覚醒剤で逮捕される要件とは?罪を問われる場合とすべきことも解説

最終更新日: 2025年03月12日

覚醒剤で逮捕される要件とは?罪を問われる場合とすべきことも解説

  • 覚醒剤を所持している。所持しているだけでも逮捕されるのだろうか?
  • 覚醒剤で逮捕されたら、どのように捜査が進められるのだろう?とても気になる。
  • 覚醒剤で逮捕されても減刑を目指したい。何かよい方法はないだろうか?

覚醒剤取締法違反で逮捕され有罪になると、最悪の場合は無期懲役(無期拘禁刑)および1,000万円以下の罰金を科されます。

覚醒剤に関して、どのような場合に逮捕されるのか、気になる方は多いでしょう。

そこで今回は、多くの刑事事件に携わってきた弁護士が、覚醒剤取締法違反で逮捕されるきっかけや逮捕された後の流れ、減刑を得るためにやるべきこと等を詳しく解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談できます。

  • 覚醒剤を所持しているだけでも、覚醒剤取締法違反で逮捕される可能性がある
  • 覚醒剤の再犯の場合、罪が重くなる可能性がある
  • 減刑を望むのであれば、弁護士と相談した方がよい

刑事事件に強い弁護士はこちら

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

詳しくはこちら

覚醒剤で逮捕されるきっかけ

覚醒剤で逮捕されるきっかけは、家族や第三者からの通報等が多いでしょう。

また、警察官の職務質問で覚醒剤を所持・使用しているとわかり、現行犯逮捕される可能性もあります。

所持

警察官の所持品検査で、覚醒剤の所持が発覚し現行犯逮捕されるケースです。

警察官が繁華街を中心に巡回中、不審な人物を発見し、職務質問を行うことはよくあります。そのとき所持品検査が行われて、覚醒剤の所持が発覚すれば現行犯逮捕となるでしょう。

たとえ所持していた人物が「覚醒剤ではない」と所持を否定しても、覚醒剤かどうかは、警察官が携行している簡易検査キットで確認できます。

なお、職務質問自体は任意ですので拒否することもできます。ただし、拒否すれば警察官は強い不信感を抱くでしょう。

拒否するときに警察官に暴言を吐いたり、暴行を加えたりすると、公務執行妨害罪で逮捕される可能性があります。

尿検査の陽性反応

覚醒剤使用後、警察から任意同行を求められ尿検査が行われた結果、覚醒剤の陽性反応が出たケースです。

尿検査は薬物使用の有無を調べる最も効果的な方法で、覚せい剤の他に大麻やMDMA、LSD等の違法薬物の成分を検出できます。

尿検査は任意であれば、原則として拒否することも可能な場合があります。しかし、拒否し続けた場合は裁判所の発付した令状に基づき、強制採尿が行われるでしょう。

なお、強制採尿は医療機関で尿道からカテーテルを挿入し、尿を強制的に採取する方法です。採尿のときの苦痛や屈辱感は、自分で尿を提出するよりも大きなものになるでしょう。

