離婚で連帯保証人を外れるためにすべきことは?実施ステップも詳しく解説
最終更新日: 2023年09月29日
- 夫と離婚に合意しているが住宅ローンはまだ残っている、連帯保証人の私はどうすればよい?
- 離婚するとき、連帯保証人を外れる方法があれば知りたい
- 離婚するときに連帯保証人を円滑に外れるために押さえておくべきポイントは?
離婚時にマイホーム等のローンが残っているのに、離婚した後も自分が「連帯保証人」のままでいると、元配偶者が返済を滞らせてしまったときに代わりにローンを支払う必要があります。
後々トラブルとならないために離婚時に連帯保証人から外れておく必要があります。
そこで今回は、多くの民事事件に携わってきた専門弁護士が、離婚の連帯保証人への影響、連帯保証人を外れる方法等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 連帯保証人は主債務者(お金を借りた人)と同じ責任を負い、厳しい義務が課されている
- 連帯保証人を外れる方法としては、保証人の差し替え、借り換え等がある
- 連帯保証人を外れるために、前もって弁護士と相談しておいた方が安心できる
離婚による連帯保証人への影響
配偶者の連帯保証人になっている人は、離婚時に配偶者とよく話し合い、連帯保証人から外してもらいましょう。
こちらでは、連帯保証人とはどのような役割を担うものなのか、連帯保証人のままでいればどうなるのかについて解説します。
連帯保証人とは
連帯保証人とは、主債務者(借金をした人)が借金を支払わないときに、主債務者の代わりに返済義務を負う人です。連帯保証の場合、債権者(金銭の貸し主)が主債務者ではなく、最初から連帯保証人へ支払いを請求でき、連帯保証人はそれに応じなければなりません。
通常の保証人であれば、まず主債務者に請求してほしいと主張したり(催告の抗弁権)、主債務者に資力がある事実を証明したうえで、先に主債務者の財産の差押えをするよう要求できます(検索の抗弁権)。また、主債務者に代わり複数の保証人が返済を行う場合、各保証人は、その人数で割った分だけの金額を支払えばよいとされる権利もあります(分別の利益)。
しかし、連帯保証人には催告の抗弁権や検索の抗弁権、分別の利益がないので、主債務者と同じ重い責任を負うのです。
離婚後も請求される可能性
自分が主債務者である配偶者と離婚したからといって、自動的に連帯保証人の地位から解放されるわけではありません。
連帯保証人から外れない限り、離婚後もこれまで通り、債権者から借金の返済を迫られるリスクがあります。
離婚時に連帯保証人を外れる方法
自分が連帯保証人から外れるためには、借金をした配偶者の協力が必要です。
こちらでは、連帯保証人から外れるための3つの方法について解説します。
保証人の差し替え
差し替えとは、離婚する自分の代わりに誰かを連帯保証人とする方法です。
銀行等の金融機関では、ローン等の申込みを引き受ける場合、主債務者の収入だけでは不安なときは、基本的に収入のある親族の誰かを連帯保証人として立てさせます。
そのため、連帯保証人がいなくなれば、金融機関側は不安を解消できず困ってしまいます。
そこで、連帯保証人である自分と同等またはそれ以上の収入のある人を、新たな連帯保証人とする必要があるのです。
ただし、たとえ連帯保証人の適任者が見つからなくても、主債務者が自分の所有する不動産等を担保にする方法もあります。
別の連帯保証人を立てる、物的担保を提供する、いずれの方法であれ金融機関がそれを認めれば、離婚する自分は連帯保証人から抜けられます。
借り換え
ローンの「借り換え」という方法でも、連帯保証人から抜けられます。
主債務者である配偶者が現在のローンを組んでいる金融機関から、別の金融機関にローンを組み直せば、現在のローンは完済されます。
そして、次のローンで離婚する自分が連帯保証人にならなければ、現在のローンを完済した段階で、連帯保証人の地位から解放されるのです。
ただし、ローンの借り換えをするには、主債務者が新たなローンの審査を通過する必要があります。
審査に落ちれば借り換えは利用できないので、また別の金融機関に借り換えを申し出るか、別の方法で対応しなければなりません。
売却
住宅ローンを組んでいた場合、差し替えや借り換えのいずれもうまくいかなかったときは、ローンを組んでいる住宅を売却するのも1つの方法です。
ローンが残ったままでも家は売却できるので、住宅ローンの連帯保証人から抜けられます。
ただし、マイホームを失う主債務者(配偶者)は強く反発するかもしれません。
売却は最終手段といえますが、何とか夫婦が冷静に話し合い対応を協議しましょう。
なお、主債務者の方で残りのローンを返済できるほどの預金があれば、その預金で完済するのもよい方法です。
離婚時に連帯保証人を外れるためにすべきこと
離婚するときは連帯保証人としての責任から解放されたいところですが、そのためにどのような方法で連帯保証人から外れるのか、その方法や注意点をよく把握する必要があります。
こちらでは、連帯保証人を外れる4つのポイントについて解説しましょう。
弁護士への相談
配偶者のローンの連帯保証人となった場合、離婚時どのように連帯保証人を脱すればよいか悩んだときは、弁護士と相談してみましょう。夫婦の事情を踏まえ、連帯保証人を脱する方法について的確なアドバイスが得られます。
連帯保証人の変更に配偶者がなかなか応じない場合に、弁護士を立てれば、弁護士が自分の代わりに配偶者との交渉をします。
配偶者との合意
主債務者である配偶者と話し合い、合意の上でローンの連帯保証人をどうするのか決めます。
配偶者に連帯保証人となっている自分と同等以上の収入のある親族がいれば、その親族に連帯保証人をお願いしましょう。
また、配偶者が複数の不動産を保有しているときは、それらを物的担保とすべきかも考えていきます。
この場合、弁護士のアドバイスを受けながら夫婦で検討した方が、話し合いがうまくまとまる可能性は高いです。
手続きの確認
連帯保証人を変更する手続きは、主債務者が実行しなければなりません。
- 連帯保証人の差し替え→ローンを組んでいる金融機関に相談後、指示を受け、変更の手続きを行う
- 借り換え→ローンの借り換え先に申込み、必要書類等を提出、審査の通過を確認後に利用開始
- 売却(住宅ローン)の場合→買主から受け取ったお金でローンを全額返済し、同時に抵当権の抹消登記を行う(同時決済)
なお、差し替えを最初から認めない金融機関もあるので、事前にホームページ等で確認しておきましょう。
代わりの連帯保証人を探す
主債務者である配偶者側の親族に連帯保証人になってもらえるよう、適任者を探してみましょう。
配偶者に親や兄弟姉妹がいれば、離婚のため連帯保証人から外れる旨を正直に伝え、了承を得ます。
それでも連帯保証人が決まらないならば物的担保を検討する等、代わりとなる存在や方法を選びます。
まとめ
今回は多くの民事事件に携わってきた専門弁護士が、離婚するときに連帯保証人から外れる方法、その注意点等について詳しく解説しました。
夫婦で住宅ローンを組んでいて、連帯保証人の差し替えやローンの借り換えに失敗したときは、思い切って住宅を売却するのもひとつの方法です。
そうすれば後々起こり得る返済のトラブルからも解放されます。
離婚するときローンや連帯保証人をどうするか悩んだときは、早く弁護士と相談して、対応の仕方を話し合ってみましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。