大麻の所持、使用で不起訴になるケース

最終更新日: 2024年01月30日

薬物事件のなかでも大麻所持に関する弁護士への相談・依頼は非常によくあるものです。特に10代や20代の若者が事件当事者となることが圧倒的に多い薬物です。

今回は、大麻所持、使用について法律の規制や所持概念についてご説明します。

大麻の所持と使用

2023年12月、大麻の使用も犯罪とする法改正がなされました。従前、他の違法薬物とは異なり、大麻の使用については処罰する法律がありませんでした。

今回の法改正によって大麻は麻薬と位置づけられ、今後は麻薬及び向精神薬取締法でその所持・使用が処罰されます。改正法は2024年に施行される予定です。

従前、尿検査で大麻成分の陽性反応が出たけれども大麻は所持していなかったという場合には逮捕、起訴することができませんでした。今回の法改正によってこのようなケースも逮捕、起訴することが可能となりますので、今後は大麻事件の検挙件数は増加するでしょう。

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どこからが大麻所持になるのか?

「所持」という法律の概念は日常用語としての所持とは異なります。

「所持」とは、大麻を自己の実力的支配内に置く行為、つまり自分の判断で大麻を管理、処分できることをいいます。

所持の方法としては、大麻を自分の手に持っている、自分のポケットやカバンに入れている、自宅に隠しているなど、直接その実力的支配内に置いている場合は、当然「所持」に該当します。

また、大麻の保管を他人に依頼している場合も、間接的にその実力的支配内に置いているといえ、「所持」に該当します。

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微量の大麻所持について

所持していた大麻が微量であった場合には、逮捕、起訴されないのではないかという弁護士への相談がしばしばあります。

実際、空のパケやパイプに残りカス程度の大麻が付着していたというケースであれば、逮捕されなかったり、起訴されなかったりすることがあります。

裁判例の中にも、覚醒剤に関するものですが、0.0031gの覚せい剤所持について、「所持」には該当しないとして無罪を言い渡したものがあります。しかし、他方で、0.001gの覚醒剤所持について「所持」に該当すると判断した裁判例もありますから、微量であれば無罪、不起訴になると考えるのは早計でしょう。

法律が規制対象とする所持量を定めているわけではありませんし、たとえ微量であっても大麻であることに変わりはありませんので、起訴され、有罪判決を受けるのが原則です。

大麻の共同所持の罪で不起訴処分になるケース

共同所持のケースとは、例えば、複数人で車に同乗していたときに、警察官から職務質問を受け、車内から大麻が発見されたというケースです。

共同所持のケースでは、1人が自分の物であると言い、他は皆、自分は知らないと言ったとしても全員が被疑者として逮捕されることが通常です。

なぜなら、逮捕した後に、自分の物だと言っていた被疑者が、実は自分の物ではないと言い始めた場合、他の者は逃げてしまい逮捕や証拠収集が困難になる可能性が高いからです。

大麻所持は薬物犯罪の中でも不起訴処分になる割合が高い犯罪ですが、中でも共同所持罪で不起訴処分になるケースはよくあります。

では、どのようなケースで不起訴処分になるのでしょうか。

彼氏(彼女)と同棲してるケース

彼氏(彼女)と同棲をしている自宅から大麻が発見された場合、ともに被疑者として逮捕されることが多くあります。

共同所持といえるためには、二人がともに大麻の存在を認識していたことと、両人の実力的支配内にある、つまり相手の許可なく自由に大麻を使用できる状態だったことが必要です。

つまり、この二つの要件のうちいずれかが欠ける者については、不起訴処分となる可能性が高いといえます。

同棲している場合には、生活空間を共有しているわけですから、ともに大麻の存在を認識していることが多いでしょう。

しかし、大麻の存在を認識している場合であっても、彼氏が大麻を主に使用しており、彼女は彼氏から誘われたときだけ使用したことがあり、自分だけで使用することはなかったという場合には、彼女の実力的支配内にあったとはいえず、彼女は不起訴処分になる可能性があります。

友人・友達と一緒にいたケース

友人・友達と複数人で集まっていたところで、大麻が発見されたというケースです。

この場合もやはり共同所持の成立には前記の2つの要件が必要となります。

例えば、その場にいた人のうち一人が大麻を持ち込み、他の友人はそれをタダで吸わせてもらっていたという場合、大麻を管理、処分できるのはその持ち主の人だけで、他の友人たちの実力的支配内に大麻があるとはいえませんので、他の友人たちは不起訴処分となる可能性があります。

一方、皆でお金を出し合って、うち一人が大麻を買いに行って、それを皆で吸っていたというような場合には、全員の実力的支配内にあるといえますので、共同所持罪として全員が起訴処分となる可能性があるでしょう。

最後に

以上、大麻の所持、使用についてご説明しました。

大麻を含め、初犯の薬物事件は起訴処分となったとしても執行猶予判決となる可能性が高いことから、敢えて私選の弁護士を依頼する必要性は高くないとも思えます。

しかし、近時は、薬物犯罪であったとしても起訴前に勾留を解くことができる可能性がありますし、特に共同所持の事案では取り調べ対応によっては不起訴処分となる可能性があります。

大麻所持の被疑者となった場合は、刑事事件の経験豊富な弁護士にご相談ください。

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