離婚方法を徹底解説!協議・調停・裁判の違いと失敗しないための7つのポイントを紹介
最終更新日: 2024年11月08日
- 配偶者と離婚する方法や手順について知りたい。
- 離婚のときは、どのような条件を取り決めるのだろう?
- 配偶者との話し合いがこじれた場合、どのように離婚の手続きを進めるのだろう?
離婚するには、基本的に夫婦の合意が必要です。離婚はまず夫婦の協議で決めますが、協議がまとまらなければ調停・裁判を行い、解決を図ります。
そこで今回は、離婚問題の解決に携わってきた専門弁護士が、離婚方法、離婚するときに押さえておかなければいけない重要事項等を詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 離婚する方法は、協議・調停・裁判の3つがある
- 離婚するときは、財産分与・子どもの親権・養育費等をしっかりと取り決めておく
- 離婚を円滑に進めたいときは、離婚問題に詳しい弁護士のサポートを得た方がよい
3つの離婚方法とは
離婚は基本的に夫婦の話し合いで進めます。しかし、話し合いがまとまらなければ、家庭裁判所に話し合いの場を移し、調停による解決も可能です。
調停が不成立なら、裁判所の判決で離婚を決める裁判離婚に進みます。
協議離婚
協議離婚とは、夫婦間で話し合い離婚に合意する方法です。夫婦で離婚条件を協議する場合は、互いに感情的にならず冷静な対応が求められます。
財産をどのように分けるのか・どちらが家を出るのか・子どもの親権をどちらが持つのか等について、じっくりと話し合いましょう。
離婚条件に合意後、市区町村役場に離婚届を提出し、受理されれば離婚は成立します。
離婚条件を取り決めたら、「離婚協議書」を作成しましょう。離婚協議書があれば、協議で夫婦が決めた約束事を確認できます。
夫婦による直接の話し合いが難しい場合などは、弁護士を代理人として交渉することも可能です。
調停離婚
調停離婚は夫婦の話し合いの場を家庭裁判所に移し、離婚に向けて互いの歩み寄りを図る方法です。
調停を望む場合は、相手方の住所地または夫婦が合意して定めた家庭裁判所に、「夫婦関係調整調停(離婚)の申立」を行いましょう。 調停は非公開で行われ、基本的に夫婦双方が出席しなければいけません。
調停のときは、家庭裁判所から選ばれた調停委員(2名)が夫婦の間に入り、夫婦の主張の隔たりを埋めるために様々な助言や解決案を提示します。
家庭裁判所による調停の場合、弁護士も同席し依頼者の立場に立った主張をすることも可能です。
調停で夫婦が合意に至らなかった場合は、調停不成立となります。
裁判離婚
裁判離婚とは裁判官が事実を認定し、法律の定める離婚原因があるか等を審理し、判決を下す離婚方法です。訴える裁判所は家庭裁判所となります。
夫婦の離婚の話し合いが不調だからといって、いきなり訴訟を起こすことは認められていません。まずは調停を行い、調停が不成立となった場合に、裁判離婚が可能となります(調停前置主義)。
有責配偶者側(離婚原因をつくった配偶者)からの訴えも、原則として認められません。
離婚を認める判決が出た場合、相手方が控訴しないまま2週間の控訴期間を経過すれば、判決が確定し離婚は成立します。
裁判離婚では判決前に尋問前後の段階で、裁判官から和解案が提示(和解勧告)される場合があります。
夫婦双方が和解案に合意すれば、和解調書が作成され離婚は成立、判決を経ずに裁判は終了です(和解離婚)。
裁判のときは、弁護士が依頼者の立場に立ち主張・立証を行います。
どの離婚方法でも押さえておくべき5つの重要事項
協議・調停・裁判いずれの方法で離婚成立を目指す場合でも、取り決めておかなければいけない重要事項があります。
特に財産分与や慰謝料、子どもの親権・養育費・面会交流の内容は慎重に決めましょう。
財産分与
夫婦が婚姻中に協力して得た財産を、離婚時または離婚後に分配する取り決めです。
財産分与の割合は法律に明記されておらず、夫婦で2分の1ずつ分けるのが一般的です。なぜなら、夫婦が婚姻中に財産を築いた貢献度は同等で、公平に2分の1で分けるのが妥当と考えられているからです。
