日本で大麻の使用は合法?無罪?なぜ?

最終更新日: 2021年07月08日

はじめに

多少大麻に関する知識がある方のなかには、「大麻は使っても違法じゃないから捕まらない」と言う方がいます。

また、我々弁護士にも、「警察の職務検査を受けた時に大麻は持ってなかったけど、提出した尿から大麻が検出されるかもしれない。そうすると逮捕されるのか」といったご相談はよくあります。

大麻所持は違法で処罰されることはよく知られていますが、大麻の使用は処罰されないのでしょうか。

今回は、他の薬物犯罪の法規制と比較しつ、大麻の使用に関する法規制について弁護士がご説明します。

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日本の法律に大麻の使用罪はあるか

覚せい剤取締法は、覚せい剤の使用を一般的に禁止していますし、麻薬及び向精神薬取締法は、免許を受けた麻薬研究者以外の施用、受施用を禁止しています。

また、あへん法は、吸食行為を一般的に禁止しています。具体的には、「何人も、あへん又はけしがらを吸食してはならない。」(第9条)と規定しています。

このように薬物犯罪を取り締まる他の法律は使用行為を規制する規定を置いています。

ところが、大麻取締法は、免許を受けた大麻栽培者・大麻研究者の目的外使用、大麻から製造された医薬品の施用、受施用について禁止し、罰則を設けていますが、一般的に使用(吸食行為)を禁止する規定がありません。

当然、大麻取締法は大麻の不正使用を許容する趣旨ではありませんが、このように大麻の使用罪を定めた規定が法律にはありません。

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なぜ大麻の使用は罰則がなしなのか?罪にならない理由は?

このように他の薬物犯罪とは異なり、大麻の使用を規制し、罰則を定めた規定は大麻取締法に存在しないわけですが、その理由については実は、文献を調べても容易に見当たりません。

インターネット上には、薬理作用のあるTHCは成熟した茎や種子には通常は含まれていないが、稀に含まれていることがあり、そうすると尿から検出されたTHCが大麻取締法で規制対象外となっている成熟した茎や種子から取り込まれたものなのかどうか判別できなくなることから使用罪を定めなかったという解説が見られますが、エビデンスの記載がなく真偽は不明です。

とはいえ、少なくとも大麻の使用が人体の健康に悪影響が少ないから使用罪を定めなかったということではないでしょう。

実は、国際的に見れば違法薬物の所持は規制されていますが、違法薬物の自己使用罪は定めていない国が大勢のようです。

確かに、薬物の使用は通常所持を伴うわけですから、所持を規制すれば足り、加えて使用を規制する必要性は乏しいといえるかもしれませんし、使用行為自体については懲役刑よりも薬物依存に対する治療が適切といえるかもしれません。

そうすると、むしろ大麻の使用罪の規定がないこと普通であって、使用罪を定めている他の薬物規制法令がおかしいといえるのかもしれません。

大麻を使用しても違法(犯罪)ではない?罪にならない?

大麻の使用自体については規制する法律の規定はないわけですが、だからといって大麻を使用しても違法(犯罪)にならない、罪に問われないということにはなりません。

大麻の使用には通常所持を伴いますから、所持罪で処罰されることになります。仮に所持していた大麻は全て使い切ってしまったとしても尿や空のパケの鑑定結果、関係者の供述等の状況証拠から大麻の所持を立証することができれば、所持罪で起訴、処罰されることとなります。

大麻の使用が所持罪にも問われない場合

とはいえ、大麻の現物を所持していなかった場合には、必ず前記のような状況証拠から所持を立証できるとは限りません。

また、他人が持っていた大麻をたまたま1,2服だけ吸わせてもらったような場合には大麻を使用したことは確かですが、その大麻を実力支配下においているのはその吸わせてくれた人ですから、少し吸わせてもらっただけの人に所持罪は成立しないと考えられます。

このように大麻は使用したけれども所持を立証できなかった場合や、そもそも所持していたとは評価できない場合には、大麻を使用したとしても所持罪に問うことはできません。

逮捕されるのは大麻の所持者のみ?使用者も?

前記のとおり、大麻を所持していなくても所持罪で処罰される可能性があるわけですが、現行犯逮捕はもちろんできませんし、逮捕状を得ることも困難ですから、所持していない状態では逮捕されることはないでしょう。

もっとも、その場に複数人が居た場合は単に使用しただけの人についても逮捕される可能性があります。

なぜならその場に居た全員が自分のものではないと供述したときは、その場で他の人を解放してしまうと口裏合わせによる罪証隠滅をされてしまう可能性がありますし、仮にその場に居合わせた人の一人が自分のものだと認めたとしても、その一人が逮捕後に供述を翻して自分のものではないと供述し始めた場合、解放してしまった他の人達が口裏合わせをして罪証隠滅をされてしまう可能性があるからです。

最後に

以上、他の薬物犯罪の法規制も見ながら、大麻の使用についてご説明しました。

他の薬物事件よりも大麻取締法違反、特に初犯の単純所持のケースでは、弁護士の活動によって、逮捕・勾留回避や不起訴処分が可能な場合が比較的多くみられます。

大麻事件の容疑をかけられ被疑者となったときは、刑事事件の経験が豊富な弁護士にご相談ください。

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