離婚、暴力の慰謝料請求|まず何をすべき?弁護士が手順を全解説

最終更新日: 2026年03月30日

この記事でわかること

  • 暴力を理由に離婚・慰謝料請求できるか
  • 慰謝料の相場
  • まず何をすべきか
  • 有効な証拠の集め方
  • 離婚・慰謝料請求の手順
  • 弁護士に依頼するメリット

配偶者からの暴力に苦しみ、離婚や慰謝料請求を考えているあなたへ。

暴力は決して許される行為ではなく、法的に見ても離婚や慰謝料請求の正当な理由となります。

あなたが抱えている苦しみは、決して一人で抱え込む必要はありません。

この記事では、身の安全を確保する方法から、慰謝料請求に必要な証拠の集め方、具体的な請求手順、そして弁護士に相談するメリットまで、最初の一歩を踏み出すために知っておくべきことをすべて網羅して解説します。

この情報が、あなたが抱える不安を少しでも和らげ、未来に向けて行動を起こすための具体的な道筋となることを願っています。

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士 春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内法律事務所勤務
当事務所開設
資格
宅地建物取引士
情報処理安全確保支援士
詳しくはこちら

職員が丁寧にお話を伺います初回無料

目次

配偶者からの暴力を理由に離婚・慰謝料請求は可能です

結論

配偶者からの暴力は、離婚の正当な理由になり、慰謝料請求も可能です。

配偶者からの暴力、いわゆるDV(ドメスティック・バイオレンス)は、民法が定める離婚原因の一つである「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する違法行為です。

身体的な暴力はもちろんのこと、精神的な苦痛を与える暴言やモラハラも、この「重大な事由」に含まれることがあります。

そのため、配偶者からの暴力を理由に離婚を請求することは、法的に十分に認められていますので、ご安心ください。

暴力によってあなたが受けた精神的苦痛は、正当に慰謝料を請求できる対象です。

慰謝料とは、不法行為によって受けた精神的・肉体的な苦痛を償うための損害賠償金です。

身体に直接的な傷がなくても、継続的な暴言や人格否定といった精神的暴力(モラハラ)によって心が深く傷つけられた場合も、慰謝料請求の対象となりえます。

あなたは法的に保護されており、不当な暴力に対して泣き寝入りする必要は一切ありません。

配偶者からの暴力に悩んでいる方は、一人で抱え込まず、専門家に相談することで解決の道が開けます。

自身の尊厳と、もしお子さんがいらっしゃる場合はその安全と健全な成長のためにも、法的な権利を行使し、適切な慰謝料を請求する権利があることを知っておいてください。

暴力(DV)で請求できる慰謝料の相場

相場の目安

50万円~300万円程度が一般的な目安です。

配偶者からの暴力(DV)によって心身に深い傷を負われた方にとって、慰謝料請求は、受けた苦痛に対する正当な補償であり、今後の生活を再建するための大切な一歩となります。

しかし、「いったいどのくらいの金額が請求できるのだろうか」「どうすれば適正な慰謝料を受け取れるのだろうか」といった疑問や不安をお持ちの方も少なくありません。

このセクションでは、DVによる慰謝料請求の全体像を掴んでいただくために、一般的な慰謝料の相場をご紹介します。

具体的な金額は、暴力の程度や期間、精神的苦痛の深さなど、個々の事情によって大きく変動します。

次の見出しで、慰謝料の具体的な目安額と、その金額が高額になるケース、あるいは低額になるケースについて詳しく解説しますので、ご自身の状況と照らし合わせながらご確認ください。

慰謝料の相場は50万~300万円が目安

暴力(DV)を理由とする慰謝料の一般的な相場は、50万円から300万円程度が目安とされています。

この金額はあくまで平均的なものであり、個別の事情によって変動します。

例えば、暴力の回数が少なく、軽度の身体的苦痛で済んだ場合は数十万円にとどまることもあれば、長期間にわたる激しい暴力や、精神的な回復に時間を要するようなケースでは数百万円を超えることもあります。

この相場には、暴力行為そのものによって生じた精神的苦痛に対する慰謝料だけでなく、暴力が原因で婚姻関係が破綻し、離婚に至ったことに対する慰謝料も含まれることがあります。

慰謝料の金額は、最終的には裁判官の判断や当事者間の話し合いによって決定されるため、ご自身のケースでどの程度の慰謝料が期待できるかは、後述する慰謝料の増減要素を考慮し、専門家である弁護士に相談することが最も確実です。

