離婚と別居期間|成立に必要な年数は?弁護士が解説

2025年12月15日

離婚と別居期間|成立に必要な年数は?弁護士が解説

離婚を考える際、多くの方が「どれくらいの別居期間があれば離婚できるのだろうか」と疑問に思われるのではないでしょうか。

実は、離婚の成立に必要な別居期間は、法律で一律に定められているわけではありません。離婚に至るまでの道のりである「協議離婚」「調停離婚」「裁判離婚」という3つの方法によって、別居期間の重要性は大きく異なります。

この記事では、それぞれの離婚方法における別居期間の位置づけや、特に裁判離婚で重要となる具体的な目安期間を、ケース別に詳しく解説します。

また、別居を有利に進めるための準備や注意点についてもご紹介しますので、ご自身の状況に合わせた離婚準備の参考にしていただければ幸いです。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
宅地建物取引士

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目次

【結論】離婚に必要な別居期間は「離婚方法」によって異なる

離婚を考える際、多くの方が「どのくらいの別居期間が必要なのだろう」と疑問に思われるかもしれません。結論から申し上げると、離婚の成立に必要な別居期間は、法律で一律に定められているわけではありません。夫婦がどの離婚方法を選択するかによって、その重要性は大きく異なります。

たとえば、夫婦双方の合意があれば、別居期間はほとんど問題になりません。しかし、夫婦の一方が離婚を拒否している場合で、最終的に裁判所の判断を仰ぐ「裁判離婚」となるケースでは、別居期間が夫婦関係の破綻を客観的に示す重要な証拠として扱われます。

このように、離婚方法によって別居期間の捉え方が変わるため、ご自身の状況に合わせて適切な知識を持つことが大切です。

夫婦の合意があれば期間は不問「協議離婚・調停離婚」

夫婦間の話し合いで離婚条件を取り決める「協議離婚」と、家庭裁判所の調停委員を介して話し合いを進める「調停離婚」の場合、別居期間は必ずしも問題になりません。

これらの離婚方法は、夫婦双方が離婚そのもの(親権、養育費、財産分与といった離婚条件に関して合意することも多いです。)に合意するかが最も重要となります。極端な例を挙げると、たとえ別居していなかったとしても、あるいは別居を始めて間もない期間であったとしても、夫婦がお互いに離婚することに合意して離婚届を提出すれば、法律上問題なく離婚は成立します。

調停離婚も、あくまで夫婦の合意形成を目的とした手続きですので、協議離婚と同様に、特定の別居期間がなければ離婚できないという絶対的な条件はないと理解しておきましょう。

相手が拒否する場合「裁判離婚」では別居期間が重要に

一方で、夫婦の一方が離婚に同意しない場合、協議離婚や調停離婚といった話し合いでの解決が困難となり、最終的には家庭裁判所に離婚訴訟を提起して「裁判離婚」を目指すことになります。この離婚訴訟においては、別居期間が非常に重要な意味を持ちます。

離婚訴訟では、民法で定められた「法定離婚事由」のいずれかに該当しなければ、裁判所は離婚を認めてくれません。

長期間にわたる別居の事実は、法定離婚事由の一つである「その他婚姻を継続し難い重大な事由」があったことを客観的に示す有力な証拠となり得ます。つまり、相手が離婚を拒否している状況では、どれくらいの期間別居しているかが、裁判所が離婚を認めるかどうかの判断に直結する可能性が高いのです。

なぜ裁判離婚で「別居期間」が重視されるのか?

裁判離婚において、なぜ別居期間が重要な意味を持つのか疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。単に別居している期間が長いからというだけではなく、日本の民法で定められている離婚原因と深く関係しているためです。ここでは、裁判離婚における別居期間の法的な位置づけについて、詳しく解説します。

法的離婚事由「婚姻を継続し難い重大な事由」の判断材料になる

民法第770条第1項第5号には、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」という離婚原因が定められています。これは、夫婦関係が修復不可能なほどに破綻していることを指し、裁判官が離婚を認めるかどうかの判断基準の一つとなります。

長期間にわたる別居は、この「婚姻を継続し難い重大な事由」があったことを客観的に示す有力な事実となります。例えば、不貞行為などのように明確な離婚原因(法定離婚事由)がなくても、数年間の別居期間があれば、すでに夫婦として共同生活を営む意思がなく、夫婦関係が修復不能な状態にあると判断されやすくなるのです。

