離婚と住宅ローンの問題を弁護士が徹底解説!誰が支払う?確認事項を総点検

最終更新日: 2023年07月04日

  • 離婚したときに住宅ローンが残っているときの確認事項は何か
  • 離婚したときの住宅ローンは誰が支払うことになるのか
  • 離婚したいけど住宅ローンに関して注意点を整理しておきたい

離婚するときには、金銭的にも注意しなければならないポイントが多数存在します。その1つが、住宅ローンです。住宅ローンがまだ残っている場合には、離婚しても返済が必要になります。

ただ、離婚するときに住宅ローンについて何を確認すればいいか、すぐに答えられない方もいるのではないでしょうか。また、不動産の売却代金で住宅ローンの支払いにあてたいと考える方もいるかもしれません。

そこで今回は、離婚の専門弁護士が、離婚するときに住宅ローンについて確認しなければならないことや、住宅ローンを誰が支払うかなどについて解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • 離婚時に住宅ローンについて確認すべきことは、「名義/価格」「契約内容」「残額」の3つ
  • 離婚時の住宅ローンの支払い義務は、住宅ローンの名義人にある
  • 離婚時の住宅ローンで気をつけるべきポイントは「共有名義人の場合は双方の承諾がないと売却が不可能」「名義人変更が可能なこともある」「養育費の支払いがあると住宅ローンが減額されることもある」「弁護士にも相談が大切」の4つ

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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離婚するときに住宅ローンについて確認しなければならないこと

ここでは、離婚するときに住宅ローンについて確認しなければならないことについて、以下の3つを解説します。

  • 名義/価格
  • 契約内容
  • 残額

それでは、1つずつ解説します。

名義/価格

確認しなければならないことの1つ目は、住宅ローンの名義/価格です。

不動産の名義人を調べるには、法務局にて不動産の登記簿謄本を取得しましょう。登記簿謄本では、併せてどのような担保権が設定されているかも確認が必要です。

また、不動産価格は不動産業者に査定してもらうことで、不動産価格により、不動産を売却するかどうかなど、今後の対応方法が変わってきます。

契約内容

確認しなければならないことの2つ目は、住宅ローンの契約内容です。

住宅ローンの契約書から、名義人や保証方法を確認しましょう。一般的には、以下のA〜Cのパターンが多いようです。また、当初契約から住宅ローンの内容が変更されていることもあるので、これまでの契約書類は全て確認しておくことをおすすめします。

パターンA

夫は名義人で、妻は連帯保証人

パターンB

夫妻がともに名義人

パターンC

夫が名義人で、妻には債務負担なし(保証協会等を利用)

 

残額

確認しなければならないことの3つ目は、住宅ローンの残額です。

後述しますが、住宅ローンの残額と不動産の査定額により、住宅ローン返済に関して対応方法が異なります。「償還表」などを用いて、正確に現在の住宅ローンの残額を把握しましょう。

離婚したときに住宅ローンが残っていたら誰が支払う?

ここでは、離婚時に残っている住宅ローンの支払いは今後誰が行うのか、以下の3つを解説します。

  • 支払い義務は住宅ローンの名義人にあり
  • 連帯保証人の場合
  • ペアローンの場合

それでは、1つずつ解説します。

支払い義務は住宅ローンの名義人にあり

1つ目は、支払い義務は住宅ローンの名義人にあることです。

離婚時の財産分与において、住宅ローンは対象になりません。そのため、住宅ローンが残っていても、名義人でなければ支払う必要はありません。

ただ、通例では夫婦共同の負債がある場合は、夫婦共同の財産から負債の総額を引き、その残額を折半することが通例です。そのため、離婚前にはお互いの支払額を話し合って決定しましょう。

また、住宅ローンの名義人と家の名義人が異なる場合もあるので、それも確認しておく必要があります。家の名義人を変えることは比較的容易ですが、ローンの名義人や連帯保証人の変更は困難です。

連帯保証人の場合

2つ目は、連帯保証人の場合、住宅ローンの支払いを誰が行うかについてです。

夫婦の片方が名義人で、もう片方が住宅ローンの連帯保証人になっているとします。その場合、名義人に支払い能力がなくなると、連帯保証人に住宅ローンを返済する義務が生じます。離婚しても連帯保証人であることには変わりなく、ローンを返済するか借り換えを行うかしかありません。

ペアローンの場合

3つ目は、ペアローンの場合、住宅ローンの支払いを誰が行うについてです。

ペアローンは、夫婦がともに債務者としてローンを組むものです。共働きの夫婦であれば、片方だけの名義でローンを組むより借入金額を増やせる上に、住宅ローン控除を夫婦で受けられるメリットがあります。