慰謝料が高額になる/低額になるケース

高額になりやすいケース

  • 暴力の期間が長く、頻度が高い
  • 怪我が重い、後遺症がある
  • 加害者の反省がない
  • 身体的暴力に加え、暴言・モラハラもある

低額になりやすいケース

  • 証拠が乏しい
  • 暴力の程度が軽い、回数が少ない
  • 被害者側にも原因行為があったと判断される

慰謝料の金額は、暴力の状況や被害の程度、加害者の態度など、さまざまな要因によって変動します。

高額な慰謝料が認められる傾向にあるのは、まず「暴力の期間が長く、頻度が高い」ケースです。

長期間にわたり繰り返し暴力に晒されてきた場合、被害者の精神的苦痛は非常に大きく、それが慰謝料額に反映されます。

次に、「怪我の程度が重い、あるいは後遺症が残った」場合も慰謝料が高額になる要因です。

例えば、骨折や内臓損傷といった重傷を負ったり、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの精神的な後遺症が残ったりした場合には、それに伴う治療費や、その後の生活への影響も考慮されます。

また、「加害者の反省が見られず、態度が悪質である」場合や、「身体的暴力だけでなく、執拗な暴言や精神的な暴力(モラハラ)も伴っていた」場合も、被害者の精神的苦痛が甚大であると判断され、慰謝料が増額される可能性があります。

一方で、慰謝料が低額になる、あるいは請求が認められにくくなるケースもあります。

例えば、「暴力の証拠が乏しい」場合は、暴力の事実を立証することが困難となり、請求自体が難しくなることがあります。

また、「暴力の程度が軽微である、または回数が少ない」場合や、「被害者側にも、相手を挑発するなどの原因となる行為があった」と判断された場合は、慰謝料の金額が低くなる可能性があります。

ご自身の状況がこれらのどのケースに該当するか、あるいは複数の要素が絡み合っているかによって、慰謝料の金額は大きく変わってきますので、慎重な判断が必要です。

離婚と慰謝料請求のために「まず何をすべきか」

最優先

まずは身の安全の確保です。
そのうえで、証拠集めと法的手続きに進みます。

配偶者からの暴力に悩んでいる方にとって、離婚や慰謝料請求は精神的に大きな負担を伴う決断です。

しかし、「何から手をつければいいのかわからない」という不安が、行動を阻んでしまうことも少なくありません。

暴力の被害に遭われた場合、何よりも優先すべきはご自身の身の安全の確保です。

その上で、慰謝料請求や離婚を有利に進めるために必要な証拠集めへと進んでいきましょう。

このセクションでは、暴力被害を受けた方が最初に取るべき具体的な行動について、優先順位を追って詳しくご説明します。

各見出しでは、それぞれのステップについて詳細を解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

Step1: 身の安全を確保する

すぐに検討したい行動

  • 命の危険があるなら110番
  • 警察相談窓口#9110を利用する
  • 配偶者暴力相談支援センターに相談する
  • 保護命令を検討する
  • シェルター・実家・友人宅などへ避難する

暴力の被害に遭われた方が、まず何よりも最優先で考えるべきは、ご自身の身の安全の確保です。

もし命の危険を感じるような状況であれば、ためらわずに警察(110番)に通報してください。

警察はあなたを保護し、加害者から引き離すための措置を講じてくれます。

また、直接の暴力がなくても、恐怖を感じたり、精神的に追い詰められたりしている場合は、公的な相談窓口を活用しましょう。

「配偶者暴力相談支援センター」や警察の相談窓口(#9110)では、専門の相談員があなたの状況を聞き、今後の対策や利用できる支援制度についてアドバイスしてくれます。

