傷害罪で初犯の刑罰の重さは?逮捕されたら?弁護士が解説
最終更新日: 2026年01月19日

- はじめて他人を殴ってケガをさせてしまった、どのような罪になるのだろう
- 傷害事件で逮捕されたら、どのような刑罰を受けるのか
- 傷害事件で逮捕されたときは、弁護士を立てるべきか
傷害罪は他人の身体を傷害する刑法犯罪です。有罪となった場合、最長15年という非常に重い懲役刑が言い渡されるおそれがあります。
しかし、傷害事件が初犯であり、加害者の真摯な反省と弁護士の弁護活動によっては、不起訴や減刑となる可能性もあります。
そこで今回は、数多くの傷害事件に携わってきた専門弁護士が、傷害罪とは何か、初犯で問われる刑の重さ、弁護士のサポートを得るメリット等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 傷害罪が初犯だった場合、検察に起訴されても、刑事裁判で減刑される可能性がある
- 一方で、初犯でも事件の悪質性が注目されると、重い刑罰に処されるおそれもある
- いずれにしても弁護士を立てれば、加害者にとって最小限のペナルティで済む可能性が高くなる
春田法律事務所
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傷害罪の基礎知識
傷害事件の認知件数は2022年度で19,514件と、2021年度の18,145件よりも1,300件以上の増加となっています。
このように数多くの事件が発生しており、自分が思いもよらず傷害事件の加害者となってしまうこともあり得ますし、被害者となることもあるかもしれません。万一、加害者となってしまうと、傷害事件の被疑者として逮捕される可能性があるのです。
出典:犯罪統計資料令和4年1~12月犯罪統計【確定値】 | 法務省
傷害罪とは
傷害罪は、他人の身体を故意に傷つけたとき成立する犯罪です。殴ったり蹴ったり、刃物のような凶器で傷つける行為は当然該当します。
それだけでなく、他人にPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症させた、病気を罹患させた等の外傷を伴わないケースでも、傷害罪に問われる可能性があります。
他人が目に見えるような外傷を負わなければ傷害罪にならない、と安心するのは早計です。
傷害罪と暴行罪の違い
他人に暴行した場合は、傷害を負わせたか否かで、傷害罪になるか、暴行罪になるかが分かれます。
他人に傷害を負わせた場合は傷害罪が適用され、有罪になると15年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されます(刑法第204条)。
一方、他人が傷害を負うまでに至らなかったときは、「暴行罪」に該当します。
暴行罪で有罪になると2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金、または拘留若しくは科料に処されます(刑法第208条)。
他人に傷害(実際のケガや心的外傷、病気に罹患させた等)を負わせれば、最長15年の実刑判決を受ける可能性があります。傷害罪は非常に重い罪と言えるでしょう。
傷害罪の初犯で「いきなり刑務所」になる?処分の相場
結論から述べると、初犯で、かつ被害が重大でないケースでは、直ちに実刑(刑務所への収容)となる可能性は低い傾向にあります。
もっとも、「逮捕されなければ問題ない」「軽い処分で済むから安心」というわけではありません。罰金刑であっても前科として記録される点には注意が必要です。
以下では、これまでの裁判例や実際の処分例を踏まえ、初犯における処分の目安について解説します。
初犯における量刑・罰金額の目安
傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役または50万円以下の罰金」とされていますが、実際の処分内容は、「怪我の程度」や「示談が成立しているかどうか」によって大きく左右されます。
比較的軽い怪我(全治1〜2週間程度の打撲や擦り傷など)の場合、初犯であれば、不起訴処分や10万円〜30万円程度の罰金となるケースが多く見られます。
特に、被害者との示談が成立している場合には、不起訴(刑事処分を受けない)となる可能性が高まります。
一方、全治1か月前後の骨折や、縫合を要する怪我などの場合には、30万円〜50万円程度の罰金や、公判請求(正式な裁判)となる可能性があります。悪質性が高いと判断されると、初犯であっても公判に進むことがあります。
さらに、失明や重い後遺障害が残るなどの重傷事案では、罰金刑の範囲を超えるため、原則として正式裁判となり、執行猶予付きの懲役刑、場合によっては実刑となることもあります。
初犯で比較的軽微な傷害の場合には、「略式起訴」により罰金刑で終了するケースが多いのが実情です。略式起訴とは、裁判所に出廷せず、書面審理のみで罰金刑を科される手続きです。
逮捕されずに進む「在宅事件」という捜査形態
「傷害事件=必ず逮捕される」という印象を持たれることもありますが、初犯で逃亡や証拠隠滅のおそれが低い場合には、逮捕されずに捜査が進む「在宅事件」となるケースも少なくありません。
身柄事件(逮捕)の場合は、警察署の留置施設に身柄を置かれたまま取調べを受けることになります。
これに対し、在宅事件では、普段の生活を続けながら、警察や検察からの呼び出しに応じて出頭し、取調べを受けます。
ただし、在宅事件であっても捜査が終了するわけではありません。
「逮捕されなかったから大丈夫」と考えてしまう方もいますが、その後に起訴状が届くこともあります。捜査が継続していることを前提に、慎重な対応が求められます。
罰金刑であっても「前科」として残る点に注意
