不法侵入で逮捕される!?後日逮捕までの期間やその後の流れなども解説

最終更新日: 2024年01月29日

不法侵入で逮捕される!?後日逮捕までの期間や逮捕後の流れなども解説

  • 他人の家屋ではなく庭へ侵入しても不法侵入になってしまうのか
  • 不法侵入で逮捕された場合はどのような刑罰を受けるのか
  • 減刑されるためにはどのような対応をとればよいのか

日常生活で他人の承諾を得ないまま、他人の住居・敷地に足を踏み入れてしまう状況も考えられます。たとえ盗み目的以外で侵入した場合でも、所有者に通報されたり、警察等に逮捕されたりするケースもあるでしょう。

そこで今回は、多くの刑事事件に携わってきた専門弁護士が、不法侵入で逮捕された場合どのような罪に問われるのか、そして減刑に向けた対応について詳しく解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • 住居侵入罪の処罰対象となるのは、屋内の他にその住居の屋根や庭も含まれる
  • 住居侵入罪で逮捕・起訴されると最悪の場合は懲役刑になるケースもある
  • 逮捕後なるべく早く弁護士に相談すれば、被害者との示談や減刑も期待できる

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

詳しくはこちら

不法侵入をすると刑法第130条に基づき逮捕される

自分が盗み目的で他人の住居に忍び込んだ、盗みを目的としていなくとも、他人の承諾もなく勝手に住居へ入り込んだという場合、「住居侵入罪」で逮捕される可能性があります。

こちらでは住居侵入罪に関する条文および、住居侵入罪の意味について解説しましょう。

刑法第130条

不法侵入を罰する規定は刑法第130条に明記されています。

「正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。」

刑法第130条では勝手に住居へ侵入した場合の他、退去を要求されたにもかかわらず住居へ居座ろうとした場合も、刑罰の対象となります。

出典:刑法 第百三十条|e-GOV法令検索|法務省

住居侵入罪の意味

住居侵入罪の処罰対象となるのは、屋内の他にその住居の屋根や庭も含まれます。

また戸建てに限らず、アパート・マンションのような集合住宅であっても、各住戸内はもちろん共用通路や階段、屋上も住居の一部です。

一方、誰も住んでいない空き家は住居といえません。ただし、事実上その空き家を管理(施錠する等)している人がいるときは「看守する邸宅」に該当します。

そのため、看守する邸宅への無断侵入も住居侵入罪となる可能性があります。

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不法侵入で逮捕されるか否かをわけるものは?

日常生活において、他人の敷地や管理している建物へ、許可を得ずに立ち入ってしまうケースは少なくありません。

立ち入っただけで直ちに住居侵入罪となるのか、疑問を持つ人も多いはずです。こちらでは住居侵入罪が成立するケースを解説します。

権利者・管理者の意思

住居に住んでいる人や建物を管理する人の意思に反し、住居へ立ち入った場合は侵入とみなされます。意思に反した侵入とは、主に次のような場合があげられます。

  • お金を盗み取る目的で、金融機関のATMに立ち入った
  • 女性の裸体を盗撮する目的で、女子寮の敷地に立ち入った
  • 灯油をまき職員を驚かせようとして市の施設内に立ち入った

いずれも犯罪行為を行う目的で立ち入っており、居住者・管理者の意思に反した侵入です。

なお、「関係者以外は立ち入りを禁ずる」「私有地につき立ち入り禁止」等と立て看板で明示している、建物の周囲を門や塀で囲んでいる場所には、たとえ施錠していなくても侵入とみなされる可能性があります。

犯罪目的の有無

強盗や盗撮、めいわく行為等を行う目的で立ち入ったときは、住居侵入罪で逮捕されてしまう可能性が高いです。

ただし、次のような場合であるときは住居侵入罪は成立しません。

  • 通行人が庭で倒れているお年寄りを発見し、急いで他人の敷地に入って介抱した
  • 道に迷ってしまい、近くにあったマンション内へ入り、管理人に駅の場所を聞いた

いずれも犯罪目的で立ち入ったわけではなく、やむをえないケースといえます。

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不法侵入で後日逮捕されるまでの期間は?

無断で住居に侵入すると、居住者・管理者の通報を受けた警察官等から現行犯逮捕される可能性があります。

現行犯逮捕の他に後日逮捕されるケースもあるので注意しましょう。後日逮捕されるまでの期間は、証拠収集が容易か否かでも異なり、1週間以内に逮捕されるケースもあれば、1年以上かかるケースもあります。