配偶者が専業主婦(主夫)であったとしても、この考え方は変わりません。分配する割合は夫婦間で自由に決定できます。
専業主婦(主夫)である配偶者に配慮し、5割を超える分与の合意もできます。
ただし、分与対象となるのは婚姻中に協力して得た財産(共有財産)です。婚姻する前に各自が有していた財産、被相続人から引き継いだ相続財産等は「特有財産」であり、基本的に分与の対象外となります。
慰謝料請求
夫婦のどちらかが離婚原因をつくった場合、他方は慰謝料を請求できます。
離婚原因として、配偶者・子どもに暴力を振るうDV・児童虐待、不倫、何ら理由もなく自宅に寄り付かない等の問題行動があげられます。
慰謝料について夫婦で協議し合意ができない場合は、調停や裁判で慰謝料額を決められます。
ただし、調停・裁判で慰謝料を請求する場合は、離婚原因をつくった配偶者の問題行動の証拠が必要です。たとえば、DV・児童虐待なら暴言・暴力を振るう音声・動画、医師が作成した診断書等が必要です。
親権
子どもの親権を夫婦のどちらが持つかを決定します。
親権は未成年の子を養育するため親に認められた権利です。権利には、子どもの財産を管理する「財産管理権」、身の回りの世話をして養う「身上監護権」があります。
現在のところ離婚後の親権者は夫婦のいずれかとする必要があります(単独親権)。共同親権はまだ認められないませんが、2026年5月までに改正民法による共同親権制度の導入が予定されています。
子どもがいる場合、親権者を決定しないと離婚は成立しません。親の都合ではなく、子どもの幸せを優先的に考え、夫婦どちらが適任なのかを話し合いましょう。
養育費
養育費とは、子どもが生活するうえで必要な費用です。養育費も夫婦が分担しなければいけません。
養育費を負担する額は、夫婦間で自由に取り決め可能です。子どもと生活する方の親に潤沢な資金や収入があれば、他方へ養育費を請求する必要はありません。
養育費の負担額は夫婦それぞれの資力その他の事情を考慮し、慎重に話し合いましょう。
裁判所が目安として公表している「養育費・婚姻費用算定表」を参考に、それぞれの負担額を決めることもできます。
面会交流
親権を失くした方の親が、子どもと定期的に会って交流する取り決めを行います。
親権を持つ親が面会交流を認めれば、親権を失くした方の親はもちろん、子どもの喪失感も軽減できるでしょう。
夫婦間で面会交流の日時を自由に決められますが、子どもの都合もよく考慮する必要があります。また、面会交流の内容も互いの生活に支障が出ない範囲で、たとえば次のように決定できます。
- 親権を失くした親の自宅に、子どもは土・日曜に〇時~〇時まで滞在できる
- 親権を失くした親の自宅に、子どもは1か月間で〇泊までできる
- 親権を失くした親と、土・日曜に公園で遊ぶ、映画を一緒に観る 等
失敗しない離婚方法を進める7つのポイント
協議・調停・裁判いずれの離婚方法をとる場合でも、有利な条件で離婚を成立させ、離婚後のトラブルを回避するためには、十分な準備と対策を講じなければいけません。
自分だけの力に頼らず、公的機関や民間団体、法律の専門家等のサポートを受けながら、手続きを進めましょう。
離婚理由の明確化
まず、どのような理由で離婚したいのか冷静に考えてみましょう。
- 夫婦関係がマンネリ化し新鮮味がなくなった
- 夫婦の性生活が全くなくなり、冷めた関係が続いている
- 配偶者が自分や子どもに、暴言や暴力を振るうようになった
- 配偶者が不倫をしている
配偶者の暴言や暴力・不倫は夫婦関係を崩壊させる深刻な問題行動です。しかし、夫婦関係のマンネリ化やセックスレスは、夫婦双方の努力次第で関係改善が図れる可能性もあります。
夫婦関係が修復不能となるまでに悪化しているのか、離婚しなければ改善が見込めない状態なのかよく検討したうえで、離婚の準備を進めましょう。
証拠収集