また、裁判所に「保護命令」を申し立てることで、加害者からの接近を禁止したり、自宅からの退去を命じたりすることが可能です。

これにより、一時的であっても加害者と物理的な距離を置き、安全を確保できます。

保護命令の申し立てには具体的な暴力の事実や危険性を示す証拠が必要となりますが、弁護士に相談することでスムーズな手続きが期待できます。

さらに、一時的な避難場所としてシェルターの利用を検討したり、実家や友人の家など、安全な場所への別居を検討することも重要です。

物理的に距離を置くことは、心理的な負担を軽減し、冷静に次のステップを考える上でも非常に有効な手段となります。

Step2: 慰謝料請求に有効な証拠を集める

身の安全を確保した後に重要となるのが、慰謝料請求を有利に進めるための証拠集めです。

口頭での主張だけでは、「そんなことはしていない」「記憶にない」と相手に否定された場合、あなたの苦痛を証明することが非常に難しくなってしまいます。

そのため、客観的で具体的な証拠をどれだけ集められるかが、慰謝料請求の成否や金額を左右する重要なポイントとなります。

証拠は多ければ多いほど、あなたの主張が認められる可能性が高まります。

ただし、証拠集めは決して無理をして危険を冒すものではありません。

何よりも身の安全を優先し、ご自身のペースで、できる範囲で着実に集めていきましょう。

次の見出しでは、身体的暴力と精神的暴力(モラハラ)それぞれについて、どのようなものが有効な証拠となるのかを詳しく解説していきます。

身体的暴力の証拠

身体的DVの証拠例

  • 診断書
  • 怪我や壊れた物の写真
  • 日記やメモ
  • 相談した記録(LINE・メールなど)
  • 第三者の証言

身体的暴力の被害を受けた場合、最も重要で客観性の高い証拠となるのが医師の「診断書」です。

暴力を受けたら、痛みが軽微であっても必ず病院を受診し、怪我の状況を詳細に記録してもらいましょう。

診断書には、いつ、どこで、どのような種類の怪我を負ったのか、その原因は何かなどが具体的に記載されていることが重要です。

また、診断書だけでなく、治療の経緯がわかるカルテの開示請求も有効な場合があります。

次に、あざや傷跡、出血などの怪我の状況を撮影した「写真」も有力な証拠です。

写真には、撮影日時が自動的に記録されるデジタルカメラやスマートフォンを使用し、暴力の直後から治癒するまでの経過を定期的に撮影しておくと良いでしょう。

また、破れた衣類や壊れた家具など、暴力によって破損した「物の写真」も、暴力の事実を裏付ける証拠となります。

さらに、暴力を受けた日時や場所、具体的な内容、その時の心情などを詳細に記録した「日記やメモ」も証拠として有効です。

これらの記録は、長期にわたる暴力の状況や被害の深刻さを裁判官に伝える上で重要な役割を果たします。

暴力について友人や家族、職場の上司などに相談した際の「メールやLINEの履歴」、あるいは第三者からの「証言」も、あなたの主張の補強材料となり得ます。

可能な限り、具体的に証拠として残せるものを集めるよう努めましょう。

精神的暴力(暴言・モラハラ)の証拠

精神的DV・モラハラの証拠例

  • 暴言や脅しの録音データ
  • LINE・メール・SNSの履歴
  • 日記やメモ
  • 心療内科・精神科の診断書

精神的暴力、いわゆるモラハラは、身体的な傷跡が残らないため、その被害を証明することが難しいと感じるかもしれません。

しかし、目に見えにくい精神的苦痛であっても、適切な証拠を集めることで慰謝料請求は可能です。

最も強力な証拠の一つが、暴言や脅迫、人格否定といった会話内容を記録した「録音データ」です。

スマートフォンなどを用いて、相手との会話を録音することで、決定的な証拠となります。

次に、相手から送られてきた侮辱的、威圧的な内容の「メールやLINEのメッセージ」も重要な証拠です。

これらのデジタルデータは改ざんが難しいため、客観性の高い証拠として認められやすいです。

メッセージを削除せず、スクリーンショットを撮るなどして保存しておきましょう。

また、いつ、どこで、誰から、どのような暴言やモラハラを受けたのか、その時のあなたの感情や体調の変化などを詳細に記録した「日記やメモ」も非常に有効です。

継続的な精神的暴力があったことを示す上で、これらの記録は重要な役割を果たします。

精神的暴力によって心身に不調をきたし、心療内科や精神科を受診している場合は、その「診断書」も精神的苦痛を証明する有力な証拠となります。

医師に診断してもらう際は、暴力によるストレスが原因であることを具体的に伝え、診断書に記載してもらうように依頼しましょう。

これらの証拠を多角的に集めることで、目に見えにくい精神的暴力の存在と、それがあなたに与えた苦痛を具体的に証明できる可能性が高まります。

暴力(DV)を理由に離婚・慰謝料請求する具体的な手順

手続きの流れ

  1. 当事者間の話し合い(協議)
  2. 家庭裁判所での離婚調停
  3. 離婚裁判(訴訟)