つまり、別居という事実そのものが、夫婦関係が破綻していることを示す重要な要素として裁判所に認識され、離婚を認める判決につながる可能性が高まります。裁判官は、別居期間の長さに加え、別居中の夫婦の交流状況や生活状況なども総合的に考慮し、婚姻関係の破綻を認定します。

【ケース別】裁判離婚が認められる別居期間の目安

裁判離婚では、夫婦関係が破綻していることを客観的に示すために、別居期間の長さが重要な判断材料となります。しかし、法律で明確な「○年以上別居していれば離婚が成立する」といった期間が定められているわけではありません。裁判所は、個々の事案に応じて、夫婦の状況、別居に至った経緯、子どもの有無や年齢、婚姻期間など、さまざまな事情を総合的に考慮して判断します。

このセクションでは、過去の判例から導き出される一般的な別居期間の目安についてご紹介します。多くの場合に当てはまる基準はもちろん、別居期間が短くても離婚が認められやすいケース、あるいは通常よりも長い別居期間が必要となるケースなど、具体的な状況に応じた情報を解説していきます。

一般的な目安は3年~5年

裁判離婚において、夫婦の一方が離婚を拒否している場合で、かつ明確な離婚原因(不貞行為など)がない場合の別居期間は、一般的に「3年から5年」程度が目安とされています。特に離婚理由が「性格の不一致」など、どちらか一方に明確な責任があるとは言い切れないケースでは、この期間が裁判所の判断に大きな影響を与えます。

この3年から5年という期間は、夫婦が一定の冷却期間を置き、関係修復の努力もなされたが、それでもなお関係が改善されず、最終的に夫婦関係が客観的に見て破綻していると評価されるために必要だと考えられています。

この期間をもって、裁判所は「婚姻を継続し難い重大な事由」があったと判断しやすくなる傾向があります。ただし、これはあくまで目安であり、個別の事情によってはこの限りではありません。

別居期間が短くても離婚できるケース(1年~3年程度)

裁判離婚では、必ずしも長い別居期間がなければ離婚できないわけではありません。夫婦関係の破綻を強く示す他の要因がある場合、一般的な目安よりも短い別居期間(1年から3年程度)でも離婚が認められる可能性があります裁判所は、別居期間の長さだけでなく、婚姻関係の実態や破綻に至る経緯などを総合的に考慮して判断するためです。

どのような状況であれば、比較的短い別居期間でも離婚が認められるのか、次の項目から具体的に見ていきましょう。

相手の不貞行為など明確な離婚原因がある

相手方に民法で定められた明確な離婚原因がある場合、別居期間が短くても裁判離婚が認められやすいです。例えば、配偶者の不貞行為(不倫)や悪意の遺棄(夫婦としての義務を故意に果たさないこと)などがこれに該当します。

これらの行為は、それ自体が「婚姻を継続し難い重大な事由」として法的に認められるため、夫婦関係の破綻が別居期間の長さに関わらず、離婚が認められると考えられます。

実際に、これらの明確な離婚原因があるケースでは、1年程度の短い別居期間でも離婚が成立した判例も存在します。相手の行為によって夫婦関係が既に修復不可能な状態にあると判断されれば、別居期間の長さは重視されないことも多いです。

婚姻期間が短い

夫婦の婚姻期間が短い場合も、比較的短い別居期間で離婚が認められる傾向にあります婚姻期間が短いということは、夫婦として共同生活を営み、共に築き上げてきた歴史や財産、社会的な関係が浅いと判断されるためです。このようなケースでは、関係修復が困難であると判断されるまでの期間も短くて済むと考えられます。

例えば、婚姻後1年で別居を開始し、その後別居期間が1年程度続いたという事案で離婚が認められたケースもあります。婚姻期間が短い夫婦が別居に至った場合、裁判所は、関係の破綻を認定する上で、婚姻期間の短さにも照らして夫婦関係の修復可能性を判断する傾向にあると言えるでしょう。

長い別居期間が必要になるケース

ここまで一般的な目安や短い期間で離婚が認められるケースを見てきましたが、逆に、一般的な目安とされる3年から5年よりも長い別居期間がなければ、裁判離婚が認められにくいケースも存在します。

