【ご家族向け】住居侵入で逮捕…いつ釈放される?逮捕後の流れと面会・差し入れのルール
2025年12月15日

「警察から『ご主人を住居侵入の疑いで逮捕しました』と電話があった」
「息子が昨夜から帰ってこない。警察署にいるようだ」
突然の逮捕連絡を受け、頭が真っ白になっていることと思います。
「いつ帰ってくるのか?」「面会して話すことはできるのか?」「会社や学校はどうなるのか?」
ご不安な気持ちは痛いほど分かりますが、まず結論をお伝えします。
住居侵入罪で逮捕された場合、適切な対応を取らなければ、最長で23日間、警察署の留置場から出られなくなる可能性があります。
しかし、逮捕直後の「初動」が早ければ、数日で釈放され、日常に戻れる可能性も十分にあります。
この記事では、住居侵入事件特有の捜査事情を踏まえ、釈放のタイミングや面会ルールについて、刑事弁護士が解説します。
住居侵入で逮捕された後の流れ(特有の「長引く理由」とは)
刑事手続きのタイムリミットは、どの犯罪でも共通して「最長23日間」です。
しかし、住居侵入事件には「住居侵入だからこそ、拘束が長引きやすいポイント」があります。ここを理解していないと、釈放のチャンスを逃してしまいます。
逮捕〜送検(48時間以内):動機の徹底追及
警察署に連行され、取り調べを受けます。48時間以内に検察庁へ送検されます。
この段階で最も追及されるのは「侵入の目的(動機)」です。
- 単なる酔っ払いの勘違いか?
- 窃盗(空き巣)目的か?
- 盗撮やわいせつ目的か?
この「動機」によって、罪の重さが変わるため、警察は慎重に捜査します。
※この期間は、原則として家族であっても面会することはできません。
勾留決定(原則10日間〜最大20日間):被害者保護の壁
検察官が「身柄拘束が必要」と判断し、裁判所が認めると「勾留(こうりゅう)」が決まります。
【要注意】住居侵入は勾留されやすい
住居侵入は、被害者の住所が犯人に知られている犯罪です。「釈放すると、被害者の家に報復や口封じに行くかもしれない」と判断されやすく、痴漢や万引きなどの犯罪よりも勾留(長期拘束)されるリスクが高い傾向にあります。
起訴・不起訴の判断
勾留期間が満了するまでに、検察官は「起訴」か「不起訴」かを決定します。
起訴されれば、日本の刑事裁判の有罪率は99.9%と言われるため、前科がつく可能性が極めて高くなります。
「いつ釈放される?」身柄拘束が解かれる3つのタイミング
ご家族が一番知りたいのは「いつ帰ってくるのか」でしょう。住居侵入事件で釈放を勝ち取るチャンスは主に3回あります。
勾留が却下された時(逮捕後2〜3日目)
【ここが最大の勝負所です】
検察官が勾留を請求しても、弁護士が裁判官に対して「逃亡の恐れはない」「被害者宅には絶対に近づかない(引っ越し等の確約)」といった具体的な対策を提示することで、勾留請求を阻止できる場合があります。
これが成功すれば、逮捕から2〜3日で釈放され、そのまま自宅から会社や学校に通うことができます(在宅事件化)。
不起訴処分になった時(逮捕後〜23日目)
勾留されてしまった場合でも、この期間中に弁護士を通じて被害者と「示談」が成立すれば、「不起訴処分」となり、その日のうちに釈放されます。前科もつきません。
保釈が認められた時(起訴された後)
起訴されてしまった(裁判になった)場合は、裁判所に「保釈金」を納めることで、裁判が終わるまでの一時的な帰宅(保釈)が認められるケースがあります。
家族は面会できる?「接見禁止」と弁護士だけの特権
「警察署に行けば一目会える」と思われるかもしれませんが、現実は厳しい制限があります。
一般面会(家族・友人)の壁
逮捕直後の3日間は会えない
最も不安な逮捕直後は、原則として家族でも面会できません。
「接見禁止」のリスクが高い
住居侵入事件(特に共犯者がいる場合や、ストーカー的側面がある場合)では、証拠隠滅を防ぐために「接見禁止処分」がつくことが多く、こうなると勾留中も一切面会できません。
弁護士ならいつでも会える(接見交通権)
一方で、弁護士には強力な権利が保障されています。
24時間いつでも面会可能
土日祝日や夜間でも面会できます。
警察官の立会いなし
誰にも聞かれずに、本音で話せます。
接見禁止中でもOK
家族が会えない期間でも、弁護士だけは本人に会うことができます。
ご家族からの「心配しているよ」「会社にはうまく言っておくよ」といった伝言を届けるだけでも、ご本人の精神状態は劇的に安定します。
警察署への「差し入れ」で必要なもの・禁止されているもの
