熟年離婚で後悔しないために:退職金の財産分与と老後資金の守り方
2025年11月13日

熟年離婚を考えるとき、多くの方が心配するのは「離婚後の生活資金」ではないでしょうか。特に、長年の結婚生活の中で積み重ねてきた退職金は、今後の生活を支える大切な資金です。
退職金は夫婦の協力によって得られた成果でもあり、離婚後に財産分与を受ける正当な権利があります。
ただし、この権利をきちんと主張して実現するためには、専門的な計算や交渉が必要です。まずは専門家に相談し、法的な手続きを踏まえて準備を進めることが安心への第一歩です。
「退職金が財産分与の対象になる」理由
分与の対象は「結婚生活で築いた部分」
法律上、退職金も夫婦の共有財産とみなされます。
ただし、すべての金額が対象となるわけではなく、「婚姻期間中に築いた部分」のみが財産分与の対象になります。
財産分与を請求できる主なケース
すでに退職金が支給されている場合
預貯金などとして残っていれば対象になります。
将来支給が確実な場合
退職金規程などから「支給が見込まれる」場合も対象に含まれます。
将来の退職金を正確に把握し、確実に受け取るために
将来受け取る退職金を分与対象とする場合、その計算は複雑です。
計算の一般的な方法
裁判所では、概ねですが、次のような基準で退職金の分与額を判断する傾向にあります。
- 別居等の婚姻関係破綻日時点における「自己都合退職金」の見込み額を基準にする
- その金額に婚姻期間中の貢献割合を掛け合わせて按分する
弁護士が必要な理由
この計算には、相手の勤務先の「退職金規程」など、個人では入手が難しい資料が必要です。
弁護士であれば、裁判所の手続を通じてこれらの情報を開示させ、より正確で有利な分与額を導き出すことが可能です。
不払いを防ぐ「公正証書」の活用
将来相手が退職金を受け取った際、分与を拒まれるリスクもあります。
そのため、退職金等を含む夫婦共有財産に関する財産分与の合意が任意に成立した場合には、その合意内容を公正証書に残しておくということも可能です。
公正証書には一定額の金額支払いに関する合意については強制執行力があるため、もし支払いが滞っても、裁判を経ずに差押えなどの手続きを行えます。
老後の生活を支える「年金分割」も忘れずに
退職金と並んで重要なのが年金分割です。
婚姻期間中に相手が納めた、厚生年金保険等の算定の基礎となる標準報酬等の一部を、自分の厚生年金保険等の標準報酬等として改定してもらえる制度です。
退職金の分与と年金分割を組み合わせることで、離婚後の生活資金を安定的に確保できます。
まとめ:老後の安心を守るための第一歩を
熟年離婚は、新しい生活を始める大きな転機です。特に退職金や年金は、老後の生活に直結する大切な財産です。
これらの取り決めには、法律の知識や正確な計算が欠かせません。誤った理解や見落としがあると、不利な結果につながることもあります。
そのため、退職金や年金の分割を考える際は、弁護士などの専門家に一度相談してみるとよいでしょう。適切なアドバイスを受けることで、安心して老後の生活設計を立てることができます。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。





