不同意性交等罪の勾留期間は?逮捕後の流れと早期釈放のためにできること

2025年12月11日

不同意性交等罪の勾留期間は?逮捕後の流れと早期釈放のためにできること

不同意性交等罪で逮捕された場合、その後の勾留期間や刑事手続きがどのように進むのか、そしてできるだけ早く身体の拘束を解くために何をすべきかは、多くの方にとって大きな不安材料だと思います。

 この種の事件では、逮捕されてから起訴されるまでの間、ひとつの犯罪事実につき最長で23日間にわたって身体が拘束される可能性があります。長期間の身体拘束は、仕事や社会生活、ご家族との関係にも少なからぬ影響を及ぼし得ます。

もっとも、適切な知識を持ち、早い段階から対応できれば、この拘束期間を短くできる場合もあり、不利益を抑えることが期待できます。特に、逮捕直後から弁護士に相談し、専門的なサポートを受けることは、早期釈放を目指すうえで非常に重要なポイントとなります。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
宅地建物取引士

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目次

不同意性交等罪で逮捕されたら勾留は避けられない?まず知っておきたいこと

不同意性交等罪で逮捕された場合、勾留される可能性が高いことをあらかじめ理解しておく必要があります。これは、この罪が持つ法的な性質と、刑事手続きにおける勾留の要件に関係しています。

不同意性交等罪の法定刑は「5年以上の有期拘禁刑」と重く定められており、罰金刑の選択肢がありません。このような重大な犯罪では、「逃亡のおそれ」や「証拠隠滅のおそれ」があると評価されやすい状況にあります。重い刑罰を避けようとして逃亡したり、被害者や関係者に接触して証拠に影響を与えるのではないか、という点が捜査機関や裁判官に懸念されやすいからです。

特に、被害者との間に面識がある場合や、密室で行われたとされる事件では、証拠が被疑者の供述や被害者の証言に大きく依存することが多く、被疑者が被害者を口封じする等の証拠隠滅のおそれが指摘されやすくなります。

こうした事情から、不同意性交等罪で逮捕されると、勾留の要件を満たすと判断され、身柄拘束が一定期間続くケースが少なくありません。

ご自身やご家族がこのような状況に置かれた場合、「なぜこれほど長く拘束されるのか」と感じるのは自然なことです。ただ、その背景には上記のような法的な考え方があることを理解しておくことが大切です。
そのうえで早期の身柄解放を目指すには、勾留の理由に対して適切に反論し、裁判官や検察官の判断を見直してもらうための専門的な弁護活動が重要になります。

 

不同意性交等罪とは?

不同意性交等罪は、2023年7月13日に施行された改正刑法によって新設された罪名です。それまでの「強制性交等罪」から名称と内容が見直されました。

この改正により、暴行や脅迫が明確に行われていない場合であっても、被害者が同意しない意思を表明することが難しい状態にあることに乗じて性交等に及んだ場合なども処罰の対象とされています。

不同意性交等罪の刑罰は?罰金刑がなく実刑となるおそれも

不同意性交等罪の刑罰は、法定刑が「5年以上の有期拘禁刑」と比較的重いことが特徴です。この罪には罰金刑の選択肢がなく、起訴されて有罪判決が確定した場合、執行猶予が付かず、刑務所に収容される「実刑」となる可能性が極めて高いです。初犯であっても、有罪の場合は、示談をしていない限り、原則実刑判決となると想定できます。

また、事件の内容によっては長期間の拘禁刑が科されることがあります。

どのような行為が罪に問われるのか

不同意性交等罪は、暴行や脅迫といった分かりやすい力の行使がなくても成立し得る点が大きな特徴です。刑法177条では、被害者が同意しない意思を形成・表明・全うすることが困難な状態にある状況に乗じて行われた性交等が処罰の対象とされています。

いくつか典型的な場面を挙げると、次のようなケースが考えられます。

  • 被害者がアルコールを多量に摂取して酩酊状態にあることを知りながら性交に及ぶ行為
  • 薬物を服用させ、意識が朦朧としている状態で性交をする行為
  • 深夜に他人の部屋に侵入し、その恐怖や驚愕でパニックになっている相手に性交等を強いる行為
  • 職場の上下関係や経済的な依存関係を利用し、断りにくい状況を作り出したうえで性交に及ぶ行為 など