これは、離婚を請求する側に不利な事情がある場合や、離婚によって相手方が受ける不利益が大きいと裁判所が判断する場合に多く見られます。

裁判所は、離婚が当事者や子どもに与える影響を慎重に考慮するため、場合によっては、より長期間の別居など、夫婦関係が破綻しているといえるだけの十分な事情を求めることがあります。次の項目からは、具体的にどのようなケースで長い別居期間が必要となるのかを詳しく解説していきます。

離婚理由が「性格の不一致」のみの場合

離婚理由が「性格の不一致」のみである場合、裁判離婚で離婚が認められるためには、一般的に長い別居期間が必要となる傾向があります。性格の不一致は、DV(家庭内暴力)や不貞行為のように一方の配偶者に明確な責任があるとは言い切れず、夫婦関係の破綻を客観的に示すのが難しいとされるためです。

そのため、裁判所が夫婦関係が修復不可能なほど破綻していると判断するためには、長期間にわたる別居という事実が、その破綻を裏付ける強力な事実として重視されます。

他の明確な離婚原因がない場合は、5年以上の別居期間が目安になることもあり、場合によってはさらに長い期間を求められるケースもあります。夫婦として一緒に暮らすことが困難であるという実態を、時間の経過によって客観的に示すことが求められるわけです。

自分が不倫した側(有責配偶者)の場合(目安:8年~10年)

離婚の原因を作った側、つまり不倫やDVなどの有責行為をした配偶者(有責配偶者)からの離婚請求は、原則として裁判所に認められにくいです。

これは「有責配偶者からの離婚請求は信義則に反する」という裁判所の基本的な考え方があるためです。自ら夫婦関係を破綻させたにもかかわらず、相手に離婚を求めるのは公平ではない、という判断が働くからです。

しかし、例外的に有責配偶者からの離婚請求が認められるケースもあります。そのためには、以下の3つの要件を満たす必要があるとされています。

①相当長期間の別居期間があること
②未成熟の子どもがいないこと
③相手方配偶者が離婚によって精神的・社会的に極めて過酷な状況に置かれないこと

このうち、特に①の「相当長期間の別居」については、過去の判例では8年から10年程度の別居期間が目安となることが多いです。自分が有責配偶者である場合は、非常に長い別居期間が離婚成立の条件となることを覚悟する必要があるでしょう。

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未成熟の子どもがいる、または婚姻期間が長い場合

未成熟の子ども(経済的に自立していない子ども)がいる場合や、婚姻期間が非常に長い夫婦の場合、裁判所は離婚の判断に特に慎重になる傾向があります。これは、離婚が子どもや長年連れ添った配偶者に与える経済的・精神的な影響が大きいためです。

子どものいる夫婦の場合、離婚によって子どもの生活環境が大きく変化し、精神的・経済的な負担がかかることを考慮するため、夫婦関係の破綻を認定する上でも、より確実な証拠や長い別居期間を要求されることがあります。

また、婚姻期間が長く、特に専業主婦(主夫)であった配偶者が高齢であるなど、離婚後の生活が困窮する恐れがあるケースでは、裁判所は離婚を認める条件として、財産分与や慰謝料、年金分割など、相手方への手厚い補償を求めることが多くなります。

これらの事情がある場合、一般的な目安よりも長い別居期間が必要となることも考慮しておく必要があります。

離婚を有利に進めるための別居準備と注意点

離婚を考え、別居という一歩を踏み出すとき、感情的に行動するのではなく、戦略的に準備を進めることが非常に重要です。

別居開始前や別居中の行動は、その後の離婚協議、調停、さらには裁判に大きな影響を与え、親権、養育費、財産分与といった離婚条件を有利に進めるための重要な要素となります。

このセクションでは、後悔のない離婚を実現するために、別居に際して知っておくべき準備と注意点を具体的に解説します。計画的な別居を通じて、精神的な負担を軽減し、より良い未来を築くための具体的な行動を促します。

別居前にやるべき3つの準備

別居に踏み切ることは、人生の大きな決断であり、感情的になってしまいがちです。しかし、感情に任せて行動するのではなく、冷静に、そして計画的に準備を進めることが、その後の離婚交渉を有利に進めるための鍵となります。

