不同意性交等罪を疑われたらどうなる?対処も専門弁護士が解説
最終更新日: 2024年01月24日
- 知り合ったばかりの女性を酔わせて性行為に及んでしまった、自分はどのような罪に問われるのだろう?
- 女性の膣内に男性器を挿入しなくても不同意性交等罪に当たるのだろうか?
- 何とか女性と示談に持ち込みたい、弁護士はどのようなサポートをしてくれるだろうか?
被害者が抵抗できない(同意しない等)状態で性交等を行う罪が、「不同意性交等罪」です。
本罪で有罪となると、5年以上の有期懲役を受けてしまいます。そうなる前に何らかの対策を講じ、最小限の損失に押さえたいものです。
そこで今回は、多くの刑事事件に携わってきた専門弁護士が、不同意性交等罪の特徴と刑罰、弁護士を立てた場合のメリット等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 不同意性交等罪は、被害者が抵抗できない状態や、泥酔していた状態等を利用し性交に及んだとき、問われる罪
- 被害者の抵抗できない(同意しない)状態での性交は、膣内はもちろん口腔内、肛門への男性器等の挿入も不同意性交等罪に当たる
- 弁護士に弁護を依頼すれば、速やかに被害者と交渉し示談を成立させ、不起訴処分が得られる可能性もある
不同意性交等罪とは
被害者が抵抗できない状態で性交等を行う罪が、「不同意性交等罪」です。
本罪は、刑法に規定されている「強制性交等罪」と「準強制性交等罪」とを統合し、新たに創設されました。
概要
2023年7月13日、性犯罪の規定を見直す改正刑法が施行され、新たに不同意性交等罪が規定されました。
不同意性交等罪は次の2つを統合した罪です。
- 強制性交等罪:13歳以上の者に対し、暴行や脅迫を用いて性交、肛門性交または口腔性交した罪(なお、13歳未満の者の場合、本人が同意しても本罪に問われた)
- 準強制性交等罪:人の心神喪失の状態や抗拒不能の状態等の場合に乗じ、性交等をする罪
なお、不同意性交等罪は2つの罪を合わせただけでなく、次の部分を強化しています。
- 罪が成立する要件の拡大
- 性交同意年齢の引き上げ
- 時効の延長
問われる罪
本罪で有罪となった場合、「5年以上の有期拘禁刑」に処されます(刑法第177条)。
なお、「拘禁刑」も刑法改正で新たに設けられた刑の種類です。従来の禁錮刑と懲役刑を廃止し、この拘禁刑に自由刑が一本化されます。
拘禁刑では、受刑者の更生にとって必要ならば、刑務作業を行わせ、矯正教育の実施も可能となります。
なお、拘禁刑を定めた改正刑法が施行されるのは2025年の見込みとなっており、それまで拘禁刑は「懲役」とみなされます。
不同意性交等罪の要因
不同意性交等罪は次のような行為や状態を利用し、性交等を行った場合に成立する可能性があります。
暴行・脅迫
相手に対して、物理的に暴行を加えたり脅したりして、無理やり性交等を行うケースです。以前は強制性交等罪に該当する行為でした。
なお、暴行と脅迫の違いは次の通りです。
- 暴行:身体に対する不法な有形力の行使(殴る蹴る、胸倉をつかむ等)
- 脅迫:相手またはその親族の生命や身体等に対する害悪の告知(殺すぞと脅す等)
心身の障害
心身の障害に乗じた性交等とは次のような行為を指します。
- 相手へ障害を与えて性交等に及ぶ
- すでに障害がある人へ性交等を行う
以前は準強制性交等罪に該当する行為でした。
アルコール・薬物の摂取
アルコール・薬物を摂取させ、それに乗じた性交等とは、主に次のような行為を指します。
- お酒や薬物で酩酊状態にさせ性交等を行う
- すでに酩酊状態にある人へ性交等を行う
以前は準強制性交等罪に該当する行為でした。
睡眠・その他の意識不明瞭
睡眠や意識不明瞭な状態に乗じた性交等とは、主に次のような行為を指します。
- 睡眠薬等を利用し、睡眠または意識を不明瞭にさせ、性交等を行う
- すでに意識が不明瞭な人へ性交等を行う
以前は準強制性交等罪に該当する行為でした。
恐怖・驚愕
行為を持ち掛けられた状況等が被害者にとって予想と異なり、同意しない意思を表明できない状態(フリーズ状態)で性交等を行ったという場合です。
不特定多数の男性に周りを取り囲まれ愕然とし、同意しない意思を表明できないまま、性交等をされたというケースが該当します。
