過失致死で逮捕されるのか?問われる罪・流れ・すべきことを徹底解説!

最終更新日: 2023年04月07日

過失致死で逮捕されるのか?問われる罪・流れ・すべきことを徹底解説!

  • 過失致死で問われる罪とは何か
  • 過失致死で逮捕された後の流れについて知りたい
  • 過失致死で逮捕されたら何をすべきか

過失により人を死傷させてしまった場合、過失致死罪などの罪に問われる可能性が高くなります。罪の重さは、事件の状況やあなたの反省の態度によって大きく変わるため、一刻も早く専門弁護士に相談することが大切です。

そこで本記事では、過失致死に詳しい弁護士が、過失致死で逮捕はされるのか・問われる罪・逮捕後の流れ・すべきことについて解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • 過失致死では過失致死罪・業務上過失致死傷等・過失運転致死傷に問われる可能性がある
  • 過失致死で逮捕された後の流れは送検→勾留→起訴・不起訴
  • 過失致死で逮捕されたら弁護士に相談して不起訴獲得などに向けた活動をすべき

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

詳しくはこちら

過失致死で逮捕されるのか

過失致死とは、人が死亡する原因となった行為について、その行為者が予見できた危険性の注意義務を怠った場合、成立する犯罪です。

過失致死では運転中に交通事故を起こした場合や、医療ミスで死亡事故が起こってしまった場合、また不適切な施設管理などが原因で死亡が起こった場合、逮捕され過失致死罪に問われることもあります。

過失致死では「行為者が、守らなければならない注意義務を怠ったことにより、死亡結果が発生したかどうか」が重要です。

そもそも注意義務が存在しなかった場合や、行為者が注意義務を尽くしたにも関わらず、死亡結果が発生してしまった場合は、逮捕されない可能性や、逮捕されても不起訴で事件終了となるケースもあります。

過失致死で逮捕されたら問われる罪

過失致死で逮捕されたら問われる罪について、以下3点を解説します。

  • 過失致死罪
  • 業務上過失致死傷等
  • 過失運転致死傷

過失致死罪

過失致死罪とは、特定の人物が不注意な行為によって死亡結果を引き起こした場合、刑事的に責任を問われる罪のことです。

たとえば、歩行中に他の歩行者に誤ってぶつかってしまい、相手が転倒して、打ち所が悪く死亡してしまったようなケースが該当します。

過失致死罪については、刑法第210条で罰則が規定されています。懲役刑がないことが特徴です。

(過失致死)
第二百十条 過失により人を死亡させた者は、五十万円以下の罰金に処する。

出典:刑法 | e-GOV法令検索

業務上過失致死傷等

業務上過失致死傷罪とは、業務上の注意義務を怠るなど、重大な過失があり、人が死傷した場合に適用される罪です。たとえば以下のようなケースが該当します。

  • 建築作業中の転落事故などで他人が死亡または重傷を負った場合
  • 業務で使用する機械の安全対策が不十分のため、他人が死傷した場合
  • 食品などの製造・販売業務で衛生管理が不十分なため、他人が死傷した場合

過失致死罪については、刑法第211条で罰則が規定されています。

(業務上過失致死傷等)
第二百十一条 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

出典:刑法 | e-GOV法令検索

過失運転致死傷

過失運転致死傷とは、交通事故において、運転者が自動車の操作などの注意を怠り、人を死傷させてしまった場合を指します。

被害者やその家族にとって、大きな痛みや悲しみをもたらす重い犯罪です。このような事故が起こってしまった場合、運転者は過失運転致死傷罪に問われます。

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律で罰則が規定されています。

(過失運転致死傷)
第五条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

出典:自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律 | e-GOV法令検索

過失致死で逮捕された後の流れ

過失致死で逮捕された後の流れについて、以下3点を順番に解説します。

  • 送検
  • 勾留
  • 起訴・不起訴

送検

過失致死で逮捕されたら、警察から事情聴取を受け、検察に対して送検するかどうかを判断します。送検後、24時間以内に検察官が勾留請求・釈放を判断します。

勾留と判断した場合、身柄を拘束されて捜査が続きます。

勾留

勾留された場合、捜査過程において、検察が、被疑者の供述や証言・現場検証などの証拠を収集し、過失致死が成立するかを判断します。勾留は10日間の延長を含めて、最大で20日間です。