家宅捜索

覚醒剤取締法違反の疑いやそれ以外の事件で家宅捜索を受け、自宅から覚醒剤が発見された場合、覚醒剤所持で現行犯逮捕されるケースです。

覚醒剤使用・所持等の疑いで家宅捜索をする場合、証拠隠滅を避けるため、予告なく警察が自宅を訪れ捜索を行います。

覚醒剤の所持が発覚した後や、尿検査で陽性反応が出た後に、証拠品を押収するため家宅捜索される場合もあります。

やり取りの履歴

警察が押収したスマートフォン等の履歴から、後日逮捕されるケースです。

覚醒剤の売買に関して、覚醒剤の密売人や使用者間で独自のネットワークを構築している場合もあり得るでしょう。

その場合、次のような方法で、覚醒剤密売の発覚を防いでいるかもしれません。

  • 覚醒剤の売買専用の連絡方法(チャットやメッセージ機能の利用等)
  • 当事者にしかわからない暗号の利用 等

それでも、密売人か使用者を逮捕すれば、スマートフォン等の履歴を確認することで、覚醒剤取締法違反の被疑者が芋づる式に逮捕される可能性があります。

密告

家族や第三者からの密告で後日逮捕されるケースです。

近頃、息子や配偶者の挙動がおかしく「もしや覚醒剤を使用しているのでは?」と不安になり、家族が警察に相談し、覚醒剤の所持・使用が発覚する場合もあるでしょう。

また、覚醒剤の密売人や使用者が逮捕され、取り調べで売った(買った)相手を供述し発覚することもあるでしょう。

覚醒剤で逮捕後問われる罪・量刑

覚醒剤取締法違反の量刑は、初犯か否か、使用量や使用目的で大きく異なります。

営利目的で覚醒剤を密売した場合、非常に重い罪となるでしょう。

覚醒剤取締法違反で有罪となった場合、懲役刑(2025年6月1日以降は拘禁刑)に加えて罰金刑も科される可能性があります。

出典:覚醒剤取締法|e-GOV法令検索

初犯か・再犯か

覚醒剤取締法違反で有罪となった場合の、初犯・再犯での量刑(相場)の違いは次の通りです。

  • 初犯:懲役(拘禁刑)1年6か月(執行猶予3年)
  • 再犯:懲役(拘禁刑)2年前後の実刑判決

実刑判決を受けた場合は、刑期を終えるまで刑事施設に収容されます。

再犯とは懲役(拘禁刑)に処せられ、その執行後5年以内に罪を犯し、有期懲役となる状況を指します。

再犯となった場合、懲役(拘禁刑)の上限が2倍以下に延長されます(再犯加重:刑法第57条)。

たとえば覚醒剤の単純所持で再犯となると、10年以下→20年以下の懲役(拘禁刑)へと加重されてしまいます。

再犯ではなくとも、覚醒剤取締法違反で何度も逮捕されると、やはり罪は重くなる可能性が高いです。

出典:刑法|e-GOV法令検索

使用量等

覚醒剤を使用や所持していた量も、量刑に影響を及ぼす可能性が高いです。

多量の覚醒剤を使っていたり、大量に所持していたりすると、常習性が疑われ重く処罰される可能性が高いでしょう。

自分が使用するだけではなく、他人に使用をすすめる、密売する目的で大量に所持していた場合も、重い罪となる傾向があります。

目的

覚醒剤に関しては製造や輸出入の他、譲渡・譲受、使用、所持、流通のすべてが規制対象です。中でも、営利目的での輸出入や製造は重く処罰されます。

  • 覚醒剤をみだりに輸出入し、製造した→1年以上の有期懲役(覚醒剤取締法第41条第1項)
  • 覚醒剤を「営利目的」で輸出入し、製造した→無期もしくは3年以上の懲役、または情状により無期もしくは3年以上の懲役および1,000万円以下の罰金(同法第41条第2項)

営利目的で輸出入し製造すれば、大量の薬物依存患者が発生し、社会に重大な影響を与えかねません。

そのため、営利目的で輸出入し製造した者は、最悪の場合、無期懲役(無期拘禁刑)および1,000万円以下の罰金を受ける可能性があるのです。

覚醒剤で逮捕された後の流れ

被疑者が覚醒剤で逮捕された場合、送致→勾留→起訴・不起訴という流れで刑事手続が進みます。

起訴された場合は刑事裁判へ移行し、「被告人」として公開の裁判に出廷しなければなりません。

送致

覚醒剤取締法違反の疑いで逮捕・留置された場合、48時間以内に検察官へ送致されるでしょう。

身柄を送致された場合、検察官から覚醒剤の使用・所持等の動機や経緯等、詳しい取り調べを受けます。

検察官は、被疑者が覚醒剤使用や逃亡、証拠隠滅のおそれがあると判断すれば、警察の留置施設に引き続き身柄を拘束するでしょう。

その場合、逮捕後72時間以内で、かつ被疑者を受け取ったときから24時間以内に、裁判所へ勾留請求する必要があります。

勾留

裁判所が勾留請求を認めたときは、被疑者は留置施設でさらに身柄の拘束を受けます。

勾留期間は原則10日です。やむを得ない事由がある場合、検察官の請求でさらに10日間延長できます(刑事訴訟法第208条)。

勾留中、被疑者は警察や検察の取り調べを受け、覚醒剤等の証拠物を押収するための家宅捜索や捜査が行われていくでしょう。

出典:刑事訴訟法|e-GOV法令検索

起訴・不起訴

覚醒剤に関する捜査が終了した場合、検察官は被疑者を起訴するか否かを決定します。

被疑者の覚醒剤所持や使用の疑いが晴れた(嫌疑なし)場合や、証拠が乏しい(嫌疑不十分)場合、不起訴処分となるでしょう。

ただし、犯罪白書によると、起訴される割合は約70%と非常に高いです。

被疑者が減刑や執行猶予付き判決を望むのであれば、弁護士と今後の対応の仕方を協議した方がよいです。

参考:犯罪白書令和5年度版「薬物犯罪・処遇」|法務省

刑事裁判

刑事裁判に移行すれば、被疑者から「被告人」に呼び方が変わります。

被告人が覚醒剤取締法違反を認めれば、基本的に2回の公判期日で終了する可能性があります。

第1回公判期日は次のような流れです。

1.人定質問:被告人は裁判官から名前・職業・住所・本籍地を尋ねられる
2.起訴状朗読:検察官が覚醒剤取締法違反に関する起訴状を読み上げる
3.黙秘権の説明:裁判官から被告人に黙秘権がある旨を告げられる
4.罪状認否:起訴状の誤りの有無を、被告人や弁護人に確認する
5.冒頭陳述:検察官が、証拠により被告人の覚醒剤取締法違反を立証しようとする事実について読み上げる
6.証拠調べ:供述調書等の証拠を調べ、被告人等に質問を行う
7.求刑・弁論:検察官が論告求刑を行い、弁護人は被告人の弁論をする
8.結審:裁判官が被告人に意見陳述の機会を与えた後、結審する

