【弁護士解説】不同意わいせつで示談を拒否された後の対処法と流れ
2026年05月08日

不同意わいせつ事件を起こしてしまい、被害者に示談を申し入れたものの拒否されてしまった場合、「もう実刑になるしかないのか」「前科がついてしまうのか」と絶望的な気持ちになる方は少なくありません。しかし、示談を拒否されたからといって、すべてが終わったわけではありません。
示談が成立しなかった場合でも、弁護士を通じて適切な対応をとることで、最悪の事態を回避し、不起訴処分や執行猶予付き判決を目指せる可能性は十分にあります。本記事では、不同意わいせつ罪で示談を拒否された後の対処法や、今後の流れについて刑事事件に強い弁護士が詳しく解説します。
この記事を監修したのは
職員が丁寧にお話を伺います初回無料
まず知っておきたい「不同意わいせつ罪」の基本
不同意わいせつ罪とは|2023年の法改正で新設
不同意わいせつ罪は、2023年(令和5年)7月の刑法改正により、従来の「強制わいせつ罪」が見直されて新設された犯罪です。暴行や脅迫だけでなく、アルコールや薬物の影響、恐怖や驚愕、地位に基づく影響力などによって、被害者が「同意しない意思を形成・表明・全うすることが困難な状態」に乗じてわいせつな行為をした場合に成立します。要件が明確化されたことで、より幅広いケースが処罰の対象となっています。
不同意わいせつ罪の刑罰と示談の重要性
不同意わいせつ罪の法定刑は「6か月以上10年以下の拘禁刑」と定められており、罰金刑はありません。起訴されて有罪になれば、必ず実刑か執行猶予付きの判決が下されることになります。
罰金刑がない重大な犯罪であるため、不起訴処分を獲得して前科を回避したり、刑を軽くしたりするためには、被害者との示談成立が非常に重要視されます。
なぜ?不同意わいせつで被害者が示談を拒否する主な理由
被害者の処罰感情が非常に強い
不同意わいせつは、被害者の心身に深い傷を残す犯罪です。「絶対にお金を払われても許せない」「厳重に処罰してほしい」という強い処罰感情から、示談の話し合いすら応じてもらえないケースは多々あります。
加害者の謝罪に誠意が感じられない
加害者本人や代理人の態度から「本当に反省しているのか」「ただ自分の罪を軽くしたいだけではないか」と被害者が感じた場合、示談は頑なに拒否されます。謝罪のタイミングや言葉選びが不適切だと、火に油を注ぐ結果になります。
提示された示談金や条件に納得できない
提示した示談金が被害者の精神的苦痛に見合っていないと判断された場合や、「接近禁止」などの条件面で折り合いがつかない場合も、示談決裂の原因となります。
示談を拒否されたらどうなる?想定される4つのリスク
逮捕・勾留され身柄拘束が長期化する
示談が成立していないと、証拠隠滅や逃亡の恐れがあると判断されやすく、逮捕や勾留による長期間の身柄拘束が続くリスクが高まります。起訴されるまで最大23日間の拘束が続くこともあります。
起訴されて前科がつく可能性が高まる
示談不成立の場合、検察官は「被害者の処罰感情が残っている」と判断し、起訴に踏み切る可能性が非常に高くなります。起訴されて有罪になれば、一生消えない前科がつきます。
実刑判決となり刑務所に収監される
裁判になった際、被害弁償が行われていないことは加害者にとって不利な事情として働きます。事案の悪質性によっては、執行猶予がつかず実刑判決となり、刑務所に収監されるリスクがあります。
職場や家族に知られ社会生活に影響が出る
身柄拘束が長期化すれば無断欠勤が続き、会社を解雇される恐れがあります。また、実刑になれば家族の生活にも多大な影響を及ぼし、これまでの社会生活が完全に崩壊してしまう可能性があります。
不同意わいせつで示談を拒否された後の4つの対処法
刑事事件に詳しい弁護士へ相談する
示談を一度拒否された場合、個人での交渉は絶対に避けるべきです。直ちに刑事事件の経験が豊富な弁護士に依頼し、第三者である専門家の介入によって冷静な話し合いの場を設けることが最優先です。
弁済供託を行い、被害弁償の意思を示す
どうしても示談金を受け取ってもらえない場合、法務局に示談金相当額を預ける「供託(きょうたく)」という制度を利用できる場合があります。これにより、加害者側として「被害を弁償する意思と準備がある」という事実を検察官や裁判官に客観的に示すことができます。
贖罪寄付を行い、反省の態度を示す
被害者が供託すら拒むようなケースでは、公益団体や弁護士会などに寄付を行う「贖罪(しょくざい)寄付」を行う方法があります。これも反省の意を行動で示す有効な手段の一つとして、刑事手続きにおいて有利な情状として評価されることがあります。
示談拒否後の刑事手続きの流れ
警察による捜査(逮捕後の流れ)
逮捕された場合は警察署の留置場に入れられ、取り調べを受けます。逮捕後は自由に帰宅することはできず、身柄を拘束された状態で捜査が進みます。
検察庁への事件送致
逮捕から48時間以内に、事件は警察から検察へ引き継がれます(送検)。検察官はさらに24時間以内に、引き続き身柄を拘束する「勾留」が必要かを裁判所に請求します。
検察官による起訴・不起訴の判断
勾留期間(最大20日間)の満了までに、検察官は起訴するか、不起訴にするかを決定します。ここで不起訴になれば、前科はつかず釈放されます。
起訴された場合は刑事裁判へ
起訴された場合、約1〜2ヶ月後に刑事裁判が開かれます。裁判では、検察官と弁護人がそれぞれの主張を行い、最終的に裁判官が量刑(実刑か執行猶予かなど)を言い渡します。
示談を拒否されても不起訴や執行猶予は目指せるのか?
不起訴処分獲得のために弁護士ができること
示談が完全に成立していなくても、弁護士が粘り強く交渉を行い、「実質的な被害弁償」に近い状態(供託など)を作ることや、加害者の深い反省、再犯防止策(クリニックへの通院など)を検察官に提示することで、不起訴処分を獲得できるケースは存在します。
執行猶予付き判決を得るための弁護活動
起訴されてしまった場合でも、供託や贖罪寄付の事実、家族の監督体制が整っていることなどを裁判官に主張・立証することで、刑務所行きを免れる執行猶予付き判決を獲得するための弁護活動を徹底して行います。
不同意わいせつでお悩みなら、弁護士にご相談を
不同意わいせつ罪で示談を拒否されたという状況は、非常に厳しい局面に立たされていると言わざるを得ません。しかし、時間が経てば経つほど状況は悪化します。被害者とのコンタクトを適切に取り直し、法的に有効な代替措置(供託や贖罪寄付など)を迅速に講じるためには、専門家の力が不可欠です。
まとめ
不同意わいせつ罪で示談を拒否されても、まだできる対処法は残されています。リスクを最小限に抑え、不起訴処分や執行猶予を獲得するためには、謝罪の徹底や供託、贖罪寄付といった具体的な反省の態度を示すことが重要です。一人で抱え込まず、弁護士に相談し、最善の解決策を見つけていきましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。
職員が丁寧にお話を伺います初回無料





