?
相手(監護親)が再婚しただけでは、原則として養育費の支払い義務はなくなりません。
ただし再婚相手と子どもが養子縁組した場合は、養育費の減額または終了が認められる場合があります。
Q. 未払い分の養育費をさかのぼって請求できますか?
請求できますが、時効があります。
養育費の未払い分の請求権は原則として「支払期限から5年」で時効消滅します(調停調書・公正証書がある場合は10年)。未払いに気づいたら早めに行動することが重要です。
Q. 取り決めをしないまま離婚してしまいました。後から請求できますか?
はい、後から請求できます。養育費請求調停を家庭裁判所に申し立てることができます。
ただし養育費は原則として「請求した時点以降」の分が認められるため、早めに行動することをおすすめします。
2026年4月以降は法定養育費制度(子1人・月2万円)も利用できます。
Q. 相手が無職・低収入でも養育費はもらえますか?
はい、もらえます。相手が働ける状態にあるにもかかわらず意図的に働いていないケース(潜在的稼働能力)では、実際の収入ではなく働ける能力に応じた収入を仮定して算定されることがあります。
Q. 養育費は一括で受け取れますか?
当事者間で合意があれば一括払いは可能です。金額は「月額×残り年数×12か月」から中間利息を差し引いた額が目安です。
ただし一括払いにした場合は将来の増額請求が難しくなること、相手の財産状況が変わった場合のリスクなどを理解したうえで判断することが重要です。
まとめ
離婚後の養育費について、重要なポイントをまとめます。
ポイント | 内容 |
支払義務 | 親権の有無・離婚原因にかかわらず非監護親が負う(子どもの権利) |
金額の目安 | 算定表をもとに双方の年収と子どもの人数・年齢で決まる |
取り決め方法 | 協議→公正証書 / 調停→調停調書(どちらも強制執行力を持つ) |
支払期間 | 「22歳3月まで」など終期を具体的に明記することが重要 |
未払い対処 | 催促→内容証明→履行勧告→強制執行の順で対処する |
2026年4月改正 | 23780(月2万円)新設・財産差押えが強化された |
養育費はお子さまの生活と未来を守るために欠かせないものです。
「相手が払ってくれない」「適正な金額なのかわからない」「取り決めができていない」といったご不安がある方は、早めに弁護士にご相談ください。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。
職員が丁寧にお話を伺います初回無料
不倫・離婚などの実績










