盗撮で証拠なしや証拠不十分でも逮捕、起訴?専門弁護士が解説
最終更新日: 2023年12月19日
盗撮について以前は迷惑防止条例で処罰されていましたが、令和5年から撮影罪が施行されており、処罰対象が広がりかつ厳罰化されました。
このように近時厳しく取り締まりがなされている盗撮ですが、盗撮を疑われたが証拠がない場合や証拠不十分である場合でも逮捕され、裁判にかけられるのでしょうか。
今回はこのような場合の盗撮事件について専門弁護士が解説します。
盗撮の証拠なし・証拠不十分でも逮捕される?
盗撮の証拠がない、証拠不十分である場合でも逮捕されるのかについて、盗撮の証拠をまずは確認してから順に説明します。
どのようなものが盗撮の証拠になるのか
動画、画像のデータ
盗撮行為にはスマートフォンや小型カメラが利用されます。そのため、スマートフォンや小型カメラで撮影した画像、動画のデータはもちろん盗撮の証拠となります。
犯行後に削除したとしても多くの場合、警察で復元されますが、廃棄や初期化がされてしまった場合には復元は困難となります。
なお、家宅捜索で自宅から押収されたパソコンやUSBメモリなどに過去の盗撮のデータがあれば、それらは余罪の証拠となります。
防犯カメラの映像
被疑者が盗撮行為をしている行動が防犯カメラに映っていれば、防犯カメラ映像が盗撮の証拠になります。コンビニや書店など店内での盗撮行為の場合にはこのような防犯カメラの映像も証拠となることが多くあります。
目撃者の供述
被疑者が盗撮行為をしているのを目撃した人がいれば、通常は噓をつく動機はありませんので、視認状況や記憶の鮮明さに問題がなければ十分な盗撮の証拠となります。
逮捕されるのか
盗撮事件では、私人による現行犯逮捕や、パトロール中の警察官による現行犯逮捕がよくあるケースですが、現場から逃走した後、逮捕状が出て後日、通常逮捕されるケースもよくあります。
現行犯逮捕の場合は、犯行を現認されていますし、その場でスマートフォンやカメラなどの盗撮に使用された物も保全されますので証拠は十分です。
他方、現場から逃走した場合には、盗撮したデータを削除したり、盗撮行為に使用したスマートフォンやカメラを廃棄したり初期化してしまうケースがあります。
単に削除しただけであれば復元できる可能性がありますが、廃棄、初期化された場合には盗撮のデータを得ることは困難です。このような場合、逮捕状が出て後日、通常逮捕されたとしても、証拠が不十分なため起訴することは困難でしょう。
盗撮の証拠なし・証拠不十分だと起訴できない?
盗撮の証拠がない場合や証拠不十分である場合に起訴されるのか、被害者が盗撮に気が付いている場合とそうでない場合にわけて説明します。
被害届が出ている場合
例えば、被害者である女性がエスカレーターに乗っている際に足に何かが当たった気がしたので振り返ると男性が真後ろに立っていたので、盗撮行為したのではないかと問いただしたものの、加害者が否認しているようなケースがあります。
この場合、警察は携帯電話の解析、犯行を映しているかもしれない防犯カメラの調査をします。もっとも、結局何も証拠が出てこなかった場合には、捜査終了となる可能性もありますし、書類送検をされても不起訴となる可能性が高いでしょう。
被害者が盗撮に気付いていなかった場合
被害者は盗撮に気づいていなかったけれども、防犯カメラに映っているかもしれないし、誰かに見られていた気もするから自首をしたいという弁護士への相談がよくあります。
この場合、盗撮をした画像や動画のデータが残っていれば警察は捜査をするでしょう。
他方、盗撮に使用したスマートフォンやカメラを廃棄してしまったという場合や初期化してしまったという場合には、目撃者や防犯カメラの映像などの証拠がない限り、起訴することは困難です。
そのため、捜査を開始しないケースも多いですが、被疑者の取り調べをして検察庁へ送致はするというケースもあります(書類送検はされても起訴される可能性は低いでしょう)。
まとめ
以上、盗撮の証拠がない場合にも逮捕や起訴をされるのかについてご説明しました。
各事件の状況によって、盗撮の証拠が出てくるのかどうかや、逮捕・起訴などのその後の流れは異なってきます。
そのため、盗撮行為をしてしまったという方は、刑事事件の知識経験が豊富な弁護士にできる限り早期に相談をすることをお勧めします。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。