特に同居中にしか集められない情報や、別居後の生活に直結する重要な事柄については、事前にしっかりと準備しておく必要があります。ここでは、別居を開始する前に最低限やっておくべき3つの重要な準備について解説します。これらを実践することで、別居後の生活基盤を安定させ、離婚条件の整理にもつながるでしょう。

有利な証拠を集める(不貞行為、DV、財産など)

離婚交渉や裁判を有利に進めるためには客観的な証拠が不可欠です。特に、相手方の有責性を示す証拠や、財産分与に関わる証拠は、同居中にしか集められないものも多くあります。

例えば、相手方の不貞行為が疑われる場合は、メールやチャットのやり取り、写真、ホテルやデートの記録などを収集しておきましょう。DVやモラハラを受けている場合は、医師の診断書、怪我の写真、録音データ、日記などが有効な証拠となります。

また、財産分与を適切に行うためにも、相手名義の預金通帳のコピー、不動産登記簿謄本、生命保険や学資保険の証券、給与明細、源泉徴収票など、相手の収入や財産状況を示す書類を可能な限り集めておくと良いでしょう。

これらの証拠は、後に調停や裁判になった際に、あなたの主張を裏付ける強力な根拠となります。

別居後の生活基盤を確保する(住まい・仕事)

別居後の生活を安定させるためには、経済的な自立と住居の確保が最も重要です。まず、安全で安心して暮らせる当面の住まいを確保しましょう。

実家に戻る、友人宅に一時的に身を寄せる、賃貸アパートを借りるなど、状況に応じた選択肢を検討してください。特に、子どもの学校区を変えずに転居できる場所を探すことは、子どもの生活環境の継続性を確保する上で重要です。

次に、収入源の確保です。現在の仕事を継続できるか、あるいは新しい仕事を見つける必要があるかなど、具体的な計画を立てましょう。経済的な目処が立つことで、精神的な安定が得られ、離婚交渉においても対等な立場で臨むことができます。十分な生活基盤を確保することは、あなた自身と子どもの未来を守るための大切なステップです。

離婚後の条件を整理しておく(親権、養育費、財産分与)

別居に踏み切る前に、離婚後の生活を具体的にイメージし、相手に何を要求したいのか、自分の中で明確にしておくことが非常に重要です。

具体的には、まず子どもの親権をどちらが持つのか、そして親権を持たない側からどれくらいの養育費を請求したいのかを考えましょう。養育費の金額は、子どもの生活費や教育費に直結するため、具体的な金額を算定しておくことが望ましいです。

次に、夫婦の共有財産(預貯金、不動産、自動車、退職金、年金など)をどのように分けるか、いわゆる財産分与について自分の希望を整理します。

さらに、もし相手に有責性がある場合は、慰謝料を請求するかどうか、請求する場合はいくら求めるのかも検討しておきましょう。年金分割の割合についても、事前に調べておくことをおすすめします。これらの希望を明確にしておくことで、交渉の軸がぶれることなく、自身の権利をしっかりと主張できるようになります。

別居中に必ず確認すべきこと・やってはいけないこと

別居を開始した後も、離婚成立までは夫婦としての関係が続いています。そのため、別居中の行動一つ一つが、その後の離婚協議や調停、裁判の結果に影響を及ぼす可能性があります。

自分の権利を守り、不利な状況を避けるためには、別居中に「やるべきこと」と「やってはいけないこと」をしっかりと理解しておくことが大切です。このセクションでは、特に注意すべきポイントを具体的に解説します。計画的かつ慎重な行動を心がけ、有利な離婚を目指しましょう。

婚姻費用(生活費)の請求と手続き

別居を開始した後、真っ先に行うべき重要な行動の一つが「婚姻費用(生活費)の請求」です。夫婦には、婚姻関係が続いている限り、互いに同程度の生活を送れるように助け合う義務(生活保持義務)があります。そのため、収入の少ない側は、別居していても収入の多い側に対して、生活費の分担を請求することができます。

重要なのは、婚姻費用は原則として「請求した時」からしか支払ってもらえないという点です。したがって、別居後すぐに、内容証明郵便などで婚姻費用を請求する意思表示をしておくことを強くおすすめします。