暴力(DV)の被害者の方が、身の安全を確保し、慰謝料請求に必要な証拠を集められたら、いよいよ具体的な離婚と慰謝料請求の手続きを進めることになります。

しかし、「次に何をすればいいのか」「どのような流れで進むのか」と不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。

離婚や慰謝料請求には、法的な段階があります。

まずは夫婦間の話し合いから始め、そこで合意に至らなければ、裁判所が関与する手続きへと移行するのが一般的です。

このセクションでは、離婚と慰謝料請求の全体的な流れを概説し、それぞれの方法について次の見出しで詳しく解説していきます。

具体的な手順を知ることで、今後の見通しを立て、安心して手続きを進めていただけたら幸いです。

①当事者間の話し合い(協議)で請求する

慰謝料請求の最初のステップは、当事者である夫婦間での話し合い、つまり「協議」による請求です。

この方法は、配偶者が暴力を認め、建設的に話し合いに応じる姿勢が見られる場合に有効です。

話し合いを通じて、離婚の条件や慰謝料の金額、支払い方法などについて合意を目指します。

もし話し合いで合意に至った場合は、その内容を「離婚協議書」という書面に残すことが極めて重要です。

さらに、この協議書を「公正証書」として作成することをおすすめします。

公正証書にしておけば、万が一相手が慰謝料の支払いを怠った際に、裁判を経ることなく相手の給与や預金などの財産を強制的に差し押さえる「強制執行」が可能になります。

これは、口約束や当事者間のみで作成した書面では得られない大きなメリットです。

ただし、DVの加害者と直接交渉することは、再び暴力を振るわれたり、精神的なプレッシャーを受けたりする危険が伴います。

そのため、弁護士を代理人に立てて交渉を進めることを強く推奨します。

弁護士が窓口となることで、被害者の方ご自身が加害者と直接対峙することなく、安全に協議を進めることができます。

②家庭裁判所での離婚調停で請求する

当事者間の話し合い(協議)で合意に至らなかった場合や、直接交渉が困難な場合には、家庭裁判所に「離婚調停」を申し立てるのが次のステップです。

離婚調停は、裁判官と調停委員という中立な第三者が間に入り、夫婦双方の意見を聞きながら、円満な解決を目指す話し合いの手続きです。

調停手続きでは、調停委員が夫婦それぞれから交互に話を聞きます。

そのため、加害者である配偶者と直接顔を合わせることなく、ご自身の状況や要望を伝えることができます。

これは、DV被害を受けている方にとって、精神的な負担を軽減できる大きなメリットと言えるでしょう。

ただし、調停はあくまで話し合いの場であるため、相手が合意しなければ調停は成立せず、「不成立」として終了することになります。

もし調停で合意が成立した場合は、その内容が「調停調書」として作成されます。

この調停調書は、確定判決と同じ効力を持つため、もし相手が合意内容を守らなかった場合には、強制執行の手続きに進むことが可能です。

③離婚裁判(訴訟)で請求する

離婚調停が不成立に終わってしまった場合や、調停での解決が難しいと判断された場合の最終的な手段が、「離婚裁判(訴訟)」です。

裁判は、話し合いによって解決を図る調停とは異なり、提出された証拠に基づいて裁判官が法的な判断を下す手続きです。

裁判官が、離婚の可否、慰謝料の金額、親権、養育費など、離婚に関するすべての事項について判決を下します。

裁判では、配偶者からの暴力の事実や、それによって受けた精神的苦痛を法的に証明する必要があります。

そのため、これまで集めてきた診断書、写真、録音データ、日記などの客観的な証拠が極めて重要になります。

証拠が不十分だと、ご自身の主張が認められない可能性もあるため、裁判に臨む前には弁護士と綿密な準備を行うことが不可欠です。

離婚裁判は、手続きが複雑で専門的な法律知識が求められるため、弁護士への依頼がほぼ必須となります。

弁護士は、証拠の提出や主張の構成、裁判所でのやり取りなど、すべての手続きを代理してくれます。

相手が合意しなくても、裁判所が離婚や慰謝料の支払いを認める判決を下せば、強制的に離婚が成立し、慰謝料の支払いを命じることができます。

これが、裁判の最も大きな特徴であり、被害者の方が最終的な解決を得るための強力な手段となります。

慰謝料請求とあわせて検討すべきお金のこと

慰謝料以外に検討したいお金

  • 財産分与
  • 養育費(子どもがいる場合)
  • 婚姻費用(別居中の生活費)

