大麻で家宅捜索されることはある?拒否の可否・問われる罪・事前対策を徹底解説!

最終更新日: 2025年03月05日

大麻で家宅捜索されることはある?拒否の可否・問われる罪・事前対策を徹底解説!

  • 家族が大麻所持で逮捕された。捜査員が家宅捜索に来るのか不安だ。
  • 大麻で家宅捜索が行われると、家財道具が壊されることもあるのだろうか?
  • 家宅捜索はやめてもらいたいが、拒否できるのか?

大麻の栽培や製造はもちろん、流通・施用(使用)・所持も規制の対象です。

捜査機関は、家宅捜索により、隠匿された大麻を没収するとともに、大麻に関する犯罪の証拠や取引ルート等の解明につながる情報を収集するでしょう。

そこで今回は、多くの刑事事件に携わってきた弁護士が、大麻に関して家宅捜索されるケース、家宅捜索される前に行うべき対策等を詳しく解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談できます。

  • 大麻に関する家宅捜索は、捜査過程で得られた情報の他、近所からの通報等がきっかけとなる場合もある
  • 家宅捜索では、大麻の他、大麻に関する証拠、資料等も押収対象となる
  • 大麻に関して家宅捜索されそうな場合は、事前に弁護士と相談した方がよい

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

詳しくはこちら

大麻で家宅捜索されるケース

警察に大麻の所持等が疑われ、家宅捜索を受けるきっかけは、いろいろ考えられます。

捜査機関が捜査中に得た情報だけでなく、ネット上の口コミなどを確認し、家宅捜索に踏み切る可能性もあるでしょう。

入手経路の特定

警察が大麻事件または他の事件を捜査中に、新たな大麻の取引情報や保管場所を掴み、家宅捜索を行うケースです。

  • 購入者の証言によって逮捕した大麻の密売人から、大麻を自宅に隠しているとの供述を得た
  • 大麻を製造した人物が、仲間の自宅に保管していると供述した
  • 暴行事件で逮捕された本人の所持品を調べ、大麻を発見したときに、自宅にまだあると自供した