第2回公判期日で裁判官が有罪か無罪かの判決を言い渡し、裁判は終了します。

覚醒剤取締法違反の事実を検察側と弁護側が争っているときや、複雑な覚醒剤事件のときは、2回目以降も裁判が継続し、裁判終了までに数年かかる場合もあるでしょう。

なお、検察側や弁護側は判決に不服がある場合、上級裁判所に対し控訴できます。

覚醒剤で逮捕されたらすべきこと

覚醒剤取締法違反によって逮捕された場合は、今後どうすればよいのか、弁護士と相談しましょう。

また、覚醒剤を何回も使用している場合、覚醒剤依存を断ち切る必要があります。

検察官や裁判官に説得力のある再犯防止対策を提示すれば、有利な処分を得られる可能性があるでしょう。

弁護士への相談

弁護士に事情を話せば、次のようなアドバイスやサポートをします。

  • 覚醒剤取締法違反でどれくらいの罪になるか
  • 自首するメリット
  • 逮捕後の弁護活動
  • 再犯となった場合のリスク
  • 再犯防止対策
  • 刑事裁判でどのような主張を行うか

弁護士に弁護人を依頼すれば、最後まで依頼者のため弁護活動に力を尽くします。

なお、逮捕の状況によって、弁護士との相談や私選弁護人を依頼する手順が異なります。

  • 現行犯逮捕:逮捕後、警察官に「家族と連絡をとりたい」と申し出て、家族に弁護士を私選弁護人として依頼してもらう。
  • 後日逮捕:逮捕も想定し事前に弁護士と相談し、私選弁護人を依頼する。逮捕後すぐに弁護士を呼んで面会できる。

経済的な理由等で私選弁護人を立てられないときは、国費によって裁判所で弁護士を選任してもらえる「国選弁護制度」を利用できます(刑事訴訟法第37条の2)。

本制度を利用すれば、基本的に無料で弁護士(国選弁護人)を立てられます。

ただし、国選弁護人は被疑者が自由に選べないだけでなく、起訴後または勾留後でなければ依頼できません。自由なタイミングで、被疑者のニーズに合った弁護士を依頼できない点はデメリットといえるでしょう。

家族へのサポート依頼

覚醒剤の問題について、家族にサポートを依頼することも大切です。

家族の監視や支えは、本人が覚醒剤依存を脱却する重要な支えになります。

しかし、本人が家族と疎遠で何年も会っていないというケースもあるでしょう。

弁護士は本人の事情を家族に説明し、同居しながら監視役になってもらうなどの協力を求めます。弁護士の粘り強い説得があれば、家族が本人との同居や監視に同意する可能性も高まるでしょう。

再犯防止策の徹底

再犯防止策を徹底すれば 、裁判官は「被告人には更生の余地がある」と判断し、減刑を行う可能性があるだけでなく、覚せい剤依存からの脱却につながります。

弁護士は、再犯防止策として本人の覚醒剤依存の度合いや健康状態を考慮し、覚醒剤依存から脱却するための治療計画をアドバイスできます。

弁護士は本人の状態に合わせた治療機関(団体)を選び、本人の意見も参考に次のような治療計画を立てるでしょう。

  • 回復支援施設:覚醒剤等の依存症から回復を目指すリハビリ施設。入所しながら回復プログラムや生活訓練、就労支援等も実施する。
  • 専門医療施設:集団精神療法を中心とした薬物依存症外来の施設。
  • 自助グループ:覚醒剤依存の悩みを持つ本人・家族が、自発的に結びついた集まり。主に仲間の話から自ら学ぶ形で覚醒剤依存から脱却を目指す。

覚醒剤の逮捕要件なら春田法律事務所までご相談を

今回は多くの刑事事件を担当してきた弁護士が、覚醒剤取締法違反で逮捕されるきっかけや逮捕後の流れ、減刑を得るためにすべきこと等について詳しく解説しました。

春田法律事務所は刑事裁判に実績豊富な法律事務所です。覚醒剤に関する減刑や薬物依存からの脱却を望む方は、今後の対応の仕方を弁護士とよく相談しましょう。

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