仮面夫婦とは?原因や特徴、離婚するための方法を弁護士が解説

最終更新日: 2024年12月16日

仮面夫婦を解説!ありがちな行動・原因・離婚するための方法も紹介

  • 仮面夫婦というワードを聞いたことがあるが、どのような夫婦を呼ぶのだろう?
  • 仮面夫婦となる原因にはどのようなものがあるのだろう?
  • 仲のよい夫婦を装ってきたが疲れた、そろそろ離婚したい

仮面夫婦とは、お互いがすでに愛情を失っていながら離婚せず、対外的に仲のよさを装う夫婦です。

離婚をしていないので、たとえ愛情がすっかり冷めていても戸籍上は夫婦です。

そのため、夫婦のどちらか、または双方が浮気をしてトラブルが発生したり、結局お互い高齢になってから熟年離婚をしたりする等、仮面夫婦を継続してもよい結果とならないケースが想定されます。

そこで今回は、多くの民事事件に携わってきた専門弁護士が、仮面夫婦となる原因や行動、仮面夫婦を解消するための方法等について詳しく解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • 仮面夫婦を継続するのは世間体の他、離婚して子どもを傷つけたくないという思いもある
  • 仮面夫婦となる原因は生活スタイル・価値観の違いが大きい
  • 仮面夫婦の解消には離婚をして、それぞれが新たな生活をはじめる方法もある

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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仮面夫婦とは

仮面夫婦とは、夫婦間ではすでにお互いへの関心や愛情がなくなっているが、何らかの理由で離婚はせず、対外的に仲のよさを装う夫婦です。

互いがそばにいると、苦痛すら感じてしまうほど冷めきっている関係なのですが、何故か離婚には進みません。

理由としては次のような事情が考えられます。

  • 仲のよい夫婦と、いつまでも周りから思われていたい(体裁)
  • 離婚をすれば子どもが傷つき、学校でいじめを受けるかもしれない
  • 離婚しても子どもの親権を得られるのか不安
  • 離婚をすると困窮する可能性があるので、経済的な理由から離婚に踏み切れない 等

仮面夫婦にありがちな行動

対外的には円満な夫婦を演じていますが、他人がみていないところでは、明らかに互いを避けるような行動が目立ちます。

こちらでは、仮面夫婦の特徴的な行動について取り上げます。

外面がよい

子どもや親戚、周囲の友人・知人の前で仲のよい夫婦を抵抗なく演じられるのは、典型的な仮面夫婦の行動パターンです。

また、子どもの運動会や進路説明会等によく夫婦揃って参加する、というケースも実は体裁を繕う行動の可能性があります。

夫婦間の会話が少ない

夫婦間の会話が全く無いわけではないものの、顔を合わせても事務的な連絡しかしない、メール・LINE等で必要最低限の連絡しかしないのは、仮面夫婦にありがちな行動です。

一方、子どもの前では親しげに話しをするが、話の内容は子どもの話題だけに終始し、夫婦が二人だけになれば会話はほとんどなくなります。

過ごし方が別

平日ならば共働き夫婦の場合、双方ともそれぞれの職場に向かいます。顔を合わせるのは早朝か、帰宅した夜以降となるでしょう。

夫婦のどちらかが仕事へ行き、どちらかが家事を担当していても、しばらくの間は顔を合わせる苦痛から解放されます。

休日は夫婦とも子どもに合わせますが、子どもがいない場合は別々に休日を満喫するでしょう。

セックスレス

夫婦ともに健康の問題もなく、性的な感情が衰えていないにもかかわらず、セックスレスになっているのは仮面夫婦の特徴といえます。

もちろん、夫婦の一方が仕事で疲れていて休みたいときもあれば、男性機能の低下、お互い歳をとり自然にセックスの回数が減ってしまった、というケースもあります。

ただし、夫婦でのセックスに抵抗を感じる状態ならば、仮面夫婦となってしまったと考えて間違いないでしょう。

他に特定の相手がいる

仮面夫婦はお互いに関心がないので、外出先や何時に帰宅する予定なのか、誰と一緒なのかさえ気にしません。

配偶者に浮気相手がいたとしても、怒りは感じるかもしれませんが、嫉妬心は感じないでしょう。

しかし、夫婦の間ではそれでよくても、浮気相手が「妻(または夫)とは別れる、という言葉を信頼して不倫関係となったのに酷い。」と怒り出し、トラブルとなるケースも想定されます。

仮面夫婦を継続し、お互いに束縛しない生活を送っていても、いずれ深刻な事態に発展する可能性もあるのです。

仮面夫婦となる原因

そもそも愛し合って結婚した二人なのに、なぜ仮面夫婦となってしまうのか?理由はいろいろ考えられます。

こちらでは、仮面夫婦となる主な原因を取り上げます。

生活スタイルの違い

結婚当初は一緒の生活がうれしくてしかたなかったのに、次のようなきっかけで仮面夫婦となるケースも考えられます。

  • 夫婦の一方または双方の仕事や勤務時間等の変化で、就寝時間や起床時間の違いが出てきた
  • 夫婦の一方または双方が、趣味に没頭する時間が多く、一緒に過ごす時間が少ない
  • 同居の当初は仲のよい夫婦だったのに、単身赴任で離れて生活するようになり、夫婦間にすれ違いが生じた

