盗撮による迷惑防止条例違反は初犯でも前科がつくの?

最終更新日: 2022年09月12日

盗撮による迷惑防止条例違反は初犯でも前科がつくの?盗撮をしてしまい、今後、自分がどうなってしまうのか不安でたまらないとのご相談を良くお聞きします。

もちろん、盗撮は犯罪であり、許されることではありません。
また、この記事で詳しく説明をいたしますが、基本的には各都道府県の迷惑防止条例違反として、1年以下の懲役または100万円以下の罰金との法定刑が定められていることが多いです(東京都、大阪府など)。

では、盗撮の「初犯」の場合でも、これらの刑罰が科されて、前科がついてしまうのでしょうか?
不起訴処分となり、前科がつくことを回避はできないのでしょうか。

以下、盗撮事件の初犯について、どのような犯罪が成立する可能性があり、どういった処分があり得るのか、不起訴処分はあり得るのか等、盗撮事件の豊富な経験を有する弁護士が解説いたします。

この記事を監修したのは

南 佳祐
弁護士南 佳祐
大阪弁護士会 所属
経歴
京都大学法学部 卒業
京都大学法科大学院 卒業
大阪市内の総合法律事務所 勤務
春田法律事務所 入所

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盗撮の初犯で問われる罪は迷惑防止条例違反以外にもある?

さて、さきほど、盗撮の場合、基本的には各都道府県の迷惑防止条例違反に問われる可能性があるとお伝えしました。

これ以外の犯罪に問われることもあるのでしょうか?

  • 迷惑防止条例違反
  • 軽犯罪法違反
  • 住居侵入罪・建造物侵入罪
  • 児童ポルノ禁止法違反
  • まとめ

迷惑防止条例違反

まず、盗撮行為自体を直接的に罰することができるのは、各都道府県が定める「迷惑防止条例」です。

たとえば、東京都では、「粗暴行為(ぐれん隊行為等)の禁止」(第5条1項2号)として、「人の通常衣服で隠されている下着又は身体」の撮影等を禁止しています。

大阪府でも、「卑わいな行為の禁止」(第6条1項2号、3号)にて、「衣服等で覆われている内側の人の身体又は下着」の撮影等が禁止されています。

軽犯罪法違反

軽犯罪法は、刑法で規定していない犯罪行為で、日常生活における身近で比較的軽微な違法行為を犯罪として処罰する法律です。

軽犯罪法第1条23号は、「正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者」に拘留または科料の刑罰を科すと定めています。

盗撮行為も、軽犯罪法第1条23号に該当する可能性が高いです。

理論上、迷惑防止条例違反と軽犯罪法違反との住み分けの議論が存在しますが、実務上は、盗撮行為は基本的には迷惑防止条例違反として立件されることが多いです。

住居侵入罪・建造物侵入罪

盗撮行為自体を規制するものではありませんが、盗撮を目的として、住居や商業施設などに立ち入れば、刑法130条「住居侵入罪」、「建造物侵入罪」が成立し得ます。

この場合、3年以下の懲役または10万円以下の罰金刑が法定されています。

児童ポルノ禁止法違反

最後に、盗撮行為が児童ポルノ禁止法(正式には、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」です)違反に問われる可能性もあります。

盗撮行為は、同法第7条5項による「児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造」(児童ポルノ製造の罪)に該当する可能性があります。

すなわち、撮影の対象が18歳未満の児童であり、撮影の内容が、「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの」(第2条3項3号)であれば、児童ポルノ製造に該当する可能性があります。

この場合、法定刑は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金です。

まとめ

このように、盗撮については、迷惑防止条例違反以外の犯罪が成立する可能性も否定はできませんが、盗撮行為を直接規制するのは、迷惑防止条例違反であり、以下では、迷惑防止条例違反に限定して、説明を続けたいと思います。

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盗撮の初犯なら迷惑防止条例違反で逮捕・勾留されるのか?

さて、盗撮をした場合、迷惑防止条例違反を理由に逮捕されたり、勾留されることがあるのでしょうか。

  • 逮捕や勾留の要件は?
  • 初犯であることはどのように考慮されるのか

逮捕や勾留の要件は?

そもそも、逮捕や勾留は必ずされるのでしょうか。

結論としては、必ずされるわけではなく、逮捕・勾留をされずに捜査が進んでいくことも少なくはありません。

逮捕の要件は?

逮捕にはいくつか種類がありますが、原則的な方法として、「通常逮捕」があります。
これは、裁判官が交付した逮捕状に基づき逮捕する方法です。

身柄拘束は重大な人権誓約ですので、裁判官は、逮捕状を交付する際に、逮捕の要件が満たされているか否か、慎重に確認します。

ここで、逮捕の要件とは、

  1. 逮捕の理由があること
  2. 逮捕の必要性があることの2点とされています。

まず、逮捕の理由は、「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」(刑事訴訟法199条1項)と規定されています。
また、逮捕の必要性は、主として、「逃亡のおそれ」、「罪障を隠滅するおそれ」を考慮して判断することとされています(刑事訴訟規則143条の3)。

つまり、盗撮をしたことが明らかな犯人がいたとしても、捜査機関が証拠を保全できており、また、その犯人に定まった住所や定職などがあれば、逮捕の理由はあるものの、逮捕の必要性がないとして、逮捕が許されない場合もあるのです。

勾留の要件は?

