窃盗事件の刑の重さ(量刑)について

窃盗事件の刑の重さ(量刑)について

2020年01月16日

窃盗事件は,刑事事件の中でも件数の多い事件です。

今回は、窃盗事件における刑の重さ(量刑)についてご説明します。

1 窃盗罪の量刑

⑴ 窃盗罪の量刑

窃盗罪の刑罰については、

(1月以上)10年以下の懲役又は(1万円以上)50万円以下の罰金

と刑法に法定されています。

初めて窃盗罪で刑罰を受けるときは10万~30万円の罰金刑や執行猶予付きの1年以下の懲役刑となるケースが多いですが、前科があったり、被害金額が大きい場合などは1年を超える懲役刑や、実刑判決となるケースもあります。

⑵ 常習累犯窃盗

①常習として窃盗罪を犯し、②窃盗罪を過去10年以内に3回以上、懲役6月以上の刑の執行を受け又はその執行の免除を受けたことがある場合には、常習累犯窃盗として重い刑が科されることになります。

常習累犯窃盗の刑罰については、

3年以上(20年以下)の有期懲役

と法定されています。

常習累犯窃盗に該当するとこのように重い刑が科されますので、5年以上などの実刑判決を受ける可能性もあります。3回以上も窃盗罪で懲役刑を受けたことがある方が対象ですから、よほど窃盗を繰り返してない限り、常習累犯窃盗になることを心配する必要はありません。

2 窃盗罪で罰金刑になるケース

初犯の窃盗事件のうち、万引きや置き引きで被害金額が小さい事件であれば被害者との間で示談が成立していない場合であっても、不起訴処分となることが多いです。

一方、過去に前科がある場合や被害金額が小さくない場合には、初犯であっても略式手続で罰金刑になったり、正式な裁判(公判)になる可能性が多いにあります。

正式な裁判とは、ニュースやドラマで見るような法廷で審理が開かれる裁判のことで、略式手続とはそのような審理は開かれず、書面上の手続で起訴され、罰金刑となる手続です。

3 窃盗罪で執行猶予判決となるケース

窃盗に限らず過去に罪を犯した前科がある場合や、初犯であっても侵入窃盗など犯行態様が悪い場合や、被害金額が大きい場合、常習性がある場合などは、略式手続で罰金刑とはならず、正式な裁判(公判)が開かれる可能性が高いといえます。

そして公判が開かれた場合には、原則として罰金刑ではなく、実刑判決又は執行猶予付きの懲役刑となります。

窃盗事件は,財産犯なので,被害額が弁償されているかどうかが判決における量刑を決定する上で重要な要素となります。

被害弁償のための被害者との示談交渉については,弁護士が間に入った方が示談が成立する可能性が高まります。

初犯の場合であっても,被害額が100万円を超えるようなケースは,執行猶予は付かずに実刑判決となる可能性が十分ありますので示談,被害弁償をしっかりすることが必要です。

また、常習的な万引き(窃盗症、クレプトマニア)など精神疾患が犯行に影響しているケースでは、専門の医師の診断、治療を受けて、精神疾患が犯行に影響していること、治療によって再犯防止が期待できることを示すことが重要です。

4 窃盗罪で再度の執行猶予が付くケース

執行猶予期間中に,再び窃盗を犯すことがあります。特に万引きの事案の場合,執行猶予期間中であるにもかかわらず,再犯に及ぶケースがしばしば見られます。

執行猶予期間中に犯罪を犯した場合,原則として執行猶予はつかず実刑判決となります。

このように窃盗を繰り返してしまっているケースの中には,窃盗症(クレプトマニア)などの何らかの精神疾患が犯行に影響している可能性があります。

そのような疑いがあるときは、専門の医師の診断、治療を受け,診断結果や治療内容を公判で示すことで、再度の執行猶予がつく可能性がありますので、専門の弁護士に依頼をして、適切な医療機関の選定など更生のための計画を立てることが重要です。

5 法律上、執行猶予付き判決とすることができないケース

執行猶予付き判決とすることができるのは、有罪判決の内容が3年以下の懲役・禁錮又は50万円以下の罰金の場合だけです。ですから、それ以上の重い判決内容の場合には執行猶予を付けることは法律上できません。

また、保護観察期間中に再び犯罪を犯した場合は執行猶予付き判決とすることは法律上できません。

6 最後に

以上,窃盗事件の量刑についてご説明しました。

窃盗事件の弁護活動は、被害者との示談交渉やケースによっては医師との連携が重要となります。窃盗事件を起こしてしまったときは、刑事弁護の経験豊富な弁護士にご相談ください。

この記事を書いたのは

弁護士春田 菊麿
金沢弁護士会 所属
経歴
東京大学法学部卒業
中央大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所入所

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