配偶者の責任で離婚する場合、「離婚を決断するのはやむをえない。」と第三者でも納得するような証拠が必要です。
証拠を揃えないと、相手は離婚や慰謝料請求に応じない可能性があります。
たとえば、配偶者の不倫が原因で離婚を決意した場合、裁判では次のような物が有力な証拠となります。
- 配偶者と不倫相手の性行為または性行為を推認できる画像・動画
- 配偶者と不倫相手との不倫に関するやり取りの音声 等
なお、性行為を推認できる画像・動画とは、配偶者と不倫相手がラブホテルに出入りしている画像・動画などです。
配偶者と不倫相手の顔や姿を鮮明に映した浮気現場の撮影は、高性能の撮影機材・撮影スキルを必要とする場合もあります。探偵に依頼する等して、証拠の収集に努めた方がよいでしょう。
精神的な準備
心のケアも念頭におきながら、冷静に離婚の協議や調停・裁判を進めましょう。
配偶者との離婚を協議するとなれば、精神的な負担が増す可能性もあります。そのようなときは離婚の相談相手となる人や、相談窓口に悩みや不安を打ち明けてみましょう。
- 友人や知人に相談する:離婚歴のある相談相手ならば、自分の心の痛みをわかってくれるので、精神的に安定する
- 女性相談窓口等を利用する:地方自治体には心のケアを担当する窓口が設けられているところもある
- 民間のカウンセリングを受ける:カウンセラー資格を持つ相談員が心のケアを行う
法的な基礎知識の習得
離婚の協議等へ臨む前に、離婚の手続きに関する法的な知識を得ておきましょう。
- 協議離婚で合意に達した場合の離婚協議書の作成方法
- 協議離婚で合意後の離婚届の提出方法
- 協議離婚が不調に終わった場合、離婚調停・裁判離婚に進む手順・方法の確認
離婚に関する法律は複雑なため、理解するのが難しいかもしれません。そのようなときは法律のプロである弁護士に相談し、サポートを依頼した方がよいでしょう。
未払いの対処・対策
夫婦で取り決めた通りに、相手が財産分与や慰謝料・養育費を支払わない場合の対策も講じておきましょう。
離婚条件をいつでも確認できるように「離婚協議書」の作成が有効な方法です。書面にまとめれば、当事者同士が取り決めた内容でもめるリスクも軽減できます。
ただし、財産分与や慰謝料等を支払いたくない相手方が、協議書を破棄したり、支払いの約束を破ったりするリスクもあります。安全・確実に取り決めた内容の実現を図るためには、「離婚公正証書」の作成が有効です。公正証書は公証人が作成するので、証拠能力が非常に高い文書です。
また、「強制執行認諾」の文言を定めておけば、相手が慰謝料や養育費等を払わないとき、裁判手続きを経ずに強制執行できます。
離婚後の生活を見据えた準備
あなた自身の経済的な自立や子どもの新たな生活を、真剣に検討しましょう。
離婚後、財産分与・慰謝料・養育費支払いばかりをあてにしては、金銭的に窮乏するおそれがあります。
あなたが専業主婦(主夫)またはパート従業員であるなら、次のような準備を進めましょう。
- 安定した収入を確保する:ハローワーク等で就職先を見つける
- 経済的なサポートを受ける:生活保護制度の利用の検討
- 公的な支援を受ける:児童手当・児童扶養手当等の利用の検討
専門弁護士への相談
離婚の協議・調停・裁判に詳しい弁護士へ相談してみましょう。
弁護士はあなたの悩みや不安を聴いたうえで、最適なアドバイスを提供します。
- 協議離婚をスムーズに進めるポイント
- 協議・調停・裁判の手続きの方法
- 弁護士を代理人にした場合のメリット 等
相談を通じて「信頼のおける弁護士だ」と感じたら、そのままサポートを依頼してもよいでしょう。
最適な離婚方法を選ぶためにまずは無料相談
今回は離婚成立に尽力してきた専門弁護士が、離婚の方法や押さえておかなければいけない重要事項、注意点等を詳しく解説しました。
法律事務所の中には、初回相談を無料で受け付けているところもあります。まずは気軽に相談し、悩みや不安を打ち明けてみましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。