これらの例から分かるように、不同意性交等罪では、単に物理的な力を行使したかどうかだけでなく、被害者の心理状態や置かれている状況を利用した行為も問題となります。

そのため、「相手がはっきり嫌がったわけではない」と加害者側が考えていても、法律上は不同意性交等罪として評価される可能性があります。自らの行為がどのように評価されるかについて、法律の考え方とギャップが生じやすい分野でもあるため、専門家である弁護士に相談することが大切です。

【最大23日間】逮捕後の流れと勾留期間を時系列で確認

不同意性交等罪で逮捕された場合、刑事手続きには厳格な時間制限が設けられていますが、その範囲内で最大23日間の身柄拘束が続く可能性があります(別の機会に余罪があれば、別件での再逮捕再勾留により23日間以上となることもあります)。この期間は、その後の社会生活に大きな影響を与えかねないものです。

ここでは、逮捕から起訴・不起訴の判断がなされるまでの流れを、各段階の時間制限とともに時系列で確認していきます。警察による取調べ、検察への送致、勾留請求と勾留決定、最終的な起訴・不起訴の決定に至るまでのプロセスを知ることで、早期釈放のためにどこに重点を置くべきかが見えてきます。

①逮捕~送致(最大72時間)

逮捕されると、まず警察署に連行され、取調べを受けます。警察段階での身体拘束は、最大48時間と定められています。この間に警察官は被疑者から事情を聴き、供述調書を作成します。

警察はこの48時間の中で事件の概要を把握し、身柄拘束を続ける必要があるかどうかを判断します。必要と判断した場合には、検察官に対して被疑者を送致します。

検察官に送致された後は、検察官による取調べが行われます。検察官は送致から24時間以内に、被疑者を勾留すべきかどうかを判断し、裁判官に勾留請求を行うか、あるいは釈放するかを決めます。

つまり、逮捕されてから検察官が勾留請求を行うかどうかを判断するまでの期間は、警察段階の48時間と検察段階の24時間を合わせて最大72時間(3日間)となります。

この逮捕直後の72時間は、弁護士以外との面会が制限され、家族であっても面会できないことが通常であるため、被疑者は精神的に孤立しやすく、慣れない状況の中で不利な供述をしてしまうおそれもあります。

このタイミングで弁護士が早期に介入できるかどうかは、その後の流れに大きく影響します。

②勾留請求~勾留決定(最大20日間)

検察官が勾留の必要性を認めた場合、裁判官に勾留請求を行います。勾留とは、被疑者の身柄をさらに継続して拘束するための手続きです。

裁判官は、勾留請求を受けた後に被疑者と面談(勾留質問)し、次のような勾留要件を満たすかどうかを審査します。

  • 住居不定であること
  • 証拠隠滅のおそれがあること
  • 逃亡のおそれがあること

罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があり、かつ上記勾留要件のいずれかを満たし、勾留の必要性があると判断された場合、裁判官は勾留を認める「勾留決定」を出し、原則として10日間の勾留が始まります。

10日間の勾留期間中、検察官は捜査を進めますが、事件が複雑で10日間では捜査を終えられない場合や、さらに取調べが必要と判断される場合には、検察官は裁判官に勾留延長を請求できます。裁判官がこれを認めると、勾留期間はさらに最大10日間延長されます。

この結果、勾留期間は最初の10日間と延長された最大10日間を合わせて、合計で最大20日間となります。

この最大20日間は、起訴されるか不起訴になるかが決まるまでの重要な身体拘束期間です。警察や検察による取調べが連日行われることも多く、精神的・身体的な負担は小さくありません勾留決定前後の弁護活動は、身柄解放や不起訴処分につながる可能性を高めるうえで、とても重要な意味を持ちます。

③起訴・不起訴の決定

最大20日間の勾留期間が満了するまでに、検察官は捜査の結果を踏まえて、被疑者を「起訴」するか「処分保留で釈放」とするかを決めます。

「起訴」とは、検察官が事件を裁判所に提起し、刑事裁判の開始を求めることです。起訴されると刑事裁判が開かれ、有罪か無罪か、有罪の場合にはどのような刑罰とするかが審理されます。