誤解されやすい点ですが、初犯で刑務所に行かず、罰金を支払って事件が終結した場合であっても、それは「前科」として扱われます。
前科があることによって、将来的に次のような影響が生じる可能性があります。
・一部の資格や職業において制限を受ける場合がある
・海外渡航時のビザ取得に影響が出ることがある
・再度事件を起こした際、過去の前科が考慮され、処分が重くなる可能性がある
初犯の場合に前科を回避するための最も重要な要素は、検察官が処分を決定する前に、被害者との示談を成立させることです。示談は、不起訴処分を目指すうえで、極めて大きな意味を持ちます。
傷害罪の初犯でも実刑判決になるケース
傷害事件の初犯であっても、加害者がまったく反省していない、捜査に非協力的である、という場合は、不起訴や減刑(執行猶予付き判決)にならない可能性が高いでしょう。
また、次のようなケースでは実刑判決を受けてしまいます。
犯罪の内容が悪質である
たとえ被害者を殺害する意思は無かったとしても、暴力を振るい骨折させた、大出血を伴う外傷を与えてという場合、悪質性が高いと捜査機関や裁判所に判断されてしまうでしょう。
犯罪の悪質性は次のような観点から判断されます。
- 犯行の動機
- 武器使用の有無、暴行の回数、共犯か単独犯か
- 周到な計画で犯行に及んだか、偶発的か
- 傷害の程度、治療期間の長さ、後遺症の有無
- 被害者との関係性(親族か他人か)等
以上の観点からみて、加害者の刑を軽くすべき理由がないと判断されたら、不起訴処分や執行猶予判決は期待できません。
実刑判決を受けたときは、一定期間、刑務所に収容されます。刑務所の中で自分の犯した罪を反省しなければなりません。
複数の事件で起訴されている
初犯であっても、複数の傷害事件で起訴された場合は、実刑判決を受ける可能性が高くなります。
たとえば、加害者が何らかの理由で複数の傷害事件を起こし、それぞれの被害者から警察署に被害届を提出されたケースが該当します。
傷害罪の初犯で逮捕されたときにすべきこと
傷害事件の初犯といっても、必ず不起訴や減刑を受けるとは限りません。
自分や家族が傷害事件の被疑者として逮捕された場合は、弁護士に相談し、ペナルティを軽減する対応を進めていきましょう。
すぐに弁護士に相談する
傷害事件を起こし、現場で現行犯逮捕されるような事態にならなくても、被害者から被害届を受理し、警察の捜査が開始される可能性もあります。
できれば逮捕される前に、弁護士へ相談して弁護(私選弁護人)を依頼し、今後の対応を話し合うのが賢明です。
自首をする場合は弁護士も同行します。自首後、警察署で犯行を真摯に反省し、捜査に全面的に協力すれば、加害者にプラスとなる可能性が高くなります。
なお、弁護士へ相談する前に逮捕されてしまうと、自分のスマートフォンは警察に押収されてしまうでしょう。
そのため、家族が警察署から連絡を受けたり、ニュース等で逮捕の事実を知ったりした場合、速やかに弁護士へ相談・依頼した方がよいです。
逮捕直後でも、私選弁護人であれば本人との面会が可能です。早めに面会できれば、本人のためにいろいろな対策を実行できます。
早期の釈放を求める
弁護士を立てれば、早期の釈放が認められる可能性もあります。
逮捕後、検察官は被疑者を引き続き留置施設・拘置所に拘束する必要があると判断すれば、裁判所に勾留請求を行うことになります。
請求が認められた場合、身柄拘束日数は逮捕・勾留で、最長23日間に及んでしまいます。
この場合、弁護士に依頼すれば、勾留請求を防ぐために、身元引受人・出頭の誓約書等を用意して、逃亡や証拠隠滅のおそれはない、と主張するでしょう。
その結果釈放が認められれば、すぐ自宅に戻れます。家族も安心するでしょう。
ただし、早期に釈放されても傷害罪が免責されたわけではありません。まだ、検察官によって起訴され有罪判決を受ける可能性も残っているのです。
したがって、決して安心しきらずに、今後の対応方針を弁護士と共に検討し、適切に進めていく必要があります。
被害者と示談交渉をする
弁護士は被害者と示談交渉を進めます。加害者が直接被害者と交渉したくても、被害者側は傷害を受けた恐怖や、怒りの感情を抱き、話し合いを拒否する可能性が高いです。
しかし、法律の専門家である弁護士が相手であれば、被害者は話し合いに応じる場合があります。
弁護士は被害者の傷害の程度、心情をよく確認し、和解に向けた示談の条件・示談金額を提案します。
被害者が示談内容に納得すれば、示談書を作成して、加害者・被害者双方が署名・押印し、示談が成立します。
示談書を作成しておけば、示談の内容を加害者・被害者が忘れることなく、円滑に示談の条件(加害者は示談金額の支払い、被害者は被害届等の取り下げ等)に沿った行動が進められます。
示談書は、検察官には示談が成立した旨を証明する書類となります。
なお、示談書に「被害者は加害者を許す」という条項が明記されていれば、検察官はその他の事情も踏まえ不起訴処分にする可能性があります。
まとめ
今回は多くの傷害事件に携わってきた専門弁護士が、傷害罪とはどういう罪なのか、傷害事件の初犯でも重い罪となるケース、弁護士を立てる有効性等について詳しく解説しました。
傷害は、他人に暴力を振るい、大ケガを負わせる可能性もある重大な犯罪です。被害者に示談金さえ支払えばよい、という浅はかな考えでは、不起訴処分や減刑は期待できません。
傷害事件の加害者が真摯に反省し、誠心誠意被害者に謝罪し、捜査に全面的に協力しなければ、期待通りのよい結果は得られないと考えるべきです。
傷害罪を起こしてしまったときは、すぐに弁護士と相談し早期に問題解決を図ることをおすすめします。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。
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