もし夫婦間の話し合いで合意が得られない場合は、家庭裁判所に「婚姻費用分担請求調停」を申し立てることで、調停委員を介して適切な婚姻費用の金額を決定してもらうことができます。

子どもの親権を考えている場合の注意点

もしあなたが子どもの親権獲得を強く希望している場合、別居中の行動には細心の注意が必要です。

日本の裁判所は、親権者を決定する際に、子どもの生活環境の継続性を非常に重視する「継続性の原則」という考え方を強く持っています。これは、子どもにとって、これまで慣れ親しんだ環境が維持されることが最も安定につながるという考えに基づいています。

そのため、もしこれまで主として子育てをしてきた場合で離婚に際して親権を望むのであれば、子どもを相手方に預けたまま自分だけ家を出てしまうことは避けるべきです。DVから逃れるなどの緊急性が高い場合を除き、子どもと一緒に別居し、子どもとの生活実績を積み重ねることが、親権獲得において非常に重要な要素となります。子どもを連れて別居することが、結果として親権を得るための強力な根拠となることを理解しておきましょう。

【NG行動】正当な理由なく夫婦間の義務を果たさない「悪意の遺棄」

離婚を考えている場合でも、一人で生活ができない相手を置き去りにしたり、生活費を渡さずに相手を困窮させるなどの行為は、民法で定められている離婚原因の一つである「悪意の遺棄」とみなされるリスクがあります。

正当な理由(例えば、相手からのDVやモラハラから逃れるためなど)なく、夫婦としての同居義務や扶養義務を果たさない行為は、ご自身が有責配偶者(離婚の原因を作った側)と判断される可能性もあります。

もし悪意の遺棄が認定されてしまうと、相手方からの慰謝料請求に応じなければならなくなったり、ご自身からの離婚請求が認められにくくなったりするなど、著しく不利な立場に置かれる可能性があります。

感情的に家を飛び出す前に、まずは弁護士に相談し、適切な手順を踏むようにしましょう。

話し合いが難航する場合の解決策

夫婦間で離婚に関する話し合いが感情的になったり、意見の食い違いが大きく話し合いが進まない状況は少なくありません。しかし、直接の話し合いで合意に至らない場合でも、離婚を諦める必要はありません。弁護士を介した客観的で冷静な話し合いの場を設けることで、膠着した状況を打開し、具体的な解決策を見つけることが可能です。

このセクションでは、夫婦間の話し合いが難航した際に、次にどのような法的な手段を検討すべきかについて具体的に解説します。感情的な対立を避けつつ、建設的に離婚問題を解決するための選択肢を知ることで、先の見えない不安を解消し、離婚への道筋を明確にすることができます。

家庭裁判所に「離婚調停」を申し立てる

夫婦間の話し合いで離婚の合意ができない場合、次のステップとして検討すべきなのが「離婚調停」です。離婚調停とは、家庭裁判所で行われる手続きで、調停委員という中立な立場にある調停委員会のメンバーが間に入り、夫婦それぞれの言い分を聞きながら、合意点を見つけて離婚条件を話し合う場を提供してくれます。

調停の最大のメリットは、夫婦が直接顔を合わせずに話し合いを進められる点にあります。これにより、感情的な衝突を避け、冷静に問題解決に取り組むことが可能です。

また、調停委員は調停委員会のメンバーとして当事者双方の言い分を聞き、話し合いをサポートしてくれます。調停で合意した場合には合意内容を記載した「調停調書」が作成されます。これは裁判の判決と同じ法的効力を持つため、後々のトラブルを防ぐ上でも非常に有効です。

協議離婚が難しい場合でも、基本的にはいきなり裁判を始めることはできず、まずは調停を申し立てる必要があります。これは、調停が裁判の前のクッション的な役割を果たし柔軟な解決ができる可能性があるためです。もし調停が不成立に終わっても、その後の裁判で調停での話し合いの経緯が考慮されることもあります。

弁護士に交渉を依頼するメリット

離婚問題の話し合いが難航し、感情的になってしまうことが多い場合、弁護士に交渉を依頼することは非常に有効な解決策となります。弁護士に依頼するメリットは多岐にわたり、精神的負担の軽減だけでなく、より有利な条件で離婚を成立させる可能性を高めることにもつながります。