日本の刑事裁判は、一度起訴されると有罪率が非常に高いと言われており、起訴された時点で前科がつく可能性は相当程度高くなります。

一方、「処分保留で釈放」とは、検察官が事件を勾留満期日までに起訴しない場合です。その時点で釈放され、後日正式に不起訴処分となることが通常です事件は事実上終了し、通常の社会生活に戻ることができます。

不同意性交等罪の場合は罰金刑がなく、有罪の場合には実刑となるリスクが極めて高いため、不起訴処分を目指すことは、前科を避けて社会復帰を図るためにも重要な目標となります。

④起訴後の勾留と刑事裁判

検察官により起訴された場合、一般的には「起訴後勾留」という形で、引き続き身柄が拘束されることが多くなります。起訴後勾留は、保釈が認められない限り、刑事裁判が終わって判決が確定するまで、数か月以上にわたり身体拘束が続く可能性があります。

この段階になると、弁護士を通じて「保釈請求」を行い、保釈保証金を納めることで一時的に身柄を解放してもらうことが検討されますが、不同意性交等罪のような性犯罪では、事案によっては保釈が認められにくい場合もあります。

刑事裁判では、検察官が提出する証拠などに基づき、裁判官が有罪・無罪や量刑を判断します。公判は通常複数回開かれ、証拠調べや証人尋問などが行われます。最終的に判決が言い渡され、有罪となり、控訴しなければ刑が確定します。保釈が認められていない場合には、この裁判期間中も拘置所での生活が続くことになります。

このように、起訴されると、その後の身柄拘束期間が一層長期化するおそれがあります。したがって、まずは起訴前、すなわち最大20日間の勾留期間中に、できる限り不起訴処分を目指すことが重要になります。弁護士は、この起訴前の段階から不起訴処分の獲得、起訴された場合の保釈請求や裁判での弁護活動まで、一貫して対応し、被疑者の権利を守る役割を担います。

なぜ不同意性交等罪は勾留される可能性が高いと言われるのか

不同意性交等罪で逮捕された場合、身体拘束が長引き、勾留される可能性が高いと評価されがちです。

これは、勾留の可否を判断する上で重視される「証拠隠滅のおそれ」と「逃亡のおそれ」が、この種の事件では認められやすいと考えられているためです。以下では、それぞれの理由についてもう少し詳しく見ていきます。

証拠隠滅のおそれがあると判断されやすい理由

不同意性交等罪において「証拠隠滅のおそれ」が高いと判断されやすい理由として、まず、被疑者が被害者や目撃者に接触し、供述内容に影響を与える可能性が挙げられます。

被害者や関係者に対し、供述を変えるよう求めたり、威圧したりすることがないようにする必要があるため、捜査機関は身柄拘束の必要性を強く意識しやすくなります。特に、知人・友人・恋人・職場関係など、当事者同士に何らかの関係性がある場合には、この点が重視される傾向にあります。

また、事件に至るまでのやり取りを示す証拠、たとえばLINEやメール、SNSのメッセージなどが削除・改変されるおそれも指摘されることがあります。

こうした事情から、捜査機関としては証拠を確実に保全するため、身柄拘束が必要と判断し、勾留請求に踏み切るケースが多くなります。

逃亡のおそれがあると判断されやすい理由

不同意性交等罪は、法定刑が「5年以上の有期拘禁刑」と定められた重い犯罪です。起訴されて有罪となった場合には、実刑となることが通常です。

そのため、「重い刑罰を避けるために逃亡を図るのではないか」との懸念から、逃亡のおそれがあると評価されやすくなります。

被疑者が定職についており、家族がいるといった事情があっても、犯罪の重大性や刑罰の重さが重く受け止められるため、それだけで逃亡のおそれが完全に否定されることは多くありません。
捜査機関や裁判所は、被疑者の生活状況だけでなく、事件の性質や見込まれる刑罰の重さも考慮して、勾留の必要性を判断することになります。

