傷害罪の初犯はどうなる?罰則・不起訴・執行猶予を解説

最終更新日: 2026年05月15日

傷害罪で初犯だったら…罰則・逮捕・執行猶予のリアルを弁護士が解説

「ケンカで相手を怪我させてしまった」「殴った勢いで骨折させてしまった」——そんな事態に直面したとき、最初に頭に浮かぶのは「初犯だからまだ大丈夫だろうか」という不安ではないでしょうか。

傷害罪は刑法第204条に規定された犯罪で、有罪になれば「15年以下の懲役または50万円以下の罰金」という重い法定刑が定められています。しかし実際には、事案の内容・被害の程度・示談の成否によって処分内容は大きく変わります。

この記事では、傷害罪の初犯について、逮捕される可能性・刑事手続きの流れ・執行猶予がつく条件・不起訴を目指すための行動を弁護士が解説します。事件直後に何をすべきかわからない方は、最後までお読みください。

この記事でわかること

  • 傷害罪の法定刑と暴行罪との違い
  • 初犯でも逮捕される条件・されない条件
  • 不起訴になるために必要な5つの要因
  • 執行猶予がつく条件と量刑の実際
  • 逮捕直後にすべきこと・やってはいけないこと

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士 春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内法律事務所勤務
当事務所開設
資格
宅地建物取引士
情報処理安全確保支援士

「家族が逮捕された」「示談したい」など、300件以上の刑事事件のご相談に対応してきました。(※2026年3月時点)これまでの実務経験をもとに、法律のポイントを分かりやすく解説しています。

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傷害罪とは?法定刑と暴行罪との違い

法定刑:15年以下の懲役または50万円以下の罰金

傷害罪(刑法第204条)は、人の身体を「傷害」した場合に成立します。「傷害」とは、骨折・打撲・裂傷といった外傷だけでなく、体調不良や精神的障害(PTSD等)も含まれると解されています。法定刑は「15年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。

 暴行罪(刑法208条)傷害罪(刑法204条)
成立要件暴行を加えたこと(怪我不要)暴行の結果、相手が怪我をしたこと
法定刑2年以下の懲役・30万円以下の罰金等15年以下の懲役・50万円以下の罰金
典型例平手打ちしたが怪我なし殴って歯が折れた、肋骨を折った

ケンカで相手が怪我した場合、たとえ軽い打撲であっても傷害罪が成立します。「怪我がたいしたことない」と自己判断して放置するのは危険です。

暴行罪と傷害罪の違いについて、より詳しく把握しておきたい方は以下の記事もご参照ください。

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初犯と累犯:処分に与える影響

刑事手続きにおいて「初犯」に法的な定義はありませんが、実務上は「前科がない(過去に有罪判決を受けていない)」ことを指します。前科のない初犯は、検察官・裁判官が処分を判断する際に有利な事情として考慮されます。

  • 前科なし(初犯)→ 不起訴・執行猶予付き判決の可能性が高まる
  • 前科あり → 起訴・実刑判決のリスクが上がる
  • 前歴(逮捕歴のみで不起訴)→ 前科にはならないが捜査上参照される場合がある

初犯の傷害罪で逮捕される?されない?

現行犯逮捕と後日逮捕

傷害事件での逮捕には、①事件発生直後の現行犯逮捕と、②被害者が後日被害届を提出した後の通常逮捕(後日逮捕)の2種類があります。

  • 現行犯逮捕:ケンカ現場に警察が来て、その場で逮捕されるケース。否認しても即時拘束される。
  • 後日逮捕:被害者が数日後に被害届を提出し、逮捕状が発付されて逮捕されるケース。被害届提出後〜数週間以内に来ることが多い。

在宅捜査になるケースとその違い

すべての傷害事件が逮捕につながるわけではありません。被害が軽微で逃亡・証拠隠滅のおそれが低いと判断された場合、逮捕なしで「在宅捜査」が選択されることがあります。

状況逮捕の可能性在宅捜査の可能性
軽傷(全治1〜2週間)、被害者と面識あり、反省あり
骨折等の中程度の怪我、示談交渉中
凶器使用・重傷・被害者が処罰を強く望む
前科あり・逃亡・証拠隠滅のおそれ非常に高

暴行・傷害事件で逮捕された後の手続きの詳細については、以下の記事もあわせてご覧ください。

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逮捕後の手続きの流れ(タイムライン)

①逮捕(48時間以内に検察官へ送致)

②勾留請求(検察官→裁判官)→ 認められると10日間(最大10日延長、計20日)拘束

③起訴または不起訴の判断(勾留満期=23日以内

④起訴された場合:刑事裁判へ(約1〜3ヶ月で判決)

⑤不起訴の場合:釈放、前科なしで終了

逮捕から起訴・不起訴の判断まで最大23日しかありません。この間に示談を成立させることが、不起訴・早期釈放の鍵になります。

喧嘩による傷害事件で逮捕・勾留された場合、早期釈放に向けて何ができるかを以下の記事でさらに詳しく解説しています。

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初犯の傷害罪は起訴される?不起訴になれる?