たとえ同居の家族がいたとしても、証拠隠滅を避けるため、事前通告せずに家宅捜索を行うのが通例です。

口コミ

インターネット上で特定の個人や団体による大麻製造や施用(使用)・所持等に関する噂が広まり、警察が情報を入手して捜査を開始するケースもあります。

ただし、大麻の製造・所持等を疑う口コミがあったからといって、いきなりネット掲示板等で名指しされた個人や団体を家宅捜索するわけではありません。

口コミは主観的判断や根拠もない憶測を投稿しているケースも多いため、捜査機関は次のような情報などと併せて、慎重に捜査の要否を判断するでしょう。

  • 大麻製造や施用(使用)等に関する密告(タレコミ)があった
  • 別件の捜査過程で大麻に関する疑いが浮上した 等

近所からの通報

自宅に大麻を隠していることを知った近所の人が警察に通報するケースです。

近所の人が大麻を施用(使用)しているとはわからなくとも、本人の挙動がおかしいと噂になる可能性もあります。

  • 家の中から悲鳴のような声が聞こえる
  • 外出している本人の目がうつろで、足取りも明らかにおかしい

不安になった近所の誰かが通報し、警察官が自宅に訪れ、大麻の施用(使用)が発覚する場合もあります。

その後、警察が捜査を進める過程で家宅捜索を行うケースも多いでしょう。

大麻による家宅捜索の内容

家宅捜索は大麻所持等の疑いを持たれている本人や同居の家族に予告せず、いきなり行われます。

ただし、パトカーで自宅の周囲を包囲するような、物々しい対応は通常行われません。

私服の捜査員が捜査用のワゴン車で家宅捜索現場に向かう場合が多いでしょう。

物品押収・差押え

捜査員は裁判所が発布した捜索差押許可状(令状)を持参し、本人や同居の家族に示した上で捜索を開始します。

令状には「差し押さえるべき物」という欄があり、そこに記載された物を捜査員がどんどん押収していくでしょう。

たとえば、大麻や大麻に関連する器材(大麻草を育てるために使用した発光ダイオードライト・温度計等)、書類、スマートフォン、パソコン等が押収対象になります。

大麻に関する証拠物と全く関係のない家財道具は、押収の対象外です。

スマホ・PCの確認

大麻事件の家宅捜索の場合、大麻の栽培や所持していた証拠等を探すため、自宅の隅々まで調査され、物品の押収等も行われます。

大麻や大麻に関連する器材だけでなく、スマートフォンやパソコンの中身もチェックされ、密売人とのやり取りの記録がないか等、いろいろと調べられるでしょう。

大麻とは無関係の家族と共有していたパソコンであっても、大麻に関しての証拠や記録が見つかれば押収されてしまいます。

大麻による家宅捜索後に問われる罪

大麻を規制する法律は主に「麻薬及び向精神薬取締法(麻薬取締法)」「大麻草の栽培の規制に関する法律(大麻栽培規制法)」の2つです。

法律違反で有罪となれば、懲役(拘禁刑)になる他、罰金刑も追加される可能性があります。懲役は2025年6月1日から拘禁刑に変更されます。

出典:麻薬及び向精神薬取締法|e-GOV法令検索

出典:大麻草の栽培の規制に関する法律|e-GOV法令検索

所持・譲渡・譲受

大麻の所持や譲渡・譲受は、麻薬取締法の処罰対象です。

自分や仲間が施用(使用)する目的の場合、7年以下の懲役に処されます(麻薬取締法第66条第1項)。

大麻を営利目的で所持・譲渡・譲受したときは、次のいずれかの刑に処されます(麻薬取締法第66条第2項)。

  • 1年以上10年以下の懲役
  • 1年以上10年以下の懲役および300万円以下の罰金

営利目的の場合、追加で300万円以下の罰金を受ける可能性もあります。

輸出入・製造

大麻の輸出入や製造も、麻薬取締法の処罰対象です。

自分や仲間が施用(使用)する目的の場合は、1年以上10年以下の懲役に処されます(麻薬取締法第65条第1項)。

営利目的の場合は、次のいずれかの刑に処されます(麻薬取締法第65条第2項)。

  • 1年以上の有期懲役
  • 1年以上の有期懲役および500万円以下の罰金

医薬品医療機器等法の承認を受けた大麻草を原料とした医薬品の製造は、正当な行為で処罰されません。

使用

2024年12月12日から大麻は「麻薬」として位置づけられ、大麻の施用(使用)も禁止の対象となりました。

自分や仲間が施用(使用)する行為は、7年以下の懲役に処されます(麻薬取締法第66条の2第1項)。

営利目的の場合は、次のいずれかの刑に処されます(麻薬取締法第66条の2第2項)

  • 1年以上10年以下の懲役
  • 1年以上10年以下の懲役および300万円以下の罰金

大麻草を含んでいても、医師が処方した医薬品を施用(使用)する行為は、問題ありません。

栽培

大麻を違法に栽培したときは、大麻栽培規制法の処罰対象です。

自分や仲間が単純に施用(使用)する目的で栽培していた場合、1年以上10年以下の拘禁刑に処されます(大麻栽培規制法第24条第1項)。

営利目的の場合は、次のいずれかの刑に処されます(大麻栽培規制法第24条第2項)。

  • 1年以上の有期拘禁刑
  • 1年以上の有期拘禁刑および500万円以下の罰金

ただし、あらかじめ厚生労働大臣や都道府県知事または地方厚生(支)局長の免許を受けた大麻草の栽培は、違法ではありません。

大麻による家宅捜索は拒否できるか

家宅捜索は逮捕と同様、裁判官の令状に従い、強制的に実行される処分です。

そのため、大麻に関する罪が疑われている本人はもちろん、家族も家宅捜索を拒否できません。

家宅捜索のため捜査員が自宅に来たときに、本人や家族が抵抗すれば公務執行妨害罪で現行犯逮捕されることもあります。

「家族だけで家宅捜索に対応するのは不安だ」「捜査員の捜索が適法に行われるか心配だ」と悩むときは、弁護士に立ち会いを依頼することを検討しましょう。

大麻で家宅捜索される前にすべき対策

家宅捜索は事前通告なく行われますが、捜査員の自宅への立ち入りには応じなければいけません。

大麻に関する罪で家族が逮捕されていたり、捜査機関から疑われていたりする場合は、いずれ家宅捜索があり得ると考え、弁護士と相談しておいた方がよいでしょう。

弁護士への相談

弁護士は相談者から事情を聴き、次のアドバイスをします。

  • 大麻に関する捜査は、どのように進められていくか
  • 家宅捜索はいきなり実施されるケースがほとんどであること
  • 家宅捜索を拒否できない旨
  • 居住者が捜索に従う必要性
  • 弁護士は「代理人」として捜索に立ち会える旨

すでに弁護士に弁護活動を依頼している場合は、捜査員が家宅捜索に来たときの対応や注意点も、事前に相談できます。

弁護士の同席

弁護士は「代理人(住居主に代わるべき者)」として、家宅捜索に立ち会えます。

法律で「人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内で差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行をするときは、住居主若しくは看守者又はこれらの者に代わるべき者をこれに立ち会わせなければならない」と明記しているからです(刑事訴訟法第114条第2項)。

弁護士が家宅捜索に立ち会えば、警察の違法捜査を回避し、現行犯逮捕のような事態にも備えられます。

出典:刑事訴訟法|e-GOV法令検索

大麻による家宅捜索が不安なら春田法律事務所までご相談を

今回は数多くの刑事事件を担当してきた弁護士が、大麻に関して家宅捜索されるケース、家宅捜索される前に行うべき対策等を詳しく解説しました。

捜査員が家宅捜索に来たときは、冷静な対応が求められます。

春田法律事務所は、刑事事件の弁護活動に実績豊富な法律事務所です。家宅捜索について不安がある場合は、弁護士との相談を検討しましょう。

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