勾留期間を短縮し早期釈放を目指すためにできること

不同意性交等罪で逮捕された場合、長期にわたる身体拘束は仕事や家族への影響が大きく、できる限り避けたいと考えるのが自然です。ここでは、そのような事態を少しでも和らげ、社会生活への早期復帰につなげるために、ご本人やご家族がどのような行動をとるべきかを整理します。

取るべき対応は、容疑を認めているかどうかで変わる部分もありますが、共通していえるのは、早い段階で弁護士に相談することが重要だという点です。初動が早いほど、勾留期間の短縮や不起訴処分を獲得できる可能性が高まります。

容疑を認めている場合:被害者との示談成立を目指す

不同意性交等罪の容疑を認めている場合、早期釈放や不起訴処分を目指すうえで有力な選択肢の一つが、被害者との示談を目指すことです。示談が成立し、被害者の方から宥恕(ゆうじょ)」、すなわち許しの意思示されれば、検察官が「当事者間で一定の解決が図られ、刑事処罰の必要性が下がった」と判断する可能性が高まります。

その結果として、不起訴処分となる、あるいは起訴された場合でも執行猶予付きの判決が選択されるなど、比較的穏やかな結論につながることが期待されます。不同意性交等罪は罰金刑がなく、有罪となれば実刑のリスクがある犯罪ですので、不起訴処分や執行猶予の可能性を高める意味で、示談は重要な要素になります。

もっとも、ご本人やご家族が被害者に直接連絡を取ってしまうと、被害感情を刺激し、かえって交渉が難しくなるおそれもありますし、そもそも連絡が取れないことが通常です。そのため、示談交渉は弁護士を通じて行うことが基本です。弁護士が被害者の心情に配慮しながら進めることで、示談成立の可能性が高まります。

容疑を否認している場合:無実を示す証拠を集める

不同意性交等罪の容疑を否認している、すなわち冤罪を主張している場合には、示談交渉を安易に進めることは適切ではありません。示談は事実を認めたものと受け取られ、無実の主張と矛盾してしまうおそれがあるからです。

このような場合に特に重要なのは、黙秘権の行使と捜査機関の主張を覆しうる客観的な証拠を速やかに収集することです。

具体的には、次のような証拠が考えられます。

  • 事件発生時のアリバイを示す防犯カメラ映像や店舗の記録
  • 当日の移動状況を示すGPSデータや交通系ICカードの利用履歴
  • 第三者による目撃証言
  • 性行為が任意のものであったことを示すメッセージのやり取りや通話記録 など

取調べの場面では、不利な内容の供述が中心となりがちなこともあり、弁護士と協力して有利な証拠を積極的に集めていく必要があります。

これらの証拠を適切な形で集め、主張に結び付けるには、法律や刑事手続きの知識が不可欠です。ご本人やご家族だけで対応するのは負担が大きく、証拠の保存にも限界があります。冤罪を主張する場合には、できるだけ早く弁護士に依頼し、証拠収集や主張の整理を進めることが重要です。

共通して大切なこと:すぐに弁護士に相談する

不同意性交等罪で逮捕されてしまった場合、容疑を認めているかどうかにかかわらず、まず弁護士に相談することが非常に重要です。逮捕後、検察官が勾留請求を判断するまでの72時間は、弁護活動がその後の勾留・起訴の判断に大きな影響を与え得る重要な時間帯です。

この限られた時間の中で、弁護士は被疑者と接見し、取調べについて具体的なアドバイスを行い、不利な供述調書が作成されることを防ぐよう努めます。また、勾留を避けるための意見書を裁判所に提出するなど、身柄解放に向けた活動を早期に始めることが可能です。

刑事事件、とりわけ不同意性交等罪のような重大事件では、時間の使い方」が結果を左右する場面が少なくありません。逮捕直後から弁護士が関わることで、精神的な支えとなると同時に、客観的な状況分析と法的な観点から、より良い結果を目指すことができます。