離婚を考えたとき、多くの方が慰謝料のことばかりに目が行きがちですが、実際には慰謝料以外にも請求できるお金がたくさんあります。

特に、配偶者からの暴力が原因で離婚に至る場合、今後の生活を再建するためには、利用できるあらゆる経済的サポートを知り、しっかりと請求することが非常に重要です。

このセクションでは、慰謝料だけでなく、夫婦の財産を公平に分ける「財産分与」、お子さんがいる場合に子どもの生活費となる「養育費」、そして離婚が成立するまでの生活費である「婚姻費用」について解説します。

これらの権利を正しく理解し、適切に請求することで、離婚後の経済的な不安を少しでも軽減し、新しい生活への第一歩を踏み出す力にしてください。

それぞれの項目について、次の見出しで詳しく見ていきましょう。

財産分与

財産分与とは、婚姻期間中に夫婦が協力して築き上げた財産を、離婚する際にそれぞれの貢献度に応じて公平に分け合う制度です。

これは慰謝料とは異なり、離婚原因を作ったかどうかに関わらず認められる権利です。

預貯金、不動産、自動車、生命保険、退職金、年金など、婚姻中に形成されたすべての財産が対象となり、原則として2分の1ずつ分けられます。

たとえ配偶者名義の財産であっても、婚姻中に協力して得たものであれば財産分与の対象となります。

特に、専業主婦やパートタイムで家計を支えてきた方も、家事や育児を通じて夫婦の財産形成に貢献したと認められ、同等の権利を主張できます。

慰謝料とは別の権利ですので、慰謝料を受け取った場合でも、財産分与を請求することは可能です。

養育費(子どもがいる場合)

お子さんがいる場合の離婚において、最も重要な取り決めの一つが「養育費」です。

養育費とは、お子さんが経済的に自立するまでに必要となる生活費、教育費、医療費などを、親権者ではない親(非監護親)が支払う義務のある費用を指します。

親である以上、お子さんに対して扶養する義務があるため、離婚したからといってこの義務がなくなることはありません。

養育費の金額は、父母それぞれの収入や、お子さんの人数、年齢などに基づいて算定されることが一般的です。

裁判所が公表している「養育費算定表」が、金額の目安として広く用いられています。

お子さんの健やかな成長と将来を守るためにも、養育費は必ず取り決めておくべき大切な権利です。

婚姻費用(別居中の生活費)

