大麻逮捕で罰金はいくら?刑を軽くする方法&逮捕後の流れを詳しく紹介
最終更新日: 2025年03月04日
- 大麻の所持で逮捕された。懲役の他に罰金刑を受ける場合もあるのだろうか?
- 大麻に関する罪を認めている。減刑は可能だろうか?
- 大麻に関する罪で逮捕されると、家族にも影響が出てしまうのか気になる。
大麻は「麻薬及び向精神薬取締法」で使用・所持等が厳しく規制され、「大麻草の栽培の規制に関する法律」で無免許での栽培等が禁止されています。
それぞれの法律に違反すれば、懲役(拘禁刑)や情状により罰金刑が追加されることもあるでしょう。
そこで今回は、多くの刑事事件に携わってきた弁護士が、大麻に関する法律違反で有罪となったときの刑罰、減刑を得るための方法等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談できます。
- 営利目的で大麻の所持・譲渡等を行えば、罰金刑を付加される場合がある
- 大麻に関する法律違反で逮捕された場合、家族に深刻な影響が出るおそれもある
- 大麻に関する罪で減刑を望むのであれば、弁護士と相談した方がよい
大麻の逮捕で問われる罰金刑
大麻の栽培や製造はもちろん、輸出入の他、譲渡・譲受、施用(使用)、所持のすべてが規制対象です。大麻に関する法律違反となれば、刑罰を科される可能性があります。
大麻に関する罪で有罪となれば、懲役(2025年6月1日に拘禁刑に変更)が言い渡されるでしょう。なお、情状により罰金刑も追加される可能性があります。
所持・譲渡/譲受・使用
大麻の所持や譲渡・譲受、施用(使用)が発覚し有罪になると、次のような刑罰を受けるでしょう(麻薬及び向精神薬取締法第66条、第66条の2)。
- 大麻の単純所持、譲渡・譲受、施用(使用):7年以下の懲役(拘禁刑)
- 営利目的での所持、譲渡・譲受、施用(使用):1年以上10年以下の懲役、または情状により1年以上10年以下の懲役および300万円以下の罰金
営利目的以外では懲役(拘禁刑)のみが科されます。営利目的で所持等を行えば、情状により最高300万円の罰金刑が追加されます。
2024年12月12日以降、大麻は麻薬及び向精神薬取締法の「麻薬」と位置づけられました。法改正で、新たに大麻の施用(使用)禁止が追加されています。
栽培・製造・輸出入
大麻を営利目的で栽培・製造・輸出入した場合、懲役(拘禁刑)だけではなく、最高500万円の罰金刑を追加される可能性があります。
大麻を違法に栽培した場合、次のような罰則を受けるでしょう(大麻草の栽培の規制に関する法律第24条)。
- 単純栽培:1年以上10年以下の拘禁刑
- 営利目的:1年以上の有期拘禁刑、または情状により1年以上の有期拘禁刑および500万円以下の罰金
ただし、大麻草の栽培は一律に禁止されているわけではありません。次のような免許を受ければ大麻草の栽培もできます。
- 大麻草由来製品の原材料採取(第一種大麻草採取栽培者):都道府県知事免許
- 医薬品の原料採取(第二種大麻草採取栽培者):厚生労働大臣免許
- 大麻草の研究(大麻草研究栽培者):地方厚生(支)局長免許
また、違法に大麻の製造や輸出入をすれば、次のような罰則を受けることになるでしょう(麻薬及び向精神薬取締法第65条)。
- 単純製造・輸出入:1年以上10年以下の懲役
- 営利目的:1年以上の有期懲役、または情状により1年以上の有期懲役および500万円以下の罰金
事前に医薬品医療機器等法の承認を受けると、大麻草を使用した医薬品を製造できます。ただし、当該医薬品は医師が処方したときのみに限定されています。
大麻での逮捕後罰金刑が確定するまでの流れ
被疑者が大麻に関する法律違反を疑われている場合、逮捕や送検等が行われ、刑事手続が進んでいきます。