早期釈放を目指すうえでの弁護士の主な活動

不同意性交等罪で逮捕された場合、ご本人やご家族は、今後どのような手続きが進み、どこで弁護士が関与してくれるのかを知りたいと感じられることが多いと思います。

弁護士は、逮捕直後から起訴・不起訴の判断に至るまで、そして起訴された後も長期の身体拘束を少しでも回避し、不起訴処分や保釈による身柄解放を目指して、さまざまな活動を行います。

ここでは、刑事手続きの各段階ごとに、弁護士がどのようなサポートを行うのかを簡潔にご紹介します。

逮捕直後:迅速な接見と取調べへのアドバイス

弁護士が依頼を受けた後、最初に行う重要な活動が「接見」です。逮捕直後は、ご家族との面会が制限されることも多い一方で、弁護士は時間や回数の制限なく接見することができます。

接見の場では、まず被疑者の不安を和らげ、今後の見通しをできる範囲で説明しながら、精神的な支えとなります。そのうえで、取調べにどう対応するかについて具体的なアドバイスを行い、黙秘権の行使、供述内容の整理、署名・押印に関する注意点などを伝えます。
この初期段階での対応は、その後の勾留の有無や起訴・不起訴の判断にも影響し得るため、迅速な接見が大きな意味を持ちます。

勾留決定前:勾留を避けるための意見書提出

検察官が勾留請求を行い、裁判官が勾留の可否を判断するタイミングでは、弁護士は勾留の必要性が低いことを訴えるための活動を行います。
具体的には、

  • 証拠隠滅のおそれがないこと
  • 逃亡のおそれがないこと
  • 被疑者が定職に就いていること
  • 家族が身元引受人として監督に協力すること
  • 被害者と接触しないことを約束すること

などを整理し、「意見書」として裁判所に提出します。
こうした主張を通じて、身柄拘束をしなくても捜査が可能であることを裁判官に理解してもらい、勾留請求を認めないよう働きかけます。

勾留決定後:準抗告による不服申立て

それでも勾留決定が出てしまった場合、弁護士は「準抗告」という手続を用いて、勾留決定に対して不服申立てを行うことがあります。

準抗告とは、勾留決定が相当でないと考えられる場合に、別の裁判官(合議体)に対してその取り消しを求める手続きです。弁護士は、なぜ勾留が不要であると考えられるのかを改めて書面で説明し、勾留取消しと釈放を求めます。

準抗告が認められれば、その時点で釈放となるため、勾留期間の短縮につながり得る重要な手段です。

勾留期間中:不起訴処分を目指した示談交渉

勾留期間中、被疑者が容疑を認めている場合には、不起訴処分につなげるための活動として、被害者との示談交渉が行われることがあります。

弁護士は被疑者の代理人として、被害者側に対して謝罪の意を伝え、適切な賠償を提案します。直接のやり取りではなく弁護士を通して進めることで、被害感情をさらに悪化させるリスクを抑えつつ、話し合いの機会を作ることができます。

示談が成立し、示談書に「宥恕」の文言が盛り込まれれば、検察官が不起訴処分を選択しやすくなります。示談金の額や示談書の内容については一件ごとに異なるため、弁護士が調整役を務めることが重要です。

起訴後:保釈請求による身柄解放を目指す

勾留期間満了までに不起訴とならず、起訴されてしまった場合でも、弁護士は「保釈」を利用して身柄解放を目指します。

弁護士は裁判所に対し、被告人が逃亡や証拠隠滅を行わないこと、保釈保証金を納付する用意があることなどを主張し、保釈請求を行います。保釈が認められれば、保証金を納付することで、自宅などから裁判に出廷しながら社会生活を続けることができます。

保釈が認められるかどうかは事案ごとの判断ですが、弁護士は条件を整え、必要な資料を添えて裁判所に働きかける役割を担います。

よくある質問(FAQ)

Q. 家族にできることは何ですか?

ご家族が逮捕された場合、まずは信頼できる弁護士を探し、早めに依頼することが重要です。逮捕直後から弁護士が関与できるかどうかが、その後の身体拘束期間や処分に影響することがあります。

併せて、ご家族は弁護士に対してできるだけ正確な情報を伝えることが求められます。
例えば、逮捕された方の職業や勤務先、家族構成、事件当日の行動、持病の有無などです。こうした情報は、勾留の必要性を判断する際や、情状に関する主張を行う際に役立ちます。