傷害事件の起訴率・不起訴率

令和5年版犯罪白書によると、傷害事件(傷害・暴行を合わせた身体犯)の起訴猶予率は全体の約50〜60%台で推移しています。つまり、起訴されずに済むケースも相当数あるということです。

ただし、この統計には在宅・軽微案件も含まれます。重傷事案・凶器使用事案に絞ると起訴率は大幅に上がるため、「初犯だから大丈夫」と楽観視するのは禁物です。

不起訴を左右する5つの要因

要因不起訴に有利起訴・重い処分に不利
傷害の程度軽傷(全治1〜2週間)骨折・入院・後遺障害
犯行態様一時的感情、喧嘩両成敗的状況凶器使用・一方的・計画的
示談の成否示談成立・被害者が宥恕示談未成立・被害者が処罰を望む
反省の姿勢自首・素直な認罪・謝罪否認・証拠隠滅・被害者への接触
前科・前歴なし(初犯)あり・同種前科

5つの要因の中で最も影響が大きいのが「示談の成否」です。被害者が「処罰を望まない」と意思表示すれば、検察官が不起訴(起訴猶予)とする可能性が大きく高まります。

示談交渉は弁護士に任せてください

  • 被害者への直接連絡は感情的トラブルを招き、交渉決裂のリスクがある
  • 弁護士が間に入ることで被害者も冷静に話し合える
  • 適正な示談金額・法的に有効な示談書の作成が可能

傷害事件の示談交渉に臨むにあたり、示談金の相場や交渉の進め方を事前に把握しておくことが重要です。

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初犯で執行猶予はつく?量刑の実際

執行猶予がつく法律上の条件

執行猶予とは、有罪判決を受けても一定期間(通常1〜5年)再犯がなければ、刑の執行が免除される制度です。法律上の要件は以下のとおりです。

  • 言い渡される刑が「3年以下の懲役・禁錮」または「50万円以下の罰金」であること
  • 「前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者」または「前に禁錮以上の刑に処せられたが、その執行を終わった日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられていない者」であること(刑法第25条

初犯であれば法律上の要件は満たします。あとは裁判官が「刑事政策的に見て執行猶予が相当か」を判断します。

初犯でほぼ執行猶予がつくケース・つかないケース

状況執行猶予の見込み
軽傷(全治1〜2週間)・示談成立・反省ありほぼ確実に執行猶予
中程度の怪我(骨折等)・示談成立執行猶予の可能性が高い
凶器使用だが軽傷・被害者宥恕執行猶予の可能性あり
重傷(入院・後遺障害)・示談未成立実刑リスクが高い
凶器使用・重傷・前科あり実刑の可能性が高い

傷害事件で最も量刑に影響するのは「被害の重さ」と「示談の成否」の2点です。初犯であっても、凶器を使って重傷を負わせた場合は実刑になりえます。

もし前科がついてしまった場合、職場や就職活動への影響がどの程度あるのかについては以下の記事で詳しく確認できます。

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執行猶予付き判決を得るために弁護士ができること

  • 逮捕直後から示談交渉に着手し、勾留期間中に被害者の宥恕を得る
  • 加害者の反省を示す上申書・謝罪文を準備し、検察官・裁判官に提出
  • 家族・雇用主等の身元引受書を用意し、更生可能性を示す
  • 情状証人として家族・職場関係者が証言できるよう準備する

逮捕直後にすべきこと・やってはいけないこと

やってはいけないこと(NG行動リスト)

これをやると処分が重くなります

  • 被害者に直接連絡する・謝りに行く(ストーカーとみなされ交渉が決裂するリスク)
  • SNSや知人に事件の経緯を投稿・話す(証拠として使われる可能性)
  • 黙秘権を行使せず、誘導的な取調べに曖昧に応じて不利な自白をする
  • 弁護士なしで示談書を作成・署名する(後で争えなくなる不利な内容が含まれることがある)

逮捕直後にすべき3つのこと

  • 速やかに弁護士に連絡する
    逮捕後は家族経由でも弁護士への連絡が可能。最初の72時間が最重要。
  • 黙秘権を行使する権利を知る
    取調べで不用意な発言をしないよう、弁護士から方針を確認してから臨む。
  • 示談交渉は弁護士に一任する
    被害者への接触は弁護士のみが行うようにし、自分では動かない。