逮捕されたご本人は、着の身着のままで連行されており、着替えも現金も持っていないことが多いです。ご家族が警察署に行って「差し入れ」をすることは可能です(面会できなくても、物品の差し入れは受け付けてくれる場合が多いです)。
差し入れできるもの・喜ばれるもの
現金
最も重要です。 留置場内でお菓子、歯ブラシ、便箋などを購入するために必要です(1〜2万円程度で十分です)。
下着・靴下
3日分程度。
スウェット・Tシャツ
動きやすい部屋着。
本・雑誌
暇な時間を潰すための小説など。
差し入れNGなもの(警察署によって異なります)
紐(ひも)がついている服
パーカーのフード紐や、ズボンの腰紐は、自殺防止のために禁止されていることが多いです。
タオル
これも首を絞める恐れがあるため禁止の場合があります。
手紙
証拠隠滅の疑いがある場合(接見禁止中など)は、手紙の受け渡しができないことがあります。
※弁護士経由であれば、手紙の内容を確認した上で本人に渡せることがあります。
家族がまず優先して検討すべきことが「弁護士への依頼」である理由
「もう少し様子を見てから…」と迷っている時間はありません。ご家族がすぐに弁護士を依頼すべき理由は明確です。
過酷な取り調べから本人を守るため
警察の取り調べは孤独で過酷です。特に住居侵入では、「本当は盗みに入ったんだろう?(窃盗未遂)」や「わいせつ目的だろう?(不同意わいせつ未遂)」など、実際よりも重い罪を認めるよう誘導されるリスクがあります。
弁護士がすぐに接見し、「事実と違うことは認めない」ようアドバイスすることで、不当に重い処分を防ぎます。
会社や学校への発覚(解雇・退学)を防ぐため
逮捕が長引けば長引くほど、「無断欠勤」の言い訳がきかなくなり、会社や学校にバレるリスクが高まります。
弁護士が早期に介入し、勾留を阻止して数日で釈放されれば、「体調不良」などの理由で済ませ、何事もなかったかのように社会復帰できる可能性が残されています。
被害者との示談交渉をスタートするため
住居侵入事件では、被害者との示談が成立するかどうかが処分を決めます。
しかし、加害者の家族が直接被害者の家に行くのは絶対にやめてください。 恐怖を与え、警察に通報されて事態を悪化させるだけです。
第三者である弁護士が間に入ることで、冷静な交渉が可能になります。
国選弁護士と私選弁護士、どちらに頼むべき?
「国選弁護士(国が選ぶ弁護士)」という制度もありますが、緊急時には注意が必要です。
特徴 | 国選弁護士 | 私選弁護士 |
費用 | 原則無料(資産による) | 有料 |
呼べる時期 | 勾留が決まった後 | 逮捕直後からOK |
弁護士 | 選べない(ランダム) | 自分で選べる |
活動量 | 弁護士により異なる | 手厚いサポートが可能 |
最大のデメリットは、「逮捕直後の72時間(一番重要な時期)」に国選弁護士は動けないという点です。
早期釈放を目指すなら、スピード勝負で動ける私選弁護士に依頼することを強くお勧めします。
7. よくある質問(FAQ)
Q:未成年の息子が逮捕されました。学校に連絡はいきますか?
警察から学校へ連絡するかどうかはケースバイケースですが、重大な事案でなければ連絡がいかないこともあります。ただし、長期間休むことになれば怪しまれます。弁護士と相談し、学校への欠席連絡も含めた対策を練る必要があります。
Q:警察から「着替えを持ってきて」と言われましたが、面会できますか?
警察からの要請で着替えを持っていく場合でも、原則として面会は別手続きです。「荷物は受け取るが、面会はできない」と言われるケースも多々あります。
Q:土日でも弁護士は動いてくれますか?
はい。当事務所を含め、刑事事件に注力している弁護士事務所であれば、土日祝日や夜間でも当日接見に対応しています。
まとめ:住居侵入での逮捕は時間との勝負です
ご家族が逮捕された今、最も大切なのは「スピード」です。
逮捕から72時間以内に弁護士が適切な活動を行えるかどうかが、
「数日で家に帰れるか、1ヶ月近く拘束されるか」
「前科がつかずに済むか、一生消えない前科を背負うか」
の分かれ道になります。
一人で抱え込んで不安な時間を過ごす必要はありません。
まずは弁護士の無料相談を利用されることをおすすめします。弁護士であれば、ご家族の状況を丁寧に確認したうえで、迅速に警察署へ向かうことができます。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。