配偶者からの暴力から逃れるために別居を開始した場合でも、離婚が成立するまでの期間、収入の少ない方が多い方に対して「婚姻費用」を請求できる可能性があります。

民法では、夫婦は互いに助け合い、同程度の生活を送る義務があると定められており、婚姻費用は、この義務に基づいて、別居中の生活費を分担するものです。

例えば、暴力から身を守るために自宅を出て行ったとしても、離婚が成立するまではこの権利を主張できます。

これにより、別居中の経済的な不安を軽減し、精神的にも安心して離婚に向けた準備を進めることができるでしょう。

婚姻費用も養育費と同様に、裁判所が公表している「婚姻費用算定表」を目安に金額が決められることが多いです。

暴力(DV)の慰謝料請求を弁護士に依頼するメリット

弁護士に依頼する主なメリット

  • 加害者と直接会わずに交渉できる
  • 法的に有効な証拠収集の助言が受けられる
  • 適正な慰謝料を獲得しやすくなる
  • 複雑な離婚手続きを任せられる

配偶者からの暴力は、心身に大きな苦痛をもたらすものです。

そのような状況で離婚や慰謝料請求という難しい問題に直面した際、「何から手をつければ良いかわからない」「一人で戦うのは怖い」と感じる方も少なくありません。

しかし、専門家である弁護士に相談し、依頼することで、安全かつ有利に問題を解決できる可能性が大きく高まります。

弁護士は、単に法律の専門家であるだけでなく、あなたの心の支えとなり、法的な手続きのすべてをサポートしてくれる強力な味方です。

このセクションでは、弁護士に依頼することで得られる具体的なメリットを詳しく解説します。

加害者と直接会わずに交渉を進められる

弁護士に依頼することの最も大きなメリットの一つは、加害者である配偶者と直接顔を合わせたり、連絡を取り合ったりする必要がなくなる点です。

暴力を振るう相手との直接交渉は、精神的な負担が大きく、さらなる身体的・精神的危険を伴う可能性もあります。

弁護士があなたの代理人としてすべての交渉や手続きを進めることで、あなたは心身の安全を確保しながら離婚協議に臨むことができます。

弁護士が窓口となることで、相手方からの威圧的な言動や不当な要求から保護され、心理的なプレッシャーを感じることなく、冷静に手続きを進められます。

これにより、あなたは安心して新生活の準備に集中できるでしょう。

法的に有効な証拠収集のアドバイスがもらえる

慰謝料請求を成功させるためには、法的に有効な証拠が不可欠です。

しかし、どのようなものが証拠として認められるのか、どのように収集すれば良いのかを被害者自身で判断し、適切に行動することは非常に難しいことです。

弁護士は、あなたの状況に合わせて、裁判で有効と判断される証拠の種類や、安全かつ効果的な収集方法について具体的なアドバイスを提供してくれます。

集めた証拠が法的に十分であるかどうかの判断も弁護士に任せられるため、「証拠が弱いかもしれない」という不安を解消し、より確実に慰謝料請求が認められる可能性を高めることができます。

弁護士のアドバイスに基づいて証拠を準備することで、裁判になった場合でも有利に手続きを進められるでしょう。

適正な慰謝料を獲得できる可能性が高まる

慰謝料の金額は、暴力の程度、期間、精神的苦痛の大きさなど、様々な要素によって変動します。

弁護士は、過去の裁判例や法的な知識に基づき、あなたの個別の事案に応じた妥当な慰謝料額を算定し、相手方と交渉してくれます。

被害者本人が交渉に臨むと、感情的になったり、相手の言いなりになったりして、不当に低い金額で合意してしまうリスクがあります。

弁護士は、感情的な側面と切り離して冷静に交渉を進め、あなたの正当な権利を主張してくれます。

これにより、法的な根拠に基づいた適正な金額の慰謝料を獲得できる可能性が大幅に高まり、あなたが受けた苦痛に対する正当な補償を得られるよう導いてくれます。

離婚に向けた複雑な手続きを任せられる

離婚には、慰謝料請求以外にも、財産分与、親権、養育費など、決めなければならないことが山積しています。

また、離婚協議書の作成、調停や裁判の申し立て、裁判所に提出する多数の書面作成、期日への出廷など、精神的にも時間的にも負担の大きい複雑な手続きが伴います。

これらの作業を一人でこなすことは、多大な労力を要し、精神的な疲弊に繋がってしまうでしょう。

弁護士に依頼することで、これらの煩雑な手続きのすべてを代行してもらい、あなたは新生活の準備や心身の回復に集中することができます。

弁護士は、依頼者の利益が最大化されるよう、あらゆる側面からサポートし、離婚という人生の大きな転機をスムーズに進める手助けをしてくれます。

暴力(DV)の慰謝料請求に関する注意点とQ&A

慰謝料請求には時効がある

注意

  • 不法行為の慰謝料請求:損害と加害者を知ってから3年
  • または暴力の時から20年
  • 離婚後の慰謝料請求:一般的に離婚成立から3年

慰謝料請求を行う際には、「時効」という重要な期限があることを理解しておく必要があります。

この時効を過ぎてしまうと、せっかく認められるはずの権利を行使できなくなる可能性がありますので、注意が必要です。

暴力(不法行為)に対する慰謝料請求の時効は、「損害および加害者を知った時(=暴力の事実と加害者を知った時)から3年」または「暴力の時から20年」と民法で定められています。

また、離婚が成立した後に、その離婚の原因が暴力であったとして慰謝料を請求する場合の時効は、「離婚成立から3年」となるのが一般的です。

いずれにしても、時効は刻一刻と迫っていますので、もし慰謝料請求を考えているのであれば、できるだけ早く弁護士に相談し、具体的な行動を起こすことを強くお勧めします。

相手が慰謝料を支払わない場合の対処法

せっかく慰謝料の支払いが合意できたとしても、相手が約束通りに支払わないという事態も残念ながら起こり得ます。

このような場合に備えて、あらかじめ適切な準備をしておくことが大切です。

もし、離婚時に作成した離婚協議書を「公正証書」にしていたり、調停や裁判を通じて慰謝料の支払いが決定していたりする場合には、相手の給与や預金などの財産を差し押さえる「強制執行」の手続きが可能になります。