ただ、ペアローンの借入金額は、夫婦2人の年収より算出しているため、離婚しても片方名義に変更できない可能性が高いでしょう。

そのため、夫婦片方がローンの名義人から外れるには、もう片方だけの収入でローンを返済できることが前提で、ローンを返済するか借り換えを行うかしかありません。

離婚時の住宅ローンで気をつけるべきポイント

ここでは、離婚時の住宅ローンで気をつけるべきポイントについて、以下の4つを解説します。

  • 共有名義人の場合は双方の承諾がないと売却が不可能
  • 名義人変更が可能なことも
  • 養育費の支払いがあると住宅ローンが減額されることも
  • 弁護士にも相談

それでは、1つずつ解説します。

共有名義人の場合は双方の承諾がないと売却が不可能

ポイントの1つ目は、共有名義人の場合、双方の承諾がないと売却が不可能であることです。

住宅を夫婦共有の名義で所有している場合には、片方だけでなく双方の承諾がないと売却できません。そのため、離婚時には住宅を片方だけの名義にしておかないと、相手と連絡がつかなくなったとき、自分の判断で住宅を売却できなくなります。

名義人変更が可能なことも

ポイントの2つ目は、名義人変更が可能なこともあるということです。

住宅ローンの返済中には、原則名義人変更は認められていませんが、離婚後に新しい名義人がその家に居住する場合など、離婚時には名義人変更が認められるケースもあります。ただ、その場合は新しい名義人に十分な返済能力が必要となります。

養育費の支払いがあると住宅ローンが減額されることも

ポイントの3つ目は、養育費の支払いがあると住宅ローンが減額されることもあるということです。

子どもがいる場合、養育費の負担者が住宅ローンの返済も行うと、大きな経済的負担を強いられます。しかし、正当な理由があり、かつ離婚した相手が合意すれば、一度合意した養育費を変更することも可能です。住宅ローンの返済も、その理由として認められる可能性は低くありません。

弁護士にも相談

ポイントの4つ目は、弁護士にも相談すべきであることです。

離婚後のトラブルを避け、自分の財産を守るためにも、弁護士に相談しましょう。また、不動産会社や離婚カウンセラーにも相談すると、より的確に対処できる可能性が高まります。

離婚時に住宅ローンが残っている状態でも不動産を売却する方法

ここでは、離婚時に住宅ローンが残っている状態でも不動産を売却する方法について、以下の2つを解説します。

  • アンダーローンの場合
  • オーバーローンの場合

それでは、1つずつ解説します。

アンダーローンの場合

1つ目は、アンダーローンの場合に不動産を売却する方法です。

アンダーローンとは、住宅ローン残高が不動産の査定額を下回っている状態を意味します。その場合は、以下の2つの方法で不動産を売却できます。

不動産会社の仲介

  • 市場価値に合わせて売却価格設定できる
  • 買い手が見つからなければ売買が成立しない

業者買取

  • 短期間で住宅を買い取ってもらえる
  • 買取価格は不動産会社の仲介より低くなる

 

オーバーローンの場合

2つ目は、オーバーローンの場合に不動産を売却する方法です。

オーバーローンとは、住宅ローン残高が不動産の査定額を上回っている状態を意味します。その場合は、住宅ローンを借入している金融機関の合意のもと不動産を売却する方法(任意売却)を取りましょう。

これなら、ローン返済ができなくとも、担保は外れて自己資金がなくても住宅を売却できます。ただ、金融機関の合意を得ることは簡単ではなく、住宅ローンの残り額を支払う義務も消えません。

まとめ

今回は、離婚の専門弁護士が、離婚するときに住宅ローンについて確認しなければならないことや、住宅ローンを誰が支払うかなどについて解説しました。

離婚するときには住宅ローンがまだ残っている場合、名義や契約内容などについて、契約書を十分確認して、現状を把握しましょう。基本的には名義人に支払い義務がありますが、連帯保証人やペアローンになっている場合も、対応方法を頭に入れておく必要があります。

併せて、不動産を売却してローンの返済にあてたい場合は、事前に不動産の査定を行いましょう。オーバーローンかアンダーローンかで、その後の戦略が変わってきます。

なお、住宅ローンに限らず、離婚には多くの金銭的問題が生じます。解決には、相手との交渉や法的知識が求められる場面も珍しくありません。その場合は、離婚問題の解決実績を多数有する当事務所にご相談ください。経験豊富な弁護士が、迅速かつ適切に問題を解決に導いてくれるでしょう。

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