大麻で現行犯以外の後日逮捕もあるのか?専門弁護士が解説

最終更新日: 2023年12月14日

大麻で現行犯以外の後日逮捕もあるのか?専門弁護士が解説

・大麻所持は現行犯以外の後日逮捕もあり得るのか?
・職質で大麻を押収されたが後日逮捕しにくるのか?
・大麻リキッドを押収されたが後日逮捕はあるのか?

薬物犯罪の中でも大麻取締法違反事件は覚せい剤取締法違反に次いで検挙件数が多い薬物犯罪です。また初犯のケースが非常に多いことも特徴で、初めて捜査を受けることから逮捕されるのかどうかを不安に思う方もおられるでしょう。

今回は、大麻事件で現行犯以外の後日逮捕もあるのかについて専門弁護士が解説します。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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大麻で現行犯以外の後日逮捕はある?

まずは、大麻で逮捕するために必要な条件を確認してから、後日逮捕があるのか説明します。

逮捕のための条件

逮捕をするためには、大麻を所持しているという嫌疑、逃亡のおそれ、罪証隠滅の恐れが必要です。

逃亡のおそれや罪証隠滅の恐れについては、捜査機関や裁判所は比較的容易にその恐れがあると肯定します。

そのため、大麻事件で逮捕できるかどうかの一番ポイントになるのは、被疑者が所持している物が本当に大麻なのかどうかという点です。

予試験(簡易検査)

職務質問や、家宅捜索の際、まず警察は被疑者が所持していた大麻と疑われる物が大麻であるかどうか確認するために予試験(簡易検査)を実施します。

ところが、大麻の簡易検査は、覚せい剤など他の薬物犯罪の簡易検査と異なり、検体の色の変化が必ずしも明確ではなく、大麻であるのかどうかっきりしないケースがよくあります。

現に、大麻であると警察が判断して被疑者を現行犯逮捕したものの、その後に大麻ではないことが判明して、誤認逮捕であったとニュースがになったこともありました。

とりわけ、近時は、脱法ハーブなど見た目は大麻と区別がつきにくい違法薬物も多く出回っていることから捜査現場での薬物の判定が容易でないケースがよくあります。

このように大麻の簡易検査では、大麻であることがはっきりしないことがあるため、被疑者の現行犯逮捕には至らないケースがしばしばあります。

大麻で現行犯以外の後日逮捕はあるのか

では、現行犯逮捕には至らなかった場合、警察が後日逮捕に来ることはあるのでしょうか。

警察の簡易検査で大麻であることが明らかにならなかった場合、科学捜査研究所の正式鑑定にまわされます。そして、正式鑑定の結果、大麻であるとの鑑定結果が出たときは、逮捕の条件が整うことになりますので原則として警察は後日逮捕に来ます。。

この後日逮捕までの期間ですが、鑑定機関や警察の繁忙度によって、物を押収された日から2週間ほどで後日逮捕になることもあれば、数か月後になることもあります。

大麻リキッドでの後日逮捕はあるか?

近時、いわゆる大麻リキッドが特に若者に間で流行しています。大麻リキッドは従来の簡易検査で大麻かどうかを判定することは困難なため、ほとんどのケースで現行犯逮捕はされず、大麻かどうかを判定するための鑑定が実施されます。

そして、鑑定の結果、大麻であることがわかれば原則として後日逮捕されることはリキッドではない大麻の場合と同様です。

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大麻で現行犯以外の後日逮捕は避けられる?