これは、口約束や当事者間だけで作成した合意書では難しい対応であり、公正証書などの法的な効力を持つ書面を残しておくことの重要性を物語っています。

強制執行の手続きは専門的な知識が必要で複雑なため、弁護士に依頼して進めるのが一般的です。

ご自身の権利を確実に守るためにも、万が一に備えた準備をしておきましょう。

よくある質問

ここでは、配偶者からの暴力に悩む方々が抱きがちな、慰謝料請求に関する具体的な疑問にお答えします。

皆さんの個別の状況に合わせた判断の一助となれば幸いです。

Q. 離婚せずに慰謝料だけ請求できますか?

はい、可能です。

法律上、婚姻関係を継続したままで、過去の暴力行為に対する慰謝料を請求することは認められています。

例えば、暴力はあったけれど関係修復を望んでいる場合や、すぐに離婚する準備が整っていない場合などには、慰謝料だけを請求するという選択肢もあります。

ただし、慰謝料を請求することで、夫婦関係がさらに悪化し、結果的に離婚に至るケースも少なくありません。

関係修復を目指すのか、それとも将来的な離婚も視野に入れるのかによって、取るべき対応は変わってきます。

まずは弁護士に相談し、ご自身の状況や希望に合わせた最適な方針を検討することをお勧めします。

Q. 一度の暴力でも慰謝料は請求できますか?

はい、一度の暴力であっても慰謝料請求は可能です。

暴力の回数だけでなく、その暴力の態様や悪質性、被害の程度などが総合的に判断されます。

例えば、たった一度の暴力であっても、命の危険を感じるような極めて悪質な行為であったり、重い怪我を負わされ、後遺症が残ってしまったりした場合には、高額な慰謝料が認められる可能性があります。

ただし、慰謝料額は暴力の継続性も考慮されるため、一度きりの暴力の場合は、継続的な暴力に比べて低額になる傾向があることも理解しておく必要があります。

Q. 物に当たる、暴言だけでも慰謝料請求は可能ですか?

はい、直接的な身体への暴力がなくとも、物を壊すなどの威嚇行為や、人格を否定するような執拗な暴言は、精神的暴力(モラハラ)として慰謝料請求が認められる可能性があります。

精神的苦痛を与える行為は、目に見えないものであっても違法行為と判断され得るからです。

ただし、どの程度の行為が法的に違法と評価されるかはケースバイケースであり、客観的な証拠(録音データ、メールやLINEのメッセージなど)があり、その行為が社会通念上許される範囲を明らかに超えていることを証明する必要があります。

身体的暴力に比べて証明のハードルが高くなる傾向があるため、精神的暴力による慰謝料請求を検討する際には、特に弁護士への相談が重要になります。

まとめ|暴力による離婚問題は一人で悩まず弁護士にご相談ください

まとめ

  • 暴力は離婚・慰謝料請求の正当な理由
  • 慰謝料相場は50万~300万円が目安
  • まずは身の安全の確保を最優先
  • 診断書・写真・録音・LINE・日記など証拠集めが重要
  • 財産分与・養育費・婚姻費用もあわせて検討する
  • 安全かつ有利に進めるなら弁護士相談が近道

配偶者からの暴力は、心身に深い傷を負わせる深刻な問題です。

決して一人で抱え込まず、外部の支援を求めることが何よりも大切です。

この記事でご紹介したように、身の安全の確保、慰謝料請求のための証拠集め、そして法的な手続きと、やるべきことは多岐にわたります。

しかし、専門家である弁護士に相談し、依頼することで、これらの複雑なプロセスを安全かつ有利に進めることができます。

弁護士は、あなたの状況に合わせて最適な解決策を提案し、加害者との交渉や裁判手続きも代行してくれます。

これにより、あなたは精神的な負担を大きく軽減し、未来に向けた準備に集中することができるでしょう。

恐怖や不安を乗り越え、自分と子どもの未来のために行動を起こす一歩を踏み出すことは、決して簡単なことではありません。

しかし、多くの法律事務所では初回無料相談を実施していますので、まずは気軽に相談してみてはいかがでしょうか。

専門家の力を借りて、安全と安心を取り戻し、新たな人生を始める勇気を持ちましょう。

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