検察官から大麻に関する罪で起訴されると、刑事裁判が開かれ、被疑者は「被告人」として公開の裁判に出廷しなければなりません。
逮捕
被疑者は次のような方法で逮捕される可能性があります。
- 大麻を違法に所持や施用(使用)していた:警察官に現行犯逮捕
- 大麻を違法に栽培・所持していると家族や第三者が警察へ通報した:後日逮捕
基本的に被疑者は警察署で取調官から取り調べを受け、大麻の栽培や所持等に至った動機や経緯、購入者は誰かを質問されるでしょう。
被疑者が逮捕・留置された後、警察は48時間以内に検察官へ身柄を送致します。
送致
被疑者が検察に身柄を送致された場合、検察官も大麻に関する取り調べを行います。
検察官が「すぐに釈放したら、被疑者は大麻の使用や逃亡、証拠隠滅を行うかもしれない」と判断すれば、引き続き留置施設に拘束する手続きを進めるでしょう。
ただし、検察官が裁判所に勾留請求をする場合、次の2つの条件を満たす必要があります。
- 被疑者を逮捕してから72時間以内である
- 被疑者を受け取ってから24時間以内である
勾留
裁判所が勾留請求を認めると、被疑者の身柄拘束は継続されます。
原則として10日間が勾留期間です。やむを得ない事由があれば、検察官の請求により10日間延長できます(刑事訴訟法第208条)。
勾留中は、警察や検察の取り調べを受け、供述を参考に大麻の密売人(または購入者)の捜索、大麻の押収のため家宅捜索が行われる等、様々な捜査が実施されるでしょう。
起訴・不起訴
大麻に関する捜査を終えれば、検察官が被疑者の起訴または不起訴を決定します。
大麻に関する法律違反が認められなかった(嫌疑なし)、法律違反の証拠が乏しい(嫌疑不十分)ときは、不起訴処分となるでしょう。
被疑者の大麻に関する罪が明白であっても、情状酌量の余地があるときは不起訴処分とする場合もあります(起訴猶予)。
一方、起訴されたときは刑事裁判に移行し、裁判所が有罪か無罪かを言い渡すことになります。
刑事裁判
被告人が大麻に関する罪を認めている場合、概ね2回の公判期日で裁判は終了します。
刑事裁判は、次のような流れで進められていきます。
- 第1回目:罪状認否や冒頭陳述が行われ、証拠調べ、求刑・弁論等を参考に、裁判官が審理を進める
- 第2回目:裁判官が検察側・弁護側の主張内容、証言・証拠等を考慮し、被告人に有罪または無罪判決を言い渡す
被告人が大麻に関する罪を否認する場合や、複雑な事件の場合、公判期日が何回も開かれ、裁判終了まで数年を要するケースもあります。
判決
裁判所は事件を慎重に審理後、「実刑判決」「執行猶予付き判決」「無罪判決」のいずれかの判決を言い渡すでしょう。
- 実刑判決:裁判官から命じられた期間にわたり刑事施設へ収容され、自らの罪を反省する
- 執行猶予付き判決:執行猶予期間中(1年〜5年程度)、通常の社会生活を送りつつ、執行猶予の期間が無事に経過すると、裁判官からの刑の言渡しは効力を失う
- 無罪判決:被告人が罪とならない判決
執行猶予付き判決を得ても前科は付くため、大麻に関する罪が消えるわけではありません。
大麻による逮捕で懲役や罰金刑が付くことの影響
大麻に関する法律違反で逮捕・起訴され有罪判決となった場合、刑罰を受ける本人だけではなく、家族にも深刻な影響を与えるでしょう。
周りに知られるリスク
大麻に関する罪で逮捕されると家族はもちろん、マスメディアを通して友人や知人にも知れ渡る可能性が高いです。
友人や知人との関係が崩壊し、信頼は大きく失墜するかもしれません。
本人が大学や短大等に通っている学生であれば、退学処分を受ける事態も想定されます。
職場解雇のリスク
本人が会社員の場合、会社から懲戒処分を受ける可能性もあるでしょう。
大麻に関する罪で逮捕された段階では、有罪となるか無罪となるかわからないため、会社は処分を保留にするかもしれません。