このように鑑定結果で大麻と判明すれば現行犯以外でも原則として後日逮捕されるのですが、それを避ける方法はあるのでしょうか。

大麻で後日逮捕された後の流れ

まずは、原則どおり後日逮捕されてしまった場合の流れについて確認しておきましょう。

被疑者が警察に逮捕されると48時間以内に検察庁に事件送致され、そこから24時間以内に検察官が裁判官に10日間の被疑者の勾留を請求します。そして、裁判官が勾留を決定すると10日間勾留され、更に捜査の必要があると最大10日間勾留が延長されます。

勾留の満期に被疑者に対する起訴処分、不起訴処分がなされますが、捜査未了の場合には、処分保留で釈放され、後日、起訴処分、不起訴処分がなされることもあります。

起訴処分となった場合、初犯であればほとんどは執行猶予付きの懲役刑判決となります。

なお、近時は、弁護士が入ることで、初犯の大麻所持事件の場合には、勾留を回避できるケースがしばしばみられるようになってきました。

逮捕されると報道されるのか

ニュースになる事件は報道価値がある事件です。大麻取締法違反の検挙件数は年間数千件と非常に多くあります。

そのため、末端ユーザーの大麻所持というだけでは大した報道価値はないといえます。ところが、公務員や有名企業の会社員、有名大学の学生などの身分があると報道価値がありニュースになることがあります。

また、上記のように全国的には検挙件数が多くありますが、大都市と比較して人口の少ない地方都市の場合には、そのような事件も比較的珍しいことが多く、報道価値があるとして、当該地方の新聞やニュースで報道されることは比較的よくあるようです。

後日逮捕は回避できるか

さて、それでは現行犯以外で後日逮捕されることを回避できるかについてです。結論としては回避できるケースもあります。

まず、嫌疑が不十分であることを弁護士が警察に説明をして逮捕を回避できるケースがあります。例えば、車の中から大麻が見つかったけれども、自身の物ではなく車内に大麻があることの認識もなかったことを説得的に説明することで後日逮捕を回避できるケースがあります。

また、犯行は認めているものの、初犯の軽微な大麻所持事件であり逃亡も罪証隠滅の可能性も乏しいことを弁護士から警察に説明することによって後日逮捕を回避できるケースもあります。

このように大麻事件においては、現行犯以外での後日逮捕を回避できるケースは少なくありませんので、後日逮捕が不安な場合には専門弁護士に一刻も早く相談することをお勧めします。

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大麻で後日逮捕や現行犯逮捕されるケース

最後に、大麻事件の逮捕についてよくある質問について検討しておきましょう。

初犯の大麻所持でも逮捕されるのか

初犯であっても、大麻所持を含む薬物事件では逮捕されるのが通常です。

もっとも、検挙件数のうち約6割の事件は検察庁に身柄送致されますが、残りの4割は検察庁に事件送致される前に警察の段階で逮捕されない又は釈放されて在宅捜査となっています。

特に近時は初犯の末端ユーザーの大麻所持事案の場合には、在宅捜査となるケースも増えています。

大麻の所持量が微量でも逮捕されるのか

どれくらいの量を微量というかという問題がありますが、微量の大麻所持であっても、それが大麻であるとの鑑定結果が出ている限り、原則として逮捕はされます。

もっとも、パケにカス程度の大麻が付着していたというようなケースでは、そもそも、「所持」の故意の有無について疑義がありますので、そのようなケースでは逮捕がされないことがあります。

大麻を使用したが所持していなかった場合も逮捕されるのか

警察が尿検査をした結果、大麻成分は検出されたものの、大麻自体は所持していなかったというケースがあります。

大麻取締法は、大麻の使用行為自体は直接的には規制対象としていませんので、大麻の使用が判明としても大麻使用の嫌疑で逮捕することはできません。

もっとも、大麻を使用したということは、大麻を持っていたということになるわけですから、大麻所持を立証することは不可能ではありません。

とはいえ、例えば、他人が所持していた大麻を少し吸わせてもらったという場合には、大麻の「所持」は認められない可能性が高く、「所持」の立証は容易ではありません。

このように大麻自体を所持していなかった場合には、大麻所持の立証は容易ではないことから、逮捕されないケースがほとんどです。

まとめ

以上、大麻事件の現行犯以外の後日逮捕について、専門弁護士がご説明しました。

大麻事件では弁護士の活動しだいで後日逮捕を回避できるケースも少なくありません。大麻事件の後日逮捕が心配な方は、刑事事件の経験豊富な弁護士にご相談ください。

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