ホットペッパーの口コミは削除できないのか?方法・スムーズに進めるポイントを解説

最終更新日: 2023年12月30日

ホットペッパーの口コミは削除できないのか?方法・スムーズに進めるポイントを解説

  • 私の店がホットペッパーで誹謗中傷を受けている。営業にも悪影響が出るので悪質な投稿を削除したい。
  • ホットペッパーへ投稿された誹謗中傷を削除するには、どうすればよいのだろう?
  • ホットペッパーで誹謗中傷を行ったが、自分の身元がバレたらどうなってしまうのだろう?

ホットペッパーは、飲食店や美容サロン、地域のオススメスポットなどを紹介するフリーペーパーです。

インターネット上でも「ホットペッパーグルメ」「ホットペッパービューティー」等、飲食店や美容店などの検索・予約に特化したサービスが提供されています。

インターネットは顧客が店を利用したときの感想も投稿できる一方で、店を誹謗中傷する投稿も目立ちます。

誹謗中傷を受けた店側は、何とか投稿を削除してもらいたいものです。

そこで今回は、ネットをめぐる法的トラブルへの対応実績が豊富な専門弁護士が、ホットペッパーの口コミを削除する方法、悪質な口コミをした者が問われる法的責任等について詳しく解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • ホットペッパーの口コミは削除できない場合がある
  • 口コミを削除するためはホットペッパー側と交渉するか、裁判所に削除を申し立てる
  • 悪質な口コミ投稿者の身元が判明すると、被害を受けた店舗から損害賠償請求や刑事告訴される可能性がある

発信者情報開示・削除に強い弁護士はこちら

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

詳しくはこちら

ホットペッパーの口コミは削除できる?

ホットペッパーで自分の店を誹謗中傷する口コミを発見した場合や、口コミを投稿した人が言い過ぎてしまったと後悔した場合、当事者本人が口コミの削除をしてもよいのかと悩むこともあるでしょう。

こちらではホットペッパーの口コミなどの削除の可否、どうしても削除したい場合の対応について説明します。

削除できない場合がある

ホットペッパーグルメの場合、口コミを投稿した本人が削除することは可能です。

マイページにログイン後、「グルメ手帳」を開き、削除したいレポートの右上にある「削除する」をクリックしましょう。

一方、ホットペッパービューティーの場合は、再投稿(書き直し)・再編集(修正)・削除はできないと明記されています。ただし、ホットペッパービューティー側の審査によって、非掲載または一部編集の上で掲載となることがあります。

サイトには削除フォームがないため、誹謗中傷を受けた店舗からの削除依頼はできません。

どうしても削除したいなら

誹謗中傷を受けた店舗は、店舗の判断でいつでも予約受付を中止し、掲示板を非公開にできます。

ただし、ホットペッパーからの予約で集客率をあげていた店舗は、そう簡単に予約受付を中止できないでしょう。

その場合、別の方法で悪質な口コミの削除を試みましょう。

ホットペッパーの口コミを削除する方法

悪質な口コミ投稿の放置によって店の評判が不当に落ちる可能性があります。不安なときは、ホットペッパーの運営側との交渉、裁判所への削除申立てを検討しましょう。

リクルートに問い合わせ

ホットペッパーの運営会社である「リクルート」に問い合わせ、悪質な口コミの削除を要請する方法があります。

しかし、リクルート側が問い合わせに応じすぐに削除するとは限りません。

「規約(口コミの掟)に明記されている通り、店舗の判断で予約受付を中止し、掲示板を非公開にして対応してください」との回答を受ける可能性もあります。

仮処分の申立て

リクルート側が悪質な口コミの削除に応じない場合、被害店舗側は裁判所に投稿削除の仮処分の申立てが可能です(民事保全法第23条第2項)。

被害店舗の申立てに理由があると裁判所が判断した場合、リクルート側に投稿記事削除命令を下します。

裁判所の命令である以上、リクルート側は削除する可能性が高くなります。
出典:民事保全法 | e-Gov法令検索

ホットペッパーの口コミで問われる罪

ホットペッパーで誹謗中傷の投稿をした加害者は、被害店舗側によって氏名や住所を特定されるケースもあります。

情報開示は、プロバイダ責任制限法に基づき、発信者情報開示請求(同法第5条)か発信者情報開示命令(同法第8条)のいずれかの手続きで進めることができます。

身元が判明すると、加害者は刑事責任や民事責任を追及される可能性があります。

 

出典:プロバイダ責任制限法 | e-Gov法令検索

名誉毀損罪

加害者がホットペッパーの口コミで店を誹謗中傷し、名誉(信用)を毀損した場合、「名誉毀損罪」に当たる可能性があります。

刑法では「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する」と規定されています(刑法第230条第1項)。