一方で、逮捕された従業員の調査を会社としても進めていくでしょう。
従業員が起訴され有罪になったときは、会社の社会的評価の低下等を避けるため、懲戒解雇処分を下す場合があります。
家族への影響
新聞やニュースで大麻に関する罪で逮捕された事実が報道され、近所の人から家族が白い目で見られることもあるでしょう。
また、次のような事態も懸念されます。
- 家族が会社員の場合、職場内で噂が広まり肩身の狭い思いをし、出世にも影響する
- 逮捕された本人に子どもがいる場合、学校中に噂が広まり、いじめに遭う
家族が引越しを余儀なくされる、一家離散となる等、地域や家族とのつながりが失われる事態もあり得ます。
大麻による逮捕での懲役や罰金刑を軽くするポイント
大麻に関する罪で逮捕後、起訴されても、慌てず今後の対応の仕方を検討しましょう。
弁護士を私選弁護人にすれば、有益なアドバイスやサポートが受けられます。
執行猶予付き判決を目指す
弁護士のアドバイスやサポートを受けながら、被告人として主張を行い、証拠も提出して、執行猶予や減刑を目指しましょう。
裁判官は次のような事情を考慮したうえで、執行猶予付き判決をするか否かを決定します。
- 大麻に関する法律違反は初犯で、かつ常習性も確認できない
- 被告人は大麻に関する罪を反省し、捜査に協力的だった
- 販売目的の大麻所持ではない
- 所持していた大麻の量が微量だった
- 説得力のある再発防止策を主張している
執行猶予付き判決を受ければ、被告人は刑事施設に収容されず、日常生活を送りながら執行猶予の期間が経過するのを待ちます。
反省の態度を示す
大麻に関する法律違反を反省しましょう。
本人が反省の意を示さなければ、捜査機関や裁判所の心証はよくなりません。
法律違反を反省しつつ、捜査機関の質問に答えていけば、減刑となる可能性もあります。
再発防止策の主張
説得力のある再発防止策を主張すれば、裁判官から「更生の余地がある」と評価される場合もあり得るでしょう。
家族が本人の更生を見守り、支援することも有効な再発防止策の1つです。
ただし、本人が大麻に依存している場合、依存から脱却する治療計画の策定も必要です。
治療計画は次のような段階に分けて、策定することが考えられます。
2.通院治療を行う:自宅に戻った後も専門医療施設やクリニックで、大麻依存から脱却する集団治療等を継続する。
3.自助グループに参加:大麻等薬物依存症者の集まり等に参加し、改めて自分自身を見つめ直す。
弁護士に相談すれば、本人の依存状態を考慮し、焦らずに大麻依存から抜け出せるような治療計画を提案します。
信頼できる弁護士に相談する
弁護士は相談者の事情をヒアリング後、次のような法的アドバイスを行います。
- 大麻に関する法律違反がどれくらいの罪になるか
- 大麻の使用や所持等で自首する有効性
- 弁護士は今後どのような弁護活動を行うのか
- 治療計画の策定ポイント
- 起訴され刑事裁判となったときの対応
逮捕される前に、弁護士と相談し私選弁護人を依頼していたときは、逮捕後すぐに弁護士と面会でき今後の対応の仕方を協議できます。
一方、現行犯で逮捕され、弁護士を選ぶ時間がないときは、警察官に家族へ連絡したいと申し出て、家族から弁護士に依頼してもらう方法もあります。
大麻による逮捕で懲役や罰金刑が心配なら春田法律事務所まで
今回は数多くの刑事事件を担当してきた弁護士が、大麻の罪を軽くするためのポイント等について詳しく解説しました。
春田法律事務所は、刑事事件の弁護活動に力を入れている法律事務所です。大麻に関する法律違反で逮捕されるのが不安なときは、弁護士と今後の対処法をよく相談しましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。