逮捕後、検察官が身柄拘束の必要性が引き続きあると判断した場合、検察官から裁判所に対して、勾留請求がなされます。
そして、裁判所が勾留の要件を満たすと判断すると、勾留がなされることとなります。

ここで、勾留の要件については、

  • 罪を犯したことを疑うに足る相当な理由があること
  • 住居不定、罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれのいずれかに該当すること
  • 勾留の必要性があること

とされています。

初犯であることはどのように考慮されるのか

では、盗撮の初犯である場合、逮捕や勾留にはどういった影響が生じるのでしょうか。

盗撮事件の初犯の場合、不起訴となるケースもあれば、罰金刑となるケースもありますが、実刑(懲役刑)となることはないと考えて問題はないでしょう。

つまり、初犯の場合、実刑になる可能性がないと言えるため、被疑者が実刑を避ける等の目的で逃亡を図ることは考えにくいといえます。

同様に、不起訴の可能性もある状況下で、わざわざ罪証隠滅を図ることも、一般的には考えにくく、罪証隠滅の主観的可能性(動機)がないとも、評価できるのです。

このように、「初犯であること」は、逃亡のおそれや、罪証隠滅のおそれを否定する事情として扱われ、逮捕や勾留を避けるための有利な事情のひとつとなります。

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盗撮の初犯なら迷惑防止条例違反での処分は軽くなるの?

ここまでは、捜査段階における「逮捕」や「勾留」と、初犯との関係を考えてきました。
では、最終的な検察官の処分の段階で、「初犯」であることはどのような意味をもつのでしょうか。

  • 迷惑防止条例違反の法定刑
  • 初犯であることは有利な事情である
  • まずは不起訴を目指すべき
  • 罰金も「前科」である

迷惑防止条例違反の法定刑

東京都や大阪府の場合、盗撮での迷惑防止条例違反の法定刑は1年以下の懲役または100万円以下の罰金です(撮影した場合)。
また、常習であれば、2年以下の懲役または100万円以下の罰金とされています。

初犯であることは有利な事情である

逮捕や勾留の要件を検討する際にも「初犯」であることは有利な事情でしたが、検察官が終局処分を決定する際にも、「初犯」であることは有利な事情として考慮されます。

一般的には、「初犯」であり、犯罪の内容が悪質(たとえば、同じ被害者を付け狙う、特殊な機材を用いて盗撮をした等)でなければ、不起訴処分となることも多く、起訴された場合でも、罰金刑でとどまる場合がほとんどです。

まずは不起訴を目指すべき

上記のとおり、「初犯」の場合、不起訴となる可能性も見込めます。

不起訴を目指す場合、最も重要なのは、被害者との示談ですので、可能な限り早期に弁護士に依頼し、被害者との示談を進めることが大切です。

示談が成立し、初犯であれば、不起訴となる可能性がかなり高まるでしょう。

罰金も「前科」である

なかには、被害者への示談金額が、示談できない場合に想定される罰金額よりも高額になることがあり、それであれば示談はしないと仰る相談者もいらっしゃいます。

しかし、罰金刑も「前科」であり、単に金額の多寡を比較するだけでは不十分です。
また、反省をし、盗撮行為の被害者に被害弁償をすることが、罪を償う第一歩であるともいえます。

したがって、経済的な事情があるにせよ、可能な限り、被害者との示談を進めるべきだと考えます。

盗撮初犯で迷惑防止条例違反の前科がついた場合に想定されること

最後に、盗撮の初犯で不起訴には至らず、罰金刑などの「前科」がついた場合には、刑事罰を科される以外に、日常生活に支障は生じるのでしょうか。

解雇

一般企業では、たとえば会社の名誉や信用を害したときに、解雇を含む懲戒処分が可能であるとされていることが多いです。

法律論としては、盗撮などの業務とは無関係の私生活上での犯罪行為を原因として解雇することは例外的な場合を除いて許されず、そのような解雇は無効であると考えられています(最高裁昭和49年3月15日判決)。

もっとも、実際のところ、会社内で盗撮をした、前科がついたとの噂などが広まってしまい、退職を余儀なくされることはあり得ます。

離婚や家庭内の不和

また、盗撮行為は性犯罪であり、家族との関係(特に盗撮を行った夫と妻との関係)にも影響を与えることが想定され、場合によっては離婚などの可能性もあるでしょう。

その場合、離婚原因を作出したとして、離婚に伴う慰謝料請求を受けるリスクもあります。

まとめ

今回は、盗撮の「初犯」であることが、捜査段階や終局処分の段階でどのような事情として取り扱われるのか検討してきました。

初犯であることは、有利な事情として取り扱われますが、やはり被害者への謝罪や示談、再犯防止に向けた活動は重要であり、弁護士の支援が不可欠です。

盗撮事件でお悩みの場合は、初犯であっても、速やかに弁護士に相談することをおすすめいたします。

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