まず、弁護士は代理人として相手との交渉窓口になってくれます。これにより、直接相手とやり取りする必要がなくなり、精神的なストレスを大幅に軽減できるでしょう。感情的になりがちな離婚の話し合いを、冷静かつ客観的な視点で進めてくれるため、無用なトラブルの発生を防ぐことにもつながります。

次に、弁護士は離婚に関する豊富な法的知識と経験を持っています。財産分与、養育費、慰謝料、親権など、複雑な離婚条件の交渉において、法的に不利にならないよう、専門知識に基づいた適切なアドバイスと戦略的な交渉を進めてくれます。

例えば、相手の隠し財産を調査したり、あなたの正当な権利を主張するための証拠収集をサポートしたりするなど、個人では難しい手続きも代理で行ってくれるため、納得のいく離婚条件を得られる可能性が高まります。

また、離婚調停や裁判に移行した場合でも、弁護士が手続きの全てを代理してくれるため、安心して任せることができます。

弁護士に依頼することで、離婚問題を円滑かつ有利に進められる可能性が高まるだけでなく、未来に向けて新しい生活を安心してスタートさせるための強い味方になってくれるでしょう。特に、複雑な事情を抱えている場合や、相手との関係性が険悪な場合は、早期に弁護士に相談することをおすすめします。

まとめ:離婚成立に必要な別居期間は状況次第。まずは弁護士に相談し見通しを立てよう

これまで見てきたように、離婚が成立するまでに必要な別居期間は、夫婦の状況や選択する離婚方法によって大きく異なります夫婦双方の合意があれば協議離婚や調停離婚では別居期間は基本的に問われず、極端な話、別居していなくても離婚は可能です。しかし、夫婦の一方が離婚を拒否している場合には、裁判離婚を視野に入れる必要があり、その際に「別居期間」は婚姻関係の破綻を示す重要な事実となります。

裁判離婚において離婚が認められる別居期間の目安は、一般的なケースで3年から5年とされていますが、個々の事情によってこの期間は変動します。例えば、相手方の不貞行為やDVといった明確な離婚原因がある場合や、婚姻期間が短い場合は、より短い別居期間で離婚が認められることもあります。逆に、離婚理由が性格の不一致のみであったり、離婚を請求する側が有責配偶者であったり、未成熟の子どもがいる場合などには、より長い別居期間が必要となる傾向があります。もっとも、近年の裁判例の分析によれば、離婚が認められるための別居期間も短縮傾向にあるとも言われていることや、離婚条件の交渉や手続きを進める中で別居の実績も積み上げられていくことから、現時点で別居期間が長期間にわたらなくとも離婚を諦める必要はないかと思います。

離婚を考え始めたら、まずはご自身の状況でどのくらいの別居期間が必要になるのか、そしてどのように離婚を進めるのが最善なのかを専門家である弁護士に相談し、法的な見通しを立てることが非常に重要です。弁護士は、あなたの状況に応じた具体的なアドバイスを提供し、有利な条件で円滑に離婚を進めるためのサポートをしてくれます。一人で悩まず、早期に弁護士へ相談し、未来への一歩を踏み出しましょう。

離婚と別居期間に関するQ&A

離婚を考える際、別居期間に関して抱く疑問は多岐にわたります。これまでの解説で、離婚方法によって別居期間の重要性が異なることをご理解いただけたかと思います。

ここでは、さらに踏み込んで、多くの方が疑問に感じる具体的なケースについてQ&A形式で詳しく解説していきます。家庭内別居や単身赴任の扱い、別居中の生活費、別居中の交際のリスク、そして別居期間なしで離婚する方法など、実践的な疑問に答えることで、離婚に向けた不安を解消し、次の一歩を踏み出すための具体的な情報を提供できれば幸いです。

Q. 家庭内別居や単身赴任は別居期間に含まれますか?

家庭内別居や単身赴任が法的な「別居期間」として認められるかどうかは、その実態が「夫婦関係を継続する意思がなく、共同生活が破綻しているか」という点にかかっています。形式的に同じ家に住んでいたり、一時的に離れて暮らしていたりするだけで、必ず別居期間と認められるわけではありません。