また、弁護士から求められた場合には、身元引受人になる準備を進めることも大切です。身元引受人の存在は、勾留を避けたり、保釈を認めてもらったりするうえで、裁判所に対する安心材料となります。

そのほか、勾留中の本人に対し、衣類や現金、本などを差し入れできる場合もあります(差し入れできる物には施設ごとに制限がありますので、事前に確認が必要です)。ご家族からのサポートは、本人の精神的な支えにもなりますので、弁護士と連携しながらできる範囲で支えていくことが大切です。

Q. 勾留中に会社や学校に連絡はできますか?

勾留中は、本人が自由に電話やメールを使って外部と連絡を取ることはできません。手紙のやり取りは可能ですが、内容が確認されることもあるため、迅速な連絡手段とは言いづらい面があります。

会社や学校への連絡が必要な場合には、ご家族から状況を伝える方法が一般的す。無断欠勤や無断欠席が続くと、会社からの懲戒や解雇、学校からの処分につながる可能性もあります。

 

Q. 不同意性交の示談金の相場はいくらですか?

不同意性交等罪における示談金の額は、事案の内容によって大きく変わります。一般的には数十万円から数百万円の幅があると言われますが、一概に「相場はいくら」と断定するのは難しいのが実情です。

金額に影響する主な要素としては、次のような点が挙げられます。

  • 性行為の内容や回数など、被害の態様
  • 被害者の精神的・身体的なダメージの程度
  • 被害者の処罰感情の程度
  • 加害者側の資力(支払い能力)
  • 当事者双方の社会的な立場 など

被害者の処罰感情が強く、精神的な負担が大きいと考えられる場合には、示談金が高額となる傾向があります。また、加害者側の支払い能力によっても、提示される金額が変わることがあります。

最終的な示談金額は、弁護士が双方の事情をふまえて交渉しながら決めていきます。弁護士は、被害者側の納得感と加害者側の支払可能性の両面を考慮しつつ、適切な落としどころを探る役割を担います。

Q. 弁護士費用はどれくらいかかりますか?

刑事事件を弁護士に依頼する場合、費用は一般的に「着手金」と「成功報酬」に分かれます。

着手金は、弁護活動を始める際に支払うもので、その後の結果にかかわらず返還されないのが通常です。成功報酬は、不起訴処分や執行猶予、減刑など、依頼者にとって望ましい結果が得られた場合に支払う費用です。

不同意性交等罪のような重大事件では、着手金として数十万円、良い結果が得られた場合の成功報酬としてさらに数十万円ほどを目安としている事務所も少なくありません。

ただし、具体的な金額は、法律事務所ごとの料金体系や事件の内容によって変わります。複数の事務所から説明を受け、費用の内訳や支払い方法を確認したうえで、納得のいく弁護士を選ぶこと大切です。

まとめ:不同意性交事件は時間の使い方が重要|早期釈放は弁護士への相談から

不同意性交等罪で逮捕された場合、最大23日間に及ぶ身柄拘束や、起訴後の実刑判決など、無視できないリスクに直面することになります。このような状況の中で、ご本人やご家族の負担を少しでも軽くし、社会生活への影響を抑えるためには、「いつ、どのような対応をとるか」が重要になります。

逮捕直後の72時間は、弁護士以外との面会が制限され、被疑者が孤立しがちな時期です。この段階で適切な助言を受けられないと、不利な供述が残ってしまい、その後の勾留・起訴の判断に影響するおそれもあります。また、勾留が決定すれば、さらに長期の身体拘束となる可能性があります。

こうした事態をできるだけ避け、早期釈放や不起訴処分の可能性を高めるためには、逮捕直後から刑事事件に詳しい弁護士に相談し、弁護活動を始めることが重要です。
弁護士は、被疑者の権利を守り、刑事手続きの各段階でどのような選択肢があるのかを整理しながら、最善の結果を目指して対応します。

もしご自身やご家族が不同意性交等罪で逮捕された場合には、一人で抱え込まず、早めに弁護士へ相談することを検討していただければと思います。

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