「人の名誉」と規定されていますが、個人だけでなく法人・団体も含まれます。もちろん店舗も対象です。

たとえば、「ラーメン店〇〇は不衛生。床に落ちた食材を平気でお客に出しており、最低だ」等、具体的な内容を明示した口コミが本罪に該当します。

この名誉棄損罪は親告罪なので、被害を受けた店舗(経営者)が刑事告訴しなければ、加害者が検察官によって起訴されることはありません。

一方、被害者側が刑事告訴したときは、起訴されて裁判で有罪になると懲役刑や禁錮刑が言い渡されるおそれもあります。

出典:刑法|e-GOV法令検索|法務省

侮辱罪

ホットペッパーの口コミに店の悪口を投稿した場合、「侮辱罪」に当たる可能性もあります。

刑法では「事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、一年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する」と規定されています(刑法第231条)。

たとえば、「店長無能」「店員バカすぎ」「死ね」等と投稿した場合は侮辱罪に該当します。

侮辱罪も親告罪です。被害店舗側が刑事告訴すれば、有罪判決を受け懲役刑や禁錮刑を言い渡されることもあります。

出典:刑法|e-GOV法令検索|法務省

不法行為による損害賠償

加害者がホットペッパーで誹謗中傷の口コミを行い店に損害が生じたときは、不法行為責任を追及される可能性があります。

民法は「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と規定しています(民法第709条)。

不法行為責任を問われただけであれば刑罰は受けませんが、被害店舗側から金銭賠償を求められます。

通常、被害店舗と加害者の交渉で和解成立を目指します。交渉不成立の場合は被害者側から損害賠償請求訴訟が提起され、裁判で解決を図るのが一般的です。

賠償金額は、名誉毀損に当たる場合は10〜50万円程度(団体50〜100万円程度)、侮辱に当たる場合は1〜10万円程度です。

ただし、悪質な口コミで深刻な被害が出た場合は、賠償金額は数百万円に上るケースもあります。

出典:民法|e-GOV法令検索|法務省

財産以外の損害の賠償

許可なく店長や店員、店舗の顧客を撮影し投稿する行為は、肖像権やプライバシー権の侵害に当たる可能性があります。

民法は「他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない」と規定しています(民法第710条)。

したがって、無断で顔や容姿等を撮影した場合、名誉感情を侵害されたと主張する被害者から損害賠償(慰謝料)請求を受けるおそれがあります。

名誉感情の侵害に関する慰謝料額は、10〜50万円程度が想定されます。

出典:民法|e-GOV法令検索|法務省

ホットペッパーの口コミをスムーズに削除するためのポイント

ホットペッパーに自分の店を誹謗中傷している口コミが投稿されていたら、慌てずに口コミに関しての決まり事(口コミの掟)を確認しましょう。

口コミの掟に明示された対応方法で解決が難しいときは、法律の専門家に相談し、今後の対応措置を検討しましょう。

口コミの掟の熟読

「口コミの掟」とは、ホットペッパービューティーの口コミに関する規約です。ホットペッパーグルメにも適用されます。

まず口コミが「口コミの掟」に違反するかどうかを確認しましょう。

口コミの掟に明記された「禁止行為」「内容に関する制限」(口コミの掟第3条)に該当するのか、投稿内容を当てはめてみましょう。

口コミが店のサービスへの正当な意見や批判であれば、誹謗中傷にはなりません。

なお、口コミの掟には「掲載施設による掲示板の非公開」が明記されているので、掲載施設(店舗)は、いつでも自由に予約受付を中止して掲示板を非公開にできます(口コミの掟第6条第2項)。

しかし、予約受付中止や掲示板非公開にすると、店の営業に支障が出ることもあるので、この措置はできるだけ避けたいものです。

弁護士への相談

誹謗中傷の口コミの削除をどうすればよいかわからないときは、インターネットに関する法的トラブルの交渉・訴訟に精通した弁護士と相談してみましょう。

弁護士は誹謗中傷の状況や、被害店舗の希望をヒアリングし、次の点について助言や提案を行います。

  • 口コミが誹謗中傷に当たるか
  • 口コミを削除する方法→リクルートに削除依頼、裁判所へ仮処分申立て
  • 加害者の身元特定→発信者情報開示請求・発信者情報開示命令の手続
  • 加害者と和解を望む場合→和解(示談)交渉
  • 加害者への法的措置→損害賠償請求訴訟・刑事告訴の手順

弁護士に依頼すれば、口コミの削除依頼や加害者の身元特定、法的措置まで、全ての対応を任せられます。

一方、悪質な口コミを投稿した加害者も弁護士と相談し、早期の和解を図った方がよいです。

弁護士を代理人にすれば和解交渉の窓口となります。刑事告訴されても不起訴処分を検察官に働きかけ、起訴された場合には刑事裁判で起訴猶予や減刑を得られるよう尽力します。

ホットペッパーの口コミの削除なら弁護士に相談を

今回はネットに関するのトラブルの法的な解決に尽力してきた専門弁護士が、ホットペッパーに投稿された悪質な口コミへの対処法を詳しく解説しました。

ホットペッパーに削除依頼フォームがないからといって泣き寝入りすることはありません。

弁護士のサポートを受けて冷静に悪質な口コミへの対応策を検討し、問題の解決を図りましょう。

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