まず家庭内別居の場合、同じ屋根の下にいても、例えば食事を別々に取る、寝室が完全に別である、会話がほとんどない、互いの生活に干渉しない、生計を別々にしているなど、実質的に夫婦としての共同生活が営まれていない状態であれば、裁判所から別居期間として認められる可能性があります。この状態を証明するためには、家計簿や日記、同居する家族の証言などが有効な証拠となります。

一方、単身赴任は、仕事の都合による一時的な別居であり、夫婦関係を継続することが前提とされています。そのため、定期的に連絡を取り合ったり、休暇には一緒に過ごしたりしている場合は、原則として法的な別居期間には含まれません。

しかし、単身赴任を機に夫婦関係が冷え込み、連絡もほとんど取らず、家族としての交流が一切ない状態が続いている場合は、実質的な夫婦関係の破綻とみなされ、別居期間として考慮される可能性もあります。

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Q. 別居中の生活費(婚姻費用)は必ず請求できますか?

別居中であっても、婚姻関係が継続している限り、夫婦は互いに生活を扶助する義務があります。これを「婚姻費用分担義務」と呼びます。この義務に基づき、収入の多い配偶者は、収入の少ない配偶者に対して、自分と同程度の生活を保障するために必要な生活費(婚姻費用)を支払う義務があります。

この権利は、夫婦関係悪化の原因が請求する側にある(有責配偶者である)場合であっても、少なくとも子供の生活費分の請求は可能です。

婚姻費用を請求する際には、まず夫婦間で話し合いを行うことが一般的です。話し合いで合意が得られない場合や、相手が話し合いに応じない場合は、家庭裁判所に「婚姻費用分担請求調停」を申し立てることができます。

調停が成立すれば、その内容に基づいて婚姻費用が支払われます。調停でも合意に至らない場合は、審判に移行し、裁判官が諸事情を考慮して婚姻費用の金額を決定します。婚姻費用は原則として請求した時点から発生するため、別居を開始したら速やかに請求手続きを行うことが重要です。

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Q. 別居中に他の人と交際したら不利になりますか?

別居中に新たなパートナーと交際(恋愛関係や性的関係)を持つことは、そのタイミングと夫婦関係の破綻状況によっては、離婚交渉や慰謝料請求において不利になる可能性があります。

重要な判断基準となるのは、「交際を開始した時点で、すでに夫婦関係が修復不可能なほど完全に破綻していたか」という点です。

もし、夫婦関係が既に破綻しており、もはや修復の見込みがない状況で交際を始めたのであれば、その交際が「不貞行為」(不倫)とは見なされず、新たな交際相手に対する慰謝料請求や、あなた自身が相手から慰謝料を請求されるリスクは低いと考えられます。裁判では、夫婦関係が破綻した後に始まった交際と評価された場合には、それが離婚の原因ではないと判断されるためです。

しかし、夫婦関係がまだ完全に破綻しているとまでは言えない段階で交際を始めてしまうと、その交際が夫婦関係を決定的に破綻させた原因、あるいはその一因と見なされ、「不貞行為」として相手方から慰謝料を請求される可能性が出てきます。

特に、別居後すぐに交際を始めると、相手方から「その交際が別居の原因だ」と主張されるリスクが高まります。夫婦関係の破綻時期の判断は非常に難しく、客観的な証拠に基づいて行われるため、安易な行動は避けるべきです。離婚が成立するまでは、新たな交際については慎重な行動が求められます。

Q. 別居期間なしですぐに離婚する方法はありますか?

別居期間を設けずに、すぐに離婚できる唯一の方法は「協議離婚」です。協議離婚とは、夫婦が話し合いによって離婚することに合意し、離婚届を役所に提出するだけで離婚が成立する方法です。

この方法では、法律上、特定の別居期間を定める必要は一切ありません。夫婦双方が離婚意思を確認し、離婚に合意すれば、同居したままでも、あるいは別居後すぐであっても、離婚届を提出することで即座に離婚が成立します。つまり、夫婦間の話し合いで全ての合意形成が可能であれば、別居というステップを踏む必要はないということです。

ただし、夫婦間の合意が一つでも得られない場合は、調停離婚や裁判離婚といった別の手続きに進むことになります。これらの手続きでは、別居期間が重要な意味を持つ場合があるため、まずは夫婦間でじっくりと話し合い、協議離婚が可能かどうかを探ることが最もスムーズな解決への道となります。

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