検察が過失致死が成立すると判断した場合、起訴状を作成し、裁判所に提出します。なお、逮捕・送検後は被疑者が専門弁護士を雇うことで、取り調べに対する適切なアドバイスを受けられるのです。

起訴・不起訴

過失致死で逮捕された場合、状況や証拠などによって、起訴・不起訴が決まります。検察官によって過失致死が成立すると判断された場合、起訴される可能性が高くなるでしょう。起訴されると裁判が行われ、99%以上が有罪となり、前科がつきます。

過失致死が成立するためには、被疑者が過失や注意義務違反によって死亡を引き起こしたかが、重要な条件となります。注意義務を怠った行為が軽微な場合や、死亡事件と被疑者の行為との因果関係が不明確な場合は、起訴されない可能性もあるでしょう。

過失致死で逮捕されたらすべきこと

過失致死で逮捕されたら何をすべきなのでしょうか。ここでは、以下5点について解説していきます。

  • 弁護士への相談
  • 不起訴獲得に向けた行動
  • 執行猶予をめざす
  • 被害者への謝罪
  • 被害弁償

弁護士への相談

1つ目は、弁護士への相談です。

過失致死は被疑者の過失による罪のため、故意がない場合においても、罪が成立してしまう可能性が高いと言えます。

状況や被疑者の証言によっては罪が重くなることもあるため、専門弁護士に相談の上、過失がないことの立証をし、減刑などを目指して活動することが重要です。

無罪の場合は、無罪である証拠を集めて活動していく必要があるので、過失致死の事件に詳しい弁護士に相談しましょう。

不起訴獲得に向けた行動

2つ目は、不起訴獲得に向けた活動です。

不起訴とは、裁判をせずに、事件が終了することを指します。弁護士は、事件や被疑者の状況に合わせて、不起訴獲得に向けた活動もします。不起訴処分の場合は、懲役や罰金などが科されることはなく、前科もつきません。

執行猶予をめざす

3つ目は、執行猶予を目指すことです。

起訴が回避できない状況においては、被疑者が注意をしっかりと払っていたにも関わらず、危険を回避できずに事故をおこしてしまった場合、証拠を収集・提示して執行猶予を目指します。

過失致死事件の実績豊富な弁護士は、どのような証拠が重要かを熟知しているため、被疑者の関係者などの協力を得て集めていきます。

弁護士に依頼することで、執行猶予がつく可能性が高まるでしょう。

被害者への謝罪

4つ目は、被疑者への謝罪です。

過失致死事件では、被害者と示談交渉を行いたくても、被害者本人や家族への接触が厳しかったり、交渉が難航したりする場合も多いでしょう。

被害者や遺族は、悲しみや怒り、憤りなど、さまざまな感情を抱えています。

そのため、弁護士に依頼して、被害者への謝罪をしっかりと示すことが重要です。弁護士が対応することで、被害者が話を聞いてくれる可能性があります。

弁護士が交渉に立ち会えば、謝罪の意思をしっかりと伝えることができ、被害者や遺族とのコミュニケーションが円滑に進む可能性も高まります。

被害弁償

5つ目は、被害弁償です。

過失致死によって逮捕された場合、被害弁償も重要な要素の一つです。

弁護士に依頼して被害者や遺族との交渉を進めることで、被害者や遺族の権利を保護しながら、適切な被害弁償額の算定ができるでしょう。

また、被害者や遺族との間で生じる感情的な問題も、弁護士を通じた被害弁償によって緩和します。

被害者に謝罪の意思をしっかりと伝え、被害に対する弁償をすることで示談成立の可能性も高まるでしょう。

過失致死で逮捕されたら今すぐ弁護士に相談を

本記事では、過失致死で逮捕されるのか、問われる罪・逮捕後の流れ・すべきことについて解説しました。

過失致死は、被害者やその家族に大きな痛みと悲しみを与えてしまう重い犯罪です。

逮捕後本人が直接交渉しようとすると、相手が受け付けてくれなかったり、交渉も感情的になったりしてなかなか進まないことでしょう。

過失致死で逮捕されたら、専門弁護士に相談の上、被害者に謝罪の意思をしっかりと伝え、冷静かつスムーズな対応を進める必要があります。

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