少なくとも、住居侵入罪の時効期間である3年が経過しない限り安心はできません。

不法侵入で逮捕された後の流れ

住居侵入罪で逮捕された場合、警察や検察の判断で次のように手続きが進められていきます。

警察の判断

住居侵入罪で逮捕後、警察は事件の内容を確認します。ただし、必ず検察官に身柄を送致するとは限りません。

逮捕された本人(被疑者)が反省し、侵入された被害者も許している場合、釈放される可能性があります。

一方、警察が必要と判断したら、被疑者は送検されます。

勾留まはた釈放

検察官へ送致後、勾留するか在宅で捜査が進められるかを決定されます。裁判所で勾留決定がなされると、警察の留置場内で身柄拘束が継続されます。

勾留中、取り調べをはじめとした捜査が続けられ、勾留期間は最大20日間です。

一方、勾留されないときは自宅に帰れますが、捜査はその後も続けられます(在宅捜査)。なお、在宅捜査では期間制限が設けられていません。

捜査

住居侵入罪で警察が捜査する場合に、次のような捜索や取り調べ等が行われます。

  • 防犯カメラ映像の捜査:被疑者の侵入する映像が残っている可能性は高く、犯行の客観的証拠が得られやすい
  • 家宅捜索:被疑者の家宅捜索を行い、不法侵入後の窃盗・盗撮をはじめとした犯罪の証拠、余罪に関する証拠等も収集する
  • 取り調べ:被疑者・被害者・目撃者の取り調べを行う、それぞれの証言を鵜呑みにするのではなく、客観的証拠と突き合わせて犯行の状況を確認していく
  • 現場検証:被疑者・被害者・目撃者の供述に基づき、犯行現場で一連の犯行を把握するために必要な捜査

なお、捜査期間に法律上の制限はなく、半年以上の長期にわたるケースもあります。

起訴・不起訴の決定

勾留期間の満期または捜査終了後、検察官は被疑者の起訴・不起訴を決定します。起訴されれば刑事裁判となり、不起訴となれば被疑者の身柄は解放されます。

なお、刑事裁判になる場合は「略式裁判」「通常裁判」のどちらかで進められます。

略式裁判

略式裁判は簡単な刑事裁判を指し、100万円以下の罰金刑を科す場合に選択されます。ただし、この裁判には被疑者の同意が必要です。

略式裁判で刑事手続を進めるときは、被疑者が裁判所に出廷する必要はありません。また在宅事件では、自宅に起訴状・罰金の納付書が送付され、納付書で罰金を支払えば手続きが終了します。

ただし、簡易な手続きで済むものの、住居侵入罪という前科がついてしまうので注意しましょう。

通常裁判

住居侵入罪では懲役刑となる場合、または被疑者が略式裁判を拒否した場合、通常裁判が選択されます。

裁判所で審理が開かれ、被告人は必ず出廷しなければなりません。出廷すると裁判官から被告人に対して直接判決が言い渡されます。

不法侵入で逮捕されたら弁護士に相談しよう

住居侵入罪で逮捕されたならば、弁護士へ相談しましょう。示談や不起訴処分、刑罰を軽くしてもらうためには弁護士の弁護活動が有効な手段となります。

今後の対応方針をアドバイス

逮捕後なるべく早く弁護士に相談しましょう。不法侵入を行った経緯について説明し、どのように対応すべきかを話し合います。

まず包み隠さず正直に不法侵入の理由を打ち明けましょう。弁護士は逮捕された本人の事情を聞いたうえで、今後の方針を助言します。

弁護士は面会可能

逮捕後72時間以内の場合、家族との面会は不可能ですが、弁護士と面会は可能です。逮捕されて興奮状態となっているのはやむをえませんが、なんとか気持ちを落ち着かせ、弁護士を呼びましょう。

逮捕された本人は今後どのような捜査が行われるのか、このまま勾留が継続されてしまうのか、被害者と示談交渉が可能なのか、いろいろな質問ができます。

どのような些細な質問でも行い、弁護士からアドバイスを受ければ不安は和らぐはずです。

事件の早期解決をサポート

警察等の捜査はスピーディーに進められていくので、時間が経つほど、被疑者側は打つ手がなくなります。

弁護士が弁護活動を行えば、身柄拘束の継続が不必要である旨を警察・検察側へ主張し、身柄の早期解放につながる可能性が高くなります。

ただし、自宅へ戻った後も捜査は継続されているので、弁護士と早期解決の方法を話し合いましょう。

示談交渉をサポート

住居侵入罪は親告罪に該当しません。つまり、被害者が告訴しなくても、警察に被害届が出されれば捜査・起訴されるおそれはあります。

ただし、被疑者に前科・前歴が無く、被害者との示談が成立しているなら、不起訴・起訴猶予も期待できます。弁護士が示談交渉を行えば、被害者側が応じる可能性も高まります。

減刑されるようサポート

住居侵入罪では他の犯罪(例:窃盗、盗撮、放火等)が関係するケースも多くなります。どのような罪と関連しているのかにより、細かく対処法も変わることになるでしょう。

いずれにしても、弁護士はケースごとに多彩な方法で弁護活動を行い、被疑者の減刑されるように努めます。

まとめ

今回は多くの刑事事件に携わってきた春田法律事務所の専門弁護士が、住居侵入罪で逮捕された場合の刑罰や、逮捕されてしまった場合の対応策について詳しく解説しました。

早期解決のためには、何よりも本人の真摯な謝罪と反省が必要です。反省の姿勢が警察・検察等の捜査官に伝われば、減刑を考慮してくれる場合があります。

住居侵入罪で逮捕されたら、まず弁護士に相談して適切な助言を受け、迅速な問題解決を目指してみてはいかがでしょうか。

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