家族の方へ:逮捕された場合の対応

  • 逮捕直後は接見禁止が出る場合があるが、弁護士は接見禁止でも面会できる
  • 弁護士費用の相場は着手金30〜50万円・成功報酬30〜50万円程度
  • 国選弁護人は起訴後に選任されるため、不起訴を目指す段階では私選弁護人が有利
  • 初回相談は無料の事務所が多い。まずは電話・LINEで状況を伝えてほしい

逮捕後に接見禁止がついた場合、家族が面会できなくなります。接見禁止の解除方法については以下の記事をご参照ください。

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弁護士に相談するタイミング——初犯こそ早期相談が不起訴の鍵

「初犯だから弁護士は大げさ」と思う方も多いですが、実は初犯だからこそ早期の弁護士相談が重要です。前科がない状態だからこそ、不起訴・執行猶予のチャンスが最も高い。そのチャンスを活かすには、勾留期間中の示談成立が必要であり、そのためには逮捕直後からの弁護士介入が不可欠です。

国選弁護人では不十分な理由

  • 国選弁護人は起訴後に選任される——つまり不起訴を目指す段階では使えない
  • 逮捕直後に当番弁護士を呼ぶことはできるが、継続的な受任は別途契約が必要
  • 私選弁護人は逮捕当日から動け、示談交渉・勾留阻止・取調べ対応をすべてカバーできる

不起訴を獲得して前科なしで元の生活を取り戻すために弁護士がどのような役割を果たすか、以下の記事も参考になります。

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相談のタイミング別・弁護士でできること

タイミング弁護士でできること
逮捕直後〜勾留前(48時間以内)勾留阻止の申立て、被疑者との接見、示談交渉着手
勾留中(10〜20日)示談成立・被害者宥恕の獲得、釈放申請
起訴前(23日以内)不起訴処分の獲得(最大のチャンス期間)
起訴後〜判決前執行猶予付き判決を目指す情状弁護、示談成立でも有利に

刑事事件に詳しい弁護士への相談について、対応内容や費用の目安を以下の記事でご確認いただけます。

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よくある質問

Q:初犯の傷害罪で懲役になりますか?

A:初犯で軽傷かつ示談が成立していれば、実刑(刑務所に収監される懲役)になるケースは少ないです。多くの場合、不起訴または執行猶予付き判決となります。ただし、凶器を使用した場合や重傷を負わせた場合は初犯でも実刑になりえるため、早急に弁護士へ相談してください。

Q:示談すれば不起訴になりますか?

A:示談が成立し、被害者が「処罰を望まない」という宥恕の意思を示した場合、検察官が不起訴(起訴猶予)と判断する可能性が大きく高まります。ただし示談が不起訴を「保証」するものではなく、事案の悪質性や前科の有無なども考慮されます。できるだけ早期に弁護士に依頼することが重要です。

Q:前科なしで終わらせることはできますか?

A:不起訴処分を獲得できれば前科は付きません。示談成立・被害者の宥恕・加害者の反省が揃えば、初犯の傷害事件は不起訴になる可能性が十分あります。逮捕直後から弁護士に依頼し、示談交渉を並行して進めることが前科回避への最善策です。

Q:在宅捜査と逮捕の違いは?

A:在宅捜査は、逮捕・勾留という身柄拘束なしに捜査が進む形態です。会社や家族に知られるリスクが低く、日常生活を続けながら任意の取調べに応じます。一方、逮捕されると最大23日間拘束され、会社への連絡が困難になります。在宅であっても起訴・不起訴の判断はなされるため、弁護士への相談は必要です。

Q:弁護士費用はどのくらいかかりますか?

A:傷害事件の弁護士費用の目安は、着手金30〜50万円・成功報酬30〜50万円程度で、総額60〜100万円前後が一般的です。不起訴や早期釈放が実現した場合に成功報酬が発生する体系が多く、結果が出なければ成功報酬は不要です。初回相談は無料の事務所が多いので、まずはお気軽にご連絡ください。

まとめ

傷害罪の初犯について、重要なポイントを整理します。

  • 傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役または50万円以下の罰金」と重いが、初犯・軽傷・示談成立の組み合わせで不起訴・執行猶予の可能性は十分ある。
  • 逮捕から起訴・不起訴判断までは最大23日。この期間内に示談を成立させることが不起訴・前科回避への最大のチャンスであり、逮捕直後からの弁護士介入が必要。
  • 初犯だからこそ弁護士に早期相談を。前科のないこの状態が「処分を軽くできる最善の条件」であり、放置するほど選択肢は狭まる。

「初犯だから大丈夫」ではなく「初犯だからこそ今が動きどき」です。まずは弁護士への無料相談から始めてください。

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