仕事や単身赴任が原因で、一緒に過ごす時間が減少してしまったのはやむをえない状況といえます。

しかし、趣味に関してはほどほどに楽しみ、配偶者への配慮を忘れなければ、仮面夫婦にはならないはずです。

価値観の違い

結婚する前は、自分に合わせて会話をしてくれたのに、結婚後は配偶者と価値観が違う事実に気付いて、会話すら苦痛になる場合があります。

価値観が違う相手が他人なら、その相手とは距離をおけば済む話です。しかし、夫婦間ではなかなかそうはいかず、家庭内で距離を取る状況になるでしょう。

このように配偶者を避ける行動も、仮面夫婦となるきっかけの一つです。

結婚後の変化

結婚後の夫婦の変化に、それぞれがついていけない状況も原因といえます。

夫婦の変化には次のようなケースが該当します。

  • 妻の妊娠、出産の準備に追われ、子どもが産まれたら今度は子ども中心の生活となった
  • 配偶者が事業に失敗した、リストラされた、転職して収入が減った等の経済的な変化

夫婦の間に子どもを授かったことは、喜ぶべきライフステージの変化といえます。

しかし、夫婦の関心が子どもに移ってしまい、子育ての分担で揉めたり、自分に注目してくれなくなったりして、次第に仮面夫婦となってしまう可能性も考えられます。

また、リストラや転職等による収入の低下で、心の余裕がなくなり日々の生活に必死で、次第にお互いへの関心が無くなるケースもあるでしょう。

仮面夫婦が離婚するための方法

このまま仮面夫婦を継続するのは無意味と感じたら、離婚を検討してみましょう。

こちらでは、離婚に相手が応じる場合、相手が応じない場合とに分けて離婚の方法を解説します。

相手が応じる場合

まずは協議離婚で離婚の条件を話し合います。

協議離婚で話し合うのは主に次の内容です。

  • 親権:未成年の子どもがいる場合、父母のどちらかを親権者にするか決める。
  • 財産分与:婚姻期間に夫婦で協力し形成した財産の配分を決める。
  • 養育費:経済的に自立できない子どもがいる場合、親権者とならない親が負担する。養育費の金額や支払期間、支払方法等を決める。
  • 面会交流:親権を失くした親が、子どもと定期的に交流する方法等を決める。
  • 慰謝料:仮面夫婦となった他、夫婦のどちらか一方が離婚原因をつくった場合、支払う慰謝料の金額等を決める。
  • その他:夫婦の事情に応じた取り決め(例:年金分割、夫婦間の金銭貸借の清算等)。

話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所に調停を申込み(離婚調停)、調停でも和解できない場合は訴訟で解決を図ります(裁判離婚)。

相手が応じない場合

相手が離婚に応じない場合、次の2つの方法が考えられます。

弁護士に交渉を依頼する

配偶者が離婚に応じてくれないのなら、弁護士に交渉を依頼してみましょう。

たとえば、世間体を気にするのは仮面夫婦の典型例です。そこで弁護士は、離婚しても婚姻中の姓を名乗れる等、離婚の事実が容易に発覚しない方法を提示し、配偶者の説得にあたります。

一方、離婚して経済的な困窮が不安な配偶者に対して、弁護士は財産分与の方法をアドバイスし、その不安の解消に努めます。

それでも配偶者が納得しない場合は、弁護士と相談し離婚調停や離婚裁判に移りましょう。

弁護士には引き続き申立手続きを任せても構いません。また、弁護士は調停のときの助言や、裁判では依頼者の立場にたった主張も行います。

離婚の猶予も検討する

「離婚をして子どもが悲しむのは嫌だ」という理由で、配偶者が離婚に応じてくれないのなら、離婚する時期を猶予してもよいでしょう。

たとえば、子どもが大学を卒業し社会人となり、自立した大人になるまでは仮面夫婦を継続し、子どもの自立後に離婚する、と約束するのもよい方法です。

この取り決めなら、夫婦の離婚で子どもが学校でいじめられるようなリスクはなく、就職先で冷遇されるようなおそれもありません。

まとめ

今回は多くの民事事件に携わってきた専門弁護士が、仮面夫婦の特徴や、仮面夫婦が離婚するための方法等について詳しく解説しました。

配偶者との生活が精神的に非常にきつい場合は、無理をせず離婚を検討しましょう。

仮面夫婦を解消するため離婚したい場合は、速やかに弁護士へ相談し、手厚いサポートを受けてみてはいかがでしょうか。

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