窃盗での捜査の流れや呼び出しについて専門弁護士が解説

最終更新日: 2023年12月19日

窃盗での捜査の流れや呼び出しについて専門弁護士が解説

初めて窃盗の加害者となった場合、その後の刑事事件の流れがどうなっていくのか疑問、不安に思うことでしょう。

今回は窃盗事件の捜査の流れについて専門弁護士が解説します。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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窃盗事件の捜査の流れ(始まり)

まずは窃盗事件の捜査の始まりから見ていきましょう。

被害届や告発

警察は、犯罪を認知すると、捜査を開始します。その認知のきっかけは、被害者からの被害届提出であったり、第三者からの告発だったり、被疑者自身の自首だったりします。

参考人なの?被疑者なの?

警察署に出頭するよう警察から携帯電話や自宅の電話に連絡が来ることがあります。警察において、対象者が犯人であるとのある程度の証拠を掴んでいる場合には、被疑者として事情聴取をされることとなります。

他方、犯人であることの証拠が全然ない場合にはとりあえず参考人として事情聴取を受けることになります。

被害者として取り調べをするときは、黙秘権を告知する必要があります(刑事訴訟法第198条2項)。よって、事情聴取を受ける際に黙秘権の告知があれば、被疑者として事情聴取をされていることは明らかです。

逮捕されるか

逃亡や証拠隠滅の可能性が高いと考える場合には、警察は、事前の連絡をせずに逮捕状をとって被疑者の自宅に赴き通常逮捕するでしょう。

ですから、警察から呼び出しの連絡を受けて、自ら任意出頭する場合には逮捕されず在宅事件となる場合が多いです。もっとも、単に逮捕を予定しているものの、逃亡も罪証隠滅の可能性も低いことから自ら出頭させて、警察署で逮捕するケースもよくあります。

最初の呼び出しで何をするのか

指紋やDNAの採取、写真撮影が行われ、犯行内容についての取り調べが行われます。そして、当日のうちに犯行現場に行って、現場確認を行うこともあります。

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窃盗事件の捜査の流れ(捜査期間)

身柄事件

逮捕の後48時間以内に検察庁へ事件送致がなされ、そこから24時間以内に勾留請求をするかしないかを検察官が判断します。

検察官が勾留を請求し、裁判官が勾留を認めると、10日間の勾留の後、最大10日間、勾留期間の延長があり、その間に検察官が起訴処分、不起訴処分を判断します。

在宅事件(警察からの呼び出し)

最初に警察署に出頭して、逮捕なく在宅捜査となり、帰り際にまた後日呼び出すと言われたけれども、待てど暮らせど、警察から連絡がこないということは多々あります。

鑑定や被害者、目撃者などの関係者の取り調べ、防犯カメラ映像の解析などその他の捜査に時間がかかっているということもあれば、単にその事件よりも重要で緊急性の高い事件にリソースが割かれており、後回しにされているだけという場合も多くあります。

通常は1か月以内には再度呼び出しがあり、取り調べや現場検証、犯行の再現などがなされます。その日で捜査が終わらなければ更に呼び出しを受けることとなります。

そして、捜査が一通り終わると警察の方で捜査記録をまとめ、検察庁に書類送検がなされます。

最後の呼び出しから書類送検までの期間もまちまちで、1,2週間で書類送検がなされることもあれば3か月後くらいになることもあります。専ら警察の他の事件での忙しさによるようです。

なお、万引き事件や自転車窃盗などの軽微な事件では、初犯であったり、被害者と加害者との間で示談、被害弁償がなされていたりする場合には微罪処分といって、警察段階で捜査は終了し、他の軽微な事件とまとめて検察庁に送致され刑事処罰はなされず事件終結となります。

在宅事件(検察庁からの呼び出し)

書類送検の後、1か月以内には呼び出しがあることが多いですが、2,3か月後に検察庁から呼び出しがあることもあります。検察官の他の事件での忙しさ具合や、呼び出しの前に補充的に捜査をする必要がありに呼び出しまで時間がかかる場合もあります。

なお、軽微な事件の場合は、検察官(検事、副検事)ではなく、検察事務官が事件を担当することがあります。

検察庁からの呼び出しは封書で届くことが基本ですが、携帯電話に直接電話がかかってくることもあります。出頭の日時を指定されますが、仕事その他の用事がある場合にはある程度、日時の調整には応じてくれます。

犯行を認めている事件では多くの場合、検察庁からの呼び出しは1回だけです。その時の取り調べ内容を踏まえて、検察官は起訴、不起訴(起訴猶予)の処分を決めます。

もっとも、呼び出しの際には処分を即断せず、検討の上、略式起訴にする場合には再度、検察庁から呼び出しを受けることになります。

窃盗事件の起訴

検察官が起訴猶予ではなく、起訴処分にする判断をした場合に、起訴処分には略式起訴と公判請求があります。

窃盗の同種前科がなかったり、被害金額が小さいケースでは略式起訴となることが多いでしょう。

略式起訴とは、検察官が、略式手続で簡易裁判所に罰金刑の略式命令を請求するものです。この手続には被疑者の異議がないことが必要ですから、事前に検察官は被疑者の同意を書面でとります。

そして、略式起訴がなされると、後日、簡易裁判所から自宅に封書が届き、記載された罰金の金額を検察庁で納付して、事件終結となります。なお、略式手続による罰金刑も刑罰ですから、前科はつきます。

他方、被害金額が小さくないケースや、犯行態様が軽微でない場合には初犯であっても公判請求がなされ、正式な裁判となります。

正式な裁判になった場合、後日、裁判所から起訴状とともにその後の公判手続に関する説明が記載された封書が届きます。

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まとめ

以上、窃盗事件の捜査の流れについてご説明しました。

逮捕、勾留された場合には勾留期間という時間制限があるため、起訴まではスピーディーに進んでいきます。

他方、在宅事件となった場合には、捜査機関は時間制限のある身柄事件を優先的に処理することから、被疑者の呼び出しは後回しになりがちで、何か月も呼び出しを待っているけれども全く音沙汰がないということがよくあります。

窃盗事件の被疑者となり、今後の捜査の流れが不安な方は、刑事手続に詳しい弁護士にご相談ください。

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