住居侵入罪の初犯は逮捕される?刑罰や示談について解説
最終更新日: 2025年07月17日
衝動的な行動やちょっとしたトラブルで「住居侵入罪」に問われてしまい、不安で検索された方も多いかもしれません。
特に初犯の場合、「逮捕されるのか」「刑罰はどのくらいなのか」「前科は避けられるのか」といった疑問は切実です。
この記事では、住居侵入罪の初犯に対する刑罰の実情、逮捕のリスク、不起訴を目指すための示談や弁護士のサポート内容を、実際の相談事例とともに丁寧に解説します。
結論から言うと、初犯でも状況によっては逮捕や前科の可能性がありますが、早期に弁護士へ相談することで不起訴や前科回避の可能性を高めることができます。
住居侵入罪とは?
住居侵入罪とは、正当な理由なく他人の住居や建物に侵入することを指し、刑法第130条により処罰されます。具体的には、次のようなケースが該当します。
- 元交際相手の家に無断で入ってしまった
- 隣人とトラブルになり、勢いで敷地に立ち入った
- 空き家に面白半分で侵入した
住居侵入罪の法定刑は「3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金」です。
一見軽そうに見えますが、侵入の動機や態様、相手の被害感情によっては、初犯でも状況によっては逮捕や起訴に至ることもあります。
初犯でも逮捕されるのか?
住居侵入罪での逮捕は、被害者の通報があった場合や、現行犯の場合に即座に行われることがあります。
また、被疑者が「証拠隠滅」や「逃亡」のおそれがあると判断されると、初犯であっても逮捕・勾留される可能性はあります。
逮捕された場合、次のような流れになります。
- 逮捕(最長72時間)
- 検察官送致・勾留請求
- 勾留(最大20日間)
- 起訴または不起訴処分
特に職場での事情聴取や自宅への訪問があった場合は、今後の展開が深刻化する前に、弁護士に相談することが重要です。弁護士が迅速に対応することで、勾留を避けたり、早期の示談成立により不起訴処分に持ち込める可能性が高まります。
初犯の刑罰は軽くなるのか?
確かに、住居侵入罪が初犯であることは「情状酌量の余地」として考慮されます。しかし、それだけで「罰せられない」わけではありません。
刑の重さは、以下のような要素で総合的に判断されます。
- 被害者との関係性(まったくの他人か、元交際相手かなど)
- 侵入の動機(衝動的だったか、計画的だったか)
- 被害者の精神的苦痛の大きさ
- 示談が成立しているかどうか
- 本人の反省の度合い、再発の可能性
示談が成立しているかどうかは、処分を決めるうえで非常に大きな影響を与えます。反対に、示談がまとまらなければ、略式起訴によって罰金刑、または通常起訴によって拘禁刑といった前科がついてしまう可能性もあります。
弁護士に相談するメリット
住居侵入罪でトラブルに巻き込まれたとき、早い段階で弁護士に相談することはとても大きな意味を持ちます。弁護士は以下のようなサポートをしてくれます。
- 警察署での接見・取り調べへのアドバイス
- 被害者との示談交渉の代行と示談書作成
- 検察官への意見書の提出(不起訴を求める)
- 勾留回避のための法的対応
- 将来の社会復帰や職場対応についての助言
中でも、被害者との示談は本人が直接やろうとすると、逆に証拠隠滅の可能性があるということで逮捕・勾留のリスクを高めることになったり、被害者との間のトラブルになってしまうこともあります。
弁護士が第三者として冷静に交渉を行うことで、誤解や感情的な対立を避けながら、示談成立の可能性を高められます。
また、手続きの見通しを丁寧に説明してくれることで、精神的な不安もやわらぎます。
よくある状況と対応例
元交際相手の家に侵入してしまったケース
30代男性が、別れたばかりの元交際相手の自宅を訪れ、鍵が開いていた玄関から無断で侵入。本人は「荷物を返したかっただけ」と説明しましたが、女性が警察に通報し、その場で逮捕されました。
家族が弁護士に依頼し、接見後すぐに示談交渉を開始。ストーカー行為なのではないかという被害者の感情的な反発や不安感が強かったものの、弁護士が自宅に入るに至った経緯等を丁寧に説明したり、誠意を尽くして交渉し、最終的に示談が成立。不起訴処分となり、職場にも知られることなく社会復帰できました。
隣人との口論の末、敷地内に立ち入ったケース
40代男性が、隣人との騒音トラブルの末に腹を立て、敷地内に無断で立ち入ったところを目撃され通報されました。任意同行を求められ、警察署で事情聴取を受けた後、「住居侵入罪に該当する可能性がある」と説明され強いショックを受けたとのこと。
隣人との間に遺恨を残さないためにも、早期に弁護士に相談し、弁護士が被害者に謝罪文と損害賠償案を提示。示談がまとまり、不起訴処分で事件終了。これまでの経緯等もあり、弁護士が入らなければ、略式起訴で罰金刑を受けていた可能性もありました。
示談は有効か?成立のコツは?
住居侵入罪で処分を軽くする、または不起訴を目指す上で、被害者との示談成立は非常に大きな意味を持ちます。示談が成立し、被害者が「処罰を望まない」と意思表示すれば、検察官が不起訴を選択する可能性が高まるからです。
ただし、示談を進める上では注意が必要です。本人が直接謝罪や交渉をしようとすると、証拠隠滅の可能性があるということで逮捕・勾留のリスクを高めることになったり、相手に「さらに怖い思いをさせた」と受け取られてしまうこともあるため、逆効果になりかねません。
このような場合は、弁護士が代理人として丁寧に謝罪の意を伝え、適切な補償内容を提示することで、冷静かつ円満な示談成立を目指すことができます。
よくある質問(FAQ)
Q. 初犯でも必ず不起訴になりますか?
いいえ。初犯であっても、被害者の処罰感情や示談の有無等によっては起訴されることがあります。不起訴を目指すには早期の示談が重要です。
Q. 弁護士に相談するタイミングはいつがベストですか?
できるだけ早い段階が望ましいです。警察からの事情聴取を受ける前に相談できれば、事前対策や心構えも可能になります。
被害者側としても、時間が経ってからの示談交渉は誠意を感じないと感じるかたも多くおられますので、謝罪の意思を示すという観点からも早期の対応が望ましいといえます。
Q. 示談が不成立でも前科はつかないことはありますか?
状況によっては示談ができなくても前科を付けずに終われることはあります。
示談ができない場合には、贖罪寄付など示談金の支払い以外の対応方法を検討したり、事案内容をふまえた弁護士の意見書を出すなどして、前科がつかないように弁護活動をしていくことになります。
Q. 家族に知られることなく対応できますか?
可能です。弁護士が代理人として対応することで、自宅への通知を最小限にとどめるなど、プライバシーに配慮した対応も可能です。
Q. 弁護士費用は高いですか?
事務所やケースにより異なります。
通常は裁判になる前の交渉段階のほうが費用を抑えられることが多いため、長期化する前に相談することで費用も抑えやすくなります。
まとめ
住居侵入罪の初犯であっても、場合によっては逮捕や前科のリスクがあります。しかし、早期に弁護士へ相談し、示談を成立させることで、不起訴や前科回避の可能性を高めることができます。
「たった一度の過ち」で人生を狂わせないためにも、自分だけで解決しようとするのではなく、今すぐに専門家へ相談することが、最善の対策となります。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。