虐待
他者への身体的・性的虐待や暴行を見せる等、心理的虐待を用い、相手を抵抗できない状態にして、性交等を行う場合等です。
たとえば、性交に抵抗している他の女性を暴行する状態をみせ、抵抗する気力を奪い性交に及ぶケースが該当します。
社会的地位による影響力
社会的な関係性に基づき、その影響力を悪用し性交等に及ぶ場合です。
たとえば上司に従わなければ部下である自分に不利益(自分を僻地に転勤させる等)となるのでは、と不安にさせ抵抗できなくするケース等が該当します。
相手への誤信
いかがわしい行為ではないと誤信させたり、性行為をする人を別人(例:有名人や相手の意中の人)だと勘違いさせたりして性交等をするケースが該当します。
相手の年齢
刑法改正で性交同意年齢が13歳から16歳に引き上げられます。
つまり、16歳未満の児童は性交に同意する能力を持たない、とみなされます。
これにより、児童本人がたとえ同意しても、中学生以下の子どもとの性交等は不同意性交等罪として処罰されてしまうのです。
不同意性交等罪を疑われたらどうなるのか
不同意性交等罪は「非親告罪」です。
親告罪であるなら、被害者の告訴がなければ検察官は起訴できません。しかし、不同意性交等罪は告訴の有無は問われず、検察官はたとえ被害者の告訴がなくても加害者を起訴できます。
不同意性交等罪の疑いを捜査機関が持った場合、次のような手順で捜査が進んでいきます。
- 不同意性交等罪に関する捜査を開始
- 容疑が固まれば被疑者として逮捕される
- 留置施設(留置場や拘置所)に勾留される(10~20日間)
- 検察官に起訴される(容疑者を刑事裁判にかける)
- 裁判所で有罪か無罪かの判決が下される
不同意性交等罪で逮捕される可能性があると判断したら、早期に弁護士へ相談しましょう。
弁護士は加害者(容疑者)のため迅速に弁護活動を進め、損失を最小限に抑えられるよう努力します。
不同意性交等罪を疑われたらすべきこと
捜査機関に不同意性交等罪を疑われた場合は、なるべく早く弁護士に相談し、対応を協議しましょう。
こちらでは、弁護士を活用した対応方法について解説します。
弁護士への相談
相手に不同意性交等罪を行い後悔している、または自分の行為が不同意性交等罪に当たるのか不安ならば、刑事事件に詳しい弁護士へ相談してみましょう。
相手との性交等を行った経緯について詳しく説明すれば、弁護士は的確なアドバイスを提供します。
また、弁護士に代理人を依頼したなら、弁護士は速やかに性交等をされた相手へアプローチし、感情面にも配慮しながら、冷静かつ法律に則った対応を進めていきます。
なお、相談者が逮捕されてしまった場合も、弁護士は捜査機関に釈放要求を行なうため、逮捕後すぐに勾留を回避することが可能です。
弁護士が自分の代理人となれば、相談者は身体的・精神的な負担を大きく軽減できます。
示談交渉
不同意性交等罪の示談交渉を経験豊かな弁護士に任せるならば、示談成立の可能性は非常に高くなります。
示談交渉のときは弁護士が相手(被害者)に面会し、示談条件や金額等を話し合っていきます。加害者が被害者と直接会うのは、被害者の心情を考えて通常は避けることになるでしょう。
被害者が示談の内容に納得したら「示談書」を作成します。
なお、不同意性交等罪は重大な犯罪であり、被害者との示談が成立しても、確実に不起訴となるわけではありません。
ただし、検察官は起訴・不起訴の判断をするとき、被害者の処罰意思を重視します。示談成立後、被害者が被害届を取り下げ、処罰を望まないならば起訴する可能性は低くなります。
まとめ
今回は多くの刑事事件に携わってきた専門弁護士が、不同意性交等罪が問われるケース、不同意性交等罪を疑われた場合の対応方法等について詳しく解説しました。
弁護士の尽力で相手(被害者)との示談が成立すれば、不起訴処分を得られる可能性もあります。
ただし、不同意性交等罪は卑劣な犯罪であり、有罪となれば重い罪となります。誠心誠意、被害者に謝罪し、真摯に自ら罪と向き合う努力が必要です。
不同意性交等を行い、後悔や不安を感じたらなるべく早く弁護士に相談し、今後の対応を話し合ってみてはいかがでしょうか。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。